願わくは、この投稿がSEOmoz読者各位の御意にかないますように。
サラの法律相談へようこそ! 今回皆さんに提供したいのは、法律問題のチェックリストと、アフィリエイトマーケティングを取り巻くトレンドなの。この記事がマーチャントとマーケターの双方にとって、興味深い内容になっていることを願うわ。
アフィリエイトマーケティングは、残念ながら、特にリスクが大きいことで評判が悪い。この業界で、まったくリスクがないことなんてあり得ないんだけど、リスクを管理することは可能だわ。その方法は、次の3つ。
想定しているマーケティングパートナーについてよく調査する
リスクの分配および適切な補償条件を定めた厳格な法的契約を結ぶ
現状の技術、マーケティング戦略、規制の動向について、常に状況を把握しておく
前置きはこの辺にして、マーチャントおよびアフィリエイトマーケターのための、リスク認識とリスク管理戦術をさっそく見ていきましょう。
この記事は英語記事の翻訳のため、法律に関しては米国のものが扱われていることに注意してほしい。法律そのものは日本では事情が異なるが、企業がマーチャントとして注意するべき点として大きな相違はないため、役に立つ記事だとして翻訳対象に含めた。
最大の防御は優れた攻撃 アフィリエイター マーチャント
マーチャントあるいはアフィリエイトパートナーの選択は慎重に
リスク管理に関して、マーケターが下し得るただ1つの、そして最も効果のある決定は、手を組むマーチャントを選ぶことね。マーチャントの側にも同じことが言えるわ。マーケティング上のパートナーについては、入念かつ徹底した調査を行うこと。
- フォーラムに参加し、検討中のマーチャントあるいはマーケターについて尋ねてみること。
- マーチャントの立場なら、マーケターから現在および過去のクライアント一覧を見せてもらうべきだわ。
- 将来のマーケティングパートナーに、信用調査書の提出を要求してみれば、やはり非常に価値ある情報が得られるわ。
- マーチャントならば、アフィリエイトパートナーになるかもしれない相手に対し、自分の製品に関してどのようなマーケティング計画を持っているのか、必ず尋ねること。先方はメールを送ったり、勧誘電話をかけるような相手かしら? ネガティブマーケティングキャンペーンに手を染めそうな業者じゃない? 決して自分のリスク許容度を越えないためにも、前もって戦略をよく議論すること。
- アフィリエイトマーケターは、決してマーチャントと最初に手を組むアフィリエイトになろうとしないこと。相手が新興企業の場合、その会社の経営者はおそらく他のオンライン企業にいた経験があるはずだわ。以前どこの企業にいたか訊き、その企業について調査してね。
- 相手がマーチャントだろうとアフィリエイトだろうと、E&O保険(職業賠償責任保険)に加入しているかどうか尋ねるのは、いい考えだわ。
マーチャントは、アフィリエイトに対してすべての下請けアフィリエイトを把握し、彼らの行為がこちらの迷惑にならないよう要求すること マーチャント
直接仕事を任せるアフィリエイトに対して、業務の一部を下請に出すことを許可する場合は、すべての下請アフィリエイトと、きちんとした書面による契約を交わすよう相手に要求することが大事よ。
下手をすると、下請アフィリエイトの行為まで、こちらの責任になりかねないから、問題を起こしそうなアフィリエイトがいれば、すぐにわかるような手段を持ってなくちゃだめ。下請アフィリエイトの存在がわかったら、その相手を調査すること。そして下請アフィリエイトの引き起こした問題に関しては、その一切を元請のアフィリエイトが責任を持ち、自分に火の粉がかからないよう約束させること。
質の低い商品を扱っていたり、不誠実なプロモーションを行ったりするマーチャントには注意せよ アフィリエイター
アフィリエイトにとって、評判は重要な資産よ。そして、アフィリエイトの価値は、マーチャントが販売する商品の価値によって決まるの。自分がマーケティングした商品をマーチャントがちゃんと配送しなかった場合、責任を負わされたくはないでしょ? 中には、まったく商品を届けないマーチャントもいるわ!
ネガティブマーケティングキャンペーンに注意 マーチャント
ネガティブマーケティングキャンペーンで商品が売れるのは、周知の事実ね。中には、あなたのブランドを好きなように利用して中傷するような広告を作成し、キャンペーンを展開する業者もいるわ。こちらのブランドがぼったくりだとか悪徳商売だとか思われるような行為はしないよう、必ず契約で禁止しておいてね。
アフィリエイトには独自のコンテンツを作成させること マーチャント
アフィリエイトには、独自のコンテンツを作成してもらわなきゃならないわ。それには少なくとも、次のような2つの理由があるの。
アフィリエイトに対して費用を支払うのは、新しい市場に自社ブランドを浸透させ、新たな市場を開拓することでブランドの存在感を高めるため。こちらの既存素材を用いて同じ市場の同じ顧客に訴求することが目的ではない。
複製コンテンツの問題を最小限に抑えるためにも、こちらのコンテンツを複製しないようアフィリエイトに言い渡しておくことは間違いなく役立つ。
アフィリエイトには検討用のサンプルを提供するだけで、向こうが独自にマーケティングコンテンツを作成して、その商品に付加価値を付けるよう強く求めるのよ。
マーチャントは、自分たちの製品について解説したアフィリエイト向けのガイドを用意すべき マーチャント
複製コンテンツはご免でしょうけど、アフィリエイトにはこちらの製品に関してきちんと説明できる力と正確な情報を持っていてほしいわよね。アフィリエイトに提供する情報が多ければ多いほど、向こうだってすぐれたマーケティングができるようになるのよ。
こういったガイドは、品質、スタイル、正確さという観点から、マーチャントとアフィリエイトの双方にとって見通しを立てるのにも役立つわ。
ブランド便乗に注意(その1):アフィリエイトにあなたのブランド名でキーワード広告に入札させないこと マーチャント
この点については、異なる意見の人もいるわ。だけど、アフィリエイトがキーワード広告(PPC)キャンペーンを行う場合、こちらのブランド名で入札することを許すべきではないという意見には、同意する人が多いの。
なぜかって? すでに自らが作り上げたブランドの価値に対して、だれかにお金を支払ういわれはないからよ。あなたが報酬を支払っているのは、ブランドの版図を広げてくれるアフィリエイトに対してのはず。もしそのアフィリエイトが、あなたのブランド名を使ったPPCキャンペーンでコンバージョンを稼いでいるとしたら、それはあなたがアフィリエイト抜きでもできたはずのことをやっているに過ぎないわ。
才能あふれるアフィリエイトは、独自のコンテンツを作って、それを売上に結びつけるものよ。自分のブランド展開において、すでに自ら完了した仕事について、他人にお金を払っちゃいけないわ。あなたのブランド名で入札しないよう、契約書の禁止条項に含めること。
ブランド便乗に注意(その2):アフィリエイトにあなたのブランド名を冠したドメイン名を使わせないこと マーチャント
上記と同じ理由から、アフィリエイトにあなたのブランド名を含むドメイン名を使わせちゃだめよ。
そうしたドメイン名や、ちょっとした綴り違いのドメイン名だけ見て、あなたのブランドだとわかる顧客は、「すでにマインドシェアを得ている顧客」なんだから。自分がすでに成し遂げた仕事を、お金まで出してだれかに任せる理由はないわ。
契約書では、必ずすべてのブランド便乗行為について、明確に取り決めを行うこと。下に挙げた事例が示すように、マーチャントは、ドメイン名の不正使用(サイバースクワッティング)を通じてアフィリエイトに横取りされた利益を、同種の行為を禁じる米国法を使って取り戻すこともできるのよ。
2006 WL 2521321(ウィスコンシン州西部地区連邦地裁、2006年9月1日)
あるアフィリエイターが、消費者のを惹き付けるために、部分的に綴りを変えたドメイン名を複数登録し、アフィリエイト手数料を得るために、それらのURLを利用した。
法廷は、反サイバースクワッティング消費者保護法違反をはじめ、詐欺および契約違反の疑いがあるという裁定を下したんだけど、おもしろいことに、消費者が求めていたものを入手していたことから、虚偽の広告はなかったものと判断した。
詳しくは、こちらの秀逸なる記事を読んでちょうだい。私の知る限り、この訴訟はまだ最終的な解決を見ていないわ。
アフィリエイトのリンクを自分のYahoo! Local Searchプロフィールに埋め込ませないこと マーチャント
アフィリエイトの中には、自分たちのアフィリエイトリンクをYahoo!のローカル検索やGoogle Mapsに埋め込んで、「スパム行為」を行っている者がいるの。
マーチャントは、きちんと自分のプロフィールを主張し、ローカル検索のディレクトリでマーケティングを行わないよう、アフィリエイトに禁じるべきよ。ローカル検索であなたのことを調べてくれた潜在顧客は、断じてあなたの顧客なのだから。これは、ブランド便乗行為の一形態で、契約書の中で禁止しておかなければならないわ。
虚偽広告および誇大広告による見込み客誘導に注意 マーチャント
ValueClickは、商品の無料提供を謳う虚偽の宣伝で見込み客を誘導した罪に問われ、米証券取引委員会(FTC)から290万ドルの罰金を科されているの。
アフィリエイトが不正な誘い文句で見込み客を誘導すると、マーチャント自身の評判を(アフィリエイトも巻き添えにして!)傷つけるわ。マーチャントがアフィリエイトを監視する方法の1つは、どうやって自分のブランドを見つけたのか顧客に尋ねることよ。危険信号を無視しちゃダメ。
請求した手数料を支払わないマーチャントに注意 アフィリエイター
アフィリエイトは、請求しても手数料を支払ってくれないマーチャントに注意しなければならないわ。絶対に、相手のマーチャントと最初に手を組むアフィリエイトになってはだめよ。マーチャントがあなたに金銭を支払う義務があることを証明できたとしても、無責任なマーチャントを追い詰めるのにかかる膨大な費用と、その困難さは、よほどのことがない限り割に合わないわ。だからこそ、アフィリエイトは相手のマーチャントをよく調査し、定期的にフォーラムに参加しなければならないの。アフィリエイトのコミュニティは、マーチャントと個人でやっているアフィリエイトとの立場を平等なものにする上で、特に重要な手段なのよ。
スパム規制法「CAN-SPAM」の遵守 マーチャント
FTCは、スパム規制法である「CAN-SPAM」(IT用語辞典によるCAN-SPAM法の解説)に違反するマーチャントやアフィリエイトを厳しく追及するわ。
- マーチャントがアフィリエイトの行為に対する責任を免れるには、いくらベンダーを間に挟んでも、それだけでは十分ではないわ。
- 警告:CAN-SPAM法に違反したという判決は、倒産したところで取り消されることはないわ。これは生きている限りついてまわるのよ。
- 自分の責任範囲を限定する最も簡単な方法は、アフィリエイトに商用メールを送信しないよう、契約書で禁止しておくことね。顧客が商品を購入したら、どうやって自分のサイトを見つけたか訊ねてみて。顧客から、メールを受け取ったという話が出たら、すぐにアフィリエイトを調査すべきだわ。こういうルールを破るようなアフィリエイトとは、ためらわずに関係を断つこと。
- アフィリエイトに商用メールの送信を許可したい場合は、CAN-SPAM法を遵守するという誓約書にサインさせること。さらに、必ずアフィリエイトを監視してね。
- CAN-SPAM法で定められている要件について、最新情報をチェックしたい場合はこちら(PDF)を参照して。
今回の記事はかなり量が多いため、2回に分けてお送りする。次回も引き続き、アフィリエイトマーケティングにおけるリスク管理についてお伝えしていく。→「アフィリエイトマーケティングにおける法的リスク管理の方法(後編)」を読む
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