インタビュー

ケータイの上にも8年。携帯ビジネスの動向と携帯サイト成功のコツ/KLab株式会社

注目企業のネットビジネス戦略

KLab株式会社
ケータイにインターネットを載せようとしたのが始まり
技術革新の最先端でモバイルの未来を追い続ける

取材・文:柏木 恵子
写真:津島 隆雄

KLabは(KLabの基本的な情報は記事末尾を参照)、携帯電話関連の研究開発型企業として2000年に設立された。「技術でつくるモバイルの未来」と謳っていることからもわかるように、モバイル向けのさまざまなサービスモジュールを自社開発し、それらを組み合わせた受託開発とともに、汎用性の高いサービスを提供している。その他、自社提供サービスとしてコンシューマ向けのエンターテインメント系サイトも運営し、金融系プラットフォームも展開するなど、携帯サイト関連のビジネスにおいて大きく成功している会社だ。代表取締役社長 CEOの真田哲弥氏に、携帯ビジネスの動向や企業サイトの携帯対応についてのポイントなどを伺った。


□□にインターネットを載せる、最も有望だと思ったのが携帯

KLab株式会社
代表取締役社長 真田 哲弥氏

●編集部 いち早く携帯電話ビジネスに目をつけたきっかけはどこにあったのでしょうか。

●真田 僕は1999年当時、アクセスというブラウザの会社の営業部門でNTTドコモの担当をしていました。当時アクセスという会社はTCP/IPのプロトコルスタックとか、どちらかというとマニアックな、世の中であまりわかる人のいないものを作って、いろいろなものにインターネットを載せるというプロジェクトをやっていました。テレビとかPDAとかゲーム機とか、それこそいろいろなものにインターネットを載せようとしていて、ドアフォンとか冷蔵庫なんていうのもありました。その中で、携帯電話にインターネットを載せるというのがあり、NTTドコモにマイクロブラウザを作りましょうという提案をしていた担当者が僕で、ワイヤレスTCP/IPの実証実験などをずっとやっていました。これが後にi-modeと呼ばれる仕組みになっていくわけです。それで、これはいけそうだなと感じました。普及するだろうと思ったのです。

●編集部 それは、技術的に優れているから普及するという意味でしょうか。

●真田 技術的にいいというのとは少し違いますね。いろいろなものにインターネットを載せるというとき、もちろん営業という仕事ですから一生懸命売り込むわけですが、実はどれもそれほど普及する気はしなくて、唯一携帯電話だけが普及しそうに感じました。技術的にはどれも大差なくて、しいて言えばやりやすいのはテレビでした。テレビは携帯電話に比べたらはるかに単価が高いですから。また、携帯電話には画面サイズやバッテリといったいろいろな制限もありました。技術的に無理があるのは携帯電話で、それに比べればゲーム機などはまだやりやすかった。

当時、ドリームキャストというゲーム機にインターネットを載せるプロジェクトがありました。ゲーム機のOSがインターネットを呼びに行くAPIを作るところからやっていましたが、ドリームキャストのCPUパワーは当時の携帯電話の100倍以上あったわけです。画面サイズもテレビですし、こちらの方がはるかに現実的でインターネットを使いやすくできることは明白でした。それに対して当時の携帯電話のモニタは横8文字かける2行か3行のモノクロ液晶2階調。そんなものにインターネットを載せるなんて、多くの人が「それは無理だろう」「そこにブラウザ載せて何を見るの?」という反応でした。それでも、携帯以外のものが先行して開発されていたにもかかわらず、僕は携帯が一番くるなという予測をたてて、それならこれでビジネスをしようということに。

●編集部 それは純粋な勘だったのでしょうか。それとも、何か裏付けとなるデータをお持ちだったのですか。

●真田 裏付けになるものは実はたくさんありました。まず、年間に売れている数が違う。携帯電話の年間販売台数は、他のテレビとかゲーム機とは、当時でも圧倒的な差がありました。単価も安かったですしね。それと、使い方です。他のものの場合はPCのインターネットをそのまま移植するという考え方だったのに対し、携帯電話のインターネットは全然別の使い方になるということ。

たとえば、当時の日本では、SMS(ショートメッセージサービス)を使っている人がたくさんいて、文字で連絡を取り合うということはすでにブームになっていました。だから、次はeメールに移行することは確実だという自信があったのです。SMSというのは、256バイト128文字というシステム上の制限があって、バージョンアップは絶対に無理。しかし、128文字の時代はすぐに限界になって、そのリプレースとして必ずeメールがくる。eメールの標準技術はSMTPとPOPですから、これはどう考えてもTCP/IPを実装してその上に、eメールとするのがごく自然であると。

他にもいろいろあって、当時営業担当としてドコモをくどくためにありとあらゆることを調べましたから、なんぼでもしゃべれますよ(笑)。

技術でつくるモバイルの未来。3キャリア全機種対応がキモ

●編集部 ではKLabが発足したのはどのような経緯なのですか。

●真田 最初は、私が創業者の1人として副社長をしていたサイバードという会社の、企業内研究所としてケイラボラトリーを設立しました。サイバードは企画系、コンテンツ系の企業ですが、携帯電話は技術革新が非常に早く進み、コンテンツも技術に合わせてどんどん変わるので、携帯電話技術の専門の部署を作る必要があると考えたのです。それを2000年に分離独立して子会社としました。

●編集部 携帯向けソリューション開発やコンサルティングなど多様な事業を行っていて、「携帯メール高速配信サーバー」「携帯動画配信ASP」などの製品がありますが、事業の柱はなんでしょうか。

●真田 基本的には受託開発の会社です。つまり、案件ごとにそれぞれスクラッチから作っていくわけですが、実際にはいろいろなパーツが社内にあって、そのパーツを組み合わせることで開発し、お客さんに提供するわけです。これは、開発会社はどこでもそうでしょう。そのパーツのなかで、汎用性が高いものを切り出して、パッケージ化して提供しています。このビジネスが、柱のうちの1つです。傾向としては、当初は端末メーカーにグラフィックライブラリを供給して、それでグラフィックの描画速度が数倍から10倍近く速くなりますというような、組み込み系のものが多かったけれど、最近はサーバーサイドで提供するサービスというのが増えています。

●編集部 具体的な製品を何か1つ紹介していただけますか。

●真田 最近だと、11月にリリースした「モバラジムービーSuite」でしょうか。携帯向けに動画を配信したい会社が、簡単にすぐ始められますよという、オールインワンのパッケージです。

3キャリアに対応した動画配信プラットフォームサービスの「モバラジムービーSuite」。動画のエンコードや視聴ページの作成、サーバーと回線の提供から課金システムとの連携など、携帯向け動画配信に必要な機能を一貫して提供する。

携帯電話の宿命として毎回起こるのが、3キャリア全機種対応の問題です。携帯電話で動画配信する場合でも、これがとんでもなく大変なのです。フォーマットが多様で、メモリ容量も機種ごとに違う。さらに、通信速度も違うので、フレームレートを変えなければいけない。どの端末からでも見られるようにするには、それぞれの端末に合わせたページを作らなければならないというのが、とてつもなく面倒くさいわけです。

モバラジムービーSuiteの根幹になっているのが、自動変換エンジンです。まず、いま世の中に出ている動画を再生できる端末全機種のプロファイルをデータベース化しています。動画配信したい会社は、その動画ファイルをアップロードするだけで、自動的に各携帯端末向けのフォーマットに変換するわけです。たとえば、長尺のものならばその機種で再生できる長さに分割して、連番のファイル名をつける。フレームレートも通信速度の遅い端末用、速い端末用とそれぞれ自動生成します。そしてサムネール画像を自動生成し、そのファイルにアクセスするURLの入ったHTMLファイルを自動生成し、アクセスしてきた端末のIDから判断して、それぞれの端末に最適なダウンロードページに跳ばします。5分割されたものなら、5枚のサムネール画像が連続で表示されて、クリックすると再生が始まる。連続ドラマなら、あらかじめ全部アップロードして、スケジュールに沿って公開することもできます。さらには、ユーザー認証の仕組みも含まれていて、課金サービスとのAPIも提供しています。つまり、動画をアップロードするだけで、全機種対応から課金までを含んだ動画配信ができる、オールインワンのパッケージということです。

今後、動画はどんどん一般的なものとなっていくはずなので、このモバラジムービーSuiteは非常にニーズが高まるのではないかと考えています。

動画をアップロードするだけで
携帯向けの動画配信サイトを簡単に始められます

BtoCではもはや必須。業種別携帯サイト成功のコツ

●編集部 企業サイトを持たない会社というのは今やほとんどないわけですが、携帯対応サイトは必須だと思いますか。

●真田 BtoCの会社は必須だと思います。BtoBのビジネスをやっているところは、必須とまでは思いませんが、ないよりはあった方がいいと思いますね。

●編集部 携帯向けサイトを作る場合の注意点はどのようなことでしょう。

●真田 やはり、ある程度更新頻度を高くしないとだめですね。携帯の技術革新は早いですし、最初にどんなに気合い入れていいものを作っても、すぐ陳腐化します。あとは、モバイルサイトの仕掛けをわかっている人が更新するのでないなら、CMS(コンテンツ管理システム)化した方がいいでしょう。PCのスタイルシートをよく理解している人ほど、携帯のスタイルシートは面倒なものです。だから、PCの担当者がそのまま携帯のサイトもHTMLで直書きするというのは、はっきり言ってやめた方がいい。

●編集部 全キャリア対応や全機種対応が難しいという問題は、どうすればいいですか。

●真田 どの規模のものをどうするかにもよりますが、市販製品やASPの変換エンジンで、パーフェクトなものがあるかというと、ありません。我々もASPという形で提供してもあまりビジネスにならないので提供していません。実際に社内ではCMSを使っていて、入力したコンテンツを3キャリア向けに、サイトごとに微修正するというCMSを利用しています。サイトごとにCMSをある程度修正しているのですが、こういったCMSを活用するのがいいでしょう。

●編集部 セキュリティについてはいかがですか。

●真田 セキュリティの問題は、PCと比べるとはるかに楽です。端末が特定できるということと、携帯からハッキングするようなフリーツールが出ていませんから。また、通信相手が国内に閉じていますしね。それほど神経質になる必要はないでしょう。

●編集部 こういう業種ならばこういうことが効果的というようなコツがあったら教えてください。

●真田 まず、店舗を構えている小売業の場合では、「店内で一度アクセスさせる」というのが一番大事なことです。

たとえば、クレジットカードの申し込みキャンペーンを街中でやっていますよね。申し込み用紙をわたして「家に帰って記入して申し込んでください」という場合、絶対に申し込まないじゃないですか。「銀行の届出印などは後ほど返信用の書類を送りますから、それ以外の部分を今この場で書いてください」という形にすると、かなり入会率が高い。それと同じことで、QRコードの入った何かをわたして、後でアクセスしてくださいということだと、あまりアクセスは伸びません。だから、せっかく来店してくれたお客さんに、店内でサイトに一度アクセスしてもらう。たとえば、クイズがあって、店内からQRコードでアクセスすると答えが出ているので、それを書いて出すと何かもらえるとか。そうすれば、一度サイトに行くので、当然履歴が残りますし、うまくすれば画面メモやブックマークしてくれるかもしれません。一度メールアドレスを入れてもらえば、そこからいろいろな誘導の仕方がありますしね。

BtoCなら携帯サイトは必須。効果的なのは
店内でアクセスしてもらう仕掛けを作ること

●編集部 小売業以外ではどうでしょうか。

●真田 たとえばメーカーですと、ユーザーサポートをもっと携帯サイトでやればいいのになと思っています。テレビの配線なども、買った製品にQRコードがついていて、それを映すと型番や機種などの情報が全部自動的に入力されてそのサイトにとぶ。それで、配線やらなにやらを動画で説明してくれるとか。マニュアルも分厚い冊子ではなく、携帯でアクセスするとFlashのマニュアルがあるとかね。

ユーザーサポートでも、今はサポートセンターに電話をして、「お使いの型番は」「何年頃ご購入されましたか」などの質問をされますが、そんなのすぐに答えられない。それなら、まずQRコードを写して、型番や工場出荷番号などが全部わかるわけだから、その製品のサポートの質問フォームにとぶとか、問題の部分を写真に撮って送ってくださいとか。電話よりもよほどユーザーサポートがやりやすいと思います。だから、ユーザーサポートとか、クレーム対応、ロイヤリティプログラム的なものでも、メーカーはもっと携帯サイトに力を入れるべきだと思うんですよ。

●編集部 そうするとQRコードはキーテクノロジーですね。

●真田 QRコード自体は、徐々に使われなくなっていくと思いますけれどね。僕らの調査では、もう若い人はQRコードを使わない。若い人は、PCと一緒で検索に主流が移っています。QRコードを立ち上げて写真を撮るよりも、親指に慣れた人は検索画面に入力する方がはるかに速いんですよ。そういう意味では、企業にとっても携帯サイトのSEOが非常に重要になってきますね。

もう1つ、店内でアクセスさせるという手法では、メーカーにとってのインストアマーケティングも非常に重要になってくるでしょう。たとえば、化粧品売り場で小さな液晶画面に宣伝を流していたりしますよね。ああいう商品PRを、QRコードでも検索でもいいので商品の棚に表示して、アクセスすると商品の詳しい説明が見られますという形にする。あとは、施設・サービス業の集客とリピートのためには、携帯で予約できるというのは必須になるでしょうね。

携帯ビジネスの現状と今後広告モデルがブレークするのは

●編集部 さまざまな無料サービスが出てきていますが、市場をずっと見てきたなかで携帯ビジネスは変わってきていますか。

●真田 公式サイトは、まだまだ伸びるカテゴリと落ちるカテゴリがあるので、一概にいいとか悪いとかは言えません。伸びるカテゴリをきちんと見極めてやれば伸びますし、以前より競争が激しくなった分、それほど楽勝ではありませんが、有料課金のモデルというのは相変わらずうまみがあります。

一方、モバゲーを筆頭に、この1~2年、Web 2.0というかCGMの嵐が吹き荒れました。しかし、SNSは沈静化すると思いますね。たとえばmixiでは、携帯対応になったのは去年の11月ですが、トラフィックはPCを抜いています。でも、これは来年いっきに1/3くらいまで収束すると思います。一方で、モバゲーは落ちないでしょう。理由は、mixiは純粋にSNSですが、モバゲーは今やポータルサイトであってSNSではないからです。携帯では、小さな画面でそれほど深い話ができるわけではないので、いま、携帯でmixiをやっている人たちはブーム的にやっている人が多い。高校2年のとき流行っていたことを、大学生になってもやっていたかどうか思い出してください。そんなことはないでしょう。そういう世代の人たちがやっているものだから、1つの流れが3年続いたことはないのです。

●編集部 それは、携帯サービスの特徴ということですか。

●真田 そうではありません。携帯ということではなく、世代です。mixiやモバゲーのユーザーの多くは高校生くらいの年代だから、ということです。携帯だから高校生というつながりにはなりません。今は携帯電話を高校生だけが使うわけではなく、30代40代の方もどんどんいろいろなことをする時代になっています。だから、企業の人もそこを勘違いしてはいけない。SNSの加熱したブームは一段落するけれど、一方で無料勝手サイトや広告モデルという流れは変わらないでしょう。

●編集部 広告モデルは、今後落ちることなく右肩上がりと考えてよいでしょうか。

●真田 うーん……。PCのインターネットで、多くの広告モデルの企業が黒字転換を果たしたのが、2004年です。実は、携帯インターネットにおけるその転換期が今年あたり来ると、僕は予想していたのですが、それが見事にはずれまして、まだ来ていないんですよ。伸びてはいますがそれはゆるやかなもので、まだ水面下の動きというか。

●編集部 広告メディアとして成立するためのユーザー数という意味では絶対に足りているはずですよね。それなのにまだその転換期が来ていないのは、どのような問題があるのでしょうか。

●真田 技術ではなく、純粋にマーケティングの話です。

PCでは、広告市場がゆるやかな伸びから急角度に上がり始めたのが、多分2003年から4年くらいにかけてです。2003年にヤフーが広告の分野で黒字転換して、それまで赤字だった広告モデルの会社がそれに続いていきました。この頃、大手優良広告主であるナショナルクライアントがつき始め、広告市場が拡大していきました。2002年までは、PCでもトラフィック単価は下がり続けていました。それを2003年に逆転させたのは、ソフトバンクBBの功績です。それまでは、ユーザーが増える速度よりもメディアであるウェブサイトが増える速度の方が速かった。このため、供給過多になって単価が下がっていました。ソフトバンクBBのおかげで需要と供給のバランスが取れて、単価が下がるという状況を一変させたという歴史があります。

しかし、携帯のトラフィックは増えていますが、その多くはCGMで、そこには広告がつきにくいため、需要と供給のバランスがとれずにトラフィックあたりの単価は下がっています。また、現在の携帯ユーザーの多くがCGMを利用する若い世代で、あまりお金を持っていない。広告というのは人が多くいるところではなく、お金がたくさんあるところに集まる性質があります。たとえば、新宿と銀座では新宿の方がはるかに人が多いけれど、看板が高いのは銀座です。それは、新宿で鞄を買う人は1万円の鞄を買うけれど、銀座で鞄を買う人は20万円のかばんを買うからです。つまり、携帯はあまりお金を使わない若年層がユーザーに多いため、広告が偏っていて大手優良広告主が出稿していません。

だから、携帯でもっとお金を使うようになると、これは変わってくるはずです。たとえば、PCではマンション探しサイトの広告が一番高い。マンションを買うとなれば、数千万円、もしかしたら1億円の買い物ですから。1億のマンションを売るために、もし1%の広告費を出したとしたら、100万円です。しかし、今マンションを携帯で検索する人はいません。だから広告単価の高い広告はまだ入ってないという可能性はあります。


今後は金融系サービスとFlashとAJAXに注目

●編集部 では最後に、御社の今後の展開について教えてください。

●真田 当社はビジネス(B)向けとコンシューマ(C)向けの全然違う2種類の事業を、並行して展開しています。B向けでは、モバイルバンキングのプラットフォームなどを提供ていますし、C向けでは着うたとか動画とか、古い言い方ですがいわゆるリッチコンテンツを提供しています。

まずB向けでは、金融系をもっと掘り下げて、いろいろなソリューションを出そうとしています。公共料金を携帯から払えるとかモバイルバンキングとかいろいろありますが、使っている人は少ないですよね。僕自身も使っていない。使いづらいんですよ。だから、それをもっと使いやすくする。携帯が未開拓の領域として、保険や株など金融というテリトリーがあります。そこは高い技術力を要求されるし、それは開発費が高いということでもあります。1つは、そのカテゴリに力を入れます。

C向けでは、どちらかというとエンタメ寄りですが、FlashとAJAXに注目しています。携帯は画面が小さいし、キーボードから先に入った人は親指文化になかなか慣れなくて使いづらい。その中で、FlashやAJAXは携帯のUI(ユーザーインターフェイス)、マンマシンインターフェイスと言ってもいいですが、その貧弱さを補うことができるという意味で、PC以上に有効だと思っています。携帯の画面は小さいので、ずーっと下までスクロールしていくか、あるいはページを何ページもめくるかしかない。しかし、FlashとかAJAXを使えば、カーソルを動かせば1つの画面で多くの情報を見せることができる。きっとそういう形に変わっていくでしょう。ただし、端末の機種依存の問題がここでも出てくるんですけれどね。ただ、携帯の小さい画面を活用して使いやすくするためには、やはりFlashやAJAXをうまく使っていくということが、今後テーマになっていくでしょう。我々はそれをテーマにして、いろいろな研究開発を行っています。

携帯が未開拓の金融系の領域と
より使いやすいインターフェイス開発に力を入れたい

ちなみに、Flashを使った携帯サイトのデザインのコンテスト(ケータイFlashサイトデザインコンテスト)をやります。HTMLで作られているサイトをフルFlashのサイトに作り替えるコンテストで、作品の募集開始は2008年1月21日です。携帯だろうとPCだろうと、どちらもFlashやJavaScriptなのだからそんなに違わないはずですが、実際はえらい違う。そのノウハウを蓄積しようということです。ノウハウはいろいろとやってみないと溜まりませんから。

●編集部 たくさん応募があるといいですね。ありがとうございました。

KLab株式会社

  • 所在地 ● 東京都港区六本木
  • 代表取締役社長 ● 真田 哲弥
  • 設立 ● 2000年8月1日
  • URL ● http://www.klab.org/
  • 事業内容 ●
    携帯電話の技術開発・研究、携帯電話事業者向けコンサルティング・研究開発、各種ソリューション、コンテンツ企画などを行う。2000年の設立以来、携帯電話の基盤技術の最先端企業として活動するし、代表的なソリューションとして、携帯動画配信ASP「モバラジムービー」、1時間で60万通以上の携帯向けメールを配信できる「アクセスメール」などがある。その他、電子金券開発事業やセキュリティ事業も行う。

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