効果的なオンラインマーケティングのための適切な時間配分
検索エンジン最適化の仕事を手がけているうちに、ウェブサイトのオーナーや担当チームが個々の作業に費やす時間の理想的な配分を明らかにするといいんじゃないかと考えた。もちろん僕の個人的なアドバイスだが、この分野では多くの場合、下の図の割合に近づけることで、費やした時間に対する見返りが最大になるだろうというのが僕の考えだ。
図のなかの6つの作業はそれぞれ、オンライン事業の人気、質、利益性の向上を助けるためのものだ。この図は、ビジネスとして運営するブログ(コンテンツ作成の割合が若干多く、機能とデザイン開発の割合が少なくなるかも)や、Eコマースサイト(この場合、訪問者に関するデータに基づく試験と調整の割合を多くする必要があるかも)をはじめ、ソーシャル性を持つWeb 2.0スタイルの事業にも同じように通用する。各作業について、具体的な課題を見ていこう。
バイラル的な価値(口コミで伝える価値)を持つ、権威あるコンテンツの構築(40%)
この作業の目的は、記事、ブログ投稿、フォーム、アプリケーション、マルチメディアなど、ビジターに価値をもたらすコンテンツを作成することにある。
「バイラル的な価値」という言葉は、自然に広まる力を持ったコンテンツを指している。コンテンツの専門性が非常に高いとしても、サイト上の該当コンテンツを見つけ出す関心が高くて熱心なビジターを思い描いてみよう。彼らがそれを電子メールで友人に送ったり、ブックマークに保存したり、あるいは少なくとも、同じようなページがあることを期待して、いずれサイトに再訪問するだろうか?
「権威あるリソース」とは、同じように、ウェブ上にある他のコンテンツよりも、はるかに抜きん出たものを指している。自分が網羅する範囲、詳しさ、調査、文章の質、そしてエンターテインメント要素によって、競合相手が決して追いつけないコンテンツとなるはずだ。迷いが出たら、自分のテーマに関するWikipediaの記事を読んでみよう。そして100倍良いものを作るんだ。
コンテンツの作成は、すべての取り組みのなかでも最大の時間を費やすのに値する。なぜなら、それがすばらしいサイトの要だからね。デザイン、分析、プロモーションなど、他のすべての取り組みは、サイトの題材が強く人を引き付けるものでなければ、無駄になってしまう。僕はコンテンツをコンバージョン率と同じように考えている。コンバージョン率が2%のサイトを運営している場合は、コンバージョン率4%のサイトに比べ2倍のビジターが必要だ。コンテンツの質が優れていればいるほど、山火事のようにウェブに広がる前に見に来てくれる人の数は、少なくても構わない。
新しい機能やデザインの開発(25%)
この作業はコンテンツの作成と似たようなもので、その目的は、サイトが提供しているものに関して、決して現状に甘んじないことにある。もし現在、自分のブログにコメントが集まっているなら、スレッド構成の改善を検討しよう。ライブチャット機能のあるEコマースサイトの場合は、動画を使った商品デモ機能の搭載を検討してみよう。もしパッとしない自分のGUIが、2002年当時のような感じだったら改善しよう。
新機能やデザインの開発は、ほとんどの場合プログラマ、デザイナ、サイトアーキテクトなど、ウェブサイトの屋台骨を作る人たちの仕事だ。また開発は、必要となる時間が大きく変動する作業でもある。デザインの変更やサイトの立ち上げ時には、4か月ほどの間は、この作業に全体の75%から90%の時間を費やし、その後の6か月間は維持管理の時間がほとんど持てないだろう。心配しなくてもいい、これは一般的なことだから。しかし、新たな開発をあまり長く先送りにすることは回避しよう。たとえ現在、自分が該当の分野におけるリーダーだったとしても、そこに留まるための唯一の方法は、一貫して最先端に居続けることなのだから。
キーワード、業界、競合相手の調査(10%)
少なくとも毎週、競合相手のサイトが行った変更を評価するための時間を取るべきだろう。目標とするキーワードを探すための従来的なキーワード調査と平行して、次のことも検討してみよう。
該当市場における新たな競合相手の確認と調査。
自分のサイトに活かせる可能性を持ったウェブ上の新しいチャンスの研究。
チャンスを導くような新しい語句の採用、またはキーワード人気の変化。
未発見の分野や取り残されている市場を探し出すために行う、自分が属する分野の総体的な分析。
オンラインコミュニティへの参加(10%)
これは、情報提供型サイトやリソースサイト(ブログも含む)にとって、多くの場合最も見返りが大きい作業の1つだ。その狙いは、フォーラム、ブログ、ソーシャルメディアサイトといった、他の業界通たちが集うウェブ上のコミュニティを見つけることにある。単純に、自分のコメント、投稿、参加を通じ、肯定的なプロフィールを築くことにより、リンク、注目、好意的な世評に関して多大な恩恵を得ることができる。
ビジターに関するデータに基づく試験と調整(10%)
これは、主にEコマースに適した作業のように思えるかもしれないが、サービス業界ブランド、ブログ、情報提供サイトにも同様に通用する。特に行動追跡情報がある場合など、ビジターのデータは、どのリンクが最も有益か、最も価値の高いキーワードはなにか、どこで宣伝に力を入れるべきか、そしてより多くのビジターを、いかにして「コンバージョン」につなげるか、といったことを示してくれる。コンバージョンが意味するところは、個々の状況に当てはまる。
分析そのものの作業に充てる時間は、この部分の作業に費やす時間の半分以下に抑えたほうがいい。残りの時間は、業績に対する自分なりの考え、テスト、分析、調整、そしてそれらの繰り返しに基づくサイトの変更に費やすべきだ。広告の設置、ボタンの使用、文脈上の筋道、見出し、行動喚起といった何百もの要素は、どれも役目がある。検証作業を開始してみよう。特定のビジターに対して何が効果的かすぐにわかるだろう。
手作業によるリンクビルディング(5%)
僕がこの作業の優先度を一番低くしたのは、それに対する嫌悪感だけが理由じゃない。時間を費やす作業のうち、単発のリンクビルディングは特に投資対効果(ROI)が低いと本気で思っているからだ。価値の95%は、わずか数十件のリンクからもたらされるが、それは数百のリンクを集めてこその話だ。関連性が高く、トラフィックの多い熱心なリンクを求めよう。最大の価値をもたらすと考える特定のリンクを獲得するため、最大の時間と努力をつぎ込み、その他にあまり時間をかけるべきではない。手作業によるリンクビルディングは、やる気をそぎ、見返りがないものになる可能性があるが、完全に無視するには重要性の高い作業だ。毎週数時間をリンクビルディングに費やし、その後はコンテンツに戻ろう。そうすれば気持ちも落ち着くだろう。
ここで示した内容が最高の時間配分かどうかは、もちろん誰もが同意するわけじゃないし、上記の分類にきちんと当てはまらない細かな要素だってあるかもしれない。でも僕は、ウェブサイトの開発と色んなマーケティング作業について、個別の相対的価値を把握し、それぞれに費やす時間の計画を立てることにより、明確な目標と、やり遂げられる計画が得られると思うんだ。
追記:この時間配分モデルは、ウェブチームに応じてかなり変化する。コピーライター、SEOおよびマーケティング担当、開発者は、効率を最大化するため、こうした作業を簡単に分配することができる(そしてもちろん、彼らすべてがコンテンツの作成に協力することをお勧めする)。
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