Web 2.0的マーケティングの実践
新商品のプロモーションに取り入れるネットマーケティングの新手法
Web 2.0と呼ばれる状況では、企業のマーケティング活動にもさまざまな変化が訪れている。Web 2.0と総称されている今の状況は、もはやいい悪いと議論するのではなく、すでに起こっている現実として受けとめるべきだろう。ここでは、この状況をマーケティングにどう活かせるのか、そのために有効なツールは何かを紹介する。
いしたにまさき(ライター&ブロガー)
ブログ「みたいもん!」(http://mitaimon.cocolog-nifty.com/)
膨大な情報の扱い方と可能性を体験して理解するのが第一歩
Web 2.0的状況では、情報の送り手と受け手の双方に変化が起きており、それが状況を若干見えにくいものにしている。情報量の桁数は上がっているが、XMLを中心としたテクノロジーによって膨大な情報をうまく扱うツールも充実してきた。やり方次第では、具体的な数字をともなった有効なマーケティング情報が時系列で取得できる。さらに、得られた情報は容易にビジュアル化できるものも多く、ツールによってはそのままグラフなどの形で結果を見せてくれるものもある。それらが意味するところさえ理解できれば、そのまま企画書に取り入れることが簡単にできる。
ただし、その意味を理解するにはWeb 2.0的世界での特徴である、情報の流通経路の変化、流通経路の癖などについて理解しておく必要がある。そうでないと、数字というデータにいたずらに振り回されることになる。また、ツールを使いこなすためにはツールの特性についての理解も求められる。特にこれは、頭で理解するだけではなく、実際に自分で使ってみて体感することが大事になる。
一度、Web 2.0的情報経路について理解してしまえば、テクノロジーの力で情報は勝手に集まってくるようになる。情報は読み解かれるのを待っている状態であり、あとはわれわれがそれを実践するだけだ。そして読み解いた情報は、あなただけのものになる。それはきっと企画にとっても有効な情報となるはずだ。
Web 2.0的マーケティングを実践するための必須ツール
最初にWeb 2.0的手法にとって必要となる代表的なツールを紹介する。これらのツールはマーケティングのあらゆる段階で強力な武器となって役立つものばかりだ。そこで、まず最初に各ツールを使って何ができるかについて解説する。
RSSリーダー
ブログなどから配信されるRSSの更新情報を受信するためのツール。ブックマークなどとは違って自動的に情報を取得できる。なお、ティッカー型、クライアント型、ウェブアプリケーション型などの種類があり、用途によって使い分けが必要だ。企業のマーケティング担当者が使うことを前提とすると、以下の理由からウェブアプリケーション型、それも自社のサーバー(レンタルサーバーも含む)にインストールするタイプをお勧めする(図1)。
- 自社サーバーにデータが蓄積されるため情報の外部流出の可能性が低い。
- ウェブアプリケーション型のサービスの場合、メンテナンスなどの影響を受ける可能性が高い。
- キーワード検索などのツールが充実している。
ソーシャルブックマーク
ウェブ型のブックマークサービス(ウェブ上にお気に入りが表示されるようなもの)。他人のブックマークをお互いに共有することができる。また、ソーシャルブックマークにはタグ機能とコメント機能があり、単なるブックマーク以上の意味を持っている。そのため利用が進み、現在では多くのユーザーによって使われている。その結果、ブックマークされる数の多い少ないがブログやニュース記事などの人気のバロメーターにもなっている。また、人気のブックマークとなることで、ブックマーク経由でさらに多く閲覧されるようなるという現象も引き起こしている。ここでは日本で最大のユーザー数となっているはてなブックマークを推奨する(図2)。ただし、以下の2点に注意しておこう。
- はてなブックマークははてなのサービスの一部であるため、はてなダイヤリーの記事が人気になりやすいという傾向がある。
- ユーザーがいわゆるネット好きに偏っている傾向があるため、時として一般から乖離した結果となる可能性がある。
検索キーワード探索ツール
Web 2.0的手法にとって、キーワードというのは最も重要な要素である。そのキーワードの最適化のためのツールが次の2つである。この記事ではキーワード広告最大手であるオーバーチュアとGoogleの2社のツールを使う(図3、図4)。
この他にも、検索キーワードの推移や地域が調べられるGoogle Trendsという役立つサービスもある。
検索エンジン/ブログ検索
一般ユーザーのネット上での反応の多くは、ブログの記事という形で現れる。現在、ブログ専門の検索サービスも登場しており、通常のウェブ全体を対象とした検索にはない機能を多く持っている(図5〜図7)。
ブログ
ここまでで紹介してきたツールを使って得られた情報は、すぐに企画書にまとめようとする前に、まずブログなどに書き溜めて整理しておくいいだろう。いざというときにそれらをまとめて、企画書作成に盛り込むことができる。ここでは、最新版ではタグクラウドの機能が追加されたMovable Typeをお勧めする(図8)。ASP型のサービスが多いブログだが、Movable Typeは自分で管理しているサーバーにインストールして使うタイプなので、外部にデータが流出しにくい。新製品企画のために使う場合など、安全性を考えるとこういった点に気をつけておく必要がある。
また、Movable Typeは日本では最も普及しているので、関連情報が充実しており、外部の制作会社などに発注する際にも対応しているところが多い。
次ページからは、ここで紹介したツールの具体的な使い方を解説する。見出しのラベルが利用ツールに対応している。
ソーシャルもやってます!