明日の会議に間に合うWeb 2.0虎の巻

明日の会議に間に合うWeb2.0虎の巻:寝る前にこれだけは覚えたいキーワード

寝る前にこれだけは覚えたいキーワード

人に説明できるようになるための必要最低限のWeb 2.0基礎知識

Web 2.0を語るうえで避けられないのが、次から次へと出てくる専門用語。単なるIT用語だけでなく、マーケティングやハッカー文化を背景に持つものもあるので、初めてだと理解できないものも少なくない。ここでは、そんな独特のキーワードの中でも特にウェブ担当者としては覚えておきたいものを解説する。

編集部

ロングテール

「ネットを使ってマーケティングを行うのならロングテールです。わが社の特徴を活かした、他社にはないユニークな商品企画を打ち出していきましょう」

「人気ランキング上位20%の商品で、全体の80%の売り上げを占める」ということが、マーケティング業界の定説としていわれてきた。「20:80の法則」とも呼ばれるこの理論だが、Web 2.0の状況下では180度変わってくる。

確かに、陳列スペースの限られるコンビニでは、商品数は限られ、売れ筋のものしか置けなくなり、この法則どおりの結果となる。しかし、スペースに制限のないネット上では、売れ筋からそうでないものまですべて陳列できる。「めったに売れない商品でも、置いておけばいつか誰かが買ってくれる」という、リアル店舗では難しいことが、ネットの世界では頻繁に起こりうる。これは、検索エンジンの進化とマッチング精度の向上、そしてアマゾンに見られるような、ユーザーの行動履歴をうまくセールスにつなげる機械的な仕組みによっても実現されている。結果として、「人気ランキング上位20%以下の商品で全体の80%の売り上げを占める」という、実世界のそれとは逆の法則が導き出される。これをグラフにしたものが図1だが、その形がまるで首をもたげた尻尾の長い恐竜のように見えることから、「ロングテール(長い尻尾)」と呼ばれるようになった。特に、「ロングテール現象」というと、リアル店舗では難しい尻尾(テール)部分のニッチな商品が売れるネット特有の現象を指す。

中小企業がマーケティングやセールスプロモーションにネットを活用しようとした場合、独自性を主軸にすると成功しやすい。結果的にロングテール的なビジネスモデルとなる。

図1 ロングテール。上位20位(赤い部分)で販売数量の80%を占めるといわれていたが、ネットでは20位以下(黄色い部分)が果てしなく伸びて80%を占めるようになる。

CGM/CGC

「ブログをはじめ、CGMと呼ばれる一般ユーザーが作り出すメディアやコンテンツにも注目が集まっています。多くのユーザーの考えが書かれているわけですから、これをマーケティングに活用しない手はありません」

ユーザーによって生成されるメディア/コンテンツを、CGM(Consumer Generated Media)やCGC(Consumer Generated Content)という。これまでも、個人でウェブページを持つことは可能だったが、メディアと呼べるようなものは、企業が運営するものがほとんどだった。ところが、ブログが登場して、多くの人々が簡単にウェブ上のコンテンツを作れるようになると、データ量が驚異的なスピードで増加した。結果として、ブログを対象とした検索やその統計分析は、「大衆の意見」や「世の中の流行」を示す指標として新たな価値が見出されている。企業にとっては、商品の評価や客の趣向を調査できる場として注目されている(図2)。

ブログを書く人々(ブロガー)は、企業としてはうまく接していければビジネスに利益をもたらす可能性がある。ただし、ブロガーは「もの言う消費者」であるとも言える。失敗すると痛い目にあうのでくれぐれも注意しよう。


図2 gooブログの検索(上)とkizasi.jp(下)で、「Web2.0」を検索した結果。ユーザーがブログに書いたWeb 2.0に関する記事の一覧が表示される。これが商品名であれば、購入理由や評価、不具合の情報といった企業にとっては貴重な情報が発見できる可能性もある。

ユーザー参加型のシステム/アーキテクチャー

「これからは、ユーザーにも参加してもらうことが大切。われわれ企業が一方的にコントロールしようとせず、いっしょにコンテンツを作っていける企画が必要です」

過去、商品やサービスというものは、企業が一方的に提供してきた。これは、ユーザーとのコミュニケーションがなかなか難しかったということも理由としてある。しかし、ネットにおいては企業と個人(ユーザー)との距離はぐっと縮まった。

企業内の人間がブログで情報を発信し、ユーザーがそれにコメントやトラックバックを付ける。自社の商品に関する話題でもいいし、会社自体のことでもいい。また、ファンを集めてコミュニティを形成することも(うまく運営できるかはともかく)ネットで実現させるのは決して難しいことではない。

過去にないほど、企業とユーザーとの距離は縮まっており、企業側の姿勢を変えることでユーザーから多くのフィードバックを得ることができる。新商品の企画段階からユーザーを巻き込むことができれば、よりよい商品ができるし、話題性も生じる。また、自分が企画に参加したというユーザーの意識によって、より高いロイヤリティを得られる可能性もある。

こういったマーケティングにウェブを活用するとしたら、ユーザーが参加しやすく、参加者が増えれば増えるほど、ユーザーが活動すればするほど、より効果が高まるようにデザインする必要がある。

フォークソノミー

「フォークソノミー的な要素としてタギングの機能を付けましょう。ユーザー自身でコンテンツを分類するようになれば、われわれにもメリットになります」

フォークソノミー(Folksonomy)とは、「人々(Folks)」という単語と「分類学(Taxonomy)」という言葉をかけ合わせた造語で、「みんなで分類する」という意味が込められている。データや情報に対して、ユーザー自身が分類のための情報を付けるというもので、具体的にはブログの記事にタグ(「関連キーワード」的なもの)を付けることなどを指す。

フォークソノミー的な要素を取り入れて成功した例としては、代表的なWeb 2.0サービスの1つといわれる写真共有サービスのFlickrがある(p.42)。画像という機械的に分類しにくい情報に対して、ユーザー自身がタグ付けできるようにしたことで、サービスの利便性が向上した。

従来のように提供者側が一元的に管理して分類したとすると、手間はかかるし付けられるタグも限られる。しかし、多くのユーザーにほんの少しずつ手伝ってもらうことで、コストをかけずにユーザーの意見を取り入れたものができあがる。ユーザーは自分にとって使いやすいものになるし、サービスの質が向上するのは提供者にとってもメリットになる。

企業は、商品やサービスを提供する際に、ユーザーのためにとあれこれ考えて何かと整理整頓しがちだ。しかし、ユーザー自身がコントロールできる部分を設けることで、ユーザーが能動的に活動してくれることもある。Web 2.0においては、ユーザーは協力者として捉えるべきであり、信頼して多くのことを任せてみるという姿勢が企業側に求められる。

リッチユーザーインターフェイス

「遊び心も取り入れたインターフェイスにすれば、より多くのユーザーが頻繁に使ってくれるようになりますよ」

ウェブサービスでユーザーが直接触れる部分の使い勝手をよくするというのは、Web 2.0でなくても当然のこと。しかしWeb 2.0では、単に便利だとか機能的であるとかいうだけでなく、使っていて楽しさや面白さを与えるものであることも求められる。なぜなら、数多くのユーザーが使えば使うほど価値が高まるサービスでは、まず使いたいと思わせることが必要だからだ。サービスの設計には遊び心も必要で、それらがユーザーの共感を得て支持されるというのが、Web 2.0時代に評価を受ける定石となっている。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウVol.1』 掲載の記事です。

用語集
CGC / CGM / Web 2.0 / フィード / フォークソノミー / リッチユーザーインターフェイス / ロングテール / 検索エンジン
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

Python
「Python」(パイソン)は、プログラミング言語の1つ。プログラマのグイド・ヴ ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]