業界人間ベム

送り手のタイミング(キャンペーン)から受け手のタイミング(通期PDCA運用)へ

11 years ago

 少し前に「フロー型」から「ストック型」へというフレーズが流行った。これは特にオウンドメディア開発に注力をおくという意味合いが大きかった。キャンペーン型で短期にピークをつくるがすぐに減衰してしまうキャンペーンモデルだけでなく、ベースラインを徐々に上げて、キャンペーンによる効果も実施前の水準にまで落ちることなく蓄積していこうという考え方だ。
 そして、この考え方をもっと進めると、ペイド施策も含め、キャンペーンという企業側(送り手)のタイミングでコミュニケーションするだけではなく、個々の消費者のタイミングでコミュニケーションする通期運用型にマーケティングコストがシフトすることが必然となる。
 従来は個々の消費者の関心が顕在化するタイミングなどは把握しようもないので、主にシーズナリティをベースに、また主な購買機会を演出してキャンペーン期間を設定し、マーケティング予算をほとんどそこで使ってしまうパターンであった。しかし今は様々なデータから個々の消費者の購買の兆しを推し量ることも可能になってきた。DMP活用による個客分析は購買意向のタイミングをキャッチすることも重要な役割になるだろう。

 例えば、ビデオカメラのキャンペーンは従来、卒業式入学式シーズンと秋の運動会シーズであったが、昨今運動会も初夏にやる学校が増えて、キャンペーンチャンスも年一回(3月メイン)になったりしている。この時期は広告需要も最も多いので、入札型広告ひとつとっても広告価格が上昇する時期である。
 そして、そもそもビデオカメラとかムービーカメラといったワードの検索数は1年中ほぼ変わらない。企業マーケターなら自分の商品カテゴリーや自社ブランドの検索数の年間推移を見たことがないという人はいないと思うが、これがほぼ消費者の関心量という需要と解釈していい。となると、マーケティング予算を広告価格の上昇する時期に全部寄せるのではなく、通期型で個々の消費者側の関心のタイミングにカウンターでコミュニケーションすることも織り交ぜたほうがいい。入札型広告も通年運用すれば、広告需要期だけより同じパフォーマンスを半分以下のコストで買い付けることも可能だろう。単純に言えば、2割を通期にシフトさせて、それを半分のコストで運用すれば全体は1割コストダウンできる。(パフォーマンスを落とさずコストコンシャスにするにはそんなに簡単ではないので、高度なコンサルが必要だ。)

 もちろんシーズナリティなどタイミングでの訴求も、関心が顕在化していない消費者に需要を想起させる効果がある訳で、また流通施策(棚を用意する)のためには絶対に必要である。ただ、関心が顕在化していない人への想起を促すことも必要だが、関心が顕在化した人へのナイスタイミング訴求のほうが購買につながりやすいだろう。(もちろん短期的な刈り取り発想だけでなだめで、マーケティングの時間軸を中長期で設定しての最適化発想は大事だ。)
 
 で、もうひとつの通期型運用のメリットは、ダッシュボードで自社ブランドのKPIをリアルタイムで補足しながら即時に手が打てることだ。もし競合ブランドが不意をついてキャンペーンを仕掛けてきたり、思いのほか大量投下してきたりして、対抗策を講じなければならない時、従来マスメディアだけだと少なくても30日程度実施までかかってしまう。その間何も手を打てないと競合ブランドとのマインドシェア競争で後手を踏むことになりかねない。マーケティングダッシュボードを装備して、自社のブランドのKPIの一定の閾値を割ったらすぐに打ち手を発動して、(入札型ネット広告でもそれなりの対抗策になる)奪われるコミュニケーション資産を最小限に食い止めることほうが、結局のところマーケティングコストが少なくて済む。いったんやられてしまってから元に戻すコストは高くつくからだ。

 つまり、一定の閾値を維持すべく、かつ個々の消費者のタイミングに合わせて通年運用する広告活動をキャンペーン型に組み合わせるべきなのである。

 *デジタルインテリジェンスではこうしたコンサルしております。w 

ブランドマネージャーとしての企業マーケターとブランド横断型企業マーケター

11 years ago

 日本企業にもプロダクトマネージャー制度が根付いて久しい。今やブランドマネージャーがATLもBTLも一貫して管理する(IMCを実践する)のは当たり前となった。事業部がマーケティング投資権限を持つのは自然な流れではある。

 しかし、ここにデータドリブンマーケティングの潮流が一気に押し寄せて、単にブランドごとのマネージメントだけでは立ち行かない状況を生んでいる。ブランドマネージャーは当然だがブランド視点から個客ユーザーを見る。しかし、ブランド視点ではなく個客ユーザー視点で自社他社含めたユーザーのブランド接点を見るマーケターが必要である。
ひとつの企業において複数のブランドマネージャーがそれぞれのブランドに最適化するマーケティングを実行すると、縦割りのサイロ状態になる。そこでは日本市場にはトータルで何億人ものターゲットユーザーがいるということになっている。そこは「名寄せ」が必要なのである。
日本は人口減少社会である。ブランド視点だけでなく、ユーザー視点のマーケティングをすることで、複数ブランド間のクロスセルやLTVの向上、またはライフステージにおけるブランドの受け渡しなどがCRMベースで行わなければならない。
 従来、強力なブランディング力でこういうことは実現できてきたかとは思うが、マーケティングコストを考えると、ブランディング戦略とCRM戦略の併用が効率も効果を良さそうだ。
 CRM戦略と言っても、必ずしも自社の個客IDとして登録してもらうばかりでなく、クッキーベースや有力なインターネットサービスプラットフォームのIDを上手に借りてアノイマスでも見込みユーザーとして管理できる。(どこまでをCRMというかは置いといて・・・)
 
 さて、企業サイドにはブランドマネージャーとしてのマーケターは存在するが、ブランド横断型のマーケターがいない。必要なのにいないとしたら、育成するか外から連れてこないといけない。(DMP構築というのはこうしたマーケター組織と人材育成や獲得のチャンスでもある。)
 従来日本では、事業者側のマーケター人材とエージェンシー側の人材はそもそも文化が違うこともあり、中途でエージェンシーサイドから事業者側に入ってきても、プロパーのマーケターのように社内で力を発揮するようにはなかなかなれない、馴染まないという現実があったかと思う。
 しかし、ブランド横断型マーケティングをデータドリブンで行うには、むしろ社外の知見が必要で、エージェンシー側から事業者サイドに転じて活躍する余地は十二分にあると考える。事業者サイドもこうした人材をエージェンシーにいる人たちに求めるのは自然な流れだと思う。

 ベムもエージェンシーにいる若い人たちに「出来ればブランドサイトに行ってマーケターになれ」と促すことが多い。それは従来ブランドマネージャー型とは違う質の人材がこれから求められるからであり、もうひとつは、データ分析から「シナリオ設計」が出来るようになるためには、「施策」(プロモーションプ、クリエイティブ、メディアバイイング・・・)のプランニングや実行の経験が必要だからだ。

 そもそも、これからのエージェンシーの人間は「エージェンシーの機能を売る」のではなく、「事業者側のマーケターとしての機能を売る」ようにならないといけない。
 
 先行する欧米での、インハウスマーケティングラボやビスポークエージェンシー、ブランドエージェンシーリーダーという流れはこのようなトレンドを反映している。
 
ブランド横断型マーケターとして、事業者側に転じる、また事業者側もそうした人材を採用することが多くなるだろう。その際、通常に企業の人事部では人物を見たり、企業文化に合うかは見れるだろうが、デジタルマーケティングのスキルチェックは難しいだろう。(採用時のデジタルスキルチェックは、弊社のコンサルの一環で行っている。)

ただ既存組織に入れるだけでなく、DMP運用のために「情シス」「宣伝」「広報」「Webサイト担当部署」など人材を結集して新組織やタスクチームをつくるのも有力な手段である。とにかく、事業部以外の横断的組織が「手を結ぶ」、「回路を繋ぐ」という思考が重要である。社内で綱引きしている場合ではなく、力を結集すべき時である。

データはマーケティングの「コメ」。そのままでは食えないから、ご飯炊いて料理にしないといけないが、料理する人の価値を大事にする文化が大事。

11 years 1ヶ月 ago

 データというのは、いわば米の状態のものだ。そのままでは食べられない。米を炊いて、おにぎりにしたり、はたまた高級イタリアン店のリゾットにしてこそ価値がでる。そのためにも価値をつくる人を育てなければならない。ただ、そういう価値をつくる人や仕事への敬意をもつ企業文化が大事になる。

 最近ベムのところには、「データ分析に、分析官を何十人も配置したが、なかなかシナリオ設計ができるところまで分析の価値をあげられない。そういうスキル開発にご協力いただけませんか?」というオファーがよく来る。

 そりゃ、そうだろう。シナリオ設計とは、何らかの施策に結びつけるためのものであって、施策のプランニングや実行の経験のない人にはイメージがつかないのは当然だ。
「データサイエンティスト」というスキルセットについては、まだまだこれから定義されていくだろうが、マーケティングのシナリオ設計という領域は、そうそう簡単に出来るものではない。長い間広告マーケティングの世界に身を置いている側から言うと、そう簡単にデータサイエンティストにシナリオ設計が出来てもらっても困るという思いもない訳ではないが、そういうスキルを開発しないといけないのが私の立場だ。

 ビッグデータなるものは、データの大海原なので、どうやって文脈を発見するかということでは、基本仮説立てをして、捨てていいデータを決めることになる。データは多すぎるので、「データリダクション」をしないと道筋が見えてこないのだ。
 この際、捨てるデータを決めるための仮説設定には、意外とアナログな手法も有効と言える。というかむしろビッグデータと向き合うには、デプスインタビューのような生の消費者と向き合って、インサイトを探るスキルが重要なのだと言える。
 そうしたスキルは伝統的な総合代理店のマーケやストプラと言われる人材が長けているはずなのだが、ちょっと違うのは「ひとつ」に修練させる従来のやり方ではないところだ。

 マスを前提にした表現開発は、いったん発想を出来るだけ拡張する(コピーを100案出してみろみたいな100本、1000本ノックがあって)が、そのあとは、ひとつの表現コンセプトに修練させるのが従来のやり方だ。これはマスクリエイティブが出来るだけ多くの消費者が少しでも反応するようにつくるという「最大公約数型」になるからだ。しかし、今やるべきコミュニケーション開発とは、データからいくつかのターゲットと対のいくつかの文脈を見つける作業となるだろう。ひとつの表現で「出来るだけ多くの人が少しでも反応する」のではなくて、特定の人が「強く反応する」文脈をいくつも抽出するという作業である。

 前述のデータ分析からシナリオ設計するという作業は、従来の広告代理店のストプラ作業とは似て非なるわけだ。
 
 いずれにしても我々が必要なスキルは、今誰も持っていないものと言える。これから開発しなければならないスキルだ。
この時、センスのある分析をする人というのは大事に扱わないといけない。いい仕事とそのスキルをリスペクトしないと目指すべきスキルは育成されないだろう。
 
 コメ農家は、付加価値を最大限に引き上げる料理人の知恵と技術に敬意をもって接して協業しなければならない。

アドレサブルTV広告

11 years 1ヶ月 ago

 今回もDIニューヨークからのレポートからブログを更新。

今年の1月アドエイジ誌に、「衛星放送の競合同士であったディレクTVとディッシュTVが共同で合計2000万世帯へのリーチを売りにアドレサブルTV広告を選挙キャンペーン用に販売開始した」と報じられた。
 下記はその記事だ。

http://adage.com/article/media/dish-directv-team-addressable-ad-efforts/291303/

 アドレサブルTV広告とは、近年テレビモニターに必ず添えるセットトップボックスに向けて広告配信する技術のことで、ケーブルテレビや衛星放送を中心にセットトップボックスを契約する世帯別データを、第三者機関のデータと組み合わせて広告配信するサービスである。

Addressableつまり「アドレス出来る広告」ってことね。

CATV網が張り巡らされた米国では従来もTVへのターゲティング配信は行われてきたが、番組ごとの視聴者デモグラ情報をもとに枠を選んだり、州ごとのエリア配信くらいだった。ところが、オンラインビデオ広告のターゲティング配信に圧されたのか、衛生放送の競合会社同士でさえ共同で広告サービスを開発した。
 
 米国では今年2月、NBCを有する米CATV最大手のコムキャストが、第2位タイム・ワーナーケーブル通信会社を4.5兆円(450億ドル)で買収した。さらに続いて米通信市場最大手のAT&Tが衛星テレビ最大手のディレクTVを4.9兆円(485億ドル)で買収するに至った。
 日本でいえば、NTT、ドコモ、KDDI、ソフトバンクなどの通信側と、日テレ、フジ、テレ朝、TBSなどの放送側がチームを組んで、グーグル、フェイスブックらと視聴者層争奪戦を始めるようなものである。

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 図1:米国におけるビデオ視聴者数ランキング
ケーブル、衛星、通信各社の合併でもネットフリックス1社に及んでいない。(データ元:ncta.com/industry-data)

 しかしながら、この日本円で4兆円だの5兆円だのというとてつもない巨額のM&Aで獲得される視聴者数もネットフリックスにさえ及んでいない。ましてやフェースブックは北米での月間アクティブユーザーが2億人を超えている。

 またターゲティング精度が上がれば、上がるほど効率と効果の絶対量を両立することは難しくなる。それゆえ圧倒的なリーチの絶対量が必要なのである。結果競合の衛星放送会社でも手を組むわけだ。

 日本でもCATV網は1社のシェアが高いわけで、全社を囲い込んでの「Addressable」にチャレンジしてみたらどうだろう。それにBS放送なんて「衛星」から一発で全国同じ内容でしかやってないから、かえって前時代的な状態だ。地上波のTVスポット広告は本数でいうと、ナショナルクライアント半数、ローカルクライアント半分、しかもナショナルクライアントも全国一斉発売商品はその半分くらいだ。ということは、BSは地上波の4分の1(通販など基本全国に放送されてよい広告)しか受けられないということになっている。BSの経営が非常に保守的なのは残念だ。
 技術的な問題より、事業者のマインドの問題の方が大きいように思う。各社共同開発でのチャレンジをすべき時期になっている。

TVCMは「俳句」

11 years 1ヶ月 ago

 先日「オンラインビデオ広告入門」の出版記念セミナーを実施しました。そのなかでTOMOGRAPHの川越氏が言い放った「TVCMは俳句みたいなもので、17文字で表現する。他に小説もあれば、エッセイもある。」があまりにメイクセンスしたので、ブログに書いてみた。
CMには流儀がある。ちゃんと季語がなければいけないし、うまい下手は素人にもけっこう分かるもの。(さしずめ関西系のCMは川柳かな。)
さて、CMプランナーは俳句の達人ではあるが、伝えたいことを何が何でも俳句で表現するというのも無理がある。伝えたいものによって向き不向きもあるだろうし。それと、そもそも完成度の高い俳句をつくってから、俳句で使った単語だけで他の表現もしようというのが問題だ。
「伝えたいことは何で、それを見た人に最終的にどんな印象を残すか」をしっかり要件定義して、「コアアイディア」を創出し、それを真ん中に置いて、俳句にしたり、小説にしたり、エッセイにしたり、というコミュニケーション開発のプロセスが大事だよねという話となる訳です。

 ところで、こうしたコミュニケーションプランニングにおいて、従来の広告屋は「出来るだけ多くの人が反応してくれるように」と考え、表現をつくる過程においては「メッセージを絞り、修練させていく」ことをする。
 言ってみれば、最大公約数のメッセージを俳句で表現することにおいてはプロということだ。しかしながら、ビッグデータ分析から発見できる消費者(コミュニケーションの受け手側)の文脈から、施策やクリエイティブプランニングを導くシナリオ設計というプロセスには従来のそれとは少し違う文化が要るように思う。(消費者の文脈からシナリオ設計ということが必要なのは、「広告認知」は十分獲れているが、「レリバンシー」(自分ごと化)を醸成出来ていないので、購入意向が獲れないというケースが非常に多いからだ。)

 仕組みの違いは何とかなるもんだが、文化の違いというやつはちょっと厄介だ。

それでも新たな文化を作らないといけないんですな、これが。オンラインビデオ(広告に限らずブランデッドコンテンツも)の開発には、従来の広告屋以外の文化もたくさん取り込んでいくべきなんでしょう。
 そういう意味でもオンラインビデオが、次世代コミュニケーションへの変革を担う重要な要素になりそうだなと思う訳です。

『オンラインビデオ広告入門』を出版しました。

11 years 2ヶ月 ago

『DSP/RTB オーディエンスターゲティング入門』 『DMP入門』 に続き、入門シリーズ第三弾の『オンラインビデオ広告入門』が発売されます。

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%93%E3%83%87%E3%82%AA%E5%BA%83%E5%91%8A%E5%85%A5%E9%96%80-NextPublishing-%E6%A8%AA%E5%B1%B1-%E9%9A%86%E6%B2%BB/dp/4844396471/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1412413216&sr=8-1&keywords=%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%93%E3%83%87%E3%82%AA%E5%BA%83%E5%91%8A


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ここには章立てを掲載します。

第一章 立ち上がるオンラインビデオ広告市場
第二章 オンラインビデオ広告の基礎知識
第三章 オンラインビデオ広告企画の視点
第四章 事例に学ぶクリエイティブとキャンペーン設計のヒント
第五章 スマートホンのオンラインビデオ広告
第六章 テレビCMとオンラインビデオ広告のアロケーション
第七章 激変するオンラインビデオ流通ビジネス

MCN(マルチチャンネルネットワーク)とは何か

11 years 3ヶ月 ago

 Youtubeでビデオ投稿者に広告収入をもたらすエコシステムが出来たことで、MCN(マルチチャンネルネットワーク)という業態が成立している。音楽のVEVO、ゲームのMachinima、パフォーマーを束ねているFullscrennなどだ。


https://www.machinima.com/

http://www.fullscreen.com/


 私がMCNに注目したのはディズニーがMCNの大手「メーカースタジオ」を950億円で買収したことがきっかけだ。

http://www.makerstudios.com/

 普通に考えると、何でわざわざディズニーのようなコンテンツ企業がこんなオンラインビデオのクリエイティブ会社を買うんだろうという疑問が残る。しかしどうやら「メーカースタジオ」の価値は、チャンネルというかたちで囲い込んである視聴者と、テクノロジーをもった企業であることが分かる。

どうやらメディア企業と広告主企業という従来の広告のセルサイド、バイサイドという話ではなくなっているようだ。マーケティングコンテンツ(あえてマーケティングメディアという言い方はしないで書こう。)つまり自社ブランドをオンライン(例:ユーチューブ上)に最適化することが求められており、そのための技術、人材、クリエーター、専門知識等は、コンテンツ企業であるディズニーでさえテレビ事業の延長ではなく(ABCはディズニーの傘下)全くの外部の取込が必要だったのだ。やはり文化が違うという考え方もあるが、事情は日本とはかなり違う。映像コンテンツクリエータ(映画を中心にエンターテイメント産業)の裾野は広く、そもそも放送事業もハードとソフトは分離している。オンライン発の映像クリエイティブ文化はすでに萌芽している。

 一方、日本でTV局のオンライン動画コンテンツへの対応を見てみると、まず自社でやろうとすると放送番組との収入の差があり過ぎて本格化しない。しかし放送収入と同じスケールにまで成長するまで手が出せないとしたら、(そもそも同じモデルの中で考えているなら)オンラインでのビデオコンテンツプライヤーの主役たちのなかにはテレビ局はいないということになるだろう。
 
 YouTubeによって確立したエコシステムに順応してクリエーターが次々と世に出てくる。ユーチューバーをマネージメントで囲い込む業態は出てきているが、もっと踏み込んでチャンネル化を進める業態が日本にも出てくるかどうか。期待も高まる。

タイミングのマーケティング

11 years 3ヶ月 ago

  前々回のブログで少し書きかけた「タイミングの最適化」についてもう少し話を拡げよう。キャンペーンという送り手のタイミングから消費者ひとりひとりのタイミングに合わせたコミュニケーションに広告マーケティング予算は相当シフトされるべきだと書いた。


 さて、検索マーケティングがこれだけの市場を獲得したのは、これが関心のマーケティングと同時に、検索行動に即カウンターで接触するというタイミングのマーケティングが成立しているからである。
  ただ消費者にとってのタイミングは関心を顕在化(行動化)でキャッチできるものばかりではない。というかほとんどの場合行動でサインを送ってくれる訳ではない。
 
 ビッグデータ時代のマーケティングのひとつの大きなテーマは、個々の消費者のタイミングを、その「兆し」をキャッチし、カウンターで最適なタイミングのコミュニケーションを志向することだと思う。

 メールマーケティングもここ数年の最も大きな進化は、配信のタイミングが送り手の都合から受け手にとってのタイミングを模索するようになったからだ。昔からやっている最もプリミティブな例はユーザーの誕生日に合わせた情報プッシュだろう。当然開封率が格段に上がる。

 登録情報は最大限生かすとして、(登録してもらえるユーザーは極一部なので)消費者にはどんなタイミングがあるのか、それがどんな兆しとして補則できそうか・・・という仮説設計は、まずはやはり人間が発想しないといけない。それらをデータで検証することが次の手で、そしてデータから文脈の発見(カスタマージャーニーの逆引きなど)の試行を繰り返し、消費者が意識していない「兆し」を発見出来れば面白い。仮説立ては人によるものだが、消費者にも意識されていない「何か」の発見は、データ分析による試行錯誤を繰り返すしかない。
ただその「試行錯誤」にもふたつあって、仮説立てが出来るメンバーによる知見の蓄積あっての「試行錯誤」と、全くとらわれのない「試行錯誤」である。ただこればかりはやってみないと分からない。(だから面白い。)まったく思いもよらない角度から分析してみることで「大発見」があるやもしれない。これからのデータ分析とは実にクリエイティブな作業だ。

アンドロイド搭載TVの登場に見る「テレビはデフォルトで放送を受信するものでなければならないのか?」

11 years 3ヶ月 ago

 つい先日までW杯で盛り上がったブラジル。ところで、日本のデジタル放送方式がブラジルを始め、南米諸国で採用されていることはご存じだろうか。

 ところが、せっかく日本のデジタル放送方式が採用されたにも関わらず、現地で売れているテレビはほとんど韓国製なのだそうだ。いろいろ訊いてみると、価格の問題もあるかもしれないが、スマートTVとしてのオンライン接続規格で、日本のTV機器は世界のニーズにしっかり対応できていないからだという話もあった。

 そもそも日本では、テレビはデフォルトで放送を受信する状態になっていないといけないことになっている(らしい)。次世代スマートTVの仕様においても、テレビ放送を主体としてネットを従属サービスとしている。
 しかしグローバルには、ずっとテレビの生産を止めていたフィリップスが久々に再開したテレビがアンドロイド搭載だったりしていて、今や放送の受信は選択肢のひとつであると考えていいと思う。

 昨年のスマートビエラのテレビCM放送拒否問題も記憶に新しいが、(拒否ってしていいのかな。どうなんだろ?)

http://www.huffingtonpost.jp/2013/07/08/panasonic_n_3559736.html

放送事業者を中心にテレビというデバイスはデフォルトで放送を受信するものと規定する発想には、「それを選ぶのはユーザーなんじゃないの?」と思うし、テレビ局はコンテンツ制作者でもあるんだから、ディストリビューション手段がオンラインでも「ドンと来い」と構えて欲しい。編成権が視聴者に移ってしまった時代の番組供給手段としてむしろオンラインを活用しないといけないのでは?・・・、というか、そもそもオンラインの動画コンテンツ供給にテレビ局が本格参入しないと面白くないのよ。HULUにだって番組の供給がかなり出てきているんだし、オンラインでも広告収入モデルにチャレンジして収益性を確認してみたらどうだろう。(コンテンツごと課金⇒見放題課金⇒広告で無料)

 アメリカでは放送とオンラインの垣根は本当になくなっている。Netflixが制作した「HOUSE of CARDS」がエミー賞を獲得したことはみなさんご存じのとおり。一回もテレビ放送されていないドラマがエミー賞。また、アメリカではテレビスポット広告はアクチャル保証するけど未達の場合の補てんを放送によるかオンラインによるかは「おまかせ」という仕組みが出現している。
 
 私の家のリビングのTVでは、だいたいNHK2:民放4:WOWOW2:HULU2ぐらいの視聴時間シェアだから、まだまだ放送受信主体だが、ただ専念視聴時間でいうと、NHK2:民放2:WOWOW2:HULU4くらいかな。(今は全米オープンテニスやってるからWOWOWとHULUは逆転してるかも)

視聴者が能動的に、かつ自ら選択的に視聴するオンデマンド番組の方が専念視聴される分広告効果が高いなんて調査が出てきてからオンラインに本気出しても遅いんじゃないの? 頑張ってよ!テレビ局・・・。


 今のテレビリモコンじゃあ、まあオンラインコンテンツ視聴は面倒だし、そもそも回線は早いのにテレビ側の処理速度が遅かったりする。画期的なポインティングデバイスや入力方法などにイノベーションがあれば、大きな高精細画面をリーンバックで享受するコンテンツをネットから自在に選びたいという欲求は大きいと思う。放送で観ようが、オンラインで観ようが、テレビの大画面で観たいのは、今のところは映画やドラマがメインだしね。(今のところはね・・・。)

 さっそく買ってみたChromeCastはうちではそれなりに活躍しているが、テレビは既にデジタルデバイスなのだ。放送事業者側がその仕様を決めるのではなく、テレビメーカーも通信事業者も一緒にユーザーオリエンテッドな開発を進めて欲しいものだ。そうでないとメーカーもただただ端末ハードを売るだけが続くだろう。しかも40インチくらいのテレビが4~5万で売られていて、スマホより安いのだから・・・。

広告に接触すると買わなくなってしまう人がいるということ その2

11 years 3ヶ月 ago

「どうやら広告に接触すると買わなくなってしまう人がいる」ことを広告接触と購買行動を紐付けたデータの中に垣間見ることができると前回書いた。
 では、どうしてほっとけば買ったかもしれない人が広告を当てたばかりに買わなくなるのか。仮設としては、

① 広告のトーン&マナーが嫌い。(または出てくるタレントが嫌いなど)
② ブランドを勧める文脈が共感出来ない。(かえって自分には関係ないブランドと認識する)
③ 広告がしつこい。(リタゲバナーにもありそう。)タイミングが悪い。

などが考えられるが、コミュニケーション内容が嫌悪感など反感を与えてしまい、逆効果になるという表現の問題と、フリークエンシーが多過ぎるまたは、タイミングが悪いという広告接触のさせ方の問題と2つあると思う。

 まず、コミュニケーション内容の方だが、昔も今も「広告」というのは出来るだけ万人が共感し、好感するコミュニケーションを目指しているものだが、機能するメディアがマスメディアだけはなくなると、最大公約数のコミュニケーションづくりだけではなかなか成立しづらくなっているのも否めない。
 ただ、ほとんどの対象者が共感や好感するコミュニケーションが出来るブランドとそれが難しいブランドがあるだろうから、従来のマスアプローチがすべてだめな訳ではない。

 ところで、「嫌い」ということは無関心よりはまだ見込みがある訳で、コミュニケーションの改善によっては顧客になってもらえるチャンスはある。とみて、「コレ嫌い」という反応に対して「スミマセン。では、こんなのいかがでしょうか?」と返すことができると面白い。嫌いだった以上に好きになってもらえるチャンスがあるかもしれない。まあ無反応のなかの「嫌い」を観測できればということだが・・・。

 DMPで分析をしていると、何らかのクリエイティブに反応する人というセグメントをつくることが必要になる。(だからデータ分析をする人にもクリエイティブのセンスや知見が要るのだが・・・)逆に言うと反応しない人という括りも当然できる。ビッグデータ時代のカスタマージャーニー分析とは、コンバージョンした人だけを分析するのではなく、しなかった人、広告に反応しなかった人を分析し、コンバージョンした(広告に反応した)人にはあって、しない人にはない文脈を発見することである。従来、膨大なコンバージョンしない人のデータを分析対象にすることはまずなかった訳だが・・・。
 もうひとつの、「しつこい」「タイミングが悪い」は、上記に比べて解決しやすいかもしれない。フリークエンシーとリーセンシーの最適化はテクノロジーで対応もできる。
 
 一部のDSPには、クリック率を最大化するために、配信間隔を自動最適化するテクノロジーを搭載しているものもある。ユーザーが「しつこい」と感じているかどうかを感知している訳ではないが、結果クリック率が低くなるフリークエンシーや配信間隔は自動補正される訳だ。

 いわゆるタイミングも曜日や時間帯であれば最適化される。しかし、本当の意味の消費者のタイミングというのは個々の人の欲求のタイミイングのことで、今ある仕組みだけでは十分把握出来ない。しかし、そこはビッグデータ時代、消費者ひとりひとりのベストなタイミングを察知する仕組みをつくることは出来るかもしれない。

 今はほとんどの広告活動が、送り手側のタイミングで行われている。キャンペーン期間とは広告主のタイミングであって、必ずしも消費者のタイミングではない。リスティングや一部DSPのような運用型広告は、こうした消費者のタイミングに合わせた広告とも言えるが、本来はもっともっと通期で消費者のタイミングに合わせて広告が送られる施策に予算は配分されるべきではないかと思う。
 検索行動という分かりやすい消費者のタイミングだけではなく、様々なデータから消費者のベストタイミングを察知して配信する仕組みがこれから必ずでてくる。おそらくデータをフィードしてきて自動入札される仕組みだと思うが・・・。

 広告の無駄と逆効果を減らす努力は、テクノロジーを活用しつつ、これから本格化するだろう。今までは逆効果だったことも分からなかったからね。送り手の「思い込み」は検証されないといけない。

広告に接触すると買わなくなってしまう人もいる

11 years 3ヶ月 ago

広告の関係者としては出来れば信じたくないことだが、広告に接触すると購買率が落ちるという現象もいくつかのデータで散見される。
ということは、究極のターゲティングとは「広告に接触すると買わなくなってしまう人をきれいに配信対象から外すこと」(至難の技だろうが)ではないかと思う。そのうえでそうした対象者には「買わなくなってしまわないコミュニケーションに替える」ことが求められる。

 おそらくだが、(希望的観測ではあるが)、広告によって買ってくれる人の方が、広告によって買わなくなる人よりかなり多いので、広告は成立しているのだろう。


 広告接触者と購買行動を組み合わせると、以下の集合に分けられる。
① 購買者/広告非接触者
② 購買者/広告接触者
③ 非購買者/広告非接触者
④ 非購買者/広告接触者

ただ、購買者のなかには、広告接触しようがしまいが買った人がいる。②をすべて広告に接触したから購買したと考えてはいけない。また④には広告に接触したけどで買わなくなった人のほかに、広告に接触したから買わなかった人もいると言える。
前者は、リピートを促す効果も期待できるので必ずしも無駄ではないかもしれないが、後者は無駄どころかマイナスの効果と言える。

 通常、広告は非購買者を購買者にする活動だが、購買者を非購買者にしてしまうとすると一刻も早く止めないといけないし、改善を図らないといけない。


以下のように考えがちだが
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実際はこう
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 広告の役割を再定義すると、
① 広告に接触することで買う人を増やす。
② 広告に接触してもしなくても買う人の購買チャンス(リピート)を増やす。

の2つになる。
 そのうえで、広告に接触すると買わなくなる人に広告を当てないことだが、このターゲティングは極めて難しいので、接触することで買う人を増やし、かつ接触すると買わなくなる人を減らすクリエイティブに最適化していくPDCAを廻すというところに落ち着く。

オンラインビデオ広告への期待 その1 『レリバンシーの醸成』

11 years 3ヶ月 ago

 インプレスR&Dから『DSP/RTB オーディエンスターゲティング入門』、『DMP入門』に続いて『オンラインビデオ広告入門』が出版されることになった。
 そこで、オンラインビデオへの期待に関して書いてみたい。

 その1は、テレビを中心としたマス広告による認知獲得と、検索など興味関心が顕在化したユーザーへの刈取り施策の間を繋ぐ役割に関してである。

 Webマーケティングの浸透で、関心が顕在化したユーザーの取り込み施策は一通り行き渡った。従来のマス施策による認知獲得もまた、TVの力が突出しているので引き続き出稿意欲は旺盛である。しかしよく耳にするのは、認知は十分に獲れているが、購入意向に結びついていないという話だ。

 さんざんテレビでやっているから「知ってはいる」。しかし関心を持つに至らない。
関心をもってもらって何らかの行動を起こしてもらわないと、ネットでも捕まえようがないのでプルの取り込みも出来ない。またそのブランドへの新規関心層を醸成しないと、既存顕在化層だけの刈取りに専念しても、いずれ畑は枯れてしまう。

 こうした状況を懸念している企業マーケターは多いと思う。

 つまり、マスによる認知獲得、つまりプッシュ施策と、何らかの関心を示したユーザーのプルに応える施策との間がなかなか繋がらないということだ。そもそもマス施策とネット施策が全く別の部署でやっていて連動する気がない企業も多い。


 『認知』と『興味関心の顕在化』にあるものは何か。
よく云われるのが『レリバンシー』つまり、「この商品(サービス)は自分に関係があるな」と感じることだ。それには自分事化する文脈が必要だが、そうした文脈はそれぞれのユーザーにあって、誰しもが「コレだ」と呈示できるブランドはむしろ少ないかもしれない。つまりテレビCMでレリバンシーまで醸成できる商品/サービスはいいのだが、最大公約数のメッセージだけでは「自分事化」しづらいブランドはこの辺を考えなければならない。

 テレビCMへの投資は大きな額だ。ただテレビは基本15秒しかないので、そのたった15秒で刺さる表現を開発しなければならない。
 ベムみたいに80年代から広告マンやっている者は、よく教わったと思うが、コミュニケーション開発には、「プロダクトコーン」という円錐を概念図にした考え方がある。ベースに「その商品の規格、スペック」、その上に「それによって消費者が得られるベネフィット」、ただベネフィットをそのまま表現するのではなく、「エッセンス」に尖らせて表現し、「刺さるクリエイティブを」ということだ。

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 例えば、○○デシベルしか出ないとても静かな掃除機があるとする。(これはスペック)、それによって得られるベネフィットは、「集合住宅でも夜ガンガン掃除機を掛けられる」なんだが、ただそれだけではなくて、「夜掃除出来ちゃうから、幼い子供たちと関わる時間が増えるシーン」をエッセンスとして表現する・・・となる。このエッセンスは若い母親をターゲットにするなら比較的誰しもに刺さるかもしれないが、こうしたたったひとつの文脈しかないコミュニケーションでは「自分事化」しないユーザーもたくさんいると言える。
 
 「コミュニケーションを尖らせる」のはいいが、この発想はやはり「15秒しかないから・・・」ということと、従来の「経験と勘」で「この表現で刺さるはず」という「作り手の思い」だけでCMをつくると、多くの「刺さらない」(自分事化しない)人を量産している結果になっている場合も多いのではないかと思う。


 もしカスタマージャーニー分析をしてみて、複数の「自分事化の文脈」が発見できたとしたら、テレビCMの最大公約数的なコミュニケーションだけでなく、オンラインビデオ広告を活用することで「レリバンシーの醸成」に効果が出るかもしれない。
 そのあたりに期待が高まるのが、「オンラインビデオ広告」と言える。

今回の「オンラインビデオ広告入門」にも記述しているが、海外での調査データにも、単純な広告認知を上げるだけなら、オンラインビデオ広告もテレビCMと同じ素材を使えばいいが、ブランドの特定メッセージ理解や購入意向をリフトさせるには、TVとは違うクリエイティブ素材を組み合わせて使う方がはるかに効果的という結果が出ている。

 その意味でTVCMとはまた違うクリエイティブ開発の考え方がオンラインビデオには必要だろう。広告主企業の方々と一緒に考えて創っていく「開発プロセス」が大事かもしれない。

10代前半に複数回映画館に観に行った映画ベストテン

11 years 3ヶ月 ago

10代前半に複数回映画館に観に行った映画ベストテン

1位 バニシング・ポイント
2位 小さな恋のメロディ
3位 2001年 宇宙の旅
4位 栄光のル・マン
5位 Let It Be
6位 明日に向かって撃て
7位 恐竜100万年
8位 華麗なる大泥棒
9位 ダーティハリー
10位 いちご白書

1位にしてみた「バニシングポイント」は知名度は低いが、通には知れた映画である。僕が11~14才くらいのころは、いわゆるアメリカンニューシネマの時代。有名なのは「俺たちに明日はない」、「イージーライダー」、「真夜中のカーボーイ」とかなんだろうけど、一番ハマったのは「バニシングポイント」で、ニヒルなバリー・ニューマンがカッコよかった。アメリカという国の描写(ラジオ局とか)がガキんちょの僕には刺激的で、「白の1970年ダッジ チャレンジャー」の最後にインパクトがあって、何回も観に行った。

「小さな恋のメロディ」は半分ミュージカル映画といえるくらいビージーズの曲で満たされていて、その後の「ロンドン行きたいな~」症候群の要因のひとつかも。10位までに入らなかったが「パットン大戦車軍団」の映画看板が出てくるシーンがある。最後はビージーズではなくて、CSN&Y の「ティーチ・ユア・チルドレン」。電車に乗ってとなりの静岡まで行って2度目、3度目を観に行ったのはこれと「Let It Be」かな。

 「2001年宇宙の旅」は「言わずもがな」でしょうが、12才くらいには最後の方は難解だったので何回も観に行った。

 「栄光のル・マン」はスティーブ・マックイーンが大好きだったので・・・。「ブリット」や「華麗なる掛け」(「ゲッタウェイ」は子供にも駄作と分かったが)もいいけど、「栄光のル・マン」は何度も観に行った。ガキんちょの頃の方がクルマ好きだったかも。

 「Let It Be」は最も多くリピートしたかもしれない。その後も名画座みたいなところでかかると必ず行った。ストーンズの「ギミー・シェルター」と2本立てとかね。僕にビートルズやストーンズやTレックスやデビッド・ボウイを教えてくれたのは亡くなった姉なんだが、よくふたりで映画館に行った。今では「ルーフトップコンサート」とYoutubeで検索すればいつでもどこでも観れる。いい時代になったものだ。

 「明日に向かって撃て」はコメントせずともご承知でしょう。ブッチ・キャシディとサンダンス・キッド。ポール・ニューマンも好きな俳優でした。(「ハスラー」が良かった。)

 「恐竜100万年」は、レイ・ハリーハウゼンの特撮モノで、これも何回も行った。僕の世代だとレイ・ハリーハウゼンの映画は大概いくつか観てるでしょう。僕の故郷の清水にはその昔10館もの映画館があった。「恐竜100万年」はリバイバルで普段成人映画ばっかりやってる映画館でかかったことがあって、予告編が刺激的だった。

 「華麗なる大泥棒」はこの中では唯一のフランス映画で、ジャン・ポール・ベルモンドやオマー・シャリフが出てくるアクション映画。エンリオ・モリコーネの主題曲が印象的で、監督は「シシリアン」や「地下室のメロディー」のアンリ・ヴェルヌイユ。なぜかこの映画が面白くてハマってしまった。

 「ダーティハリー」はラロ・シフリンの音楽にハマってしまった。燃えよドラゴンもそうんなんだけど、ドラムで聴かせる感じのパンチのある音が映画のテンポをつくっていてよかったっす。

 最後は「いちご白書」。キム・ダービーはかわいいし、何と言っても最後のシーンですな。ジョン・レノン命でしたから、Give Peace A Chance が鮮烈にイメージに残ってます。


 こうやって感化された映画を上げてみると、みんな印象的な音楽とセットになっている。バニシングポイントも黒人で盲目のラジオDJがキーマンで、彼がかけるサウンドに乗ってダッジチャレンジャーが爆走する。
 ビージーズも僕にとってはサタデイナイトフィーバー以前のMelodyのころだ。

音楽も映画も本当に面白い時代だったと思う。リアルタイムに体感できて良かった。

「広告ビジネス 次の10年」 補足したいこと その1

11 years 6ヶ月 ago

 なんと電通報に取り上げてもらって、書いたことをきれいにレジュメしてもらったので、「これで内容はほぼ分かったので、本買わなくていいや。」という人が出てきそうで心配です。w

http://dentsu-ho.com/articles/1233


さて、このブログでは、これからちょくちょくこの本に書ききれなかったことを補足したいと思います。
まずは、電通報でも、私が強く主張したかった営業フロントラインについて・・・

「広告会社の組織として機能するのではなくて、広告主の組織として課題解決に対応する人材配置をするというものです。」

 という要約をしていただいております。こうした認識に立てないと、これからのビッグクライアントのインハウスマーケティングラボにエージェンシーは対応できません。

そしてフロントでクライアントにインターフェイスするのは、各分野のスペシャリストでなければならないということです。
 従来の営業がフロントに立って、バックエンドに専門スタッフがいるというフォーメーションは、かなり見直す必要があること、そもそも顧客によってフォーメーションはその都度変えなければならないという認識が必要です。
 
 その意味で、大枠の考え方として、営業がクライアントとのコミュニケーションのほとんどを担うのではなく、エージェンシーの人間たる者、「全員営業」くらいの意識で、専門スタッフが最前線に立つべきなのである。

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 そして、今後のやり方としては、フロントでまとめるのではなく、専門スタッフをフロントに出して、全体のコントロールをバックサイドで総合プロデューサーがやるということです。あまり詳しく説明すると、エージェンシーのコンサルビジネスもやっているベムとしては「手のうち」を開示しすぎてしまうので、この辺でやめときます。

「コスト・パー・認知」「コスト・パー・購入意向」「コスト・パー・実購買」

11 years 7ヶ月 ago

 オンライン広告の効果指標が、クリックベースから認知や態度変容に変わってくると、まず認識しなければいけないのは、コストパフォーマンスはインプレッション単位ではなく、ユーザー単位になるということだ。
 つまり認知者ひとりを獲得するのに、チープなバナーを20回インプレッションさせるよりも、動画広告1回当てる方が、また購入意向者ひとりを獲得するのに、バナー50回インプレッションさせるより、動画広告3回当てる方が良いとすると、1表示あたりのコストではなく、表示50回と3回のコストで評価することになる。もちろん相対評価されるのは広告フォーマットだけでなくクリエイティブ、ターゲティングセグメント、そしてそのマッチング・・・となる。
 また当然、オンライン広告の中での評価もナンセンスなので、マス広告とも比べていわゆる「コスト・パー・認知」や「コスト・パー・購入意向」を比較することで、広告メディアのアロケーション最適化に一歩近づく。

 そして、もうひとつ考慮する必要があるのは、様々なメディアを通じて得られた認知はどれも同じ購買行動を誘発しているかどうかである。例えば、テレビCMで獲得できる認知とオンライン動画広告で得られる認知は、同じ購買行動を生んでいるかは分からない。
 おそらくテレビよりオンラインの方が購買ファネルの下に効果を発揮するのではという仮説にたつと、検証したくなるのは私だけだろうか?

 つまり「認知獲得コスト」だけ見ていては、本当のアロケーションの最適化は出来ないんじゃないの?ってこと。
 オンラインマーケティングでは、CPA管理しているのに、リアル購買チャネルでは、なかなか把握できないからと言って購買行動までを紐付けない手はない。もちろん全数でリアル購買を把握することは出来ないが、特定チャネルでの広告接触者の実購買行動を非接触者と比較することは出来る。
 同時に認知/購入意向をアンケートベースで調査しておけば、ある程度認知と実購買の相関係数や、拡大推量をかけてのいわゆる「コスト・パー・実購買」として広告のコストパフォーマンスを評価できる・・かもしれない。

 そこで、ベムがアドバイスさせてもらって、DSP/DMPプレイヤーであるPlatformID社から、インストリーミング動画、インバナーフラッシュ動画、リッチメディアを、もともとデモグラターゲティングして配信し、アンケートと実購買データで、「認知」「購入意向」「実購買」をシングルソースで確認できる「配信&調査プログラム」が出来た。
 

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 動画市場が活況を呈しているが、現状インベントリーが潤沢とは言えないインストリー
ミングの広告枠。インバナーや、インリードでのフラッシュ動画もコストパフォーマンスを(コスト・パー・認知/購入意向)で試してみたい。

 今後は、動画広告はスマホへも進出するだろう。PCでは動画のコンテンツがあってそこにプリロールで挿入される動画広告がほとんどの場合音声がデフォルトオンで、効果も高いとされているが、スマホでは動画コンテンツを前提としない動画広告フォーマットが主流になるだろう。
 マス広告を同じ土俵でその広告効果を測る一方、組み立て方はマスとは違う購買ファネル上の深さが加わるオンライン動画をうまく取り入れる広告主が現れるだろう。

バナーはリテンションに効く

11 years 7ヶ月 ago

 ネット広告の効果指標に、認知や態度変容が採用されるようになってきた。

リタゲを必死でやっているネットマーケティングの世界では当たり前なんだけど、リアルな販売チャネル商品でマス広告を使うのと同様にネットを使う場合においても、やはりリテンションに効くという話。

常に「広告認知があって、その中にブランド認知やブランド好意があり、またその中に購入意向があり、購買行動が起きる。」購買ファネルのモデルを前提にして考えると、「認知を上げること(認知者を増やすこと)が、購入意向も上げること(購入意向者を増やすこと)になるはず」と考えてしまう。しかしこれは必ずしも当たっていない場合がある。

 つまりネット広告の効果には、「認知を拡大できていないが、購入意向を拡大できている」ということが見て取れる場合がある。つまり認知というより、リマインド効果によるリテンション促進に効いているということだ。知っている人を増やすのではなく、既に知っている人のリテンションを促す。そうした効果がネット広告に見て取れるとすると、改めてマスとネットのクロスメディア(少し死語になりかけている)効果を醸成するためのアロケーションモデルがつくれるかもしれない。

 ともあれ、認知だけ見て、効果が良かった、悪かったと評価していないで、その先の購入意向などの態度変容や、実際の購買行動と紐付けてみることが肝心である。

「ビデオクリエイティブラボ」「ベストインクラスパートナーズ」そして「データエクスチェンジコンソーシアム」の3つを仕掛ける訳

11 years 7ヶ月 ago

1-10オンラインビデオクリエイティブラボ

http://markezine.jp/article/detail/19594


ベストインクラスパートナーズ

http://markezine.jp/article/detail/19687


データエクスチェンジコンソーシアム

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ160FS_W4A410C1MM8000/

 DMP導入コンサルを通じてかなり明確に分かってきたことがあります。それは、データマネージメントとマーケティングメッセージ開発(クリエイティブ)は不可分だということです。
 オンラインの世界における、広告クリエイティブ開発とオウンドメディアコンテンツ開発をソリューションとして用意しないと、データマネージメントプラットフォームはただの装置なのです。それにデータも分析手法が確立していない。
 データエクスチェンジコンソーシアムはデータエクスチェンジの環境整備が目的ではありますが、それ以前に研究者と企業が、生のデータを分析(料理)する機会をつくってビッグデータ時代に合った新しい分析手法を開発する場にしたいのです。実は研究者も実際の企業のビッグデータを料理したことがないのが現実です。企業と研究者双方にととって相互に成長する機会を提供したい。

 そして、クリエイティブとオーディエンスデータを表裏一体としたデジタルマーケティングのスキル開発ができる環境を用意したいと思っています。
 その中身をつくるのは若い人たちです。私は器をつくったり、環境を整備するお手伝いをするだけです。次世代マーケターが育つのを心から期待しています。おそらく近々若い人たちのご参集をお願いする機会があるかもしれません。

 次回エントリーでそれぞれのチャレンジの詳細について書いていきます。

IABが発表した「ネット広告がTV広告を超えた」は・・・。

11 years 8ヶ月 ago

 まあ、ちょっと読めばすぐ分かるように、ケーブルTVやシンディケート枠を含まないネットワークテレビ放送枠の市場を超えたということだ。(ネット広告費が4.28兆円で、ネットワークテレビ広告が4.01兆円なので)
 逆にアメリカはCATVの市場がこんなにあるんだと感じた方もいるだろう。

IAB Report: US Internet Ad Revenue Grew To $42.8B In 2013, Overtaking Broadcast TV
http://techcrunch.com/2014/04/10/iab-2013-report/

 とはいえ、全テレビ広告市場の6.6兆円に対して、だいぶ迫ってきているという印象だ。

 では、人口ひとり当たりで計算してみよう。

アメリカの人口は2012年で、3.14億人(円周率みたいだね。)
6.6兆円を人口で割ると、一人当たりは、21,020円
日本のテレビ広告市場 1兆7800億円を人口1.276億人で割ると、
一人当たりは、13,950円

 ネット広告の方は、
アメリカが、一人当たり、13,630円
日本が、一人当たり、5,545円

ひとり当たりで見ても、

 テレビが、アメリカ 1 : 日本  0.66
ネットが、アメリカ 1 : 日本  0.41

ひとり当たりのGDPが米国が53,101ドル、日本 38,491ドルなので、
アメリカ 1 : 日本 0.72 と比較しても、まだまだ伸び代はありそう。

さらに、これを日米のメディア接触時間で比較してみよう。

e-Marketerのメディア接触時間の調査によると、米国の1日のテレビの接触時間は、4時間31分。本当かな?というくらい観ていることになるが、データはこのサイトから引用している。
http://www.huffingtonpost.jp/zenichiro-tanaka/tvpc_b_3705541.html

一方日本の方は博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所のデータだと、2.52時間(東京地区)
http://www.media-kankyo.jp/wordpress/wp-content/uploads/teiten2013.pdf
アメリカ人は日本の2倍近くテレビを観ていることになる。ちなみに、アメリカはラジオが1時間26分、PCインターネットが2時間19分、モバイルインターネットが2時間21分。

これに対して日本はPCが72.8分(1時間13分) モバイルが50.6分

 ということは、人口一人当たりの接触時間1時間あたりの広告費は、

・テレビ   アメリカ 12.75円   日本 15.1円
・ネット   アメリカ   8.00円   日本 7.38円

 となる。

まあ一人当たりの単位接触時間となるとやはりだいたい同じくらいになるんですな。


アメリカで、PCとモバイルを足し上げた接触時間がテレビを超えたことを考えると、ネット広告が全テレビ広告を超えるのも時間の問題だろう。ニールセンのデータにはPCインターネット接続によるビデオ視聴時間が1週間に1.5時間、同じくスマートフォンによるビデオ視聴が1.3時間なんてデータもある。
テレビのコンテンツだったものは、PC、スマホ、タブレット・・・とマルチデバイスに流れ込んでいく。当然CMという広告フォーマットもデバイスをまたいで展開する。放送によるテレビ広告市場とか区別していること自体ナンセンスになるだろう。

クリエイティブの文化

11 years 8ヶ月 ago

 前回のエントリーにも書きましたが、私は82年~95年くらいはTVCMを中心にマス広告を、96年~今に至る期間は、日本のネット広告の立ち上がり時期からずっと携わってきました。1999年~2000年くらいには、javaを使ったインタラクションバナーに大いに刺激されました。オーストラリアのIBMがつくった確か「クリアソリューション」というサービスを表現したものが当時秀逸で、綺麗な水面になっているバナーをカーソルで触ると、水面がさざ波が立つように反応するもので、ただそれだけなのですが云いたいことをすべて表現しているように思いました。
 触発された私たち(当時のDAC)は、クリエーターの氏家氏が中心になって試作クリエイティブいくつかつくりました。
 そのうちのひとつは、ポルシェのバナー広告でした。当時の標準バナーだったと思いますが、エンブレムを真ん中に正面を向いたポルシェがアイドリング状態なのですが、カーソルでエンブレムに触れると「ブーン」という、いかにも空冷っぽいプルシェらしいエンジン音がするというものでした。まあただそれだけなのですが・・・。
これは面白いということで、日本のポルシェさんに持って行ったのですが、日本法人の方々はたいへん面白がってくれたのですが、本社に確認したら広告の表現基準でエンブレムは動いちゃいけないということで却下されてしまいました。
 実現はしなかったものの、シンプルだけどブランドの本質をインタラクションで表現できるところがネット広告らしいクリエイティブなのではないかと考えたものです。
 TVCMも昔たくさん作りましたが、CMという多額なコストをかけてつくる広告コミュニケーション開発には、それなりの開発プロセスがあります。クライアントによっては、アウトプットまでの思考プロセスもしっかり検証されるので、決して思いつきだけでやってる訳ではありません。W

従来のTVCMクリエイティブの文化では、これからのオンライン動画広告は出来ないという人もいますが、逆にTVCMのエッセンスもないと出来ないと思います。CM制作というのもネット広告しか知らない人にバカにされるほど内容のないものではないのですよ。
 バナーでは、ブランドの本質をどう表現するか、でしたが、動画広告になると表現することの幅はまた一気に拡がっていくでしょうね。
 ネットの住人に反応されるものを目指すのも良し、とはいえ反応しないけど伝わる人もたくさんいるので、ネット的文化を意識し過ぎてマーケティングメッセージが伝わらないのでは意味がないし・・・。難しいけど、とにかく面白い。楽しそうだ。

どうして私がDMPとオンライン動画クリエイティブを両方やるのか

11 years 8ヶ月 ago

昨日こういう試みをリリースしました。

http://di-d.jp/DI_20140402.pdf

http://markezine.jp/article/detail/19594

http://www.advertimes.com/20140402/article153293/


 昨年からプライベートDMPの導入コンサルを本格化しました。どのDMPツールを選択すればいいのかという話からスタートすることが多いのですが、ある意味ツールはただの「箱」なので、
・何のためにDMPを導入するのか
・どんなデータがあるのか、また入手できるのか
・どう分析して、どんなアウトプットがしたいのか
・そのためにはデータの構造化をどうしておくのか
・DMPツールを導入する前に既存のツールでデータの統合化はできるか

というようなステップを経て初めて、ツール選びになります。

さて、オーディエンスデータと向き合っていくと、(つまりセグメントやらクラスター化などをやればやるほど)「誰をコミュニケーション対象にするか」は、「どんなメッセージを」ということと一体だということが分かります。

 従来のネット広告は、枠(広告メニュー)選びを重箱の隅をつつくようにして、CPAで最適化を図るという作業に終始していて、メッセージの最適化を伴うということがほとんどなかったと言えます、枠(広告メニュー)はセルサイドの設定したものなので、これを選択するだけというのがバイサイドの宿命でした。しかし、配信先のオーディエンスを選べるようになり、オーダーメードの広告をすることができるようになると、ここに至ってオーディエンスを最適化するということは、メッセージ(クリエイティブ)を最適化することと一体でないと意味がないということが明確になります。
従来の想定するターゲティングでつくったクリエイティブをDMPでセグメントしたオーディエンスデータにぶつけるだけではだめです。
僕は従来、「反応した人がターゲット」という主張をしていますが、これはどんなメッセージに反応する人かというターゲットセグメントをしようということでもあります。

 
 従来の経験と勘による想定だけでのターゲット設定で、メッセージ(クリエイティブ)開発する「スタティックなクリエイティブ」ではなく、いくつかのメッセージとそれぞれに反応するいくつかのオーディエンスセグメントをPDCAで最適化する「ダイナミックなクリエイティブ」を目指したいと思います。

 もちろんメッセージ(クリエイティブ)はバナー広告とかディスプレイ広告と呼ばれるフォーマットでもいいのですが、クリックやポストインプレッションでのトラフィック効果だけでなく、認知、態度変容を獲得することを目的とするデジタル広告においてよりクリエイティブ変数が大きいオンライン動画広告を対象にしない訳にはいきません。

 まあ少しばかり古いのは否めないですが、80年代から90年代前半にかけて、10数本のテレビCMの制作に携わってきたので、TVCMの作法には精通しているつもりです。そのCMという文化を、接触者の反応が全数調査できたり、決まった尺から解放されたり、動画にもインタラクションという深さ(エンゲージメント)を仕掛けたり、ユーザーの可処分時間を計算に入れたり、PCだけでなくスマホでの動画広告フォーマットを開発したり、いろんなことを試すべきだと思います。
 広告業界のCMプランナーも当然ですが、ゲームクリエーターや、ユーチューバ―的なクリエータも、いろんなスキルとセンスを結集したいし、ショートムービー、ロングムービー、ブランデッドコンテンツ、インタラクションムービーなど様々なフォーマットとクリエイティブの組み合わせを試したいと思います。

 1-10オンラインビデオクリエイティブラボでは、広告主の宣伝部、宣伝制作部とご一緒に研究と実践を行う協業をしたいと考えます。是非、お声掛けください。 info@di-d.jp

確認済み
2 時間 58 分 ago
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