一昔前、アフィリエイト広告というと、悪質な業者によって生み出されたWebトラフィック、そこから生まれるビジネスなど、何かとネガティブなイメージがつきまといました。こうした課題を払拭すべく米国で設立され、アフィリエイトマーケティングを“パートナーシップマーケティング”へと進化させ、インフルエンサーや企業間の取り組みなど、多様なパートナーマーケティングのインフラツールになったのがimpact.comです。そのimpact.comが、2022年日本市場に本格参入。なぜ今日本市場に参入するのか、同社が提供するパートナーシップオートメーションプラットフォーム「impact.com」とは何か、Impact Tech Japan合同会社の松崎亮さんに伺うとともに、デザインプラットフォームCanvaを提供するCanva Pty Ltd の木元めぐみさんにimpact.comの活用についてお聞きしました。
話し手:
Impact Tech Japan合同会社
日本担当カントリーマネージャー
松崎亮さん
Canva Pty Ltd
Performance & Growth Marketing
木元めぐみさん
聞き手:
アタラ合同会社
執行役員 Strategic Business Director
中川雄大
目次
きっかけは既存のアフィリエイト広告への危機感
中川:では自己紹介をお願いします。
松崎:特に外資系のテック、データ、マーケティング領域で、日本マーケットのビジネス開発や立ち上げを中心に行ってまいりました。会社でいうとGoogleやAppier Group、Media.Monks(旧MightyHive)を経て、impact.comの日本支社立ち上げ1人目の社員としてジョインしました。
中川:ではimpact.comさんのブランドストーリーや歴史をお聞かせください。
松崎:創業者たちは欧米のアフィリエイト業界の黎明期に活躍したメンバーで、現在のアフィリエイト広告大手CJ Affiliate(当時はComission Junction)の創業メンバーも含みます。彼らは早い時期から業界におけるラストクリックへの過剰評価や、特に悪質な業者によって生み出されたWebトラフィック、そこから生まれるグレーなビジネスに懸念を抱いていました。当時、トップ10のメディアがアフィリエイト広告業界の売り上げの90%を占めるという、かなりアンバランスな状況にもなっていたのです。
そこで当時の会社を売却した上で、成果報酬型のメカニズムをベースとしたアフィリエイトビジネスモデルは、テクノロジーを活用することで広告主にとっても、アフィリエイターやメディアにとっても、良くなると信じ、impact.comの前身となる会社を2007年に米国カリフォルニア州サンタバーバラで立ち上げました。そこから2009年に初めての資金調達を行い、2010年に現在弊社のメインツールの最初の型となるプロダクトをローンチしたのがスタートです。
その後は象徴的な大手クライアントの導入や、VCからの大型の資金調達、あとはインフルエンサーマーケティングやメディア向けのテクノロジー企業の買収などを経て、今回日本でのローンチ発表へ進むことができました。
中川:そんなに早くからあったのですね。2007年段階でコンセプトは今の形だったのですか。
松崎:はい。アフィリエイト広告黎明期での不正や搾取といったマイナス面をたくさん見ているので、そこの原体験が大きかった、というのがあります。なので、特に成果報酬モデルというビジネスモデルにおいて、いかにより良い形で各プレーヤーが恩恵を受けられるのか活用をすごく考えていたようです。それが現在のソリューションのコンセプトに表れています。
中川:2007年だと、まだいわゆるアトリビューション分析という概念も正式には生まれていないですよね。相当早くから、その課題意識をお持ちで、impact.comの前身を創業されたのですね。
松崎:はい。
中川:トップ10のメディアで売り上げ90%というのも、すごい話ですね。
松崎:そうですよね。Webサイトがどんどん立ち上がっていく中で、トラフィックが多ければそれでいい、という業界全体の評価がそうさせていたと思っていて、かつ、ラストクリック偏重による誤った貢献度の割り当てが頻発した結果だと思います。その辺りの健全化を進めていきたい、というのがスタートにあり、会社のDNAにあります。
成果報酬型のキャンペーンを管理するPartnership Cloudとは
中川:では具体的にimpact.comがどういうプラットフォームなのか、ご説明をお願いします。
松崎:impact.comは現在、ブランド広告主向け、エージェンシー向け、パブリッシャー向けの計五つのプラットフォームを提供しています。現在日本ではブランド向けの成果報酬型キャンペーンを管理するPartnership Cloudと、インフルエンサーマーケティングの管理ツールであるActivateを提供してます。この二つは2023年の上半期には統合予定です。
中川:形態としてはブランド、エージェンシー、パブリッシャーの三つということですね。
松崎:そうです。
中川:残り三つのプラットフォームは今後日本でも提供される予定ですか。
松崎:はい。本国の米国ではもちろん全て展開しているのですが、そこから日本も含めてAPACとヨーロッパの両方で展開していく予定で、まずは広告主向けのソリューションをメインにスタートしています。
中川:ではまずPartnership Cloudの特徴的な機能と独自性を教えてください。
松崎:Partnership Cloudは成果報酬型のパートナーシップマーケティングキャンペーンを管理するツールで、全てのタスクをデジタル上で一括管理することができます。例えばアフィリエイターや大手ポイントサイトなどのパブリッシャー、またインフルエンサーといった成果報酬型でプロモーションをしてもらえるパートナーのディスカバリーやリクルーティングに始まり、それにまつわる電子契約、自動支払い、レポーティング、モニタリング、最適化といったタスクです。
100以上の成果報酬条件を設定することが可能で、複雑な支払いとの自動連携やコンバージョンパスの可視化など、特にトラッキングとレポーティング面のテクノロジーに高い評価を得ています。また、パートナーがダイレクトでつながっている場合は、サプライサイドへはフィーが発生しないことも特徴です。ツールを通して広告主の成果報酬条件が開示されており、その額がそのまま報酬額になるので、中間マージンを取られる従来に比べるとメリットになることもあります。
中川:この100以上の成果報酬の条件というのがポイントになるかと思うのですが、これを一つの場所で統合化できる機能がそのままimpact.comの独自性になっている、という認識で合っていますか。
松崎:はい。例えば「あるコンバージョンに対して成果報酬がいくら」という基本条件を決め、それを軸にさらに複合的に条件付けすることが可能です。「こういうときには対象にならない。こういうときには逆に成果報酬のパーセンテージを上げる」といった設定を画面上で簡単にできます。複数条件になった上で無数のパートナーへの支払いも自動連携されるので、利用するマーケター側からすると、人の手ではコントロールが不可能な煩雑な作業をシステムで自動管理する点が一つのポイントになります。
中川:そのつなぎ込みができてしまうんですね。
松崎:はい。
中川:先ほどお話しいただいたブランドストーリーと合致するところだと思うのですが、アフィリエイトはラストクリック以外気にするのが難しくても、その貢献度をちゃんと可視化して適切な報酬が支払われると。
松崎:はい。基本的にはタグでトラッキングできればCV(コンバージョン)パスのタッチポイントが、メディアレベルでも、チャネルレベルでも、見えます。成果報酬の対象がラストクリックCVだったとしても、全体のデータが見えることが重要で、例えば「どれくらいのCVや売上が特定のアフィリエイター単体のタッチポイントでもたらされた」といったデータも見られますし、チャネルで見ればSEM、SEO、ソーシャルといった単位で同じことが見えるので、パートナーマーケティングのチャネルがどれくらいのCVや売上をインクリメンタル(増分)としてもたらしくてくれたかも簡単に見ることができます。獲得型のマーケティング施策を行っている場合は、複数チャネルを管理するケースも多いので、マルチチャネルでの重複や単体チャネルの貢献度合いを把握するのは、チャネルのポートフォリオ管理に有効になると思います。
中川:これはimpact.comさんにしかできないことなのですか。
松崎:確認しきれていないのですが、アフィリエイト広告やインフルエンサーマーケティング特化型のソリューションとしては、ここまで粒度高いデータは他ではないと認識しています。
中川:そうなんですね。これからも日本では、このPartnership Cloudを主力製品として販売されるご予定ですか。
松崎:はい。前述どおり、広告主向けツールのPartnership Cloudを主軸として展開をはじめ、現在も多くの日本のクライアントにもご利用いただいています。また別だったインフルエンサーマーケティング管理ツールも一つの機能として統合されるので、複合的なパートナーシップマーケティングの管理ツールとして、さらにパワーアップした形で利用していただくことができます。
BtoBマーケティングをサポートする黒子のテクノロジーツール
中川:Partnership Cloudのターゲットについて伺いたいと思います。これはどういう方がフィットするツールなのでしょうか。
松崎:Partnership Cloudは成果報酬型マーケティング管理ツールとしての機能が多いので、アフィリエイト広告を活用している、Eコマースや旅行関連、あとはファイナンス系のクライアントが多いです。例えば、WalMartやAgoda、AMEXなどのクライアントが3000社近くいます。他にもサブスクリプションやリード獲得型のクライアントも多くいらっしゃいます。
また、インフルエンサーマーケティングやBtoBパートナーシップのケースも多く出てきました。例えばTicketmasterは弊社ツール経由でSpotifyユーザーにアーティストのライブ情報を提示し、チケット購入に応じた成果報酬を得ています。双方にとってのメリットが分かりやすく、UXにとっても良い例です。こうした企業間の取り組みもグローバルで多くなってきています。
中川:データに関してはいかがでしょうか。
松崎:データのマネタイズ、という観点からいうと昨今のデータ規制の理由から、ファーストパーティデータを保有している各企業がリテールメディア含め、広告ビジネスを独自に打ち出している流れが傾向として見られます。Partnership Cloudは、元々メディアや広告ビジネスが本業ではない企業が、自社データを用いて広告ビジネスで新しいマネタイズチャネルを模索するときの運用ツールとしても向いているかなと思います。というのも、ファーストパーティデータを保有しているからといって他の企業の広告予算がすぐもらえるほどビジネスは単純ではないので、差別化されたメリットや実現スキームがないとうまくいかないのではないでしょう。
中川:無理ですよね。
松崎:いろいろな形でコミットが必要になってくるので、簡単ではないように感じます。TicketmasterとSpotifyの例は、重複するユーザーに対して興味が高いだろう情報をピンポイントで出し、売り上げにつながれば成果報酬が発生する、という極めてシンプルなモデルで、それを実現する術としてimpact.comが導入されています。
広告ビジネスを打ち出す際、シンプルなモデルであること、また実現するスキームを考える必要があると思います。そこに、欧米で多く利用されているように、日本でもimpact.comが導入されれば嬉しく思います。
中川:管理も工数の削減になりますしね。BtoBは、やはり面白いですよね。
松崎:そうですね。企業間のパートナーシップマーケティングをサポートする黒子のテクノロジーツールとしては、理にかなっていると思います。
ただ言うはやすしですが、企業同士の取り組みは社内調整など含め、簡単ではないので、分かりやすいやはりモデルとスキームがあると、実際に検討を進めやすいでしょう。グローバルのクライアントでは前述の例のようなケースが多くなってきており、同様のモデルを日本でも推進できる立ち位置にいられたらと思っています。
中川:用途としてはアイデア次第で無限に広がっていきそうですね。
松崎:そうですね、実際に海外ケースが多いこともあって、日本のクライアントやエージェンシーに話をすると、かなり興味を持っていただけます。多くの業界で面白いと思っていただけるケースを日本でも出していければと思っています。
中川:エージェンシーとしてクライアントにどう価値を提供するか、という意味で、こういったアイデアは面白いと思います。「あそこと組んでみては?」という、その仲介役にエージェンシーがあるという。
松崎:エージェンシーは常に複数のクライアントをお持ちで向き合っていらっしゃいます。だからこそ、その中でビジネスマッチング的な提案をして実現するのは、エージェンシーだからこそできることだと思います。そのときに重要なのはエージェンシーとしてのKPIもあると思いますが、同時にいかに「具体的な実現スキームを提案できるか」だと思っています。複数クライアントと調整の上、プロジェクト管理をしていかないといけないので、話が曖昧だと単純に進みにくいと思うので「How」の部分が明確化されているとスムーズになると思います。
またグローバル大手企業がimpact.comを導入してくれているのは、やはりテクノロジーやデータの可視化など信頼の部分がクリアされている、という前提が背景にあります。そういった信頼の置けるツールを使って新しい取り組みを実現していく、という分かりやすさがあると、日本でも導入が進みやすいのかなと感じています。
96%の消費者は従来型の広告をもうすでに信用していない
中川:日本のパートナーマーケティング市場について、impact.comはどのように見ていますか。
松崎:大きく三つあります。まずは従来型のアフィリエイト広告市場。矢野経済研究所のリサーチでは2025年に5000億円規模になると予測されていますが、背景にはターゲティング広告の規制があると思います。また、アフィリエイターやポイントサイトなどのインセンティブ型メディアの影響力が強くなっている点からも、ラストクリック型のデジタルマーケティング予算が、広告主寄りのモデルといえる成果報酬型チャネルにさらに振られていくのではないかと見ています。
二つ目は、インフルエンサーマーケティング領域です。ソーシャルインフルエンサーの影響が拡大してきていて、コマース業界がそこにひも付いて、変革中です。96%の消費者は「従来型の広告をもうすでに信用していない」と答えるような時代の中で、一定以上数のフォロワーやファンに信頼と影響力を持って商品やサービスをレコメンドしていく、という流れはデジタルマーケターにとって無視できるものではありません。
三つ目が、例にもあった企業間のパートナーシップマーケティングの活用です。先述した例の他にも、最近では米国のWalmartが2022年10月に発表したWalmart Creatorというプラットフォームの例があります。これは、コンテンツクリエーターとして誰もが自由に商品をレコメンドして成果報酬がもらえるクリエイター向けツールなのですが、弊社のテクノロジーが基盤となっていて、Walmartのようなエンタープライズ企業のパートナーシップビジネスの取り組みをサポートしています。ちなみにWalmartは、元々アフィリエイト広告における弊社のクライアントですが、その延長線上での取り組みとして、Walmart Creatorに事実上OEMという形で入って展開しました。アフィリエイト広告から先に拡張性があるという意味で、可能性がすごく広がる良い例だと思っています。日本でもエンタープライズ企業が、こういったプラットフォームを自社展開していくということは十分可能性があることだと思いますし、多様化している「パートナーシップ」というチャネルの可能性を広げるためのテクノロジー企業として、弊社も積極的にサポートしていければと思っています。
日本市場のポテンシャルとは
中川:日本市場への参入タイミングについて、なぜ今なのかを教えてください。
松崎:まずグローバル、ひいてはAPACにおけるimpact.comのビジネスの順調な成長と、日本市場の見込みポテンシャル、そして2021年に入った大型の追加投資がキーとして挙げられます。APACは東南アジアと、オーストラリア・ニュージーランド、中国にもオフィスがあり5年以上稼働しています。ビジネスの基盤やオペレーションは十分にできあがっており、さらなる拡張を計画していたことが背景にあります。
中川:では、日本はAPACの中では後発なのですね。
松崎:4マーケット目ですね。日本ではパートナー企業を通じて1年以上かけて営業活動や準備をしていて、デューデリジェンスを行ってきました。そしてマーケット規模やポテンシャルに十分に手応えをつかんでいました。また、グローバル企業の日本アカウントが複数いたこともありましたし「ローカルの体制ができればマーケットインしたい」という声も複数あり、ニーズが見えていたこともあります。
リソース面としては、2021年に約200億円の追加投資が行われました。日本を含めた新マーケット参入への後押しになり、同時期にイタリア、フランス、そして日本が同時発表になりました。
中川:その都市名だけ見ると、ファッションブランドのコレクションのようですね。
松崎:確かに(笑)。ちなみに、イタリア支社はミラノがベースでアパレル業界にフォーカスしていて、インフルエンサーや成果報酬型マーケティングにフィットしています。日本もアパレル系はまだまだ成長余地が大きいと踏んでいるパートナーパブリッシャーも多く、アパレル業界に特化させた新規メディア事業も多くあるようなので、機会があるかもしれないですね。
アフィリエイトにとどまらない形でのパートナーシップマーケティング
中川:今後の展望について、可能な範囲で開発のロードマップを教えてください。
松崎:impact.comは全社の約4分の1、約250名がR&D(※Research and Developmentの略。研究開発)の職にいて、Partnership Cloudは2021年に計500ものアップデートを行いました。広告主サイドとパブリッシャーやパートナーサイドにおけるUI/UXの継続的な改善、外部テクノロジーパートナーとの連携、トラッキングやレポーティングのアップデートなど、幅広く開発ロードマップが引かれていて、それを実現しています。
またインフルエンサーマーケティング管理ツールのActivateは、元々Partnership Cloudとは違う独自ツールなのですが、社内では統合作業がすでに終わっており、近いタイミングでリリースがされる予定です。アフィリエイト広告とインフルエンサーマーケティングは別軸のものとして捉えられていると思うので、それが統合されるだけでも大きい利点があると思います。KPIの違いをはじめ、ニュアンスが変わってくる中で違いをきちんとカバーしながら統合化する、というのが大きなポイントになると思います。
中川:では、今後のフォーカスエリアを教えていただけますか。
松崎:日本においてアフィリエイト広告は歴史も長く、マーケットサイズもポテンシャルも非常に大きいと感じています。impact.comが持つ強みを、まずは既存マーケットで多く活用していただくようにフォーカスできればと思っています。そのためには広告主の皆さまやパブリッシャー、エージェンシーといった、弊社にとって大事なパートナーの皆さまなくしては成り立たないので、それぞれの方面へ向けたメッセージやサポートを充実させていきたいと思います。
また、インフルエンサーマーケティングや例えばBtoBのパートナーシップといった新しいモデルは、従来型のアフィリエイトにとどまらない形でのパートナーシップマーケティングとして、今後積極的に訴求をしていくつもりです。
中川:まずは現存するマーケットに浸透させるということですね。
松崎:現実的にはステップ・バイ・ステップで、と考えているので足元からしっかりスタート、そして業界にも寄与できるように新たな取り組みも浸透させていければと思っています。
中川:ヘッドカウントの問題もありますね。では最後に、松崎さんの個人的な野望や目標をお聞かせください。
松崎:デジタルマーケティング業界において日々さまざまなニュースが飛び交う時代、いろいろな意味で大きなターニングポイントにきていると感じます。その中で変化を促して、少しでもいい方面へのゲームチェンジャーになれるように日々頑張りたいと思っています。そんなモチベーションを背景に、立ち上げのプロセスを楽しみながら、クライアント、パートナー、あとは日本のチームメンバーと一緒にimpact.com Japanをしっかりつくっていく、これが目の前の目標です。
中川:ありがとうございます。
グローバルでアフィリエイトマーケティングのパフォーマンスを一括で把握~Canvaの場合~
中川:では引き続き、実際にimpact.comを利用されているCanva様に事例についてお話を伺いましょう。まずは木元さん、自己紹介をお願いします。
木元:Canvaでパートナーシップスペシャリスト・グロースマーケターとして、アフィリエイトマーケティングやパートナーシップマーケティングを含む、日本マーケットの有料広告全般を担当しています。
中川:会社の概要も含めて、Canvaのサービスについてもご紹介いただけますか。
木元:2013年にリリースされたCanvaは、世界中の人々が自由にデザインを作成して公開することを目的としたオンラインのデザインプラットフォームで「全ての人がどこからでもデザインで輝けるようにすること」をミッションとしています。Canvaの特徴は、誰もがプロ顔負けのデザインを簡単に手早く作れることです。
中川:やはりその簡単さがポイントなんですね。
木元:はい。日常生活で「こんなデザインが簡単に作れたらいいのにな」という、ちょっとしたデザインのニーズをCanvaで解決していただけたら、うれしいです。
中川:ありがとうございます。続いてCanvaさんがimpact.comのツールを導入したきっかけを教えてください。
木元:Canvaは2013年にリリース後、impact.comさんのツールを通して2019年にアフィリエイトマーケティングをスタートしました。成長途中のスタートアップで、さらにビジネスを拡大するための新しいグロースチャンネルとして、アフィリエイトマーケティングが選ばれました。ツールを検討した際に、グローバルで対応できるプラットフォームとして、impact.comさんにお願いすることになりました。
日本もそうなのですが、各国のASP(※Application Service Providerの略。インターネット上でアプリケーションを提供する事業者)の影響力がすごく強いので、各国の市況がつかみにくく、日本市場に関しても例にもれず何が起こっているのか分かりにくい状態でした。しかし、impact.comさんを使うことによって、パートナー一人一人のパフォーマンスや成長ぶりなどの確認・分析が全て一括でできるようになりました。そこをとても活用させていただいています。
中川:現在impact.comの、どのツールを使っているのですか。
木元:impact.comの計測ツールと、impact.comが出されているメディアレールのメルマガツールの二つを使っています。
中川:グローバルでも同様ですか。
木元:グローバルでも同様です。世界200カ国以上でアフィリエイト・パートナーシップマーケティングに使用しており、アフィリエイト申し込みのランディングページから、登録後の配信メールなど、パートナーの方とつながり、コミュニケーションを行うツールとして活用しています。
中川:パートナーシップマーケティングのインフラにもなっているという感じですね。
木元:はい。あと、impact.comは各国のASPと連携できる点が大きいです。日本もローカルのASPを1社使っているのですが、そちらをimpact.comと連携できたことによって日本マーケットもとても参入しやすかったです。同様に、他の国でもローカルのネットワークと連携しています。
中川:他にはどのような使い方をされていますか。
木元:あとは報酬のカスタマイズ設定をして、期間を決めてボーナスキャンペーンを行うこともあります。また、Canvaのプログラムでは有料版の課金になったタイミングで報酬が発生するのですが、報酬が発生しないコンバージョンポイントも計測できるので、他社との合同企画やイベントをした際などにImpact.com上で計測リンクを発行して使用することで企画の成果を計測する、という使い方もできています。
他には社内のBIツールLookerとも連携しており、グローバルで全世界のパートナーのパフォーマンスが1箇所で確認して分析できるようにしています。
導入後は収益が毎月2倍に成長。パートナーの幅も広がる
中川:導入後の変化については、いかがでしょうか。
木元:2019年にImpact.comでアフィリエイトマーケティングを始めてから、収益はほぼ毎月2倍の速度で成長しました。あとは、いろいろなタイプのパートナーともつながることができました。今までツールがないと、なかなか提携が難しかったパートナーの方とご一緒できるようになったのは大きな変化でした。
それと、ボーナスキャンペーンなどを含め、マーケティングの施策実施中に、リアルタイムで計測数値を見ることができるので、キャンペーン中に追加施策を実行したり、キャンペーンを最適化するなどPDCAがどんどん早く回せるようになりました。
中川:パートナーシップ的な要素を持ったビジネスの取り組みは、すごく多いですよね。Canvaさんも、Canvaさんとクリエーターもそうですし。パートナーシップという言葉は広いですが、確かに無限な感じがして面白いですね。サービスの土台として、現存のアフィリエイターさん、インフルエンサーさんのマーケットももちろんなのですが、BtoBのほうがワクワクしますよね。
木元:確かにそうですね。オーガニックで企業の方にCanvaのプログラムにご登録いただいているケースもあるので、そこからさらに直接お話をして一緒にスケールできた例もあります。
中川:分かりました。ありがとうございます。では、Canvaさんが今までimpact.comを使われてきた中で、おすすめできるポイントや企業のイメージがあれば教えてください。
木元:Canvaのようなグローバル企業は間違いなく助けられるツールだと思います。
中川:間違いないですね。
木元:これから海外進出したい日本企業など、他の国にマーケティングをしていきたい会社にとっても強力なツールだと思います。細かい条件のカスタマイズやレポートで詳しく分析することができるので、戦略を細かく立てて実行していきたい企業や、いろいろな施策をどんどん試していきたい会社さんにもぴったりです。
中川:ありがとうございます。
松崎:木元さんから話を伺ってCanva様がすごくいいなと思ったのは、インハウス体制です。日本は木元さんがパートナーシップマーケティングマネージャーとして、戦略から運用までをカバーして、その中でプロモートをしてくれるファンネットワークを増やす、という、その活動を直接やっていらっしゃる。結果、明らかにクオリティも高いネットワークが、どんどん増えているように見えています。
Canvaを広める複数のパートナーユーザーとも直接お話をしたのですが、Canvaが大好きでエバンジェリストとしてやっている、という熱量が高い人も多いですよね。
中川:すごくイメージできました。
木元:アフィリエイトパートナーで急速に成果を伸ばしている方が、自分でコミュニティもつくられました。そのコミュニティ内で私も時々登壇する、といった関わり方をしています。でもCanvaはまだスタッフが少なく、アフィリエイト担当も私一人です。英語圏だとアフィリエイトパートナー限定のコミュニティもあるのですが、日本にはまだありません。リソースが限られているので、施策はかなり絞って選んでやりましょう、という感じはありますね。
松崎:私が入社する前からimpact.comを紹介しているブログがいくつかあって「誰が書いてくれたんだろう」と思ったら、実はCanvaユーザーの方が「CanvaのアフィリエイトプログラムでCanvaを推進しましょう。スタートするにはimpact.comで登録を行い、設定はこのように……」といった、いわばimpact.comのマニュアルだったんですね。
社内には日本語のガイドがない中で、自分もそれを見て勉強していました(笑)。
木元:しかも分かりやすいんですよ。クリエーターやブロガーの方のほうが、自社の人間よりユーザー目線で分かりやすい説明をしてくれることも多いと感じます。
中川:では最後に「impact.comでこういうことができるともっといいぞ、もっとすごいぞ」というポイントがあれば教えてください。
木元:日本語で日本人向けのサポートをさらに充実していただけたら最高です。現在、英語のカスタマーサポートでは、すごく質の高いサポートを提供されていて、レスポンスも早く丁寧で、私も大変助けていただいています。そのナレッジを生かして日本語で実施していただければ、十分日本のユーザーにも満足していただけると思っています。
松崎:確かに各方面への日本でのサポートの充実は最優先事項の一つに入っているので、サポートできる体制をしっかり構築できるように頑張ります。
中川:本日はありがとうございました。
木元:ありがとうございました。
「アタラ Unyoo.jp 特選コラム」掲載のオリジナル版はこちらimpact.comに聞く:パートナーシップオートメーションプラットフォーム impact.com が日本市場に本格参入2023/04/12
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