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BIツールでCriteoの2024年第1四半期決算を読み解く
Criteoの2024年第1四半期(2024年1月~3月)の決算発表および最近の傾向をBIツール(Looker Studio)を使いながら読み解いてみたいと思います。
※参考リンク(Criteoの投資家情報サイト):
criteo.investorroom.com
Criteo InvestorRoom - Financial Results
https://criteo.investorroom.com/results
Criteoの2024年第1四半期の売上は前年同期比1.1%増の4億5006万ドル(約718億円)、売上総利益は前年同期比20%増の2億1722万ドル(約346億円)、純利益は前年同期比171%増の857万ドル(約13.6億円)でした。ダッシュボードは右下にある四角い全画面表示アイコンをクリックすると拡大表示できます。
2024年第1四半期決算の主要なハイライトは以下のとおりです:
- リテールメディア事業は前年同期比34%増(TAC後)。導入数は225に
- パフォーマンスメディア事業もコマースオーディエンスが貢献し13%増(TAC後)
- リターゲティングは、フルファネル・ターゲティングに重点を移し、現在ではCriteoの事業全体の50%以下となっている
- クライアントのリテンション率は90%
サンキーチャートでもまとめましたので、セグメントのブレークダウンがこちらのほうがわかりやすいかもしれません。
セグメント別ではリテールメディア事業が続伸
2024年第1四半期決算からセグメントの分け方が変わりました、これまで旧来のリターゲティング広告事業中心に担っていたMarketing Solutionsと、2022年8月に買収した開発会社Iponwebの事業を統合し、Performance Media(以後「パーフォーマンスメディア事業」)となりました。そしてもう一つがRetail Media(以後「リテールメディア事業」)となります。それぞれの事業の売上を見てみましょう。
- パーフォーマンスメディア事業: 3億9918万ドル(約636億円) -1.92% YoY
- リテールメディア事業: 5087万ドル(約81億円) +33.8% YoY
一方、TAC(トラフィック獲得コスト)後の貢献度(媒体パートナーへの原価を引いた粗利相当額)を見ると、
- パーフォーマンスメディア事業: 2億0372万ドル(約324億円) +11.16% YoY
- リテールメディア事業: 5017万ドル(約80億円) +34.31% YoY
となっています。純然たる売上で見るとリテールメディア事業の構成比は高くありませんが、TACがほぼかかっていない分、TAC後は全体の貢献度が高くなっています。
リテールメディア事業は非常に強い成長を見せていますが、パーフォーマンスメディア事業も決して引けを取らない状況です。
リテールメディア事業の全体の割合も20%前後を占めています。売上は伸ばしていますが、パーフォーマンスメディア事業も復調してきたので割合があまり大きく変動していないのかもしれません。
今後の見通し
リターゲティングの構成比は50%以下とありますが、リテールメディアだけでなく、コマースオーディエンスが伸びていることが背景にはあるようです。Criteoが保有するショッパーグラフのオーディエンスからターゲットを選択ができる配信オーディエンスです。やはりCriteoの豊富なコマースデータとAIは強く、ポストクッキーも含め、今後も期待できそうです。
その他、多面的アドレッサビリティ戦略は注目すべきかと思います。ここまでカバレッジを考慮した対応をとっているプラットフォームは他にありません。世界中のIDソリューションにほぼすべて対応し、ネイティブで使いやすくなる形になっていくと考えられます。こちらはまだこれからということなのですが、ChromeのサードパーティCookie廃止の影響が出てから、他社と比較して優位性が出てくるのではないかと思います。
さらにはコマース・グリッドSSPで、強みを持つターゲティング性能をよりパブリッシャーの収益化につながる形で活用していく。
ITPで受けた大きなインパクトから、新しい戦略を立て、着々と準備を進めた結果、駒は揃った印象です。独自のデータとテクノロジーを武器に、新たな成長期に入る可能性も十分にあるように思います。
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