百戦錬磨のSNSマネージャーが手ほどき! 企業SNS活用の悩みに答えます

就活生がSNSを活用している時代! 企業はSNSをどう使う?

就活生は情報収集の手段として、企業のSNSアカウントやインスタのハッシュタグをチェックしており、就職活動の進行状況に応じて、収集する情報が変化することが調査で明らかになっています。企業は、就活生のフェーズに合わせて発信する内容を変えることで、志望度や入社意欲を高めたり、社長や人事の考え方、社風を伝えることができたりします。就活生が求める情報をわかりやすく伝えることが、SNS活用方法のポイントです。

オーガニック運用・広告配信・危機管理など、企業のSNS活用のポイント、最新情報を、SNSマネージャー養成講座の講師陣「チーフSNSマネージャー」のメンバーが、それぞれの得意分野を中心に解説します。

今回は、臨床検査技師・ウェブ解析士・SNSマネージャーと多彩な顔を持つ稲葉修久氏(RIコンサルティング代表取締役)が回答します。

質問

企業の採用活動でSNSが積極的に使われていると聞きました。一方でいまの就活生は、SNSをフル活用しているデジタル世代で、表面的なアプローチでは効果が薄いのではないかと心配です。「新卒採用」でSNSを使いたいのですが、どのようにSNSを使うべきでしょうか?

稲葉

就活生に対する企業のSNS活用を考えるには、まず就活生にとってのSNSの役割や行動、その行動の意図を時系列で理解することが重要です。そのうえで新卒採用におけるSNS活用方法をイメージしていきましょう。

前回に私が執筆した記事では「“SNSを利用した採用活動”って実際どう?」というテーマでお話ししました。

では、新卒・中途採用における企業のSNS利用方法は同じでしょうか? 一般的に企業がお客様に提供するサービスも、対象が異なればその販売方法や訴求方法も、当然異なってきます。それと同じく、採用活動におけるSNSの利用方法も、「新卒」を対象にする場合と「中途」を対象にする場合では、その手段や方法は異なります。今回は「新卒採用」にフォーカスしてお話しします。

就活生のSNS利用状況は、実際どういう状況?

コロナの影響もあって、さまざまな場面でオンライン化が進みましたが、「就活生の活動」も例外ではありません。

就活生は「さまざまな手段」で情報を集めその企業に興味を持ち、深く知ることで徐々に志望度を高めていきます。Job総研による2023年卒就活実態調査では「SNSで就活やインターンに関する情報収集をしていましたか?」という質問に対し、75.2%の就活生が「インターンシップや就活関連情報を収集している」と回答しています。そのさまざまな手段のなかで、「SNS」も積極活用されていると考えられます。

参照元:Job総研 「23年卒 SNS就活実態調査」を実施 | JobQ[ジョブキュー]
https://job-q.me/articles/13462

では、就活生が情報収集で利用しているSNSはどのようなものでしょうか? 同実態調査で「就活関連の情報収集をしていると回答した人が使用しているSNS」を聞くと、71.7%が「Twitter」、以下「LINE」「YouTube」「Instagram」をあげています。

Twitterの利用率が高いのは、「企業からの情報発信やビジネスインフルエンサーを含む就活関連情報を提供するアカウント」が、積極的に情報発信していることが要因と考えられます。

同じくYouTube、Instagramも、採用広報を目的とした企業アカウントが増加している、動画・画像特有の情報量が増加している、といった理由で、利用率が高まっていると考えられます。一方で残念ながらFacebookは0.6%にとどまり、Facebookを就職活動における有益な情報源と考えている就活生は、少ないと言えます。

参照元:Job総研 「23年卒 SNS就活実態調査」を実施 | JobQ[ジョブキュー]
https://job-q.me/articles/13462

就活生がSNSで求める情報は?

次に、「就活生におけるSNSでの情報収集」が、具体的にどのような行動を指すのか考察します。

DYMが行ったアンケートによると、多くの就活生がSNSで知りたいのは「社員の雰囲気」が最多でした。この結果から、就活生は企業のSNSに対して「企業の採用サイト、就活サイト、就活アプリなどではわからない企業の情報を得たい」と考えており、企業内で実際に働いている社員(先輩)の様子に興味が高いことがうかがえます。

参照元:DYM|~就活生対象 最新アンケート報告~
https://dym.asia/news/pdf/20210513_MeetsCompany.pdf

就活フェーズによって求める情報が変化

では、SNSの使い方は、就職活動の進行状況に応じて変化するでしょうか? これは、就職活動における各フェーズ、「ES提出前」「ES提出~内定」「内定~内定承諾」「内定承諾から入社」という4段階において、就活生がSNSで収集する情報は少し異なります。

ES提出前から内定までは、「企業情報(仕事内容、事業内容など)」を閲覧する傾向が高いものの、内定獲得以降は「社内 の雰囲気(社内イベントの様子、オフィス紹介など)」が最多となっており、「内定獲得を目的とした意図の情報収集」と、「内定承諾(入社承諾)の意思決定のための情報収集」に分かれます。

このことから企業は、就活生のフェーズに合わせてSNSで発信する内容を変えることで志望度や入社意欲を高めることができると考えます。

参照元:【就活生のSNS利用】就活のフェーズ進行につれてTL閲覧中心から検索活用が増加
「社内の様子がわかるコンテンツ」で志望度は上昇|インタツアーのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000058834.html

就活生がチェックするアカウントやハッシュタグ

就職活動時に就活生は、志望する企業や社長・社員に関するSNSアカウントについてもチェックしています。これは、志望する企業のよりリアルな情報を収集するためと考えられます。

これを踏まえると企業側は、積極的に社長や人事担当者がSNS投稿を行うことで、就活生に社長や人事の考え方や社風を伝え、公式サイトで見せるよりもより身近に感じてもらいやすくなると考えられます。そしてこれらを継続することで、就活生の志望度に影響を与える場合もあります。

一方で就活生は「#就活」「#24卒」「#就活垢」「#就活女子」といったハッシュタグを積極的に使用・検索しており、就活する仲間同士で繋がりを求めたり、情報共有したりしています。

まとめ

企業の「新卒採用」においてSNSの活用は有益だと考えます。なぜなら、就職活動の過程で必要な情報収集において、さまざまな手段があるなかで、その1つにSNSが含まれているからです。

就活生は、企業のSNSに対してリアルな情報を求める傾向が高めですが、消費者ニーズが時系列で変化するのと同様に、就活生の情報ニーズも時系列で変化していることに注意してください。フェーズに応じて企業側は柔軟に投稿する内容を変えることで、最適なコンテンツを届けて志望度を高めることができます。

また就活生が閲覧するアカウントにも傾向があります。アカウントごとに投稿内容を変えることにより自社への興味度を高めることもできますし、ハッシュタグを利用することでより多くの就活生との接点をつくることもできます。新卒採用においては、就活フェーズに応じて就活生が求める情報をわかりやすく伝えてあげることが、SNS活用方法のポイントだと言えるでしょう。

稲葉でした。

2020年より私たちは、「SNSマネージャー養成講座」という資格試験をスタートしました。SNSマネージャーの上位資格である上級講座では、実際に運用しているアカウントをサンプルにして、徹底的に運用目的とKPIなどの必要項目を掘り下げて企画書を作成するワークを実施しています。

この記事を読んで「理屈はわかったけど、実際自社のアカウントに当てはめるとピンと来ない。さてどうしたものか……」とお悩みのあなた。ぜひチャレンジを。

【SNSマネージャー養成講座 | 企業がSNSを効果的に運用して事業を進化させる講座】

タイトルデザイン、タイトルイラスト:995(Twitterアカウント
三度の飯より猫が好きなイラストレーター。ゆるくてかわいいイラストが得意です。

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