百戦錬磨のSNSマネージャーが手ほどき! 企業SNS活用の悩みに答えます

リーチしない時代のSNS、企業投稿は何を目的に考えればいい?

どうも最近、SNSが顧客にリーチしていない気が……。これまでどおりSNSでプロモーションを続けていいの?

オーガニック運用・広告配信・危機管理など、企業のSNS活用のポイント、最新情報を、SNSマネージャー養成講座の講師陣「チーフSNSマネージャー」のメンバーが、それぞれの得意分野を中心に解説します。

今回は、上級ウェブ解析士としてもデジタルマーケティングコンサルタントとしても活躍する積高之氏が回答します。

質問

当社は早くからSNS運用の必要性に気付いていて、熱心に投稿を続けてきました。製品のこととか会社のこととかを常に発信し続けてきましたが、どうも最近、SNSが顧客にリーチしていない気がしています。これまでどおりSNSでプロモーションを続けていいのでしょうか?

企業でデジタルマーケティングを担当している方は、ここ1~2年のSNSの変化に気付いておられるでしょう。SNSはもうプロモーションのツールではありません。まずはこの考え方を捨てましょう。

企業や製品の情報を一方的に告知するプロモーションは、広告には適していますが、一般投稿などのオーガニックの運用には向いていません。Facebookを筆頭に各SNSメディアもアルゴリズムを変更するなど、そうした方向に舵を切ってきています(本来の方向ですね)。そしてオーガニックの運用では、新規顧客にアプローチすることが難しくなってきています。

今回はそうなっていく背景について考えてみましょう。

企業やブランドの投稿は「結局のところ広告」

まず理解したいのは「各SNSメディアは何を求めているのか?」ということです。私たちデジタルマーケターは日常的に「企業やブランドの運用」を基準にSNSを見ています。そしてこれも日常的に「SNSは広告ではなくコミュニケーションである」と言い続けています。

でも、その立場を離れて一個人としてクリアにSNSを見てみると、そこはあくまで「個人と個人の繋がりの世界」となります。どんなに注意して装っても、企業やブランドの投稿は「結局のところ広告である」ということを私たちはもっと意識しなければいけません。

各メディアが求めているものは「ユーザー数を増やす(減らさない)」ということで、そのためには「すでに参加しているユーザーが、快適にそのSNSを使えるようにする」必要があります。SNSの広告が始まったとき「みんなが公園で遊んでいるところに宣伝カーがやってきた」という比喩がよく使われました。その宣伝カーへの反応は「迷惑だと思う」という人が大半だった場合、それが続けば人は公園から去っていきます。

ただし中には、思わず買ってくれる人もいなくはないでしょう。たとえば、それがアイスクリーム屋さんのバンだったら珍しいので買う、という人がいるかもしれません。

企業投稿は制限を受けるのが前提

メディアは、できるだけたくさんの人に公園に集まってほしいわけですから「公園から去っていく人」を減らす必要があります。一方で去っていく人を減らすためにもっとも単純な方法は「公園への宣伝カー進入を禁止する」ことです。もちろん、各メディアが人を集める最終目的は「有料広告の出稿を増やす」という身も蓋もない理由(笑)ですから、正確には「公園に無断で入ってくる宣伝カーを進入禁止にすること」ですね。

そう、みなさんやクライアントが運用しているのは「公園に無許可の宣伝カーを乗り入れている」ことなのです。

当然ながら各SNSはこの問題をしっかり認識していて、公然とまたは密かに「企業投稿(特に他への遷移URLを含むもの)」のインプレッションを減らしています。無許可の宣伝カーに「この公園ではなくあっちの遊園地の方が楽しいですよ」とラウドスピーカーで叫ばれてるわけですからたまったものではありません(しかも無料で)。当然ながら、企業投稿は制限を受けていくわけです。

では企業やブランドは、どのようにSNSのオーガニック運用を行えばいいでしょうか?

それは間違いなく「コミュニティの形成」です。公園のなかの砂場でいっしょに遊ぶ人を集めて、なんなら公園を作ってしまえばいいのです。Facebookのグループもそうでしょうし、Twitterのサークル機能を使うことがわかりやすいでしょうが、ウェブサイトも含めて手段を選び、またはそれを複合的に使うことで、自社やブランドのファンになる人や、自社が提供する製品やサービスと親和性の高い属性を集めるコミュニティを醸成するのが最も大切でしょう。たとえば、育児玩具のブランドなら、子育て世代のコミュニティ。調味料のメーカーなら、料理好きのコミュニティを作るなどの施策を行うことです。

まとめ

「SNSはコミュニティツール」であるという意味を、もう一度真剣に考えて、そのための施策がほんとうに「投稿運用」でいいのか? できることはそれだけなのか? を考えてみましょう。

ファンを醸成するコミュニティを作り、商品やサービスを購入し、その後もコミュニティの中にいてもらう。そんな関係性を構築するのに適しているのが、SNSなのです。これからも健全な企業運用ができるように、関係性の構築についてあらためて考えてみてください。

積でした。

2020年より私たちは、「SNSマネージャー養成講座」という資格試験をスタートしました。SNSマネージャーの上位資格である上級講座では、実際に運用しているアカウントをサンプルにして、徹底的に運用目的とKPIなどの必要項目を掘り下げて企画書を作成するワークを実施しています。

この記事を読んで「理屈はわかったけど、実際自社のアカウントに当てはめるとピンと来ない。さてどうしたものか……」とお悩みのあなた。ぜひチャレンジを。

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タイトルデザイン、タイトルイラスト:995(Twitterアカウント
三度の飯より猫が好きなイラストレーター。ゆるくてかわいいイラストが得意です。

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