百戦錬磨のSNSマネージャーが手ほどき! 企業SNS活用の悩みに答えます

SNSって中小企業が運用するには無理がある? むしろ中小企業にこそ使ってほしい3つの理由!

中小企業のSNS担当者が陥る「うちの会社でこれやって効果あるの?」「若いからって理由で担当者になったけど、何をすればいいの?」といったジレンマを解消しましょう!
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オーガニック運用・広告配信・危機管理など、企業のSNS活用のポイント、最新情報を、SNSマネージャー養成講座の講師陣「チーフSNSマネージャー」のメンバーが、それぞれの得意分野を中心に解説します。

今回は、上級ウェブ解析士としてもデジタルマーケティングコンサルタントとしても活躍する積高之氏が回答します。

質問

「若いからたぶん知ってるだろう」という理由でSNS担当者になったのですけど、LINEしか知らない私は何ができますか? そしてSNSの成功事例って大企業の例が多いですけど、うちのような中小企業がSNSに力を入れて本当に効果あるんですか?

まずは根本的なところを確認しましょうね。企業がSNSをマーケティングツールとして利用する理由は何でしょう? 「あまりお金をかけずに顧客とコミュニケーションが取れる」というのも、大きな理由の1つですよね。つまり従来のマスメディアを使うよりむしろ中小企業向け。問題はその「選び方」と「使い方」なんです。

中小企業のSNS担当者が陥る「うちの会社でこれやって効果あるの?」「若いからって理由で担当者になったけど、何をすればいいの?」といったジレンマについて事例を交えて解説します。特に「売上がすべてか?」という“今の時代の気分”を考えてみましょう。

まずはSNS運用の「成功」を考える

SNSを、従来のマスメディアや馴染みのある「チラシ」「看板広告」などと同じように一方的な拡散ツールだと考えると使い方を間違えます。その機能を持っている部分もありますが、実際には拡散以前にコミュニケーションが取れていないといけません。公開されている成功例のほとんども、上手くコミュニケーションした結果として拡散されたということなのです。

ただ「成功」という言葉の定義を変えたほうが考えやすいことも事実です。質問者様の会社の「成功」って何でしょう?

SNS運用についての誤解の1つに、「金銭的・人的リソースに負担がかかる(あるいはかけた企業が成功する)」というものがあります。それが真実なら、大きな企業のほうが成功しやすいわけで、実際にSNSの成功事例としてよく採り上げられるのは、大企業のものが多い印象があります。

一方で、中小企業や個人店舗がSNSを運用することで、顧客とつながり、ファンを増やし、売上も増加させたというケースが見られます。SNSが企業運用されるようになってから10年ほど経過し、中小企業・個人店舗でも「成功」といえる事例がいくつも出ています。

「なぜSNSがむしろ中小企業に向いているのか」については、以下の3つの理由が大きいと思います。以下1つずつ事例を交えながら説明しましょう。

  • (1)全員が参加できる
  • (2)外に出ていく費用が少ない
  • (3)効果が見えやすい

(1)全員が参加できる

企業がSNSを運用するとき、どうしても「担当者」を決めてしまいがちです。これは、SNSをいままでの「広告」の感覚で扱っているための誤解だと思います。広告は一般的に社外のプロが作成・出稿するケースが多く、社内にはその相手をする担当者がいたり、広告を取りまとめる部署があることが普通でしょう。

ところがSNSの作成や投稿はあくまで「社内」で行うことが効率的で、そうすることで初めて、SNSの主目的である「顧客とのコミュニケーション」が産まれます。しかも、広告のように一般的にプロとしての作成能力を必要としないケースが多く、プロっぽい画像や動画などはSNSの中では好まれない場合もあります。

そしてSNSが「コミュニケーションのツール」だとすれば、そのコミュニケーションを最も必要としているのは、たとえば「自社の営業部員」だったりします。営業部員が広告を出すというわけにはいきませんが、Twitterの投稿は可能です。商品紹介をツイートしてもいいですし、店舗ならお店の周辺の状況などをツイートすればいいのです。営業マンの毎日の活動をそのままツイートすれば、顧客であるバイヤーに好感を持ってもらったり、共通の趣味でもあれば営業トークのきっかけにもなります。

とある食品問屋さんでは、その社長の性格もあり、会議でも笑いが絶えないような明るい社風だったので、営業員全員にTwitterのアカウントを共用して運用してもらいました。ツイート自体は他愛もないことの連続でしたが、とにかく楽しいアカウントになりバイヤーたちにも好まれていました。そしてある時期から中途採用の面接で、志望動機が「Twitterを見て、楽しそうな会社と思ったから」という発言が増えてきたそうです。

大きな企業ではそういうわけにはいきません。特に専門部署のある機能別組織(縦割りの組織)になっている場合、SNSは「広告」や「広報」に分類され、そうした部署が運営します。営業部門がSNS運用に文句を言うことはあっても、協力したり投稿までしてくれることはまずありません。先ほどお話した例では「営業社員が投稿した」「SNSという宣伝(ないし広報)ツールで」「採用に貢献した」わけですから、営業・広告・人事が一体になっている組織でないと、この結果を評価するのは難しいわけです。

あなたの会社がSNSでコミュニケーションを取りたい顧客にとって、「社内組織」はどうでもよく、あくまで「その会社やブランド」との関係性がほしいわけなので、“会社という人格”が一体化しやすい中小企業のほうがSNS運用に向いているのです。もし間違う場面があるとすれば、変に縦割り組織の意識を持ってしまった時でしょう。

(2)外に出ていく費用が少ない

あなたの会社なりサービスなりを、広く世間に知らせる方法は何でしょう?

最も手っ取り早いのはマス広告かも知れません。もちろんそれには大きなコストがかかる上に、ひょっとしたら「ほとんど関係のない人に知らせるためのコスト」をかけてしまっているかも知れません。マス広告は文字通り「マス」に届けることが目的なので、当然そうなりますが、地域性や属性で関係のない人にいくら知らせても顧客にはなり得ないことも多いでしょう。放送局や読者特性などで絞ることは可能ですが、それでも大雑把です。

このコラムを読んでおられる方なら「それならウェブ広告があるじゃないか」と感じると思いますが、検索結果に広告を出す「リスティング広告」にしても顧客属性に合わせた「ターゲティング広告」にしても、「自社に興味にある顧客を対象に、継続的に接触する」ということまではできません。しかも「広告」なわけですから、基本的には費用がかかります。

ところがSNSの運用は、人件費以外の費用はかからないことがほとんどです。一部SNSでは月額課金もありますがさほど大きくはありません。効率的な運用方法を考えれば、人件費も思ったほど大きくなく、投稿を全社でカバーできる仕組みがあれば、それを取りまとめる担当者を専任で置く必要すらありません。

全国に数十店舗を持つある食品スーパーでは、画像と原稿を各店舗から集める仕組みを作り、ほとんど自動的に投稿することで運用を効率化し、その結果、毎日2時間程度で複数アカウントの投稿を可能にしました(それを見てファンになりにくい点で、完全な自動化はお勧めしません)。しかもチラシも半減したと言います。外に出ていく費用が少ないという以上に、これまで大きく広告費をかけていた会社は、それを削減できるかも知れません。

もちろんSNSの目的が「費用削減」のみというのは正しいことではありません。ただお客様との接触が、広告などの「プロモーション」ではなく、ファンを増やす「コミュニケーション」であることを思えば、SNSの運用はコストパフォーマンスが優れていると言えます。

(3)効果が見えやすい

SNSの効果を短絡的に見てしまうと、外部からも見える「いいねの数」や「フォロワー数」を増やすことをまず考えてしまいます。しかし実はこれらの数値は、本来目的とするべき指標の中間指標でしかありません。考えてみてください。あなた自身がまったく知らない企業のSNSをフォローしたりいいねを押したりしますか? その数字に一喜一憂してはいけません。

目標はその先にある「リーチ(その投稿が何人に届いたか)」「インプレッション(その投稿がどれだけタイムラインに流れたか)」「エンゲージメント(クリックやシェアなど、何らかのアクションをしてくれたか)」なのです。

ほとんどのSNSメディアは、「インサイト」や「アナリティクス」という名称でコントロールパネルを用意しています。そこを見ることで各投稿やアカウント全体の効果を見ることができます。ほぼリアルタイム(メディアによっては日次)で確認することができ、次の投稿に活かしたり月次で結果を共有したりしましょう。

もちろん企業活動ですから「売上」は重要な要素なのですが、SNSにこれだけを求めるのは間違っています。投稿をしてそこから売上があがればいいのですが、それを目的に投稿するなら、それは「広告」です(SNS広告はまた別の話。ここでは一般的な投稿の話です)。

お客様が好感を持ってくれてエンゲージメントが起き、ファンになってくれること。これが企業のSNS運用の目的です。

まとめ

広告に反応して直感的に買ってくれるお客様(あなたの会社が何かを販売している場合)はもちろん大事ですが、それよりもブランドや商品、サービスを理解・納得し好きになり、買ってくれたお客様は、その商品やサービスをリピートしてくれるでしょうし、他の人に紹介してくれかも知れません。その点でもシェアのしやすいSNSは効果があります。

そういう意味で、SNSは「売上」に貢献するというよりは、会社の利益の源泉であるお客様との関係を構築するツール、つまり「長期的な利益」に貢献するツールなのではないかと思います。そう考えることで、人的・金銭的なリソースのかけ方、運用の仕方が効率よくなり、「成功」につながります。SNSを運用する人、特にそれを指揮する立場の人や経営者は、この点をよく理解してSNSを運用することをお勧めします。

積でした。

2020年より私たちは、「SNSマネージャー養成講座」という資格試験をスタートしました。SNSマネージャーの上位資格である上級講座では、実際に運用しているアカウントをサンプルにして、徹底的に運用目的とKPIなどの必要項目を掘り下げて企画書を作成するワークを実施しています。

この記事を読んで「理屈はわかったけど、実際自社のアカウントに当てはめるとピンと来ない。さてどうしたものか……」とお悩みのあなた。ぜひチャレンジを。

【SNSマネージャー養成講座 | 企業がSNSを効果的に運用して事業を進化させる講座】

タイトルデザイン、タイトルイラスト:995(Twitterアカウント
三度の飯より猫が好きなイラストレーター。ゆるくてかわいいイラストが得意です。

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