【レポート】デジタルマーケターズサミット2022 Winter

クリック単価を抑えながらCVを上げる! 運用型広告による認知向上とCPA改善法とは?

GoogleやYahoo!ディスプレイ広告の仕組みを活用して、比較的安価に認知効果を高めながら効率的にCPA(顧客獲得単価)を改善する方法を解説する。
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20年以上連続して成長を続けるインターネット広告市場。2020年にはついに「マスコミ4媒体」と呼ばれるテレビ・ラジオ・雑誌・新聞の広告市場規模を超えたとされる。ネット広告の市場規模拡大の背景の1つに、「運用型広告」の普及がある。

そこで、運用型広告のコンサルティングを手がけるキーワードマーケティングの取締役COO 瀧沢貴浩氏が、「デジタルマーケターズサミット 2022 Winter」に登壇し、運用型広告で認知効果を高めながら効率的にCPA(顧客獲得単価)を改善するための具体的な方法などを紹介した。

株式会社キーワードマーケティング取締役COO 瀧沢貴浩氏

ネット広告の現状と2022年に予測される動き

キーワードマーケティングは2004年に創業。デジタル広告に関するコンサルティングや運用代行を専門的に手がけている。なかでも得意とするのがCV(コンバージョン)に強い「運用型広告」で、Google 広告、Yahoo!広告、Facebook広告を主に取り扱う。

瀧沢氏は、「運用型広告の存在感は近年ますます高まっている」と指摘する。電通が毎年発表している統計「日本の広告費」によれば、インターネット広告市場は1996年の調査開始以来、リーマンショックや東日本大震災、さらにはコロナ禍といった経済的混乱を経ながらも常に右肩上がりで成長。2020年にはテレビ・ラジオ・雑誌・新聞で構成される「マスコミ4媒体」を超える規模にまで達した。つまり「マス(大衆向け)広告」はこれまでならテレビCMの独壇場であったが、インターネット広告がその出稿先として活用されつつある、というわけだ。

インターネット広告市場がついにマスコミ4媒体を超えた。データ参照元:2021年日本の広告費-ニュースリリース一覧-ニュース-電通(https://www.dentsu.co.jp/news/release/2022/0224-010496.html)

そして、そのインターネット広告も、歴史初期こそポータルサイトのTOPページなど特定サイトのバナー掲出枠を買い取る「純広告」「予約型広告」が主流だったが、2020年には運用型広告がその座を奪った。

運用型広告の伸びが凄まじい。データ参照元:2021年日本の広告費-ニュースリリース一覧-ニュース-電通(https://www.dentsu.co.jp/news/release/2022/0224-010496.html)

2022年以降も、インターネットのマス化はさらに進むだろう。また、商品やブランドを世に広く浸透させるための「認知施策」としての広告は、これまでマスメディアで行われてきたが、ネット上で行うのがスタンダードになっていく。その現状を踏まえ、マーケターは運用型広告の特性をしっかり理解し、目的に応じて使い分けることが重要だ(瀧沢氏)

運用型広告5つの特性と使い分け

運用型広告の特徴

では、運用型広告とは何か? 瀧沢氏は、「リアルタイムに入札額やクリエイティブ、ターゲット等を変更・改善しながら運用し続けていく広告」だと説明し、次のような特徴をあげた。

  • 主にクリック課金
  • リアルタイムにさまざまな設定を変更できる
  • オークションが行われ、入札額および広告品質により掲載順位が決定される
  • 成果を判定するタグ(主にコンバージョンタグ)を挿入可能
  • 広告の掲載結果をほぼリアルタイムに取得できる

広告枠がクリックされると広告費が発生するので、「いつ、どこで、どんな人がクリックし、どれだけの広告費を使ったかをリアルタイムで計測・分析できることが大きな特徴」になる。

つまり、検索サイト、SNS、各種メディア、ブログ、個人サイトなどに広がっている広告掲出枠に対し、入札する金額や属性ターゲティング(地域や年齢など)の内容に応じて掲載順が調整されるというのが運用型広告の仕組みだ。

運用型広告の使い分け

運用型広告をどのように使い分ければよいのだろうか? 瀧沢氏によれば、運用型広告には5つの特性があり、広告の目的に応じて使い分けることができるという。この5つの特性について、具体的な広告メニュー別に分けたのが以下の図である。

運用型広告の5つの特性。コンバージョンを目的とする場合は下から見ていくとよい

1.認知

文字通り、商品やブランドの認知向上を目的に実施されるもので、YouTubeの認知向けフォーマットや予約型ディスプレイ広告が代表的。広告クリエイティブによってクリック率が上下しやすいが、ターゲティングの内容などによっては1視聴あたりの費用を3円程度に抑えることもできる。

ただし、広告効果の測定のためには大量のデータを取得する必要があるため、出稿も大規模にしなければならない。基本的には、この後紹介する2~5の施策を全てやりきった後に着手すべき施策だという。

2.クリック認知広告

潜在顧客との新規接点を作り、中長期的に売上増加を狙う広告。1クリックあたりの単価を10~30円程度に設定し、直接的なコンバージョンは狙わず、まずはサイト訪問を促す。Google広告における「オーディエンスカテゴリー(アフィニティセグメント)」や「ブロード(デモグラフィックのみ)」などが該当する。

3.ハイブリッド(コンバージョン重視)

広告技術の発達によって新たに利用できるようになってきたのがこの「ハイブリッド」で、より厳密には2つの傾向に分けることができる。こちらはコンバージョン重視のもの。広告プラットフォーム側に用意されている機械学習アルゴリズムをフルに活用し、ターゲティングを広く行いながらもコンバージョン獲得を目指す。

瀧沢氏は「クリック認知は潜在顧客向けの認知向上、ハイブリッドは顕在顧客寄りの認知向上と考えればわかりやすい」と説明している。クリック単価は高くなりやすいが、新規顧客の開拓効果が期待できる。Googleにおける「スマートディスプレイ」などが代表的。

4.ハイブリッド(CPA重視)

ターゲティングをより顕在層向けに近づけることでCPA(顧客獲得単価)の節減を狙う。検索広告におけるコンバージョン率が低い一般名詞の設定や、Facebook広告での「類似ターゲティング」などが該当する。

5.今すぐ獲得

運用型広告の最もオーソドックスな用法。すでに欲求が強く発生している顕在顧客に対して広告を出すもので、検索広告における自社ブランド関連のキーワードの設定、リターゲティング(リマーケティング)を実施するもの。CPAは低い傾向にあるが、対象顧客数が限定的なため、この施策だけではいずれ顕在顧客が尽きてしまう。

運用型広告5つの特性を活かす広告戦略

運用型広告をこれから利用する企業は、まず5.の「今すぐ獲得」から始め、その次の段階で初めて3.と4.の「ハイブリッド」を検討するのがよいという。またBtoB企業であれば月間3,000万円程度の予算感までは、獲得重視の広告メニューを選択すべきだと瀧沢氏は具体的な金額をあげて助言した。

運用型広告が機械学習で進化、「ハイブリッド」なら低コストでクリック増

ハイブリッド配信の仕組み

運用型広告は一般論として、クリック単価を低く設定すればするほど、ターゲティング精度が低くなる。しかし、こうした常識を覆す手法として「ハイブリッド」型の広告配信メニューがここ数年で台頭してきた。クリック単価を抑えつつ、コンバージョンを発生させることがハイブリッドの特長だからだ。瀧沢氏は、これを実現する仕組みについて、次のように解説した。

SNS広告や一般サイトにおけるディスプレイ広告は、リスティング広告(検索連動型広告)とは違い、ユーザーやデバイスの数だけ配信枠がある。その数は莫大で、それだけに大まかなターゲティングではコンバージョンに繋がりづらい。かといってターゲティングを精緻に行うと、クリック単価を上げざるを得ない。たとえばBtoB企業であれば、そのほとんどが「男性、40代、経営者」にばかりターゲティングしたいはずで、そうなると入札合戦が過熱するからだ。また、そのターゲティング設定が本当に正解かの確証もない。

こうしたターゲティングの対象を、膨大な配信実績をもとに機械学習アルゴリズムで効率化するのがハイブリッド配信である。広告主は「東京23区在住の人」といった大雑把なターゲティングさえしておけば、あとは広告プラットフォーム側が勝手に広告配信を最適化してくれる。さらには、1つの広告に対して複数のクリエイティブを設定しておけば、ユーザーに応じた出し分けすらもアルゴリズム側で自動化される。

機械学習アルゴリズムによって、膨大なユーザーから最適なターゲティングが行えるようになった

つまり、ハイブリッド配信では、「膨大なユーザーを効率よくターゲティングできる」のでクリック単価の高騰を抑え、「ターゲティングの精度が非常に高く」「クリエイティブの配信最適化が行われる」のでコンバージョン率が上がるのだ。

「認知」が欲しいならまずは「クリック認知」から

では、ハイブリッド配信による広告が成果を上げ、いよいよ「認知」を目指すフェーズとなった時にはどうすべきなのか。瀧沢氏は重ねて(前述の表における2.の)「クリック認知」の重要性を指摘する。

商品や顧客の認知度を向上させる方法の王道はテレビCMだが、その効果の測定はインターネット広告と比べて難しいとされる。最終的には対面式アンケートなどを実施する必要があるし、BtoC商材と比べて潜在・顕在顧客数どちらも絶対的に少ない。BtoB商材の認知率を確認したいとすると、それこそ膨大な調査が欠かせない。また瀧沢氏の経験上、月あたり数百万円程度の予算で「認知」目的の広告配信を行っても、コンバージョンやオーガニック流入の自然増は実感しづらいという。つまり「やってはみたものの結果はよくわからない」という結論に陥りやすい。

「認知」施策は効果測定が非常に難しい

対して「クリック認知」は、漠然とした認知率ではなく、あくまでサイト流入の量を計測する。運用型広告である以上は、予算を投下した分だけ、月間数十万規模で潜在顧客のクリックを発生させられるため、瀧沢氏は「コンバージョンにまでは繋がらなくても、これだけの流入があれば肌感覚として『何かよいことが起きるのでは』と感じられるはずだ」と説明する。

瀧沢氏が携わった事例では、あるBtoB企業が20万クリック分の「クリック認知広告」を実施したところ、翌月・翌々月の顧客単価が30%良化したという。

ただし「クリック認知広告」では、実施に対する因果関係データの取得が難しい。とはいえサイト訪問は発生するので、リターゲティング広告、MA(マーケティングオートメーション)施策にも発展できる(瀧沢氏)

なお、「ハイブリッド」「クリック認知」の効果をより正確に測定するには、イルグルム社のマーケティング分析ツール「アドエビス」が役立つという。

使い慣れた運用型広告の先にあるのが「ハイブリッド」と「クリック認知」

今回瀧沢氏が解説した「クリック認知」「ハイブリッド」は、機械学習の技術進化によってここ数年で実用化したこともあり、まだまだ活用できていない企業は多い。しかし、実態としてはあくまで運用型広告の応用施策。ゆえにリスクは少ないとも瀧沢氏は言う。

認知施策というと、まずYouTubeでの広告や、それに伴う映像素材の施策が想起されがちだが「クリック認知」「ハイブリッド」なら、そうしたコストは不要。それまで使っている運用型広告を(別方向で)展開するというものなので、取り組みやすい(瀧沢氏)

キーワードマーケティングでは、こうした運用型広告に関するノウハウを豊富に蓄積していると瀧沢氏は最後に改めてアピール。広告の運用状況に関する相談、パフォーマンス診断などを通じて、広告にまつわるさまざまな疑問に答えていきたいと述べ、講演を終えた。

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