【レポート】デジタルマーケターズサミット2020 Winter

コンバージョンと見込み顧客へのリーチを両立させる「ハイブリッド広告」とは

ここにきて回復基調にある「非運用型広告」。インターネット広告の「マス化」が進むなか、機械学習により、安価なクリック単価でコンバージョンが発生する広告メニューが登場している
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インターネット広告、特に「運用型広告」の台頭は著しく、もはやネット広告の主役といっても差し支えないだろう。広告効果が具体的なコンバージョン(CV)数・率として正確に算出できるのも人気の理由だ。

しかし、検索広告のクリック単価は高騰するばかりで、広告費の高止まりに頭を抱えるマーケターも多いはず。「デジタルマーケターズサミット 2020 Winter」に登壇したキーワードマーケティングの瀧沢氏は、「そんな状況を打破する希望の光が“ハイブリッド広告”だ」と解説する。

瀧沢貴浩氏
株式会社キーワードマーケティング 取締役COO/マーケティング部 部長 瀧沢貴浩氏

ネット広告は「枠買い」から「運用型」へ

瀧沢氏の所属するキーワードマーケティングは、検索広告(リスティング広告、検索連動型広告)をはじめとした運用型広告のコンサルティングならびに運用代行をしている。

今回の講演のメインテーマ「ハイブリッド広告」とは、キーワードマーケティングが独自に提唱している概念で、「コンバージョン(CV)を発生させる」と「見込み客にリーチする」の2つの要素を、高いコストパフォーマンスで両立させることを指す言葉だと瀧沢氏は言う。

インターネット広告市場は右肩上がりに成長しており、電通によると、2019年のインターネット広告費は2兆1048億円と初めて2兆円の大台に乗った。インターネット広告費を算出するようになった初年度の1996年はたった16億円だったので、約20年で100倍以上の市場規模に成長している。

インターネット広告市場は2兆円市場に

インターネット広告が始まった当初は、「大手ポータルサイトの特定のページにバナーを表示させる」などの「枠買い広告」「純広告」がネット広告の主力だった。その後、2000年代の中~後期頃は「運用型広告」が台頭していった。検索広告や、商用サイト・個人ブログなどあらゆる提携ネットワークに広告を表示させられる「ディスプレイ広告」などが代表的な運用型広告である。

運用型広告の掲載優先順位は、入札額の大小のほか、広告の品質(ランディングページの利便性等)によっても決定される。このため、入札額、どんな属性のユーザーに広告をターゲティングしたいかなどの条件を、適宜変更・改善しながら“運用”していくことになる。

運用型広告は、広告からCVを得られたかの判定もしやすく費用対効果がはっきりと分かるため、2009年のリーマンショックや2011年の東日本大震災といった、日本全体が厳しいビジネス環境に置かれていた時期にも増進しつづけ、2018年にはネット広告全体に対する運用型広告の比率が約80%を占めるまでに拡大した。

運用型広告の比率は全体の約80%まで拡大した

インターネット広告のマス化でニーズが拡大

このように、運用型広告一辺倒とも言える状況が長らく続いてきたが、瀧沢氏によれば変化の兆しもあるという。減少傾向が続いていた非運用型広告の割合が、2018年、わずかながら増加・回復していたのだ。

広告費の統計調査をしている電通は、非運用型広告の増加を予測しているが、私も日々広告運用に携わる中で、非運用型広告の伸長を感じている(瀧沢氏)

瀧沢氏はこの背景に、「インターネット広告がテレビ広告の市場規模を今にも追い越すレベルにまで成長したことがある」と分析する。これまでは製品・ブランドの認知を拡大させるには、広くマスに訴えかけられるテレビ広告が最適とされてきた。しかし、インターネット市場規模拡大によって、インターネット広告でも十分その役目が果たせるようになったと広告主が判断している――つまり「インターネット広告のマス化」が始まっており、ネット広告の用途・ニーズはさらに拡大していくと考えられる。

機械学習によるターゲティング精度向上の恩恵を受け
躍進しているのが「ハイブリッド広告」

ハイブリッド広告が躍進している背景を理解するには、機械学習による広告配信最適化を先導してきた「Facebook広告」の歴史を知ることが手助けとなる。

Facebook広告 進歩の歴史

Facebook広告は、ユーザー自身が登録したプロフィール情報を元に高精度なターゲティングを行うのが最大の特徴だ。加えて、広告からCVに至ったユーザーの傾向をFacebook側の機械学習モデルで分析することにより、CVしそうな類似ユーザーを自動的にピックアップする「類似ターゲティング」機能の精度が、2017~2018年にかけて大きく向上した。

さらに、今では精度が極めて高くなったことで新たな変化が起きていると瀧沢氏は力説する。

プラットフォーム側のターゲティング精度が高まるにつれて、広告出稿者は、以前のような詳細なターゲティング設定をする必要がなくなってきているという。たとえば、「東京23区に住んでいる人」というような、荒いターゲティングだけをしておき、あとは獲得したい顧客像に合わせた広告クリエイティブを数種類入稿しておく。

すると、Facebook側で機械学習分析を行い、“そのクリエイティブが効きそうな人物”をFacebookが絞り込んでくれる、これまでの常識にあてはまらない配信すら可能になった。

今までの常識から考えればありえない方法。無駄なクリックばかり発生してCVはせず、CPA(顧客獲得単価)的に合わないはずだ。しかし不思議なことに、検索広告に比べて安いクリック単価にも関わらず、機械学習によって見込みの高いお客様にアプローチできるため、費用対効果的に釣り合ってしまう(瀧沢氏)

このように、新しいお客様にサイト訪問をしてもらう「種まき」になるだけでなく、コンバージョンも獲得できてしまう広告メニューのことを、キーワードマーケティングでは「ハイブリッド広告」と呼んでいるのだ。

Facebook広告クリエイティブの配信最適化

クリック単価が抑えられるハイブリッド広告

広告クリエイティブの配信の最適化を向上させた結果を、クリック単価やCV率を交えてまとめたのが以下の表だ。数値そのものはイメージだが、この表における「デモグラフィック」が「ハイブリッド広告」にあたる。ハイブリッド広告のクリック単価は、リマーケティングなどと比べ、半分から3分の2程度に抑えられるという。

Facebook広告クリエイティブの配信最適化によるハイブリッド広告の優位性

通常、高いCV率・CV数が期待される広告メニューになればなるほど、比例して入札額が上がり、広告費は高くなってしまう。しかしハイブリッド広告であれば、機械学習の力を併用することで、クリック単価を低く維持したまま、それでいてCV率は高水準となる。

このようなハイブリッド広告はいまや、Facebook以外にも広がりを見せている。

従来の運用型広告の3タイプ

運用型広告は従来、目的別に3つのタイプに分けられていた。

  • 認知
  • 種まき(Webサイトとの出会いをつくる)
  • すぐにコンバージョン

1つ目が「認知」。代表的なのはYouTubeの動画広告である。ターゲティングの範囲次第で、広告費を1視聴3円以下に抑えることも可能だが、一方でクリックが発生しにくいという傾向がある。

2つ目が「種まき」。検索広告の中でも一般名詞から遠いキーワード設定であったり、リマーケティング(リターゲティング)ではないディスプレイ広告などが該当する。1クリックあたりの単価は10~30円程度が目安で、サイト流入を稼ぐにはピッタリだ。

CVを稼ぐのは、3つ目の「すぐにコンバージョン」の役目となる。一般名詞・製品名・ブランド名に基づいた検索広告のほか、リマーケティング広告などが含まれる。コストのコントロール自体は可能だが、クリック単価の目安は100円前後かそれ以上。ただ「認知」「種まき」目的よりもユーザーが限定的になってしまうため、どれだけ資金に余裕があって広告を出したくても、そもそも出せないという難点もある。

運用型広告、従来の3タイプ

ハイブリッド広告は「すぐコンバーション」「種まき」の中間的存在

瀧沢氏は、近年、この3種類に「ハイブリッド広告」が加わることで4種類となったと説明する。

ハイブリッド広告は、「すぐにコンバージョン」と「種まき」の中間に位置付けられる。目安単価も、ちょうど中間程度の50円以下程度だが、前述のFacebookのように広告プラットフォーム側の努力の結果、現状では「すぐにコンバージョン」並みのCV率が達成されつつある。

運用型広告の新しい4タイプ

キーワードマーケティングが定義するハイブリッド広告に該当する広告メニューは、Googleであれば下記の3つだ。広告設定メニューの深い位置にあるため見過ごされやすいが、上手く利用することで高い効果をあげられる。

  • コンテンツターゲット
  • カスタムインテント
  • カスタムアフィニティ

「アフィニティ」とは、ユーザーが興味を持っているジャンルに基づいたターゲティングのこと。また「インテント」は、自社商品やサービスと関連したものの申し込みや比較など、購入に繋がる行動をしているユーザーのターゲティングを意味する。

Google広告のうち「ハイブリッド広告」に該当する3つ

また、Yahoo!広告であれば「サーチターゲティング」、Facebook広告なら「ブロード配信(ノンターゲティング)」「興味・関心」「類似ターゲティング(5%以上)」などが、ハイブリッド広告にあたるという。

ハイブリッド広告運用時の注意点

ただし、いくら効果が高いといっても広告予算全てをハイブリッド広告に投下するのは早計だと瀧沢氏は述べる。

検索広告やリマーケティングが、今でもなお“最強の広告”なのは間違いない。まずは「今すぐコンバージョン」にしっかり投資して、それから「ハイブリッド広告」「種まき」と順番に広げていってほしい(瀧沢氏)

また、ハイブリッド広告はあくまでディスプレイ広告やSNS広告の一種であり、検索広告とは厳密には性質が異なることにも留意が必要だ。検索広告からの流入は、ユーザーが明確な意思・意図をもって広告をクリックすることが多いのに対し、ハイブリッド広告はユーザー行動などを元にプラットフォーマー側が推測・分析した上で独自にターゲティングしているに過ぎず、誤差は当然出てしまう。

  • 検索広告のように明確な意図をもって広告をクリックしているわけではない
  • 「見込み客層であること」を踏まえた広告戦略が必要
  • 場合によっては、コンバージョンポイントを変える必要も

広告予算が月100万円以上ならハイブリッド広告を使うべし

ハイブリッド広告を使うかどうかの分岐点として、瀧沢氏は「広告予算が月100万円以上であれば、ぜひ利用すべき」とアドバイスする。

月100万円以上の広告費を使っていて、ハイブリッド広告未導入であれば機会損失が大きくなっている可能性が高い。全体予算の5~10%を種まき、10~15%をハイブリッド広告に使うのが理想的なバランスだ。残りはやはり「すぐコンバージョン」に割いたほうが、直接的に効果は上がっていくだろう(瀧沢氏)

瀧沢氏は最後に、本日のまとめとして下記を提示し、「広告の運用代行やインハウス運用の相談先として、まずは無料で行える広告パフォーマンス診断を試していただきたい」とアピールして講演を終えた。

  • インターネット広告のマス化が進んでいる
  • 各媒体のターゲティング精度によって、安価なクリック単価でコンバージョンが発生する広告メニューがいくつも登場している
  • 検索広告はいまだに「ネット広告のキング」まずは足元から
  • 月100万円以上の広告費を使っているなら、下記の広告メニューを追加検討する
    • Google:コンテンツターゲット、カスタムインテント
    • Yahoo!:サーチターゲティング
    • Facebook:5%以上の類似ターゲティング
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