『動画広告"打ち手"大全 最強の戦略74』(全11回)

YouTubeで検索キーワードのターゲティングができる「カスタムインテント」設定のコツ

直近にGoogleで検索したキーワードに基づくターゲティングでYouTube上に広告を配信できる「カスタムインテント」機能。実施の手順と、注意点を解説します。(第8回)

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熱量ある人に訴求できるカスタムインテント

YouTubeで頼れる検索キーワードのターゲティング
Chapter 3 広告配信設計 手段の理解と選択が成功の鍵に

直近にGoogleで検索したキーワードに基づくターゲティング「カスタムインテント」は、YouTubeのどのような目的の動画広告でも有効です。TrueViewアクションでは特におすすめで、高い効果が期待できます。

直近でGoogle検索した人にアプローチできる

YouTubeで利用できるターゲティングのうち、「カスタムインテント」は利便性が高く、認知から購買まで、どの目的でも活用できます。特に購買目的の施策と相性がよく、まず試したいターゲティングです。

カスタムインテントはGoogleでの検索行動に基づくターゲティングで、YouTubeの動画広告やファインド広告〈※1〉で利用できます。Googleディスプレイネットワーク(GDN)にも同名のターゲティングがありますが、こちらは興味関心ベースのターゲティングで、仕様が異なることに注意してください。

具体的な方法としては、運用者が検索キーワードを指定することで、直近でそのキーワードを検索した人を「カスタムインテントオーディエンス」としてリスト化し、それをターゲティングに利用します。例えば「完全食」をキーワードとして指定することで、完全食にどんな商品があるのか知りたい、試してみたいなどの理由で検索した人々に、YouTubeで動画広告を配信できます〔図表30-1〕。

カスタムインテントによるターゲティングの仕組み〔図表30-1〕

※1 ファインド広告
スマートフォンのGoogleアプリの「Discover」などに表示される広告。詳しくは129ページも参照。

TrueViewアクションとの相性が特に良好

カスタムインテントは、ターゲットの興味や課題意識を想定してキーワードを指定できるため、適切な訴求内容の動画広告を用意しやすいことが利点です。例えば「完全食 通販」と検索する人は、完全食をECサイトで購入しようと検討している人であると考えられます。そのため、本書の第2章(71ページ)で紹介しているように、商品写真や食事の手順の写真、イラストを使った動画の内容で、完全食商品のベネフィットを伝えるのが効果的でしょう。

完全食とは直接関係がない「中華 デリバリー」のようなキーワードを指定することもあります。上記のキーワードで検索する人には、自炊をせず栄養バランスが乱れがちな人が一定数いると考えられるので、不足しがちな栄養を完全食で得られることをメインに訴求するのが効果的だと考えられます。

カスタムインテントはどのような目的の広告でも有効ですが、このようにキーワードか効果的な訴求内容をマッチさせられるため、コンバージョンを目的とするTrueViewアクションとの相性が特に良好です。効果的なキーワードの例を以下に紹介します。

  • 商品カテゴリーなどのビッグキーワード(「ペットホテル」「海外旅行」など)
  • Googleの検索広告では入札単価の相場が高く、掲載順位を上げにくいキーワード
  • 自社商品と似たベネフィットを持つ商品の名称
  • 競合する企業やブランド、商品の名称

キーワードは複数指定して一定以上のボリュームに

カスタムインテントオーディエンスの作成は、Google広告の管理画面で動画広告のキャンペーンを作成したのち、広告グループの画面で行います。おおまかな手順は以下のとおりで、手順④で指定する検索キーワードには、複数のキーワードを入力します。

これは、ある程度の検索数が見込めるようにし、ターゲットのボリュームを確保するためです。「海外旅行」のようなビッグキーワードなら1語で十分なこともありますが、ブランド名などのキーワードでは10語以上入力する場合もあります。

〔実施手順〕
  1. Google広告の管理画面で動画広告のキャンペーンを作成し、特定の広告グループを選択しておく。
  2. [オーディエンス]の編集ボタン(ペンのボタン)をクリックし、[閲覧]タブ→[ユーザーが積極的に調べている情報や立てている計画]の順にクリックする。
  3. 新しいカスタムインテントオーディエンス]をクリックする。
  4. オーディエンス名を入力し、[検索キーワードを追加]にキーワードを入力する〔図表30-2〕。
動画キャンペーンのカスタムインテントオーディエンス作成画面〔図表30-2〕

カスタムインテントターゲティングの注意点

強力なカスタムインテントターゲティングですが、利用にあたっては次の4点に注意してください。(鈴木)

キーワードが拡張される

指定したキーワードは部分一致として機能するため、指定したキーワードそのものだけでなく、類義語や関連語句を含むキーワードも対象となります。例えば「動画広告 成果」を指定したら「動画広告 効果」「アニメーション広告 成果」のようなキーワードも対象となる可能性があります。こうした拡張も想定してキーワードを指定しましょう。

リスト単位でしか結果がわからない

複数のキーワードを指定して1つのカスタムインテントオーディエンスを作成しても、広告の配信結果の確認はリスト単位でしか行えず、キーワード単位ではできません。

一定のボリュームが必要

作成したカスタムインテントオーディエンスと、年齢などその他のターゲティング設定を掛け合わせた最終的なターゲットのボリュームが一定のしきい値を超えないと、広告が配信されません。しきい値を超えてもボリュームが小さすぎるとCPMが大きく上昇する傾向があり、バランスを考えたキーワードの選択が求められます。

除外指定はできない

カスタムインテントオーディエンスリストはターゲットの指定にのみ利用でき、除外のためには使えません。

まとめ

カスタムインテントは、直近の検索行動をもとにした強力なターゲティングです。高い精度で、興味関心の熱量が高い人への訴求を可能にします。

 

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