『動画広告"打ち手"大全 最強の戦略74』(全11回)

動画の企画は、まずフレームワーク「CAMS」で構成する

動画の企画は構成が複雑です。複雑な情報に惑わされず、動画を完成に導くために「型」を決めておくと便利です。動画の構成を決めるために便利なフレームワーク「CAMS」を紹介します。(第10回)
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2020年3月6日発売の書籍『動画広告"打ち手"大全 最強の戦略74』の第1章全てと、他5節をWeb担で特別公開。

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動画の企画は「CAMS」で考える

期待する行動を引き出す動画のフレームワーク
Chapter 4 企画と制作 迷わず完成に導く「型」を知る

動画の企画を考える際に、筆者は「CAMS」というフレームワークを使っています。視聴者から期待する行動を引き出す構成を組み立てやすく、評価と改善を進めやすいというメリットがあります。

動画の企画構成に役立ち、関係者間での共有にも便利

動画の企画といわれても、具体的にどのように進めればいいのか、わからない人も多いのではないでしょうか。特に、動画には時間軸による流れがあるため、複数のパートとして構成を考える必要があり、静止画よりも複雑です。

そこでおすすめしたいのが、「CAMS」(キャムズ)というフレームワークです。CAMSとは、CATCH(つかみ)、APPEAL(ベネフィットのアピール)、MOTIVATE(動機付け)、SUGGEST(行動の提案)の頭文字をつなげたもので、動画を企画する際の骨組みとなる考え方です。これらの4パートに内容を当てはめながら、動画全体を構成します〔図表42-1〕。

CAMSの4つのパート〔図表42-1〕

最後のSUGGESTパートで、動画の視聴者に期待する具体的な行動を促すことから、ECサイトでの商品の購入、サービスの申し込み、店舗への来訪といった行動をすすめたい施策で幅広く利用できます。また、動画の企画や構成について関係者間で共通言語化しやすいため、動画の分析や改善をするときのコミュニケーションにも便利です。各パートを、以降で詳しく見ていきましょう。

ターゲットの心をつかみ、視聴の期待を高める「CATCH」

最初のCATCHパートでは、動画の冒頭1~3秒の1~2カットでターゲットの心をつかみ、視聴を続ける気持ちになってもらいます。

いきなり「こう役立ちます!」のように商品のベネフィットを伝えるのではなく、まずはメッセージを自分ゴト化して捉えてもらうため、共感できる悩みや課題、またはインサイト〈※1〉に触れる内容を伝えて、以降の視聴につなげます。

理想的には、ターゲットが寝ぼけている状態でもハッとするような、直感に働きかける内容がいいでしょう。ただし、過度に不安をあおったりするものは忌避されてしまうのでやめましょう。

第2章でも取り上げた架空の完全食「TAIZEN」のモーショングラフィックスによる動画広告を例に、CATCHパートを考えてみましょう。多忙な男性オフィスワーカーをターゲットとして、短時間で食事を終えられることがベネフィットの1つである商品を紹介するので、ターゲットのイメージに近いキャラクターが仕事をしている様子から、忙しいときの「あるある」な場面を描写して、共感してもらうことが考えられます〔図表42-2〕。

CATCHパートのイメージ〔図表42-2〕

※1 インサイト
表面化されておらず、本人も意識できていない感情や本音のこと。さまざまな調査・分析からインサイトを探り出し、それに対応したメッセージを届けることが求められる。

ブランド要素とともにベネフィットを訴求する「APPEAL」

2番目のAPPEALパートでは、ブランドのロゴや商品のパッケージなど、動画広告の発信者がわかる要素を示しつつ、商品のベネフィットをアピールします。CATCHパートと連動し、CATCHパートで言ったことの解決策や回答になるような内容とします。

基礎設計で考えた「何を伝えて」にあたる、もっとも伝えたい内容がこのAPPEALパートで、2~4カットほどが目安です。YouTubeのTrueViewインストリームやTrueViewアクションでは、スキップ可能になる5秒までの間に、CATCHパートに加えてAPPEALパートを少なくとも1カット入れます。スキップされることを考慮して、5秒以内にブランド要素を表示し、誰が、何をアピールしているのかは最低限認識してもらえるようにしましょう。

架空の完全食「TAIZEN」を例にすると、商品のパッケージやブランドロゴを表示しながら、ベネフィットである短時間で食事が取れることや、栄養バランスのよさを伝え、興味を持ってもらうようにする内容が想定できます〔図表42-3〕。

APPEALパートのイメージ〔図表42-3〕

不安の払拭により行動の動機付けを行う「MOTIVATE」

3番目のMOTIVATEパートは、疑問を解消したり不安を払拭したりする補足的な情報を伝え、行動の動機付けをします。

具体的な内容としては、商品の既存顧客の声、満足度や売り上げなどの実績データ、商品の種類やサービスのプランといった価格に関する情報、期間限定キャンペーンのインセンティブなどが代表的です。内容は増やしすぎず、これだけは必要と考えられるものに留め、1~3カットを目安に伝えましょう。

架空の完全食「TAIZEN」を例にすると、これから購入しようとする人に商品への理解を深めてもらうことが有効でしょう。顧客へのアンケート調査結果をもとに、TAIZENユーザーの職業や摂取タイミング、感想のメッセージなどを伝えることが考えられます〔図表42-4〕。

MOTIVATEパートのイメージ〔図表42-4〕

具体的な行動をすすめる「SUGGEST」

最後のSUGGESTパートは、視聴者に期待する行動を、視聴者に寄り添って1つ提案します。ここで重要なのは、期待する行動について、何をどのように実施できて、どのような結果が得られるかを、できるだけ具体的に示すことです。

例えば、診断コンテンツの利用を提案するなら、ただ「まずは◯◯診断を!」と伝えるよりも、診断フォームの一部や診断結果の例を示しつつ「まずは30秒でできる◯◯診断を!」としたほうが、クリックとその後の診断を効果的に促進できます。

架空の完全食「TAIZEN」を例にすると、ECサイトで商品を購入してもらうことが期待する行動にあたります。初回購入者向けのパッケージを紹介し、「まずはスターターキットから」のような字幕とナレーションで行動を提案するのがいいでしょう〔図表42-5〕。

SUGGESTパートのイメージ〔図表42-5〕

「AMS」や「AS」とする応用パターンも

動画が短尺となるアウトストリーム広告などでは、CAMSのすべてのパートを必ずしも含めず、一部のパートを省略した応用パターンを用いて企画することもあります。

CATCHを省き、動画の冒頭からAPPEALパートを始める「AMS」や、さらに短くした構成ではMOTIVATEも省いて「AS」とする場合があります〔図表42-6〕。メインの訴求内容であるAPPEALパートと、行動をすすめるSUGESTパートははずせないため、「AS」の流れがもっともシンプルな構成となります。

CAMSの応用パターン〔図表42-6〕

制作時のコミュニケーションを円滑にする効果もある

CAMSは、動画の企画・制作中における関係者間のコミュニケーションにも便利です。動画の「どの部分か」を他人にわかりやすく指し示すのは意外と難しいものですが、全員がCAMSを理解していれば、絵コンテなどがなくても簡単に伝わります。

例えば、「CATCHパートの新しい表現のアイデアができた」「APPEALパートのグラフを差し替えたい」のように、短い言葉だけで動画のどの部分を指しているかを伝えられるため、コミュニケーションの負荷を軽減できます。

企画・制作の早い段階でCAMSについて制作者やほかのメンバーと共有し、共通言語とすることをおすすめします。本書でも以降、動画の構成に関してはCAMSをベースに解説を行います。

動画広告を運用しながら評価と改善を繰り返していく中で、例えばA/Bテストを行う際にもCAMSの概念は役立ちます。詳しくは本書の210ページで解説していますが、各パートの役割がはっきりすることで、最適な訴求パターンを見つけ出すために、どこを変えていけばいいのかを考えやすくなります。(鈴木)

まとめ

動画を企画する際のフレームワークとして、また制作や評価の過程でも使える共通言語として、CAMSは便利です。汎用性が高く、一部を省略した応用も可能です。

 

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