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2021年 SEOの挑戦課題【前編】 「ユーザーの検索目的に寄り添うコンテンツ作り」

進化し続ける検索エンジン。2021年、SEO施策として取り組むべきポイントは何か? ユーザーの検索目的の仮説立てと検証改善方法を中心に解説する。
小丸 広海(Faber Company)+古澤暢央(Faber Company) 2/5 7:00 | 印刷用
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検索エンジンの進化によって、”ユーザーのために行う施策”が自ずと検索順位の向上につながる時代となった。そこで、750以上のサイト運営を支援してきたFaber CompanyのCEO 古澤暢央とSEOエキスパート 小丸広海が、基礎知識の習得を終えたSEO中級者に向けて、これからのSEO施策をお伝えしたい。

今回掲載の前編では「ユーザーの検索目的に寄り添うコンテンツ作り」のおさらいを、次回の後編では「ユーザーとの関係性作り」に焦点を当てる。2021年の挑戦課題として取り組んでいただけたら幸いである。

ユーザーの検索目的の仮説立てと検証改善に注目する

「良いコンテンツとは何か?」この問いに完璧な答えはない。なぜなら、検索ユーザーの満足度が全員一致することはないだろうし、求められるコンテンツのフォーマット(体裁)も文字や動画、画像などユーザーによって違うかもしれないからだ。

しかし、日々のSEO現場でそんなことはいっていられない。そのため、検索キーワードを月間検索数の多い順に並べ、その検索上位ページとQ&Aサイトなどを見ながらユーザーニーズと必要なコンテンツ品質にアタリを付けて施策を進めることが多いだろう。

この方法は、コンテンツが少ないWebサイトやSEO初心者であれば、取っ掛かりとしては良い。しかしせっかくなら、ユーザーニーズと、要求されるコンテンツ品質を精度高く予測してコンテンツを作り、その後に検証改善するサイクルをもって“答え”(企業・検索ユーザー・検索エンジンの三方良し)に近づけたい。そのために私たちがいつも心掛けている「ユーザーの検索目的の仮説立てと検証改善」のポイントを、次の点にわたって紹介する。

  • 知りたいことと検索キーワードは発展・変化する
  • ユーザー体験を描いてみる
  • ヒートマップ分析で検証改善する

知りたいことと検索キーワードは発展・変化する

私たちが検索するときは常に「目的≒最終的に得たい成果」がある。30年前にある学者が「人の情報探索はクエリと情報ニーズ自体が発展していく」といった主旨の発言をした。要するに、“検索をして情報を得て考える → すると新たに知りたいことが発生し、キーワードを変えて検索をして情報を得て考える → また新たに知りたいことが…”を繰り返しながら目的達成に向かうということだろう。

探索の事例_マイクを購入する場合

とあるマイク購入例を通じて解説するので、追体験してみてほしい。

昨年、新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークとなり、オンライン会議が増えたので、よりクリアに音が伝わる固定マイクを購入しようと考えた。しかし、商品知識はなく、予算も5,000円なら出せるかな、などと考えていた(筆者の実体験である)。

まずは思いついたキーワードから検索を行った。

  1. 「オンラインミーティング マイク」で検索

    ショッピングモール系ECサイトを一通り閲覧するが大量の製品があり、良し悪しの基準がわからずスペックを見てみようと考えた。

  2. 「オンラインマイク スペック」で検索

    指向性、周波数特性、負荷インピーダンス、S/N比、など難しい単語が並び、選定基準や最適用途がわからないので断念。モールでの星評価と予算とで、いくつかの製品名をメモしたので使用感を探ることにした。

  3. 「製品名 レビュー」で検索

    各製品のレビュー記事を、個人ブログを中心に閲覧した。ゲーム実況者が、実際にマイクを利用して録音したYouTubeの埋め込み動画を発見したので再生。実際の音を聴くことが判断材料になることに気付いた。

  1. 「製品名A 製品名B 聴き比べ」で検索

    候補を2つに絞り、聴き比べられるか検索をしてみると多くの動画がヒット。1つ目の動画をクリックするとYouTube動画に遷移した。ここで充分に納得できる体験ができ、より鮮明に聴こえた製品Aの購入を決定。そのYouTube動画の概要欄にあるリンクをクリックし購入した。

知りたいことと検索キーワードが発展・変化する様子をご理解いただけたと思う。もしあなたがマイク専門ECサイトのマーケティング担当者だとして、この例においてユーザーとの接点を最大化しつつ目的達成(購入)につなげるために、どんなSEO施策を行うだろうか?

このケースでは実際の音を聴くことが意思決定のカギを握っていた。同じターゲット層に対しては「マイクの選び方」のようなコンテンツを作り、音を聴き比べることができたり、利用シーンごとに検討すべき性能や機能を掲載するという、判断基準を伝えるアプローチが有効かもしれない。

  • オンライン会議の参加人数、部屋の広さ → 集音範囲や性能に関わる
  • 1人利用の場合、環境は個室かカフェ等か → ノイズキャンセリング機能の有無

こういった判断基準軸と予算で、マイクの一覧表を作ってみてはどうだろうか?

音声の聴き比べ動画はしっかりと作り込み、YouTubeを活用してページに埋め込めば、YouTubeからの流入も期待できるだろう。著名ビジネス系ユーチューバーにマイク使用感のレビューやコメントを寄せてもらうと信頼度は増すかもしれない…などなど、アイデアが湧いてくる。

ユーザー体験を描いてみる

マイク購入の例はとてもシンプルなので想像しやすいが、実際の現場でどう応用実践したら良いのだろうか? 次のような枠組みで考えてみるといいだろう。

  • ユーザーは誰で、どのようなシチュエーションで検索しているか?
    (マイク例でいえばオンライン会議用/音楽用/YouTuber用など)
  • ユーザーの目的≒最終的に得たい成果は何か?
    (知識充足/比較調査/購入)
  • ユーザーの目的達成に必要な情報は何か?
    (判断基準の提示/スペック/手順/リスト)
  • ユーザーからの信頼を担保できる要素は何か?
    (資格や証明/専門家の存在/監修/実績/歴史)

次にこんな情報を集める。

  • 顧客ヒアリング → 購入時の経路、悩んだことや迷ったことを詳しく
  • 顧客接点の多いメンバーとのブレスト → 顧客が購入前によく質問してくる事柄
  • アクセス解析ツールでの分析 → 初期接点~コンバージョンまでの流れ

これらの情報から代表的なユーザー体験、つまり何かしらの購入動機の発生~目的達成までこんな風にユーザーが動くだろうという仮説を、数パターンほど図に描いてみる。

そうすると「ユーザーが後々知りたくなること」や「必要なコンテンツ」への解像度はグンと増すし、適切なコンテンツフォーマット(文字/動画/画像)や活用すべきチャネルも見えてくるので、知りたいことと検索キーワードは発展・変化するという事実に恐れる必要はない。

このようなプロセスで考えれば、月間検索数の多いキーワードを眺めて施策案を出すよりも成果が得やすいし、何よりマーケターの仕事として、やりがいが湧いて楽しいのではないだろうか。

以上が、ユーザーニーズと要求されるコンテンツ品質を満たすために私たちが心掛けている点である。前編の最後に、ワンポイントアドバイスとして私たちが実施しているコンテンツ投入後の検証改善施策について、少し触れておきたい。

ヒートマップ分析で検証改善する

ここでは、直観的に理解しやすいヒートマップツールを用いた検証改善例を伝えたい。

ヒートマップ分析とは、Webサイト訪問者の行動をサーモグラフィーで可視化する手法のことで、「熟読エリア」「タップ・クリック箇所」「離脱ポイント」などが把握できる。これによってユーザーが求めていること(熟読エリア、タップ・クリック箇所)、ユーザーが見限った瞬間(離脱ポイント)を明らかにし、コンテンツのリフォームやリライトに活かすのだ。

なお、ヒートマップツールは提供ベンダー各社によって機能の定義や基準が違うので、確認してから活用してほしい。

施策①熟読エリアの移動

ユーザーはページをスクロールしていくにつれて離脱していくため、ユーザーが知りたい情報はなるべくページ上部に配置したい。しかし、ページ下部なのに熟読されているエリアがあれば、見落としてしまったユーザーニーズの可能性がある。そのコンテンツブロックをページ上部に移動させ、ページ全体の文脈とtitleやdescription要素も整えると、熟読率や滞在時間が上がることが多い。

たとえば次の図は、アテンションヒートマップを参照し、熟読エリアを移動することで改善した例だ。アテンションヒートマップとは、どこの箇所がよく読まれているのかを色を用いて可視化する機能のこと。赤色がよく読まれている箇所であり、緑色~白色と寒色(無色)になるほど熟読されていない箇所と捉えることができる。

熟読エリアを移動した後では、熟読率、滞在時間ともに改善し、この施策だけが要因とは限らないがターゲットキーワードの検索順位も48位から2位へと大きくジャンプアップした。なお、熟読率とは、ページの平均熟読率のことで、ユーザーが読み込んでいる時間や、最後まで読み終わったユーザー割合から算出している。滞在時間は、Googleアナリティクスで計測した平均ページ滞在時間になる。

施策②ファーストビュー離脱率の改善

ファーストビューとは、ユーザーがページにアクセスした時にスクロールせずに画面表示される部分を指す。自然検索からの流入で、ファーストビューから1回スクロールした辺りで40%超の離脱がある場合は要注意である。

この場合、おそらく検索結果ページにおけるページタイトルから抱いた期待と、ファーストビューで得られた情報がミスマッチしている可能性が高い。そこでユーザーがこのページから得られるベネフィットを一目で理解できるよう、リード文とアイキャッチ画像に簡潔に示す。すると、スクロール率は上がり(ページを読んでくれる)、ページ全体での熟読率や滞在時間が上がることが多い。

次の図は、ファーストビューの改善前と後のスクロールヒートマップだ。スクロールヒートマップとは、ページをスクロールするたびに何%のユーザーが離脱したか?を示す機能のこと。改善前はファーストビューから1スクロール目で50%弱のユーザーが離脱していた。そこでリード文や画像をユーザーのベネフィットに訴えかけるものに差し替え、長い説明箇所は画像化や装飾を行った。その結果、離脱率は下がり、熟読率、滞在時間ともに上がり、ターゲットキーワードの検索順位も3位から1位になった。なお、スクロールヒートマップはファーストビューに限らず、離脱者が増えた箇所の見直しにも使える。

注意してほしいのは、ヒートマップツールは答えを提示してくれるわけではないということ。改善のキッカケを得る機会として使い、問題点と解決策の仮説を立て、ユーザーの目的達成に寄り添う姿勢が大事である。こういった検証改善を繰り返すことで、ターゲットキーワードの検索順位にポジティブに影響するケースは実に多い。

ここまで前編として「ユーザーの検索目的に寄り添うコンテンツ作り」の流れと改善施策のポイントをお伝えしてきた。すでに実施できている方も多いと思うが、改めてプロセスや考え方を見直すキッカケになればと思う。後編では、「ユーザーとの関係性作り」についてお伝えしたい。

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