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なぜ、「導入事例」はBtoBマーケティングで重要なのか?

BtoBマーケティングで重要な「導入事例」活用のメリットについて、GAXマーケティングの佐藤岳氏が解説。

BtoBビジネスのマーケティングにおいて「導入事例」が重要なことはわかっていても「自社の導入事例は何のために作成し、どのような成果を上げているか」を明確に説明できるマーケターは意外と少ないのではないでしょうか。

実際のところ、導入事例をなんとなく企画し、他社を真似して制作しているものの「これって効果的な事例なんだっけ?」と不安に思っていませんか。

そこで今回は「受注を呼び込む導入事例制作と運用のメソッド」を確立し、BtoBマーケティングを支援を行っているGAXマーケティングの佐藤岳氏に、Faber Companyの月岡克博が対談の形でお話をうかがい、以下のポイントについて、全3回にわたり解説。「BtoBマーケティングにおける導入事例」について紐解きます。第1回のテーマは「マーケティング活動における導入事例の定義と重要性」についてです。

BtoBマーケティング活動における「導入事例」の定義とは?

月岡克博(以下、月岡)まず、今回の対談を進めるにあたって明らかにしておきたいのが、そもそも「BtoBマーケティング活動における導入事例」とは何なのかです。BtoBマーケティング支援のための「導入事例制作と運用のメソッド」を確立されている岳さんは、導入事例をどのように定義していますか?

佐藤岳(Sato Gaku)氏
2000年より事業会社とサービス提供会社で営業、マーケティング担当者としてBtoBマーケティングに従事。2015年11月に株式会社ブイキューブへ入社し、2016年4月〜2020年12月までマーケティング本部長としてほぼゼロベースで組織を立ち上げ、マーケティング活動からの新規受注を2016年比で9倍へと拡大。コンテンツの企画制作、広告運用、アナリティクスを完全内製化し商談の創出、受注に貢献。得られた知見やノウハウ・ドゥハウを提供するBtoBマーケティング総合支援サービスGAX(ガックス)を2021年1月より提供開始。

佐藤岳氏(以下、佐藤)一言で言えば、導入事例とは「製品やサービスを導入した実際の顧客が選定の理由、導入の決め手、導入効果、使ってみた感想などを顧客自身の肉声で語るコンテンツ」です。

たとえば、とある企業のホームページで自社製品のメリットを切々と謳っても、読者からすると「都合のいいことしか書いていないんでしょ?」と思われがちです。しかし、実際にその製品を導入した顧客が「これまで抱えていた課題を、こう解決できた。選定時には他社製品と比較してここが良かったから採用した」と語ってくれる導入事例は、読者目線だと信ぴょう性が強くなりますよね。

月岡確かに導入事例は、手前味噌感がないですね。

佐藤顧客自身の肉声という強みを引き出せる導入事例は、単にコンテンツを発信する企業側(すなわち売り手)だけにメリットがあるわけではなく、読者(すなわち買い手)にとっても、製品の導入プロセスで必要とされる要素が網羅されている「優良なコンテンツ」なのです。

買い手(読者):導入事例のメリットは?

月岡導入事例の買い手(読者)と売り手(導入事例を発信する企業)双方のメリットを教えてほしいです。まずは、「買い手側のメリット」から教えてもらえますか。

Faber Company 月岡克博

佐藤製品・サービスの導入検討に関する調査」の結果をもとに説明しましょう。2023年にオンラインで実施した調査で「どのような導入事例を読みたいか」を聞いたところ、62.7%が「同じ業種・業界の事例」、54.7%が「自社と同じ課題を解決した事例」、48.0%が「自社と同規模の企業の事例」と回答しています。一方「知名度の高い企業や団体の事例」は16.0%に過ぎません。

つまり、導入事例を通じて「業種/業界」「課題感」「規模」など、自社の属性に近い企業の成功例がわかると、買い手にとって自社の成功イメージを想起しやすいわけです。

読みたい導入事例

出典:「製品・サービスの導入検討に関する調査」 調査対象者:アイティメディア読者会員、総回答数:520名 有効回答数:375名、調査時期:2023年1月10日~1月15日、以下、グラフ引用は調査名のみ記載
 

月岡確かに以前から、「●●業A社、〇〇業B社、△△業C社…」という伏字の事例は果たして効果があるのかと疑問に思っていたのですが…。実社名の導入事例であれば自社の属性に近いかが一目瞭然ですね。

佐藤買い手目線でもう1つ有効なのは、導入失敗リスクの回避です。成功事例の中で「他社製品と比較した場合、ここがよかったから選定した」という理由は、同じ他社製品を検討中の場合「なるほど、他社製品ではその点がデメリットだったか」という気づきにもなるわけです。

月岡確かに! 製品選定の成功という視点だけではなく、失敗を避けるための情報としても役立つというのは見逃せないポイントですね。

買い手(読者):購買活動の各段階で「導入事例」が刺さる

佐藤さらに買い手のメリットとして、買い手の購買活動の「情報収集」「比較検討」「稟議申請」のいずれの段階でも導入事例が活用されています。こちらも調査結果をもとに見ていきましょう。

「情報収集」段階では「技術解説」「製品・サービス紹介」「導入事例」の3TOPが横並び
「比較検討」段階では「技術解説」「導入事例」「製品・サービス紹介」「体験レビュー」を重視
「稟議申請」段階でもっとも読まれているのが「導入事例」

出典:いずれも「製品・サービスの導入検討に関する調査」

 

月岡これは興味深いデータです。制作した導入事例は、購買活動のさまざまなフェーズで活用できるというわけですね。

ミエルカSEOでも導入事例の公開には力を入れているのですが、実際にオーガニックのCVユーザーの約40%強は事例ページを閲覧しているんです。この調査結果は、今後のマーケティング施策での導入事例活用にも参考になります。

売り手(導入事例を発信する企業):導入事例のメリット

月岡次に導入事例を発信する企業側、すなわち売り手にとってのメリットを教えてください。

佐藤これは冒頭の「導入事例の定義」でも説明したとおり、顧客自身の肉声だからこその信ぴょう性が一番の強みです。マーケティング活動では、自社が他社より何が強いのか、何が独自性なのかという「バリュープロポジション」を確立することが重要なのは周知のとおりです。とはいえ、客観的に「バリュープロポジション」を訴求することは難しい。導入事例は顧客自らが「バリュープロポジション」を語ってくれる点が優れているわけです。

月岡バリュープロポジションの訴求というのはマーケターとして大きなテーマですが、その点において確かに導入事例は有効ですね。改めて整理して考えることができました。

売り手(導入事例を発信する企業):制作過程のインタビューが「宝物」と評価する企業も

「導入事例は宝物と評価するお客様もいる」と佐藤氏

佐藤売り手側のメリットとして、制作過程で得られる情報を有効活用している企業もあります。GAXでマーケティング支援をしているお客様では、導入事例制作インタビューに役員が必ず同席しているんです。

たとえば商談時には、他社製品との比較の実情はなかなか明かしてもらえません。導入事例のインタビュー段階では、すでに製品を導入して効果を実感してもらっているからこそ引き出せる顧客の本音を目の当たりにするケースも多いため、そのお客様は「導入事例は宝物」と評価しています。そこで得られた情報は、今後のセールストークに活用するケースもあると聞きます。

月岡私も導入事例のインタビューにはなるべく同席するようにしているのですが、そこでお話いただく内容は示唆ばかりです。マーケティング施策に活かしたり、営業資料の改編につながったりしています。

今回のお話で、定性的/定量的な両方の観点から、マーケティング活動における導入事例の位置づけがはっきりしてきました。第2回では「受注を呼び込む導入事例の作り方」のテーマで、効果的な事例作成方法についてお聞きします。

※本文内の写真は、 WeWork 神谷町トラストタワーにて撮影されたものです。
 
「稟議申請」に関する図版に誤記があり修正しました(24-07-24 編集部)
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