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ABCマートのECがコンバージョン1.6倍に! SEO×CROによるグロース施策とは?

ABCマートは、自社ECサイトをグロースさせるため「SEO×CRO」施策を展開。CVを1.6倍にした。どのような分析を行い、改善策に落とし込んだのかを具体的に紹介する。

小さな商社からスタートし、国内外で靴などの小売店舗「ABC-MART」を運営する株式会社エービーシー・マート(以下、ABCマート)。2019年には国内1,000店舗を達成し、2022年には東南アジアにも進出。店舗だけでなくオンラインでの販売にも力を入れるABCマートは、自社ECサイトをグロースさせるため、「SEO×CRO」施策を展開。結果、導入から約1年でコンバージョン数1.6倍という成果が生まれた。

そこで、ABCマート ECサイトの運営を担当する店舗運営部デジタル営業チームの西浦栄徳氏と野口泰氏に、各施策を支援したFaber Company コンサルタントの竹口一輝と東真澄とともにお話を伺った。

左から、エービーシー・マート 店舗運営部 デジタル営業チームの野口泰氏、西浦栄徳氏、
Faber Company コンサルタントの東真澄、竹口一輝

現場主義のチームに、デジタルの知見を蓄えたい

ABCマートは、2005年と比較的早い段階からECサイトの運営をスタート。各種モールなど他店舗にも出店しているが、自社サイトのシェアが最も高く、自社ECへの投資を優先的に行っているという。西浦氏は店舗での販売業務を経て、2014年からデジタル営業チームに配属され、現在はUI/UX改善、LP最適化などを担当。野口氏も同様に、現場での経験を経て2018年から同部署に配属された。

西浦氏がデジタル営業チームに配属された時点では、主要なビッグキーワードは検索順位も高く、SEOはある程度“きている”状態だったという。しかし、コンバージョンに近い複合キーワードやニッチなテールキーワードは競合他社に後れを取っている状況だった。この状況を打破するため、よりSEOを強化していくことになった。

一方で、CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)施策に関してはそこまで注力をしていなかった。

私たちは現場経験が豊富なので、どんなPOPや接客であれば、お客様が商品を購入してくれるかは肌感覚でわかります。しかし、ECではそうしたリアルな反応が得られません。ツールを用いて定量的にデータを収集し、改善する方法がわからずにいたのです(西浦氏)

チーム内にデジタルマーケティングのスペシャリストがいない中、外部の協力会社などのアドバイスを受けつつ、少しずつ社内にナレッジを蓄積させていった。西浦氏自身も、書籍などで勉強を進める過程で、Faber CompanyのミエルカSEOとミエルカヒートマップの存在を知り、自社に必要なものだと感じて導入を決定したという。

当時はFaber Company CAOの小川卓さんの著書や、Search Advocate(サーチ・アドボケイト)の鈴木謙一さんのブログを読んでいましたし、SNSもフォローして情報収集していました。
そこでミエルカのサービスも知り、「これだけの知見を持つ方々が提供するツールなら、間違いないだろう」と。ちょうど展示会に出展していることも知り、現地でデモンストレーションも見に行きました。そこで改めて自社のニーズとツールがマッチしていると感じ、導入を決定しました(西浦氏)

エービーシー・マート 店舗運営部 デジタル営業チームの西浦栄徳氏

ヒートマップ分析と改善提案でコンバージョン数を1.6倍に

ツールの導入により、明確な成果が得られたのは約1年後。梅雨シーズンを見越して作られた「レインシューズ」の特集ページは、2023年5~6月の1ヶ月間のコンバージョン数が、昨年同時期と比較して1.6倍に成長。夏を見越して展開している「トレッキングシューズ」や「サンダルコーデ」の特集では、改善前と比較して1.2~2倍超のコンバージョンを計測した。

どのような施策によってコンバージョンアップに繋がったのだろうか。具体的な改善施策の内容を解説してもらった。

ユーザー行動分析からのコンバージョン改善施策

例えば、トレッキングシューズのページの初期ヒートマップ分析の際は、以下の点に着目した。

  1. ページ上部の「人気商品ランキング」に注目が集まっている(=熟読する)。
  2. 「人気商品ランキング」の下部にある「人気ブランド」と「価格から探す」は注目度が下がり、且つ離脱も発生している。
  3. 「価格から探す」の下部にある「商品のカテゴリー一覧」は、再度注目されている。

具体的に、ヒートマップ分析結果を見てみよう。

<改善前のヒートマップ分析結果>

改善前のトレキングシューズページのヒートマップ分析結果例

こうした結果から、以下のような考察を立てた。

  • 人気商品を見ている人は、もっと他の人気商品を見たいのではないか?
  • 人気商品を見た後に、「人気ブランド」や「価格から探す」でカテゴリーページへ行く人よりも、カテゴリー別でどんな商品があるかを見たい人が多いのではないか?

そこで、次の施策を提案した。

  1. 「人気商品ランキング」の下に「もっと見る」の導線を設置
  2. 「人気ブランド」「価格から探す」と「商品のカテゴリー一覧」のコンテンツを入れ替え

<改善後のヒートマップ分析結果>

改善前のヒートマップ分析結果から導いた提案内容をページに実装した結果、全体のクリック率が約1.3倍になり、商品詳細ページへの遷移率も約1.2倍になったという。

改善後のトレッキングシューズページのヒートマップ分析結果例

CTAボタンの設置やコンテンツの入れ替えなど、ちょっとした工夫でクリック率や遷移率が上がり驚きました。サポートを通して、「ユーザーがどう動いたか?」「どんなことを知りたいのか?」「何を見たいのか?」など、ユーザー目線で深堀することを学びました(野口氏)

ユーザーの検索意図分析でターゲットキーワード1位を獲得

続けて、SEO改善の施策について見ていこう。

まずは次図のように、ミエルカSEOでトレッキングシューズの周辺にある検索キーワードごとの検索意図を分析した。

ミエルカSEOの主要機能「サジェストインテンション」では、同じ検索意図を持つキーワードが近距離で表示される(レディース系のニーズが一箇所に集まっている)

1つ1つの円がサジェストキーワード、円の大きさは検索数の大小を表現。また、検索意図が近いキーワードは近くに表示され、視覚的に検索意図のカタマリがわかるのがこの機能の特徴だ。

この分析結果をもとに、「ショップ店員のコーディネート例を掲載すべき」「シューズ選びの疑問点に答える文章を追加したほうが良い」など、コンテンツの内容にも手を加えたという。

「ページに具体的にどう手を加えるべきか、思考の過程も含めてお伝えすることを心がけました」と語るFaber Company・東真澄

SEOは「検索キーワードを盛り込めばOK」というわけではありません。キーワードを起点として、ECサイトで靴を買うとしたらどんな情報が欲しいのか、実際のユーザーになったつもりで具体的な変更案を提案してきました(東)

ミエルカSEOのニーズ分析機能での調査結果をもとに、「トレッキングシューズを用いたコーデ紹介を追加する」といった具体的な改善施策を提案

こうした分析をもとにコンテンツを改善した結果、「トレッキングシューズ」のキーワードで1位(2023年7月現在)になるなど検索上位表示も実現できている。

キーワード「トレッキングシューズ」の順位推移グラフ。4~9位あたりだった検索順位は、施策実施後、1~2位で安定するようになった

バブルチャートで直観的に検索意図を確認できる点や、競合サイトとの順位比較が出力されるので改善施策を検討する際に非常に役立っています(野口氏)

メンバーがスキルアップし、店舗経験とデータをかけあわせた分析改善ナレッジを蓄積

メンバーのスキルアップ、自走できるチーム作り

こうした定量成果以外にも、西浦氏が求めていた「チーム内のナレッジの蓄積」という定性的成果も得られてきている。チームメンバーにデータの収集・分析・改善を行うためのスキルが身についてきたことが大きいという。

現在、チームには商品販売を担当するメンバーが10名いる。半年を目途にメンバーの入れ替えを行いながら、ツールを用いたWebマーケティング業務を体験させている。その循環が定型化してきたことで、メンバーのスキル向上もスムーズに行えるようになってきた。

野口氏によれば、ツールの使用感に慣れてきたことで、収集したデータを元に、LPの改善を行うなどの具体的なアクションに落とし込めるようになってきたという。Faber Companyの支援メンバーからは、データの見方・アウトプットの出し方を適宜アドバイスすることで経験値の蓄積をサポートした。

現在も、2週間に一度の定例ミーティングを実施。Google AnalyticsとミエルカSEO、そしてミエルカヒートマップそれぞれのデータから現状を確認し、各ページへの改善策を話し合っている。

「高頻度で施策の成果の振り返りを行うことで、よりスピーディにPDCAを回すことができました」と語るFaber Company・竹口一輝(右)

データをもとに意思決定できるようになった

こうした取り組みを経て、ABCマートのチームにはどのような変化が起きたのか。西浦氏によると、もっとも大きな変化は「データをもとに意思決定ができるようになった」ことだという。これまでメンバーは、現場感覚に優れているが故に、勘と経験に頼った行動を取りがちだった。

しかし現在は、ツールから提示される数値から別の示唆を得て、行動するという文化が根付いてきている。定例会でのアドバイスに対しても、ほぼ100%実装対応できており、それがコンバージョン数の改善といった数字に反映されている。

コンテンツへの評価指標も変化したという。従来は、あくまで「実売数」が唯一の評価指標となっていた。それが今では、熟読率やスクロール率、特集ページから商品ページへの遷移率など、複数のKPIを設定して多面的に評価できるようになった。

これまでの私たちにはない概念だったので、まさに目から鱗の体験でした(野口氏)

エービーシー・マート 店舗運営部 デジタル営業チームの野口泰氏

野口氏は、SEOやCROの初心者であってもツールを用いることで直観的に分析・改善ができるようになったことを実感しているという。「これまでわからなかったことが、可視化され、それによって改善策を考えることができるようになる」という体験がもたらされたとチームの成長を語った。

店舗からEC、ECから店舗へ。OMOを推進

ABCマートでは、ECのUX改善、コンバージョン数の増加を引き続き目指していく。西浦氏は「実店舗とのシナジーも生み出せるようなサービスを開拓していきたい」と意気込んでいる。

ECから店舗へ、店舗からECへの送客など、店舗にもECにも行き来しやすい環境を用意し、OMO(Online Merges with Offline)を推進することで、より売上アップにつなげられるというのが同社の考えだ。

こうした未来像を実現するパートナーとして、Faber Companyさんとの関係をさらに強化していきたいですね。ツール提供や定例ミーティング実施など、非常に手厚いサポートを受けてきましたが、だからこそチームとして結果を出すことで、恩義に報いたいです(西浦氏)

そのように言っていただけて、嬉しい限りです。今後、店舗×ECのシナジー活性化していくには、Googleビジネスプロフィール活用やSNSとの連携強化なども有効です。Webマーケティングの総合的な支援ができるよう引き続きサポートさせてください(竹口)

新たな目標に向かって動き始めた4人
用語集
CRO / CTA / KPI / LP / SEO / SNS / UX / クリック率 / クロール / コンバージョン / コンバージョン率
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