SEO主導のコンテンツ戦略でも競合よりイケてる記事にする実践テクニック6選(後編#3~#6)
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。後編となる今回は、前回に引き続いて残る4つのコツを紹介する。 →まず前編を読んでおく
検索上位を獲得できそうだと判断されたトピックのキーワード主軸で企画された記事であっても、創造性を発揮して、競合とはひと味もふた味も違う、イケてる記事にすることは可能だ。
オーガニック検索トラフィック拡大とコンテンツ創造性の自由を両立するためのテクニック(の後半)を紹介する。
- キーワード主軸の投稿でも、専門家の協力を仰いで創造性を発揮する(前編)
- 業界のリーダーにインタビューしてその話を記事にする(前編)
- トピックに関して、読者が興味をもつ人間的な視点を見つける(この記事)
- マルチメディアを活用して古いコンテンツをリフレッシュする(この記事)
- 独自の視点でコンテンツを作成し、ほかの検索結果と差別化する(この記事)
- 現実世界で読者に向き合うチャンスを逃さない(この記事)
SEO主導のコンテンツ戦略でも競合よりイケてる記事にする実践テクニック 3
トピックに関して、読者が興味をもつ人間的な視点を見つける
マーケターは、乗り気ではないトピックについて仕事で書かなければならないことも少なくないし、キーワード主導の戦略に基づくトピックでは特にそういうことが多い。
例として、これまでにSIR(まだ読んでない人は前編を参照)で提案されたトピックをちょっと見てほしい。
これらのタイトルは読者にとって有用なものだが、これだと独創性を発揮して情報を提示することが難しい。チームに新たに加わるライターにわたしがよく話すのは、こんなことだ:
どんなに退屈なトピックに思えても、興味深い人間的な視点は見つけられる
トピックに関する興味深い人間的な視点が見つかれば書くことが楽しくなるし、記事への取っ掛かりを読者に数多く提供できる。
人間的な視点を見つけるには、読者がグーグルで検索する際の視点を考えるのがいちばん簡単だ。まず、次のように自問してみる:
自分ならいったいどんな理由でこのトピックを検索するだろうか?
検索はサイロ化してはいない。グーグルはこのところ、
- 「People Also Ask」(PAA:他のユーザーも行った質問)のボックス
- 「People Also Search For」(PASF:他の人はこちらも検索)のパネル
- ほとんどのSERPの下部に表示される「関連する検索」リンク
を通じて、いわゆる「検索者ジャーニー」を延ばす取り組みを強めている。こうした機能を通じて、検索者は検索内容を考え直したり、自分でも思いつきそうな別の問いに対する似たような関連する回答を見つけたりできる。
結局のところ、(HubSpotに関連するような)あるキーワードを検索している人はみな、より大きなマーケティングとビジネスの戦略の一部としてのキーワードを検索しているのだ。コンテンツ制作者として重要なのは、この大きな全体像を把握して、SERPの新機能を活用することで、届けたいトピックを包含する全体的な話を独創的に編み出すことだ。
たとえば、わたしは先日、こんな記事を書いた:
- メールに動画を埋め込む方法
(How to Embed Video in Email [Quick Tip])
記事の本文に創造性の入り込む余地がほとんどないことはわかっていた。要するに、動画を埋め込む手順の簡潔なガイドなのだ。
それでも、わたしは導入部に創造性を発揮する余地を見つけ出せたし、それが読者の気持ちに寄り添うことになるということもわかっていた。そのために、次のようにした:
まず、「メールに動画を埋め込む方法」をマーケターが検索する動機を想像した。おそらくCTRやメールのサブスクリプションを増やすのに苦戦しているのだろうから、最初に企業の収益のために動画が重要な理由について、全体的な概要を簡潔に説明した(知りたい人がいるかもしれないので説明すると、それは企業の87%がマーケティング戦術として動画を活用しているからだ)。
それから読者の気持ちになって、きちんと整ったメールを書くのは必ずしも簡単ではないし、動画の埋め込みも厄介であることを認めた(大手のメールクライアントが動画の埋め込みをサポートしていないのが大きい)。
すると、最初は退屈だったトピックがにわかに興味深いコンテンツになってきた。この記事を公開して読者の疑問に回答することで現実世界に生み出せる価値と、そうすることの重要性を感じられたからだ。結局のところ、伝えたいトピックが「メールに動画を埋め込む方法」だったとしても、そこに来てもらうべき検索者が知りたいと顕在化させているニーズは「オーディエンスがエンゲージメントしてくれるコンテンツを作り続けるにはどうすればいいのか?」ということなのだ。
トピックに関する興味深い人間的な視点は、だれもが共感できるものであり、だからこそ記事作りに価値があるのだとわたしは思う。
SEO主導のコンテンツ戦略でも競合よりイケてる記事にする実践テクニック 4
マルチメディアを活用して古いコンテンツをリフレッシュする
特に無味乾燥なトピックに苦しんでいる人は、次のようなマルチメディア要素を追加して創造性を呼び覚ますのもいいだろう:
- ポッドキャスト
- YouTube動画
- 画像
- グラフ
- などなど
SERPからは画像トラフィックも得られるので、トラフィックの新たな可能性を切り開くことにもなる。
マルチメディア要素は、記事を書く際に士気を高めるのに役立ったり、グーグルで検索上位を獲得するのにつながったりもする。検索エンジンは画像や動画のようなマルチメディア要素を好むからだ。
たとえばHubSpotでは、次の記事に動画を埋め込んだ:
- とてもよく書けたエグゼクティブサマリーの作り方と実例
(How to Create An Incredibly Well-Written Executive Summary [+ Example])
読者はわたしが書いた文章を読んでもいいし、動画で話を視聴してもいい。
もちろん、マルチメディアは予算に左右される。すべての投稿に動画を埋め込むことなどできない。しかし、次のことは意識しておいてほしい。
マルチメディアには画像やグラフなど、動画よりシンプルでお金のかからないものがたくさんある。
加えて、マーケティングの文章以外の側面に関心がある人は、プロとしてのポートフォリオを拡大し新しいスキルを学ぶよい機会にもなる。
SEO主導のコンテンツ戦略でも競合よりイケてる記事にする実践テクニック 5
独自の視点でコンテンツを作成し、ほかの検索結果と差別化する
注意すべきことがある。すでにSERPにあるものに沿った投稿でなければ検索上位に入れないわけではない。
たとえば、同僚のレストランドラは、次のような記事を書いた:
- CRMが必要ない10の理由
(10 Reasons Why You Don't Need a CRM)
この記事は現在、「CRMは必要ない(you don't need a CRM)」という検索クエリでSERPの1ページ目に表示される。しかし実際のところこの記事の内容は、CRMが必要な理由を冗談まじりの皮肉で説明しているものなのだ。
この記事は、期待とは異なるものを読者に提供しながら上位入りを果たした。同じように挑発的な主張を考えてみるのもいいのではないだろうか。
書いたものに独自性があれば(そして、時には議論を巻き起こすようなものであれば)、斬新で興味深いコンテンツをオーディエンスに提供しながらSERPの上位に入ることも可能だ。
SEO主導のコンテンツ戦略でも競合よりイケてる記事にする実践テクニック 6
現実世界で読者に向き合うチャンスを逃さない
ある日、わたしは記事の執筆を割り当てられていたのだが、どうにもやる気がでなかった。そこで、1人の顧客と30分ほど話をして、相手が抱えているマーケティングの課題について理解を深めることにした。
話をするなかで、読者が苦労している基本的な部分に自分がどれほど疎くなっていることか気付かされた。たとえば、こんなことだ:
わたしは1人チームだ。ブログの重要性は理解しているが、小さな会社であり、ソーシャルメディアのコンテンツ制作とメールマーケティングとPRを1人で回しているため、戦略を綿密に策定する時間をいつも取れるわけではない。
デスクに戻ったわたしは、割り当てられていたソーシャルメディア無料分析ツールに関する記事をすらすらと書いていった。あんなにやる気がでなかったのに、なぜスムーズに執筆が進んだのか。それは、その執筆内容が、あの顧客の日常に役立つものであり、現実世界における重要性がわかったからだ。あの顧客はさまざまなツールの長所と短所を調査する時間がなく、派手なことをする予算もなかった。この日、わたしが感じたインスピレーションと創造性は、読者との直接のやりとりから生じたものだった。
もちろん、顧客との電話はいつでもできるものではないが、読者と関わり合う方法はほかにもたくさんある。たとえば、次のようなやり方だ:
- ソーシャルメディアでオーディエンスを対象としたアンケートを作る
- Twitterで読者とやりとりする
- メールのニュースレターで読者調査を実施する
こうした方法で現実世界の読者に向き合い、自社ブランドに読者が求めているものについて理解を深めるのもよいだろう。
結論
突き詰めると、部署が大きな目標を達成するために技術的なSEOの活用にいちばん力を入れているときに、創造性を発揮し続けるのは難しいかもしれない。もちろん、創造性のためにSEOを完全にやめることも決して望まれない。SEOをしっかりとしておかないと、より幅広いオーディエンスにリーチすることも、読者にとって有益で実行可能なコンテンツになるように万全を期すこともできなくなってしまう。
しかし、HubSpotの新戦略の結果としてこの2年間でわたしが学んだことがあるとするなら、それは、こういうことだ:
分析と創造性は協力できる
紹介した6つのコツによって、みなさんが日常の作業のなかで創造性を発揮できれば、わたしとしては言うことなしだ。
ソーシャルもやってます!