まず社内の“共犯者”を探せ。マーケティングから企業を変革する条件とは?
はじめまして、テレビ東京の明坂です。ありがたいことに今回から私も本コラムを担当させていただくことになりました。
私はテレビ東京にマーケターとして中途入社をして現在で4年目。これまでは新卒でSIer(システムインテグレーター)のエンジニアとして働くこと数年、その後Web系ベンチャー企業やリクルートといった環境で大小さまざまなプロダクトのデジタルマーケティングを行ってきました。
テレビ東京では、バラエティやドラマなど番組のプロモーションや、営業プロセスの改善、データとレポートの整備などといったマーケティングに関係しそうなことに幅広く関わっています。
さて、企業のマーケティングをするにあたって、今回のタイトルにあるとおり“共犯者”を作ることがなぜ重要か、テレビ東京に中途入社をしてからこれまでを振り返りつつ、私なりに気づいたことをまとめていこうと思います。
業界の潮目に価値を発揮するマーケターになる
そもそもテレビ東京へ転職する前は、リクルートの求人メディアでかなり大規模に、それこそ1回のキャンペーンの広告費数億円は当たり前といったデジタルマーケティングを行っていました。先進的でチャレンジングなプロジェクトにも多く関わり、大きなやりがいもありました。
一方、テレビ局はテレビという強力なチャネルを保有し、よくも悪くもテレビ番組という1つのプロダクトに依存した企業です。もちろん企業としてのマーケティングのレベルにも大きな差があり、スマホや高速データ通信といった新たなテクノロジー、さらには数々の新興動画サービスの勢力拡大といった環境の変化に対応ができず、確実に縮小する未来が予想されます。
しかし、今現在でも優れたコンテンツを生み出す能力はテレビがトップクラスであり、過去半世紀以上にわたって多くの面白いコンテンツを生んできたテレビに私はとても思い入れがありました。小さい頃からテレビ東京のアニメを毎日欠かさず見ていたテレビっ子だったこともおそらく影響していると思います。特に好きだったのはスレイヤーズやカウボーイビバップなど、今でもアニメはよく見ていますが当時のその経験がキッカケになっていると思います。
テレビ局がまだまだこれからも面白いものを生み出し続けるためには、マーケティングから企業を改革し、新たな事業構造に変わらなければならない。私が入社したのはちょうどそんなタイミングでした。
実行の難所
入社をして最初から順調であったかと言うとそんなことはなく、むしろ多くの課題がありました。
中途入社をした際にまず重要なことは、いち早くなにかしらの「小さな成果」を上げることです。着実に実績を積み上げながら自分の専門領域における信頼を獲得することで、及ぼせる影響範囲を早く大きくすることができます。
そしてここが難所でもあります。成果は定量的で誰からも同じ評価を得られればよいのですが、マーケティングのKPIは実に多岐にわたります。さらには売り上げや契約の受注などと違って、「広告のCPAが何%下がった」「SEO経由の流入が何%増えた」といったような本来デジタルマーケターの評価に直結するような指標ですら、新たな環境では大半の人には理解されないことがあります。自らできると思っていることがいくらあっても、企業内で賛同を得て評価されるものでなければ、それは継続的な取り組みになりませんし、より大きな取り組みに拡大することもできません。
入社して最初の1年はそういった共通の考え方を浸透させ理解してもらうために、細かくレポートを出したり企画書を書いたりと、実に地道な努力が必要でした。
共犯者を探す
これまでで述べたとおり、どれだけ過去に評価されてきた成果や実績だったとしても、カルチャーや価値観が違うと率直に評価はされません。ただ、だからといって「ならそれでいいや」と投げてしまうと永遠に変革は起こりません。
マーケターは市場の先端の、さらにその先を見据える役割だと私は思います。今は理解されないかもしれないが今後確実に必要であると自らが思うのであれば、抵抗があったとしても確信犯として実行する責任がマーケターにはあります。
ただし、信頼も決裁権限も持たないただ一人にできる改革はありません。自らの思想や思い描くゴールに共感してくれる同僚や決裁者を仲間として集めることが重要です。そうした共犯者をどのようにすれば作れるかを観察しながら、日々いろいろな方とコミュニケーションをすると新しいものが見えてくるかもしれません。
意外といろいろなところに思想に共感してくれる“共犯者”がいると思いますよ。
次回の明坂コラムは……
次回以降、エンタメ業界のマーケターならではのエンタメにまつわるマーケティング事例や考察などをお送りできればと思います。
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