SEOの本質はコンテンツとリンク――話を難しくする必要はない(前編)
検索をマーケティングチャネルとして有効活用するには、次の2つが必要だ:
- 役に立つコンテンツ
- 関連性の高いリンク
僕が覚えている限りグーグルは「素晴らしいコンテンツ」の重要性を支持している、多くの経験豊富なSEO担当者は、被リンクと検索順位向上の相関関係を示している(さまざまなテストや実験を通じて)。
実際、グーグルの従業員は、
検索アルゴリズムで最も重要な検索順位決定要因3つのうち2つが、コンテンツとリンクだ
と明言している(もう1つはRankBrainだ)。
でも僕たちSEO担当者は、
- 新たなトレンドや戦術を追求する
- 検索順位の変動に過剰反応する
- title要素の長さにこだわる
といったことによって、SEOを必要以上に複雑にしているように思える。
SEOは本来シンプルなもので、その本質はコンテンツとリンクにある ―― この考え方自体はシンプルだが、うまく実行するにははるかに微妙で複雑な問題となる。
とはいえ、基本に立ち返って、SEOにおけるこれら2本の柱に焦点を当てていけば、みんなが最も影響の大きな作業に費やす時間を増やせるようになり、より優れた、よりつながったウェブを生み出すとともに、マーケティング分野におけるSEO活動を強化できると思う。
そうした活動を支援するため、この記事では読者自身のコンテンツマーケティングやリンクビルディング活動で活用できる戦略的で実用的な情報を提供していく。
それでは、前置きはこのくらいにして、コンテンツとリンクによって検索で成功を収める方法について見ていこう。
適切なコンテンツを構築する
ウータン・クラン(米国のヒップホップグループ)が、こんな風に歌っていたのを知っている人もいるかもしれない(はっきりとは覚えていないが、こんな感じだった)。
Content rules everything around me, C.R.E.A.M
(俺の周りのすべてをコンテンツが支配している)
重要なのは、SEOではすべてがコンテンツに始まってコンテンツに終わるということだ。それが、
- ブログ記事
- インフォグラフィック
- 動画
- 詳細なガイド
- インタラクティブツール
のいずれであろうと、それ以外の何かであろうと、オンライン上ではコンテンツこそが、僕たちを取り巻くすべてのものを支配している。
コンテンツは、訪問者を引きつけて魅了することで、君のブランドとプラスの関係を築き、望ましい行動を訪問者に取ってもらう、そのきっかけとなる。コンテンツはまた、君のウェブサイトの内容や、検索結果のどの位置に君のページを表示させるべきかについて、検索エンジンに理解を深めてもらうのに役立つ。
では、広範で重要なコンテンツ戦略を、どこから始めたらいいだろうか?
SEOのすべてがコンテンツで始まり、コンテンツで終わるとしたら、コンテンツ戦略ではすべてキーワード調査で始まり、キーワード調査で終わる。
コンテンツ戦略において、キーワード調査を怠っていたら、
- 単なるコンテンツ作成のためのコンテンツ作成
となってしまうところを、適切にキーワード調査を行えば、
- オーガニック検索でのビジビリティを高めるターゲティング型コンテンツ戦略
にできるいう違いを生み出す。
以下に示すグラフは、あるクライアントのプロジェクトで作成したコンテンツへの検索トラフィックを表したグラフを見てほしい。ここでは、キーワード分析による裏付けのないコンテンツを公開してから1年後に、キーワード調査を実施した。
2018年、僕たちはキーワード機会に基づいてコンテンツの作成を開始した。そうしたコンテンツのパフォーマンスはすぐに、戦略的調査をせずに作成した古いページを上回った(オーガニック検索セッションにおいて)。
キーワード調査に取りかかる
キーワード調査の考え方は単純明快だ。オーディエンスが、オンラインで君のビジネスに関する情報を検索するのに使うキーワードやキーフレーズを見つければいい。ただし、キーワード調査の実施はこれとは少し微妙に異なり、単に始めてみること自体が最も難しい部分である場合が多い。
あなたもそう感じているのだとしたら、調査に取りかかる最初の対象として最適なのが、すでに人々をサイトに呼び込んでいるキーワードだ。これはGoogle Search Consoleで確認できる。
それ以外のでどんなキーワードを調べるのがいいのだろうか?
基本リストとしてシードキーワード(自身のビジネスやブランドに関連する基本的なキーワード)を整理しておけば、さらに多くのキーワードを調査対象とするのに役立つ。
この記事全体を通じて参考にする例として、オーラルケア製品を販売しているブランドQuip(クィップ)の場合を見てみよう。Quipのシードキーワードには、以下のようなものが挙げられるだろう。
- [toothbrush](歯ブラシ)
- [toothpaste](歯磨き粉)
- [toothbrush set](歯ブラシ セット)
- [electric toothbrush](電動歯ブラシ)
- [electric toothbrush set](電動歯ブラシ セット)
- [toothbrush subscription](歯ブラシ サブスクリプション)
ここに挙げたのは、Quipの製品やサービスに関連する最も基本的なヘッドターム(検索ボリュームが多い検索キーワード)の一例だ。ここから、キーワードツール(たとえばMozのKeyword Explorerなど)を利用してリストの範囲を拡大していけば、さらに具体的なロングテールのキーワードやその他の関連キーワードが見つかる。
改善する価値がありそうなキーワードを判断する
キーワード調査やオーガニック検索のリーチ拡大における最初のステップは、現在の検索順位を調べて、改善する価値と余地がある部分を明らかにしていくことだ。
MozのKeyword Explorerで調べたところ、Quipのページが検索上位50位内に表示されるキーワードとしては、たとえば以下のようなものがあった。
- [teeth whitening](歯 ホワイトニング)
- [sensitive teeth](しみる歯)
- [whiten teeth](歯 白くする)
- [automatic toothbrush](自動 歯ブラシ)
- [tooth sensitivity](知覚過敏)
- [how often should you change your toothbrush](歯ブラシを交換すべき頻度)
これらのキーワードで、Quipのページは検索結果の2ページ目か3ページ目に表示されていた。これは、Quipにとって「惜しい」機会であり、既存のページを最適化して更新することでQuipが1ページ目に表示されるようにすれば、はるかに多くのトラフィックを獲得できる可能性がある。改善する価値はありそうだ。
では、これらのキーワードで検索順位を改善する余地があるかを調べていこう。
たとえば、[how often should you change your toothbrush]に対する検索結果の1ページ目は、次のようものだった。
予想どおり、この検索結果は「歯ブラシを交換すべき頻度」という疑問に答えることに大きな重点が置かれており、この疑問に直接答えるリッチスニペットが表示される。
ここで、Quipのページを見てみると、検索者の意図に応えるうえで改善の余地があることがわかる。
ページの見出しが大事なクエリ向けに最適化されていないのだ。
- 想定している検索意図: 歯ブラシを交換すべき頻度
- ページの見出し: なぜ新しい替えブラシが重要なのか?
この見出し(とタイトル)を変更するだけで、このページのビジビリティが高まる可能性がある。Mozのツールによると、[how often should you change your toothbrush]に対する検索ボリュームは月間1700~2900件だ。
現在のページ見出しに対応する検索意図のほうはどうだろうか。[why is a fresh brush head so important](なぜ新しい替えブラシが重要なのか?)というクエリで、Mozのツールではボリュームのところに「データなし(no data)」と表示される(これは通常、ボリュームが非常に小さいことを意味する)。
検索ボリュームの多い[how often should you change your toothbrush]というクエリに視点を戻そう。Quipのページはこの検索クエリに対してすでに2ページ目に表示されるようになっている。ということは、タイトルを最適化すれば、上位10件に食い込める可能性がある。
加えて、ページのコンテンツも最適化されていない。
検索意図が「歯ブラシをどの程度の頻度で変えるべきか」という疑問であるのに対して、このコンテンツは(リッチスニペットを獲得したページのように)簡潔に答えるわけでもなく、むしろ広告コピーに近い。
言い方を変えれば、検索意図がもつ疑問に対して直接的かつ明確な回答をコンテンツの冒頭に記載することで、このページが今よりも上位に表示される可能性があるということでもある。
この記事は、前中後編の3回に分けてお届けする。中編となる次回は今回に引き続き、キーワード調査とコンテンツの改善について探っていく。→中編を読む
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