インタビュー

YouTube広告のみで、認知2倍、CPA1/2に! ライフネット生命の動画マーケティングノウハウを公開

20~30代への認知向上を狙ったYouTube動画広告施策で、保険加入意向が194%、かつCPA48%の好成績を出したライフネット生命。そのノウハウを聞いた。

インターネットの生命保険会社として知られるライフネット生命保険株式会社(以下、ライフネット生命)は、TVCMではリーチしない20~30代男女への認知向上を狙い、YouTubeを活用した動画マーケティングを実施したところ、保険加入意向が194%、かつCPA48%の好成績を叩きだした。

3つの訴求内容に対して、24本もの動画を作成して、認知から獲得までを一気に効率化できた秘訣を、ライフネット生命保険株式会社 営業本部マーケティング部 岩崎那歩氏、株式会社CyberBull ブランド事業部マネージャー 小磯里美氏に伺った。

新規契約者の獲得が最大のミッション

――営業本部マーケティング部のミッションである新規契約数の獲得。ブレイクダウンすると、どうなるのでしょうか?

岩崎:これまではTVCMと連動した「サーチリフト」を念頭に置いた施策を中心に実施してきました。ただ、Web動画の施策では、なかなか思うような効果を得ることができませんでした。

――TVCMとWeb動画の大きな違いは?

岩崎:ダブルスクリーンの問題もあるとは思うのですが、それにしてもサーチに繋がりづらい。本質的な問題はクリエイティブにあるのではないかと考えました。実際、以前のWeb動画施策で、TVCMをそのまま転用して展開したところ、さんざんな結果だったので。Webに最適化したクリエイティブが必要なのだろうと思いました。

――Web動画を活用したマーケティングに繰り返しチャレンジするのはなぜですか?

岩崎:ライフネット生命の中心顧客は30~40代。業界平均と比較すると若い世代 です。そう考えると、TVCMだけでは限界がある。また、2020年に5G(第5世代移動通信システム)の商用化が実現した際に、Web動画の勝ち方がまったくわからないというのは遅れを取ることになるはず。まずは、今インストリーム動画広告の中でもっともユーザーの多いYouTubeで、知見を溜める必要があると考えました。

ライフネット生命 岩崎那歩氏

Web専用のクリエイティブを24パターン制作

――今回の施策は、何を目的に実施したのでしょうか?

岩崎:TVCMだけではリーチできない若い世代――中心顧客よりも少し若い20~30代――をターゲットにして、ライフネット生命の認知を向上させ、見込み客を獲得することが目的でした。具体的には、Web動画で社名の認知向上、商品の理解を促し、LP(ランディングページ)へ誘導。弊社Web上で見積りを行うところをゴールに設定しました。

小磯:動画広告のメニューはYouTubeだけでも本当にたくさんの種類がありますが、最適化を測るためには目的を明確化し、目的を達成するために適切なメニューを正しく選定することが重要です。そのうえで、どういったクリエイティブがふさわしいのかと考える必要があります。

また、TVと違い、Webは、リターゲティングやリマーケティングが活用できる利点があります。今回は、生命保険への需要を喚起したうえで、その先にライフネット生命がある、ということをストーリーテリング的に伝えていくように設計しました。

CyberBull 小磯里美氏

――「動画を活用してリタゲやリマケの手法でストーリーテリング的に伝えていく」というのは、具体的にはどういうことですか?

小磯:複数クリエイティブで細かく運用しながら当てていくということです。そもそも、同じクリエイティブばかり当てているとすぐに飽きられますし、再生開始率も下がる一方なので、今回に限らず、Web広告では複数クリエイティブで運用することは大事だと思います。

3秒再生率の変化グラフ

小磯:今回の場合は、2段階にフェーズを分けて、まずは「リスクへの注意喚起」を訴えます。この段階では、大々的に「ライフネット生命」を訴求せず、保険一般への需要性の認知に留めます。次の段階で、それぞれの生活者のインサイトと掛け合わせて、ライフネット生命に関する具体的なポイントを3つ提示します。今回は、

  • ネット保険なので保険料がお手頃
  • 簡単に手続きが可能
  • 保険内容がわかりやすい

この3つのポイントごとに動画を作りますが、それぞれは配信パターンなどで細かくカスタマイズを行います。今回は全部で24パターン制作しました。

シナリオ配信図解
制作クリエイティブパターン例

岩崎:一気に24本作りますと言われたときは驚きました。それまでは、多くても4本程度だったので。ただ、24本もあれば、他の動画に振り替えることもできるので、多少冒険的なクリエイティブも試せるという利点もありました。

小磯:属性によってハマるクリエイティブは違うので、そこは実際に配信していく中で良し悪しを判断して、悪いものは切るし、ある程度いいものは複数で見せるなど、動画であっても媒体のアルゴリズムを加味しながら、こまめに運用を行うことが重要です。

TrueView for actionで認知から獲得まで

――認知2倍とCPA1/2、両方取れた要因は?

小磯:フェーズを2段階に分け、それぞれでターゲティングを変えて、異なる広告メニューを活用したのが大きいと思います。第1段階のフェーズは、YouTubeの中でもっとも一般的なTrueViewインストリーム広告で、浅く広く認知を取ります。

第2段階のフェーズでは、第1段階で認知を得たユーザーを対象に、TrueViewアクション広告を実施しました。このメニューは、行動を促すフレーズとテキストの見出しをオーバーレイで表示することができるので、動画を見るだけではなく、そこから先の行動喚起まで促せる仕組みになっているのが特徴です。今回は、動画から、Webサイトのサービス詳細を紹介するページに飛べるように設定しました。

飛んだ先のWebページに「見積りする」というボタンがあるんですが、それをクリックして見積りを行ったところをKPIにしています。ページを飛ばしたくらいの浅いところをKPIにしても、誤動作もありますし、本質的な成果だと認識しづらいので、あえて、もう一段階深い階層でKPIを設定しました。

岩崎:それでもこれまでのYouTube動画広告施策を上回る結果を出せたのは、やはりWeb動画専用に24パターンも作成していただいたのが大きいのかなと。今までWeb動画ではこれだけの成果を上げられたことがないので、驚きました。ライフネット生命は、Webで申し込みまでできるので、認知だけ取って終わりではダメ。認知と獲得の両方を得られた今回の結果には、とても満足しています。

動画を活用して顧客の信頼感を醸成

――今回の結果を踏まえて、今後の課題はありますか?

岩崎:さまざまなプラットフォーム上で動画広告が一般的になってくる中で、それぞれにおいてどういう動画が刺さるのかということを検証しつつ、展開する面を広げていきたいと考えています。

小磯:今回制作した動画も、YouTube以外の他の媒体でも流してみて、態度変容やターゲティングなどをこちらでも分析して、媒体ごとの特性を掴んでいこうとしています。そういったデータを徐々に蓄積しつつ、いろいろ模索しています。

岩崎:Webマーケティングにおいて、動画は無視できない存在になっています。費用もそうですが労力もかかるという意味で、高コストな手法ですが、それでもやらないという選択肢はないので、本腰を入れて取り組みたいと思います。 最後の最後に「申し込み」ボタンを押せる安心感を醸成するのは、静止画よりも動画のほうが向いていると考えています。ライフネット生命の企業コピーは、「人生に、大切なことを、わかりやすく。」このコピーが表現することを、動画に込めて伝えられればと思っています。

――ありがとうございました。

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