インタビュー

デジタルアセットをクラウドで管理、「CLOUDAM」が“リッチメディアの泣き所”を解消する

リッチメディアを統合管理するDAMクラウドサービス「CLOUDAM」の狙いを、各社の担当者に聞いた。

画像、映像、音声など、リッチメディア資産の統合管理を可能とする「デジタルアセット管理(DAM:Digital Asset Management)」のニーズは、あらゆる企業で急激に高まっている。日商エレクトロニクスグループのエヌジーシー(NGC)、TISインテックグループのTISは8月8日、クラウド方式のエンタープライズ向けDAMサービス「CLOUDAM」(クラウダム)を共同発表し、同日より提供を開始した。

左から、TISの市田真也氏、エヌジーシーの熊田正道氏、オープンテキストの小口貴史氏

「CLOUDAM」は、すでに定評のあるオープンテキストのDAM「OpenText Media Management」を、TISのエンタープライズクラウドサービス「TIS ENTERPRISE ONDEMAND Service」などの基盤上で稼働させ、サブスクリプション方式で提供するものだ。映像ソリューションを取り扱う専門商社としてノウハウを保持するエヌジーシーが運用支援を行い、コンサルティングやサポートまでを含めたサービスを提供する。

DAMについて(エヌジーシーの発表資料より)

追加の設備投資など無しに、高品質なDAMソリューションを月額方式で導入できるのは画期的だという。今回、エヌジーシー、TIS、オープンテキストの担当者らに、サービス成立の背景、従来サービスとの相違点、DAM活用のメリットなどを伺った。

左から、オープンテキストの小口貴史氏、エヌジーシーの有田茂氏、エヌジーシーの熊田正道氏、TISの市田真也氏

3社が結集して展開するクラウドDAM「CLOUDAM」

製品画像・ブランドロゴ・デモ動画・販促資料・タレントが登場するCM動画……。企業の活動において、画像・映像・音声・動画など、いわゆる“リッチメディア”に分類されるデータは、近年とくに急拡大している。デジタルカメラやスマートフォンの普及により、リッチメディア生成・視聴が容易になったこと、広報・宣伝に加え製品管理・業務マニュアル・社員教育などでもリッチメディアが活用されるようになったことが背景にある。「デジタルアセット管理(DAM)」のソリューションは、そうしたニーズに応えるものだ。

――まずは、今回発表のサービスについてあらためてお聞かせください。

熊田: オープンテキストさんのオンプレミスDAMである「OpenText Media Management」を、クラウドのサブスクリプション形式でエンタープライズ向けに提供する、というのが「CLOUDAM」です。TISさんがクラウドに精通していますので、さまざまな高信頼・高可用なクラウド基盤で稼働させて提供を行っていく計画です。提供形態としては、次の2種類を用意しています。

  • パブリッククラウドを基盤とするモデル「Corporate」
  • プライベートクラウドもしくはオンプレミスを基盤としカスタムSLAに対応したモデル「Enterprise」
CLOUDAMのサービス種別について(エヌジーシーの発表資料より)

――各社の役割分担はどういったものでしょう?

熊田: TISさんでは、ビジネスプラットフォーム領域の各種サービスを提供する「Platform Square」を展開していて、そのクラウドサービスの1つに「CLOUDAM」が加わります。TISさんがクラウド基盤を支える役割になるんですが、同時に「CLOUDAM」の販売代理店として一緒に活動し、クラウド基盤構築と共に本サービスを提供していく予定です。オープンテキストさんのサービスをTISさんのプラットフォームに載せ、エヌジーシーがサービス提供し、エヌジーシーさんとTISさんとで販売するという連携になります。

CLOUDAMのサービス体制について(エヌジーシーの発表資料より)

――複数社によるアライアンスですが、起点となったのはどの会社なのでしょう?

熊田: もともとはエヌジーシーが起点になりました。日商エレクトロニクス、TIS、オープンテキストそれぞれにお付き合いがありましたが、当社は、映像系に長けたシステムインテグレータとして、ハイエンドなデジタルコンテンツ制作を行っている企業向けにソリューションを提供しています。放送・通信市場で、メディアマネジメント製品を販売促進していく中で、どういった形が“もっとも刺さりやすいか”を、各社さんと討議したところ、弊社社長の高塚がアライアンスを提案し、いまに至ったという流れです。

――OpenText Media Management以外という選択肢はなかったのでしょうか?

熊田: 当社では、放送系・映画系のDAMさらにはMAM(メディアアセット管理)を扱ってきた実績があります。こうした現場では、かなり尖った特殊なものが必要とされますが、こうした現場でもオープンテキストさんの製品が応えてくれました。日本の一般企業には、まだあまりDAMの導入が進んでいませんでしたが、第三者機関の調査結果も参照しつつ、アドビさんの製品なども含めて検討しましたが、「OpenText Media Management」が最適だという結論になりました。とくに柔軟性に優れていると思います。

小口: 逆に、オープンテキストが直接インフラ構築やサービス提供・運用もまかなうのは、難しいと考えました。そうした部分は強いパートナーさんにお任せする、広がりを考えた協業です。

――エヌジーシーとTISでは、2020年度までに100社への導入を目指すとのことで、主要領域として「製造業・流通業」「保険・医療分野」「博物館・美術館」をあげられています。注力分野への考えを教えてください。

熊田: DAMを導入すべき領域、「CLOUDAM」のサービスが合っている領域として、この3つの分野がまず上がるかと思います。マーケティングツールを入れてガンガンやっているような製造業・流通業は、とくに向いていると思います。他2分野も、高解像度化が進んでリッチメディアが溢れている状況があると思います。デジタルサイネージまで組み合わせたトータルシステムを構築できたら、非常におもしろいと考えています。もちろん潜在ニーズは、他分野でも増大しているでしょう。

DAMの本質は“権利の管理”、Web担当者も無縁ではいられない

――これら3分野だと内部的なデータ管理にDAMを役立てるようなイメージなんですが、外部に向けて発信するWeb担当者にとって、DAMの大きなメリットはなんでしょう?

小口: Webマーケティング担当の方と話をしていると、とくに最近DAMに対する反応が、大きく変わってきています。昨今はコンテンツをどんどん発信していく必要があるし、頻度も量も広がっている。製造業だと、製品の画像はすぐ見つかるんだけど、それをマルチデバイス対応にしたり、お客様のニーズに合わせて提供するということができていない。カスタマーエクスペリエンスということで考えると、“製品の説明”でなく、“製品を通して何ができるかどう使えるか”といった情報が要求されている。

そうすると、製品画像だけでなく、付随する関連画像の提示も必要です。製品だけではなく人物や風景も映り込むし、そこには著作権の問題もからんでくる。「外部に発信する素材」を権利も含めてキチンと管理するために、DAMの重要性が究極に高まっており、この状況にWeb担当者も無縁ではいられないでしょう。

左から、オープンテキストの小口貴史氏、エヌジーシーの有田茂氏

――オープンテキストさんは、10年前からDAMを扱ってきたとのことですが、この10年で大きな変化があったと思います。

小口: 10年前に日本でDAMを採用いただいたお客様は、かなりのアーリーアダプターだったと思いますが、ほとんどがグローバルな製造業で、さまざまな画像を共有するために使っていました。1個所で画像を作成したら、それをできるだけ再利用し、コストを抑えましょう、という発想の企業が多かったと思います。いまはコスト削減だけでなくて、画像や動画やPDFをコンテンツ制作で上手に活用し、カスタマーエクスペリエンスを充実させる、その結果お客様の満足度が上がる、ということが主眼になっています。

たとえば製品カタログというのは、素材をまとめることでできあがるんですが、その校正作業を、DAMを使ってオンラインで実施することもすでに行われています。タッチポイントとなるメディアは、すべてDAMでカバーされているイメージですね。デジタルになっているデータは、すべてDAMの管理対象だと言えます。

――製品画像だけでなく、コンテンツも仕様も含まれる。さらには、企業ロゴや社員ポートレートまでが、デジタルアセットなのですね。

小口: 広告の場合、1枚の画像に何人かのタレントさんが映っていることがある。そのタレントさんごとに、契約期間や表示していいメディアなどが違ったりする。そうした複雑に絡んだ権利処理を管理できることでも、DAMは欠かせません

OpenText Media Managementによるアセット管理と活用(オープンテキストの発表資料より)

小口: OpenText Media Managementの場合、DAMが提供する機能として、「集める=コレクション」「整理する=オーガナイズ」「届ける=ディストリビューション」という3つをテーマとし、運用の流れに即した「収集」「オーガナイズ」「検索」「活用」「配信」の5段階で捉えています。ただ貯めるだけでなく、柔軟に検索して、最適な形式でタッチポイントへ配信できる。もちろんこうした機能は、すべて「CLOUDAM」でも使用可能です。

熊田: あと、OpenText Media Managementに特徴的な機能として「セキュアMFT」(SMFT:Secure Managed File Transfer)があるのですが、これは、DAMへのアップロード/ダウンロードを高速かつセキュアに行える機能です。大容量ファイルに対して、HTTPやFTPの10~100倍高速で、かつ暗号化された通信経路を提供する独自技術です。帯域幅が広がるほど高速転送が可能なので、ビデオのような大容量ファイルに対して有効です。DAMサービス利用者にとってはありがたいと思います。

セキュアMFTによりファイルの高速転送が可能(オープンテキストの発表資料より)

全国展開・グローバル展開する企業ならDAMは必須

――Web担当者にとって、DAMの導入はさまざまな恩恵がありそうですね。

小口: 各企業の状況により変わると思いますので、客観的な数値を示すのは難しいのですが、DAMの導入ということ自体が大きなメリットをもたらすと思います。また、従来サービスなら数千万円レベルの導入コストが必要だったのに対し、サブスクリプション形式のため、大きく導入のハードルが下がっていると思います。

グローバル企業では、動画のやりとりをするだけで大きく時間をとられます。DAMを通じてやりとりすれば、そうした手間や待ち時間を減らし、業務を効率化することができます。

熊田: 全国展開しているような業態であれば、新商品が出るたびに、新しいチラシやPOP、さらには店頭用の動画データなどを用意する必要があります。こういったものも、リアルタイムで相応のデータを、オンライン経由で的確に用意できるようになるわけです。

――さらにそれが、クラウドにより身近になると。

小口: クラウドに精通したSIerも増えてきましたし、有効な選択肢の1つだと思います。拠点ごとにDAMを導入したい場合も、悩まず容易に導入できる形態だと思います。海外に比べて日本ではまだまだDAMというマーケットは確立していません。まさに今、広がりを見せ始めた良いタイミングなので、DAMの認知度が低い状況が解消されればと思っています。

――“企業が発信するリッチメディア”としては、まずCM動画を思いつくんですが、これについてはどうお考えですか?

熊田: YouTubeに動画をあげている企業さんも多いと思いますが、それをいつどのタイミングで上げていくのかについては、先ほども言ったように権利処理が必須です。最適なタイミング・画像サイズ・ファイル形式なども見極める必要があり、これらについてもDAMが基盤となり、マーケティング的に有効に働くと思います。

――利用料金についてはどうなっていますか?

熊田: 月額40万円台からで設定しています。詳細は詰めていませんが、クラウド基盤をさらに快適にするといった部分、ストレージのサイズ、ユーザー数などで価格が変動する予定です。

――インフラを担うTISさんの視点から、「CLOUDAM」についての考えをお教えいただけますか?

市田: TISのプラットフォーム事業としては、クラウドとセキュリティに注力していますが、そのタイミングでお声がけをいただきました。TISとしては2つの狙いがあって、「顧客ニーズに応じた高品質クラウド基盤の提供」と「顧客の課題を解決できるサービスの拡充」です。今回はTISがクラウド基盤を提供し、エヌジーシーさんが顧客課題を解決するサービスを提供するということですね。顧客にとって有益なサービスを、私たちのWin-Winな関係で提供できると思っています。

エヌジーシー 代表取締役社長の高塚俊樹氏

高塚: いまDAMが盛り上がってきていますが、導入に当たってのコストが、どうしてもネックになっている。「CLOUDAM」は月額40万円台から導入可能で、導入障壁をかなり下げています。無償トライアルも用意していますので、まず試していただければと思います。DAMの市場を大きくしていくことが、私たちの役目の1つだと考えています。GDPRといった情勢を考えると、DAMはガバナンスの観点で訴訟履歴なども記録・管理できますので、今後さらに価値が高まっていくと思います。「CLOUDAM」は、ご利用いただく価値があると思います。

――ありがとうございました。

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