ローカルSEO 4つの戦略――ローカル検索で露出を高めトラフィックを増やすには【2017年版】(後編)
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。前回は戦略の幅を広げる方法について説明したが、後編となる今回は、ローカル検索で露出を増やすための戦略をいくつか紹介しよう。→まず前編を読んでおく
ローカル検索で露出を増やす方法
やる気になったところで、今度は具体的に何が実行できるのかを見てみよう。目的は、ローカル志向のキャンペーンで露出と検索順位を向上させることだ。ローカルSEOは難しい取り組みだと言いたいところだが、実際はそうでもない。はっきりとした変化をもたらす取り組みだけに注意を集中すればいいのだ。
ここでは、申し分ないプロファイルを作成してリスティングを最適化するといった基本的な取り組みは、すでに行っているという前提で話を進める。
Local SEO GuideとPlaces Scoutが、素晴らしい調査レポートを2016年半ばに公開した。この調査は、3万社のビジネスを対象に、ローカル3パックの順位獲得に影響を与える可能性がある100以上の要因を調べたものだ。時間があれば、レポートをチェックすることをお勧めする。僕たちが大きな力を入れている取り組みのそれぞれが、総じて最も大きな効果をもたらしている可能性が高いことがわかるだろう。
今から説明するのは、それらの要因の一部に過ぎないが、結果優先の戦略に注力するのであれば、ここに挙げたどの要因もおろそかにすべきでない。
ローカル検索で露出を増やすために行うべきこととは、次のようなことだ。
- まず、しっかりしたウェブサイトや基礎を作る
- クチコミの評価を高めるための戦略を継続する
- リンクを無視したり恐れたりしない
- 関連性やオーソリティーの高いサイトでのサイテーションを獲得する
それぞれについて詳しく解説していこう。
まず、しっかりしたウェブサイトや基礎を作る
コンバージョンのない検索上位に何の意味があるだろうか。まったくない。ビジネスの目標を常に優先するのであれば、基本的なことから始めよう。たとえば、ウェブサイトの読み込みが遅ければ、コンバージョンを失い、クロールバジェットの減少に見舞われかねない。
僕が最も強く推奨し、SEOとコンバージョンのあらゆる側面に影響を与える対策は、しっかりとしたウェブサイトを構築することだ。この対策を怠ると、やがてもっと大きな問題に見舞われることになるだろう。また、検索順位の獲得全体に悪い影響が及ぶ可能性がある。
ウェブサイトをSEOしやすいものにし、ウェブサイトの読み込み時間がグーグルのPageSpeed Insightsで90パーセンタイルに入るようにするべきだ。さらに、GTMetrixのようなツールを使えば、ウェブサイトの読み込み時間を確認することもできる。
グーグルは、読み込みに時間のかかるウェブサイトの露出を減らしているようだ。したがって、この基本をないがしろにすると、問題を抱えることになる。WordPressで作られたウェブサイトの表示速度を上げるための6つのコツも見てほしい。
ボットのクロールエラーも、ウェブサイトに悪影響をもたらす可能性がある。サイトが常に正常な状態になるように管理すべきだ。Google Search ConsoleやMoz Proを使って、ウェブサイトの状態、クロールの問題、ドメインの状態を長期にわたって追跡し、クライアントのキャンペーンを監視しよう。スコアを高め、エラーを減らすことに重点を置くべきなのだ。
クチコミの評価を高めるための戦略を継続する
グーグルが2月初めにクチコミの基準値をわずか1件に変更したことに、深いため息をついている人は多いだろう。その気持ちはわかる。まだ聞いたことがない人のために言うと、グーグルはすべてのビジネスについて、クチコミの件数にかかわらず、そのクチコミのスコアを表示するようになったのだ。以下はその例だ。
仲間の多くはこの動きを大いに支持したが、僕は複雑な思いを抱いている。なぜなら、グーグルは今のところ、クチコミのスパムを減らしたり、クチコミで不正を行う企業にペナルティを与えたりする有効な措置を取っていないからだ。
とはいえ、クチコミにはメリットがあることも無視してはならない。ユーザーが星の数で検索結果を並べ替えられることはすでに述べたが、クチコミの数が多いほど、全体的なクリックスルー率は高くなるのだ。さらに、多くのローカルビジネスと話をしたところ、消費者が今までにないほどクチコミのスコアを積極的に活用しているという意見が多く聞かれた。
クチコミの数を増やすにはどうすればいいか?
幸いにも、グーグルの「クチコミと写真のポリシー」によれば、(Yelpとは違い)クチコミを直接依頼することが今のところ禁じられていない。
ということは……顧客リストに載っている過去の顧客にクチコミを依頼することから始めよう!
ウェブサイトや店舗で顧客情報を収集していないなら、時代に取り残されることになる。すぐに収集を始めよう。
僕は弁護士と仕事をすることが多い。弁護士業界には、遵守すべき規制が存在する。また、顧客の数が、ピザ屋の顧客にはとてもおよばないような少数である場合もよくあることだ。そういう場合には、非常に満足してくれている顧客一人ひとりにアプローチし、以下のような手順で直接コンタクトを取ることができる。
(また、このような取り組みは、従業員の満足度を高めることにもつながる(^^))
リストを作る:
まず、大いに満足してくれている顧客を洗い出そう。次に、Gmailアカウントを持っている顧客がリストの上位に来るように並べ替える。
電話で連絡を取る:
デジタルマーケターが電話を使いたがらない理由が僕にはわからないが、僕たちは、重要な顧客に電話をかけてうまくいったことが何度もある。具体的には、電話をかける前に、その顧客と取引をしたことのあるビジネスから連絡先を聞くとともに、その顧客がどんなサービスを受けていたかを聞き出しておく。
電話では、レビューへの協力を求め、ビジネスの全体的な業務の質が顧客のフィードバックに支えられている部分があることを告げる。そして、了承してもらえるのであれば、フォローアップのメールを送ることを伝えるのだ。
フォローアップのメールを送る:
次に、Google Review Link Generatorを使って、顧客が自分のGmailアカウントにログインしたときに、クチコミ送信欄を表示するためのURLが生成されるようにする。
さらにメールでフォローする:
メールは届かないこともある。そのため、顧客が確実にクチコミを入力するように、フォローのメールを何度か送る。
これで、新しいクチコミ獲得だ!
上記の方法は、顧客の少ないビジネスに有効だ。ビジネスの顧客が多い場合や連絡先がたくさんある場合は、将来的にも継続的にクチコミを残してもらえるよう、自動化されたサービスを利用するとよい。作業がはるかに簡単になる。
僕たちは、たいていGet Five StarsやInfusionsoftを利用して、クライアントのためにこの作業を行っている。
人々に気に入られる優良なビジネスを運営していれば、次の図のような結果が得られるだろう。
このローカルビジネスが2015年に獲得したクチコミの数は、7件だった。満足度の高い顧客にクチコミを依頼する作業をある程度自動化した現在、どうなっているのかは、見てのとおりだ。
リンクを無視したり恐れたりしない
グーグルが成果を上げた取り組みの1つは、人々が不正なリンクを恐れ、そうしたリンクを利用しないようにしたことだ。さまざまな点で、不正リンクは度が過ぎてしまい、人々はリンクをまったく利用しなくなってしまった。そのため、検索順位決定要因としてのリンクの価値は下がり、リンクは死んだと言われるようになっている。
だが、僕はここで、ウェブサイトへの良質なリンクは必要だと指摘したい。競争の激しいニッチ市場やある一定の地域で検索順位を上げたいと考えているなら、アンカーテキストを使って大きな差がつけられる。
今日にいたるまで、リンクに効果のあることが複数の調査で証明されており、その重要性を見過ごしてはならない。
以下の表は、戦略の種類ごとに最適なリンク戦略をまとめたものだ。
戦略の種類 | リンク戦略 |
---|---|
ローカルSEO(3パック) | Googleマイビジネスに対応したランディングページへのリンクは、3パックの検索順位の向上に役立つ。市町村、都道府県、それにキーワードを含むアンカーテキストが有効だ。 |
強調スニペット | 強調スニペットを取得したいと考えているページへのリンクは、そのページのオーソリティーを高めるのに役立つ。 |
有料広告 | リンクは有料広告には役立たない。 |
「near me」検索 | 市町村、都道府県、エリアのアンカーテキストは、「near me」検索で有効に作用する。 |
音声検索 | FAQのページやロングテールのキーワードを含むコンテンツで構成されたページへのリンクは、オーガニックな検索順位を上げるのに役立つ。 |
フジツボ式SEO | 自分が所有していないウェブサイトへのリンクは、検索順位を上げるのに役立つ可能性がある。オーソリティーの高いプロファイルまたはビジネスリスティングに的を絞ろう。 |
自社のためにリンクを構築する方法はたくさんある。ただし、リンクを購入したりスパム的な手法を利用したりすることは、評判を傷つけるだけなので手を出してはならない。効果が高く、持続可能な戦略にフォーカスしてほしい。正しい取り組みをしたいなら、近道はないのだ。
リンク構築のための優れたリソースは数多くあるため、ここでは、僕が気に入っているリソースで、戦略的なアドバイスが得られ、リンクの構築作業に役立つものを紹介しよう。
戦略的にリンクを構築するには、以下のリソースをチェックしてほしい(いずれも英語)。
ジョン・クーパー氏の「Link Building Tactics(リンクビルディング戦略)」は、僕が見つけた中で最も包括的なリストだ。
Backlinkoの「Link Building: The Definitive Guide(リンクビルディング:決定版ガイド)」
Juris Digitalの「21 Link Building Tips(リンクビルディングのヒント21)」
Nifty Marketingの「The Ultimate List of Local Link Building Ideas(ローカルリンクビルディングのアイデア究極リスト)」
アウトリーチや壊れたリンクの再構築については、Directive Consultingの新しい記事「How We Increased Our Email Response Rate from ~8% to 34%(私たちがメールの有効反応率を8%から34%に上げた方法)」をチェックして、アウトリーチの効果を高めてほしい。
関連性やオーソリティーの高いサイトでのサイテーションを獲得する
「サイテーション(言及、引用)」を得ることの重要性は、検索順位決定要因としてはこの数年低下している。それでも、これが重要であることに変わりはない。
この記事の前半で、FindlawとYelpが市場での露出度が高かったことを覚えているだろうか。これらのウェブサイトはトラフィックを獲得している。したがって、あるビジネスを探そうとしている潜在的な顧客がこうしたサイトを見に行くことはあるだろう。しかし、そこにあなたのビジネスの情報が掲載されていなかったら、1つのタッチポイントを逃したことになる。
ただし、ここでも量より質を重視することが必要だ。1000件のサイテーションを獲得しようとしていた時代は、かなり前に終わっている。1000件もある場合は、多くのスパムリンクが張られている可能性が高い。こんなものは必要ない。そうではなく、ここで必要になるのは、自分の地域やニッチ市場との関連性が高いディレクトリだ。
このようなサイテーションを見つけ、継続的に構築する方法を知るうえで、僕が4年前に書いたこの記事は、今も大いに役立つ。ただし、オーソリティーの高いサイテーションサイトは、(通常のビジネスディレクトリとは異なり)構造化されていない可能性がある。また、オーソリティーが高く、ビジネスのリスティングが比較的少ないサイトは、リンクの質が非常に高い可能性がある。Yelpにはおびただしい数のリストがあるが、これとは別の有力なニッチ市場向けのウェブサイトでは、100にも満たないかもしれない。
サイテーションとリンクに関するアイデア: 獲得したりノミネートされたりした賞があるだろうか?
このための方法の1つとして、オーソリティーの高いサイテーションやリンクをウェブサイトにもたらしてくれるような賞(グランプリやアワードの類い)について検討するのもいい。以下の法律関連サイトの例を見てほしい。このサイトは、Yelpなどのディレクトリに比べれば非常に規模が小さい。そのため、当然ながらYelpほどのオーソリティーはないが、リンク資産の受け渡しははるかに平等に行われている。
最後に、ポイントを外さないようにすること
2017年がローカル検索にとって不安定な1年になるのは確実だ。だが、重要なことは、ポイントを外さないようにすることだ。翼を広げ、心を開き、戦略を多様化して、ビジネスがより多くの顧客に届くようにしよう。
さて次は、みなさんの考えを聞かせてもらう番だ。僕が取り上げていない、もっと役に立つ手法はないだろうか。ローカル検索への取り組みでフォーカスしていることがあれば、ぜひ教えてほしい。
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