流入数12倍・滞在時間1.6倍に急成長した「Doctors Me」のコンテンツ改善ノウハウを大公開
- 予算がないが流入数を増やしたい
- 何から取り掛かればいいのかわからない
- コンテンツ制作のヒントが欲しい
コンテンツサイトを手掛けるWeb担当者から、そんな声がよく聞かれる。
それに答えるべく、Faber Companyの副島氏とサイバー・バズの田中氏が、「サーチエクスペリエンス コンファレンス2016」において、「ヘルスケアサイト『Doctors Me』を2年で月間約2,000万PVにしたSEO戦略」と題してコンテンツ改善事例を紹介した。
サイバー・バズが運営する「Doctors Me」は、生活者の健康課題に応えるコンテンツや医師などの専門家によるQ&Aコンテンツやコラムを展開するヘルスケアサイト。特筆すべきは、医療情報としての信頼性を担保するため、すべてのコラムや病名辞典に医師の監修を入れている点だ。
約300名ほどの医師のネットワークの中から、コンテンツの内容によって監修を依頼する医師を選定しているのだという。2013年のオープン後、順調にPV数、月間UU数を伸ばしている。
その中で、今回は「蓄膿症」というキーワードに関するページが、直近半年間で検索エンジンからの流入数12倍、滞在時間1.6倍に成長した例を取り上げ、どのようにして流入数、滞在時間が伸びたのかを解説した。
「蓄膿症」というキーワードは、Googleキーワードプランナーによる月間平均検索ボリュームが9万ほど。
当初、「Doctors Me」のコンテンツは「蓄膿症」のGoogle検索結果の100位以内にも入っていなかったのだが、コンテンツの追加・改善などを行いながら2週間余りで10位に急上昇し、半年後には2位にまで上昇させることができたのだという。
この順位推移に応じて検索結果からのオーガニックセッションも成長し、2位になった時点での月間セッション数は100位圏外の時の約12倍まで伸びたとしている。
また滞在時間も1.6倍に伸び、直帰率は40%改善したという。
コンテンツが検索ニーズに応えられているか、「Googleサジェスト」で徹底調査
コンテンツサイトを手掛けるWeb担当者からは、次のような声がよく聞かれる。
予算がないが流入数を増やしたい
何から取り掛かればいいのかわからない
コンテンツ制作のヒントが欲しい
「Doctors Me」はなぜ、短い時間にここまで劇的な改善が実現できたのだろうか。まずは流入数の改善について、副島氏が田中氏にインタビューする形式で紹介した。
田中氏によると、流入数を改善するためにまず参考にしたのはGoogle検索が提供する「サジェスト」の機能だという。Googleサジェストは、ある検索キーワードに対して検索されることが多い複合ワードや関連ワードを提案する機能だ。これを利用して、ユーザーがどのようなことを知りたいのかという検索意図を調べ、コンテンツ制作のヒントにしたのだという。
田中氏は、「蓄膿症」という検索キーワードに対してサジェスト機能が何を勧めるのかを調査。コンテンツがカバーしきれていないキーワードを探し出すことで、どのようなコンテンツを増やすのかを決めていったという。
なお「ミエルカ」にはGoogleサジェストが提案する関連キーワードを自動でグルーピングできるマッピング機能があり、それを活用したことで効率よくコンテンツを拡充するヒントが得られたとしている。
たとえば、蓄膿症の関連キーワードの中に「ツボ(蓄膿症の改善に効くと言われるツボ)」に関するものが複数あった。改善前のコンテンツにはツボに関する情報は一切掲載していかなったため、医学的な知見を基にしたツボに関するコンテンツを追加。こうした改善を積み重ねることで、ユーザーの検索に対するコンテンツの網羅性を高め、検索順位と流入数を高めることができたのだ。
そして、次なるステップとして実行したのは、既存のページの拡充・改善だ。たとえば、蓄膿症の症状について「鼻水が出る」ということは説明していたが、具体的にどのような状態になるのかについては解説が十分ではなかった。
しかしGoogleサジェストでは鼻水の状態に関する関連キーワードが多数あり、こうした「詳しく知りたい」というニーズに応えられるコンテンツ拡充を行っていったのだという。こうして、検索ユーザーの関心が高い内容を既存のコンテンツに追加していくことで、流入数をさらに大きく伸ばすことができたのだという。
Googleサジェストを活用してユーザーの検索ニーズを調査した
検索ニーズが高いにも関わらず既存のコンテンツがカバーしていないテーマを新たに追加した
既存のコンテンツでも検索ニーズに十分に応えてられていない内容を拡充した
ちなみに、「なぜ2回のステップに分けたのか?」
という副島氏の質問に対して、田中氏は次のように説明。
一度にまとめてやると、どの施策で効果が出ているのか/出ていないのかがわかりにくくなってしまう。重要なポイントを優先的に、かつ段階的に実施していることで、効果検証をわかりやすくした
また、順位が上位になるにつれて競合サイトの分析に注力するようになり、それによって改善・拡充すべきポイントを一層絞り込むことができたとしている。
“穴”はどこにあるのか?ヒートマップを活用してユーザーのサイト内の動きを知る
次に、Web担当者の多くからは「サイトへの流入は増えたが直帰が多い」「ユーザーが離脱するポイントが知りたい」といった声が聞かれるなか、「Doctors Me」はページ滞在時間や直帰率をどのように改善したのだろうか。田中氏は、「ミエルカ」で提供されるミエルカヒートマップという機能を活用した例を紹介した。
ミエルカヒートマップは、ユーザーがページ内をどこまでスクロールして読んだのか(スクロールヒートマップ)、ページ内のどの部分に留まって熟読しているのか(アテンションヒートマップ)といった検証ができる。田中氏は、蓄膿症に関するページでこのミエルカヒートマップでの検証を行い、目立った離脱ポイントはなかった一方で、「熟読度」に偏りあることがわかったのだという。
蓄膿症のページは、上から「症状」「原因」「治療法」という3つのテーマで構成されているが、中盤の「原因」について熟読度が低く(読み飛ばされている)、上下にある「症状」「治療法」の熟読度が高い(よく読まれている)という結果が出た。
そこで、ユーザーの関心が高い(熟読されている)コンテンツをページの上部に構成することで、ユーザー満足度が高まるのではないかという仮説を元に、コンテンツの構成を「症状」「治療法」「原因」という順番に入れ替えたのだという。その結果、滞在時間が約7%上昇し、直帰率も約6%改善するなど、ユーザーエンゲージメントに繋がる効果を出すことができたのだ。
ヒートマップによるコンテンツの検証はどこから実施すればサイト全体のパフォーマンスが向上するのか
という副島氏の質問に対して、田中氏は次のように説明。
流入が多いページからまず実施することが、改善時のインパクトも大きい
セッション数が多いページの改善を優先的に行っていくことのメリットについて、施策効果検証のしやすさや、成功時にサイト全体のパフォーマンス向上が期待できる点などを挙げた。
ユーザーはどこで離脱するのか、どこを読み飛ばしているのかを把握する
ユーザーの熟読度が高いコンテンツをページの上位に構成することで満足度を高める
流入数が多いページを優先的に改善することで、サイト全体のパフォーマンスを高める
コンテンツを成長させるための“4つの力”
プレゼンテーションの最後に、田中氏と副島氏はコンテンツマーケティングのKPI設計やPDCA運用をどのように考えるべきかについてまとめた。
副島氏は、
- 訪問人数や流入回数といった「集客力」
- 滞在時間や読了率といった「閲覧力」
- 直帰率や離脱率に見られる「誘導力」
- CV率や中間CV数といった「成果力」
をコンテンツの成長にとって重要な“4つの力”として提示。ミエルカでは、これらの指標についてページ単位で偏差値にして直感的に良し悪しを判断できるようにし、課題発見から改善施策実行までを支援していくと説明した
この“4つの力”については田中氏も次のように述べた。
Doctors Meでも、ページについてこの4つの指標で評価を行い、どこに改善すべきポイントがあるかを把握している。今後も、閲覧力、誘導力の改善効果を高めるために、まずは集客力強化のための改善を続けていきたい
まずは集客力の向上を、アクセスが集まらなければその他の指標の改善効果も期待できない
Googleサジェストを活用してユーザーの検索意図を読み解く
滞在時間、直帰率を把握・改善し、ユーザー満足度を高める
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