アクセス数を10倍にする! コンテンツマーケティングで成果を出すポイント
Googleをはじめとした検索エンジンに対するSEOにおいて、ユーザーの検索ニーズに応えるためのコンテンツマーケティングを実践することは、Webサイトにユーザーを流入させるために不可欠だといえる。
しかし実際のところ、
- コンテンツマーケティングをどこから始めるべきかわからない
- コンテンツを制作しても結果が出ない
- コンテンツマーケティングの効果測定が十分できない
という課題を抱えているWeb担当者は少なくないのではないだろうか。
このほど開催された「サーチエクスペリエンス コンファレンス 2016」で行われたセッション「アクセス数を10倍にする! コンテンツマーケティングで成果を出すポイント」では、ディーエムソリューションズの山口氏が、成果を生み出すためのコンテンツマーケティング運用のポイントについて紹介した。
Webマーケティング担当者200名の声からわかる、コンテンツマーケティングの現実
山口氏は講演の冒頭、同社が昨年実施したWebマーケティング担当者200名を対象としたアンケートの結果を紹介した。それによると、全体の72%の担当者は月額コスト30万円未満(全体の40%は0円)でコンテンツマーケティングを実施しており、全体の半数にあたる54.5%は満足な成果が出ていないという回答に。
成果が出ていないという回答は、月額コスト30万円未満に絞ると64.1%と、さらに厳しい。月額コスト0円でも62.5%が成果をあげられていないという結果になったという。一方で、月額30万円以上のコストを掛けてコンテンツ制作会社に外注している企業は67.9%が成果をあげており、明暗がくっきりと分かれた形になっているのだ。
実際に、ディーエムソリューションズが依頼を受けてコンテンツ制作の支援を行った専門学校のウェブサイトでは、施策実施後に自然検索による訪問者数が8か月で1397%増加したほか、PV数も833%アップという改善を実現しているという。
なぜ自社でコンテンツ制作を賄うと効果が出ず、コンテンツ制作会社に依頼すると成功することができるのか。
山口氏はヤフーが行った調査結果を紹介したうえで、企画力、制作スキル、編集スキルといったコンテンツ制作に関する様々なノウハウが不足していることが、コンテンツマーケティングが失敗する大きな要因だと指摘。コンテンツ制作会社がそのノウハウを持っていることが、成功に繋がっていると説明した。
検索エンジンとユーザーの双方から評価されるコンテンツとは
では、コンテンツマーケティングで成功するためのポイントとは何なのか。山口氏は「検索エンジンとユーザーの双方から評価されるコンテンツを制作すること」
と語り、検索エンジンに評価されるコンテンツの秘密について解説した。
Googleは、検索エンジンがWebサイトを評価する上でのポイントについて、「情報を豊富にして、コンテンツのテーマを示す関連性の高いキーワードを適切に含めること」
と説明している。山口氏はこの“コンテンツのテーマを示す関連性の高いキーワード”について、「検索するユーザーの疑問が解消される回答を含むキーワードのことだ」
と説明。
加えて、「検索エンジンの目標は、ユーザーが探している情報(答)を迅速に提供すること」
というGoogle会長のエリック・シュミット氏の言葉を引用した。つまり、自社の商品やサービスに紐づく情報をユーザーの検索期待値に応えるコンテンツとして提供することが、検索エンジンからの評価を獲得するうえでも重要なのだ。
実際、同社がコンテンツマーケティングを支援したドッグフードの通販専門サイトの事例では、犬のアレルギー症状とその対策といった内容や、シニア犬の食欲不振に関する知識などをコラムコンテンツとして公開したところ、そのコンテンツへのトラフィック流入がGoogle検索のクオリティアップデートを境にして急速に伸びはじめ、現在では検索結果からの流入のうち6割以上がコンテンツ経由に。検索経由の流入数全体も前年同期比で230%と成長し、コンテンツへの流入がアシストコンバージョンとして機能しているのだという。
コンテンツ制作を成功させる5つのステップ
それでは、ユーザーの検索ニーズ=ユーザーが探している情報を見極め、検索エンジンからも評価させるコンテンツ制作を成功させるためには、具体的にどのような手順を踏めばいいのだろうか。山口氏は、ドッグフードの通販専門サイトの事例をもとに、5つのステップにまとめた。
- STEP 1ターゲットを明確にする
- STEP 2コンテンツを設計する
- STEP 3キーワードを設定し、タイトルを企画して記事を制作する
- STEP 4編集・装飾を行い、コンテンツを公開する
- STEP 5効果測定を行い、PDCAを回す
STEP 1ターゲットを明確にする
まず行うのは、コンテンツの読者となるターゲット像(ペルソナ)を明確にするということだ。性別や年代といった基本属性や興味関心をできるだけ細かく設定することで、ユーザーが何を求めているのか、どのような課題を抱えているのかといったニーズを明確化することができるのだ。
ターゲット像を明確にすればするほど、ニーズはよりはっきりしてくる。このニーズが、“ユーザーが探している情報”であり、それに応えることがコンテンツ制作の目標となる(山口氏)。
このターゲット像とニーズの明確化が、評価されるコンテンツを作れるか否かの分岐点だ。
とはいえ、Googleアナリティクスなどでわかる属性情報だけでは、ターゲット像は見えてこない。そこで、山口氏は社内の顧客対応部門への聞き取り調査を行って顧客像を探ったり、「Yahoo!知恵袋」などのQ&Aサイトにユーザーがどのような悩みを相談しているかなどを調査したりすることで、ターゲット顧客の潜在ニーズを探ることを提案した。
STEP 2コンテンツを設計する
次に行うのは、ターゲット像に合わせたコンテンツの設計だ。ここで重要なのは、「多くのユーザーのニーズに刺さり流入が期待できる内容」と「購入意欲の高さが期待できる内容」のバランスをどのように取るかという点だ。
具体的には、ターゲット像が持つ悩みを解決するようなコラム記事などのコンテンツは、多くの流入が期待できる一方で購入意欲の高さは期待できない。他方、季節ごとの特集記事やキャンペーンなどの記事は、流入数は少ないかもしれないが高い購入意欲が期待できる。
失敗するコンテンツマーケティングで多いのは、もともとニーズが少ないコンテンツを量産してしまっていたり、購入意欲のあるユーザーの接触をまったく期待できないコンテンツを作ってしまっているケース。作ろうとしているコンテンツにニーズはあるのか、その情報を求めるユーザーに購入意欲はあるのかを見極めることが重要だ(山口氏)。
STEP 3キーワードを設定し、タイトルを企画して記事を制作する
ターゲット像とコンテンツ内容の方向性が定まってきたところで、次に行うのはキーワードの選定だ。コンテンツの内容に合わせていくつかのキーワード候補を用意し、GoogleキーワードプランナーやGoogleトレンドなどのツールを使って期待される検索回数を調査。実際にコンテンツ内容に対するニーズがあるかを定量的に調べ、そのキーワードを盛り込んだコンテンツのタイトルを企画するのだ。
なお、キーワードの調査にあたっては、Googleのサジェストキーワードが調査できる「Goodkeyword」や、競合他社サイトへの流入キーワードを調査できる「SimilarWeb」といったツール、「NAVERまとめ」などキュレーションメディアの閲覧数を参考にすることもお勧めだという。
このキーワード選定でユーザーからの検索回数が期待できるキーワードを選ばなければ、コンテンツを公開しても流入は期待できない。事前にしっかり調査することが重要だ(山口氏)。
ここまで準備を進めて、次は実際のコンテンツ本文の制作だ。山口氏は、ライティング時のポイントについて、「キーワードに対して上位表示している競合サイトはどのような記事を作っているのかを参考にすると、成果に繋がりやすい記事制作を立ち止まらずに進めることができる」
と説明。
上位にあるということは、実際に現状で検索エンジンが「検索ニーズに合う」と判断しているということ。それらのコンテンツを参考にしながら、その内容を超えるコンテンツを目指して制作することが重要だとした。
STEP 4編集・装飾を行い、コンテンツを公開する
そして、コンテンツを公開する前に必ず行うべきなのが、ユーザーにとって読みやすいコンテンツにするための文字装飾や文体統一といった編集と、写真などによるページの装飾だ。
検索エンジンだけでなく、人が読むということをしっかりと意識して、読みやすいコンテンツに仕上げることが重要だ(山口氏)。
STEP 5効果測定を行い、PDCAを回す
ここまで造り込んでコンテンツを公開すれば多くの流入が期待できるはずだが、ここで重要になるのが効果測定とPDCAの運用だ。
売上に繋げるということがゴールであれば、流入数だけでなくコンバージョンやアシストコンバージョンといった指標を注視する。
貢献度の高いコンテンツならば、続編や関連コンテンツを作る。
貢献度の低いコンテンツならば、テーマを見直したりターゲット象を再考したりするなど改善を目指す必要がある。
コンテンツを“作りっぱなし”にしては、成功はできない(山口氏)。
また、平均滞在時間、直帰率、平均閲覧ページ数、離脱率などに課題がある場合には、関連コンテンツや関連商品へと誘導する導線の設置や、流入ユーザーの検索意図とコンテンツのミスマッチがないかを検証するなどして、サイト内の回遊を促進するための改善を進めるべきだとした。
成果を出すためのサイト設計のヒント
最後に山口氏は、コンテンツマーケティングを成功させるために、Webサイトの設計で改善できるポイントを2点挙げた。
ひとつは、検索エンジンや検索ユーザーにとってわかりやすいURLにするという点だ。これはGoogleがサイト管理者向けの「スターターガイドライン」においても提唱していることで、URLの中にカテゴリーやコンテンツの内容がわかる単語を使用することで、そのURLが何についてのコンテンツなのかを明確に示すことができるのだ。
URLはユーザーが見ても検索ロボットが見ても、構造が解りやすくなるように意味のある言葉で設計することが重要だ(山口氏)。
加えて、サイトのディレクトリ構造の見直しも、SEOで最も重要でかつ成果を出しやすい改善だという。たとえば、ひとつのテーマについて複数のページがトップページ直下の階層にぶらさがるのではなく、トップページ直下にテーマのディレクトリを作り、その中にテーマに関するコンテンツを格納したほうが、検索エンジンが「特定のテーマについて内容が充実している」と評価しやすいのだ。山口氏は次のように締めくくった。
ディレクトリ構造の見直しは非常に大きな作業になるが、SEOにとっては最もインパクトが出る領域になる。これは、コンテンツサイトだけでなくECサイトなどSEOを行うすべてのサイトに共通していることだ(山口氏)。
- URLはコンテンツの内容が理解できるようわかりやすい単語で設計する
- テーマごとにディレクトリを作成し、コンテンツをディレクトリ単位で格納する
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