「検索に強いコンテンツ」を企画・制作するために欠かせない4ステップとは?
コンテンツの「企画」といっても、どう考えればいいの?
「検索に強いコンテンツ」はコンテンツマーケティングで最も取り組みたいものの1つです。しかし、実際にどのように企画に取り組めばいいのでしょうか?
ここでは、コンテンツ企画の立て方から構成案の作り方、ライターへの発注の仕方まで、「検索に強い」コンテンツを作るためのステップを解説します。ここで扱うのは「検索エンジンからの流入を狙うコンテンツ」であり、決して「SNSでバズるためのもの」ではありません。
筆者が、オウンドメディアの企画・制作・運用のお手伝いや社内外の勉強会、コンテンツマーケティングツール「MIERUCA」(ミエルカ)の機能開発にかかわってきた中から、重要と思われるポイントに絞って解説させていただきます。
それでは、順に説明していきましょう。
- コンテンツを企画する
- コンテンツの構成案を決める
- ライターへの発注シートを作成する
- コピーチェック&編集作業を行って公開する
1. コンテンツを企画する
まずはコンテンツの企画です。「ゼロベースで自分の頭でマインドマップを作る」「キーワードマップを作成する」という2つの方法を使い、それらを合わせて企画を立案します。
ゼロベースで自分の頭でマインドマップを作る
筆者は、コンテンツを練るときはパソコンの電源を切り、A4用紙とペンを用意します。そして、「ユーザーはこんなことを知りたいのではないか?」ということを思いつくままマインドマップに書いていきます。
たとえば、次のような具合です。例は「ニキビ跡」というテーマを中心に置いて考えたものです。
「ニキビ跡」を中心に、「コスメ」「男性」「皮膚科」など自由に書いていきます。
ここでのポイントは、いきなりキーワードツールを使わずに、自分の頭でそのテーマをしっかり考えて「もんでおくこと」です。それが、このあとキーワードツールを使った際に事前に考えていたことの「ギャップ」や「気付き」につながります。
どうしてパソコンを利用せず手書きなのかというと、手書きの方がいいアイデアが浮かび、筋のいい仮説が立てやすいからです。専門的なことはわかりませんが、タイピングよりも手書きの方が脳は活性化しやすいという研究成果もあるそうです。
書くという行動は、脳幹の網様体賦活系(RAS)にある多くの細胞を刺激します。RASは、脳が処理しなければならないあらゆるものの中で、その瞬間に積極的に注意を向けているものを、より重用視するフィルターとしてはたらきます。そして、書く動作は、「その瞬間に積極的に注意を向けているもの」をつくりだすのです。
思いつく限り書き終えたと感じたら、次はツールを使ってキーワードマップを作ります。
ツールを使ってキーワードマップを作成する
次はツールを使って検索キーワードの種類やボリュームを調べます。「検索に強いコンテンツ」が目的なので、検索キーワードの分析は欠かせません。
ここでは、「ニキビ跡」というキーワードを柱にして、グーグルのキーワードプランナーや検索エンジンのサジェスト、そして「Yahoo!知恵袋」などのQ&Aを複数活用して、検索キーワードを網羅的に集めます。
- キーワードプランナー
https://adwords.google.co.jp/keywordplanner - Yahoo!知恵袋
http://chiebukuro.yahoo.co.jp/
複数のツールを利用しなくても、弊社のコンテンツマーケティングツール「ミエルカ」なら簡単にキーワードを集めてエクセル形式でダウンロードすることができ、手間を省けます。
そして、ユーザーの検索意図・欲求別にキーワードをカテゴライズします。次の図でキーワードの横にある数字は、月間検索数を表しています。
キーワードをカテゴライズする方法は何でも構いませんが、筆者は「MindManager」という有料ソフト(30日の無料試用版あり)を利用しています。
- MindManager
http://www.mindjet.com/ja/
ユーザーの意図・欲求がうまく理解できない場合は、実際に検索してライバルサイトを数十サイト熟読して学習しましょう。また、Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトでどんな質問がされているかも100件以上チェックします。
この作業は根気が必要で、半日以上かかることもよくあります。しかし、この時間は決して無駄ではありません。自身の学習のプロセスが、企画を活性化するのです。
マインドマップとキーワードマップを統合する
ここで、頭で考えたマインドマップと、ツールを使って作成したキーワードマップとを統合します。マインドマップに、月間検索数を当てはめて整理していきましょう。
これもどんな方法で作成しても構いませんが、キーワードがどのような関係でつながっているのかを考えながら整理していきます。マインドマップに検索ボリュームの数値が加わることで、このテーマにおけるユーザーの検索意図を的確にとらえることができるのです。
宣伝となってしまいますが、「ミエルカ」では「サジェストネットワーク」というユーザーの検索意図を可視化してくれる機能があります。これを使えばリサーチ時間を大幅に短縮できます。
丸の大きさは検索数を表しています。赤枠の内側をご覧ください。「ニキビ跡」から太い矢印がつながっている「皮膚科」「レーザー」「消す」「色素沈着」「化粧水」「赤み」などが、ユーザーの興味・関心が高いキーワードです。
2. コンテンツの構成案を決める
コンテンツの企画が決まったら、次はコンテンツの構成案を考えます。ここで、先ほど作成したキーワードマップをもう一度使います。
キーワードマップの検索数を見ながら、それぞれ次のように整理していきます。
- タイトルに入れるキーワード
- 文中の見出し(h2タグ)に利用するキーワード
- 文中にちりばめるキーワード
- 使用しないボツキーワード
- 月間検索数の多いキーワードを組み合わせてタイトル案を練る
- タイトルから漏れたキーワードを見出しで利用できないか検討する
- 文中にちりばめるキーワードとボツにするキーワードを分ける
①月間検索数の多いキーワードを組み合わせてタイトル案を練る
まず、月間検索数が最も多いキーワード4~5個を組み合わせてタイトルを作ります。
- 「ニキビ跡 赤み」(4400)
- 「ニキビ跡 化粧水」(3600)
- 「ニキビ跡 治療」(3600)
- 「ニキビ跡 クレータ―」(2900)
- 「ニキビ跡 レーザー」(2900)
これらのキーワードから、次のようなタイトルを考えました。
しかし、筆者はこのタイトル案は採用しませんでした。
理由は、「化粧水」や「レーザー」などの治療方法よりも、「赤み」や「クレーター」などの症状、つまりユーザーの心に引っかかっているであろうことにフォーカスしたタイトルを付けた方がユーザーの心に響くのではないか? と考えたからです。
症状にフォーカスするならば、「ニキビ 色素沈着」(720)もタイトルにいれるべきです。その結果、最終的なタイトル案は以下のようになりました。
治療(消す)としたのは、「ニキビ跡 消す方法」(2400)というキーワードがあったからです。「ニキビ跡 治す」(3600)は「ニキビ跡 治療」(3600)とまったく同じ意味なので利用しません。
このように複数のキーワードを組み合わせながら、最適なタイトル付けを試行錯誤します。
②タイトルから漏れたキーワードを見出しで利用できないか検討する
次に、タイトルから漏れた月間検索数の多いキーワードを見出し(h2タグ)で利用することができないか、検討します。
該当するキーワードは以下の3つです。
- 「ニキビ跡 化粧水」(3600)
- 「ニキビ跡 レーザー」(2900)
- 「ニキビ跡 薬」(1900)
いずれもニキビ跡のケアに関するキーワードなので、今回は3つとも見出しに利用できると判断しました。
③文中にちりばめるキーワードとボツにするキーワードを分ける
タイトルと見出しで利用しなかったキーワードは、文中にちりばめられないかを検討します。残ったキーワードは次の通りです。
- 「ニキビ痕 サプリ」(210)
- 「ニキビ痕」(720)
- 「にきびあと」(720)
ここでは、「ニキビ痕 サプリ」(210)を「ニキビ跡 サプリ」に修正し、なるべく文中にちりばめます。ちりばめると文章の流れが崩れる場合は、思い切ってボツにします。
「痕」を「跡」に修正しているのは、統一した表記にしないとユーザーが混乱する可能性があるからです。今のグーグルは「ニキビ痕」と「ニキビ跡」がほぼ同じ意味であると理解しているので、問題はありません。それはこれらの検索結果が非常に似通っていることからも明らかです。
上記と同じ理由で、「ニキビ痕」(720)「ニキビの痕」(20)「にきびあと」(720)といった表記違いのキーワードはボツにします。
3. ライターへの発注シートを作成する
ここまでキーワードを分類すれば、あとは簡単です。こうして振り分けた見出しや文中のキーワードを入れ込んだ構成案もとにして、次のようなライターへの発注シートをワードで作成します。
こうした詳細な発注シートを準備することには、メリットとデメリットがあります。
メリットは、こちらの要望とずれたコンテンツができあがる可能性が低いことです。つまり、質を担保できます。
デメリットは、発注シート(こちらの期待)を上回るようなコンテンツはなかなか納品されないことです。ライターによっては、たとえば「ニキビ跡をテーマに自由に書いてください」のようにざっくりとした発注の方が素晴らしいコンテンツを作成してくれることもあります。
ただし、こちらの期待を上回るには、大前提としてライターがそのテーマに精通している必要があります。たとえば、「長年大人ニキビとその跡に悩んでいて、ありとあらゆるコスメや美容医療を試した」という経験がある方なら、こちらの想定よりも素晴らしいコンテンツを作成してもらえるかもしれません。
質の高い外部ライターを探す5つの方法
ライターは、可能な限り執筆を依頼する分野に精通している人を探してください。
私は主に以下の5つの方法で探しています。
- ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサービスで探す
- ミクシィのコミュニティやNAVERまとめなどからスカウトする
- ブロガーをスカウトする
- 友人知人に紹介してもらう
- 書籍の著者にアプローチする
5つの中で「この方法が一番うまくいく」といったものはなく、根気強く探すしかありません。「そのテーマで質の良い情報を発信している人がどこにいるか?」というアンテナを張っておくことが大切です。
2番目の項目について、補足しておきましょう。ミクシィにはさまざまなコミュニティがあります。たとえば「ニキビ跡」ならば「!ニキビ跡・ニキビをなんとかしたい!つるぴか★お肌になりたい」というコミュニティもあり、親切で詳しい人が他の人の疑問や質問に回答しているケースがあります。こういう方は知識や経験が豊富で、良いコンテンツを制作できる可能性が高いのでスカウト対象にぴったりです。
また、質の良いNAVERまとめを見つけた場合は、必ずサイドメニューの自己紹介をチェックしてください。自己紹介に運営しているWebサイトを載せていれば、そこからコンタクトをとることも可能です。筆者はこの方法で数名の方をスカウトし、仕事を依頼しました。
4. コピーチェック&編集業務を行って公開する
ライターからコンテンツが納品されたら、コピーコンテンツでないかを必ず精査します。文章の一部を検索するなどして、どこかのWebサイトやブログをコピーしていないかを確認しましょう。スクリプトを使ったコピーチェックツールもありますが、グーグルなど検索エンジンの利用規約に反していないかをよく確認して自己責任で利用してください。
執筆依頼をしたライターの方に悪気がなくても、参考にしたWebサイトの言い回しをそのまま利用してしまうことがあります。また、明らかに他のサイトのコンテンツをコピーしているケースもあります。コピーコンテンツはグーグルのペナルティ対象となりますし、当然著作権にも違反します。しっかりとチェックしてください。
筆者は、どこかのコンテンツをコピーしていることが発覚した場合は、そのライターさんには辞めてもらうようにしています。
コピーチェック終了後、編集業務を行ったらWebサイトにアップロードします。
上図は、今回説明した流れでコンテンツ制作をしたあるサイトのアクセス推移です。2013年12月1日以降、毎月数記事を継続的に投稿し、その結果セッション数は6倍に伸びています。
毎月コンスタントに新規コンテンツを追加していくのは根気がいるものです。しかし、「コツコツ努力」が最も成果につながりやすいのが、コンテンツ作りだとも感じています。
大切なのは、機械的にキーワードツールを利用することではなく、自分の頭で考えてユーザーの検索意図を探り、そのテーマについて学習していくプロセスです。
ぜひ、誰にも真似できないコンテンツを企画・制作してください。
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