コンテンツマーケティングの成果を測るうえで大切な2つのポイント×4つの力とは?
コンテンツマーケティングに関する考え方やノウハウを共有していくこのコーナー。今回は、「コンテンツマーケティングの目標設定」というテーマでお届けします。コンテンツマーケティングは、どんな目標をもって取り組めばいいか悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
作ったコンテンツのアクセス数が増えたからといって、ビジネスに貢献しているとは限りません。コンテンツマーケティングを評価するためには、アクセス数だけではなく、専用の指標を準備する必要があります。
申し遅れました。コンテンツマーケティングにかかわっている皆さん、こんにちは。Faber Companyの小川です。社内外での勉強会やコンテンツマーケティングツール「MIERUCA」(ミエルカ)の要件設計にかかわっています。
コンテンツマーケティングへの関心は伸び続けている
まずは、「コンテンツマーケティング」という言葉が置かれている状況を見てみましょう。次の図は、Googleトレンドで「コンテンツマーケティング」「オウンドメディア」での検索ボリュームを確認した結果です。
見ての通り、「オウンドメディア」と「コンテンツマーケティング」は2012年ころ徐々に検索が増え、ここ数年は増加の一途をたどっています。この2つのキーワードがほぼ同じような推移をしているところも特徴的です。逆に、バイラルメディアは2014年後半~2015年上旬で一時的に盛り上がり、現在は減少しています。
コンテンツの必要性や重要性自体は、今に始まった話ではありません。次はもう10年前の記事になりますが、Webコンテンツの役割や重要性について言及がなされています。
どんなにWebサイトの作り(ユーザビリティやアクセシビリティ、SEO対策、Web標準準拠、etc.)がよくても、肝心の中身のコンテンツが充実していなければ、ユーザーを満足させることはできません。サイトの作りをよくするのがユーザーの不満足を削減するための必要条件だとしたら、ユーザーの必要とする情報を伝えるコンテンツを充実させることはユーザー満足度向上のための十分条件といえるでしょう。
しかし、ここ数年で「コンテンツ提供方法の多様化」「同業他社やサイトとの差別化」「スマートフォンの隆盛」「ソーシャルメディアを中心としたコンテンツの拡散性の増大」「グーグルの検索エンジンアルゴリズムの変更」といった大きな変化が起きており、これらが相まって現在の状況を生んでいます。そのため、コンテンツ、あるいはコンテンツマーケティングにあらためて向き合う必要があることは間違いありません。
コンテンツマーケティングの成果をどう計測するか?
どの施策でも一緒ですが、コンテンツは作って終わりではありません。作ったものを分析し、振り返り、継続的な改善につなげていくことでより大きなインパクトを出すことができます。
では、これらのコンテンツはどのように評価すればいいのでしょうか? 指標の候補はたくさん考えられます。1つの記事に対して、次のような多種多様な数値があることでしょう。
- ページビュー数
- 直帰率
- 滞在時間
- ページ経由の問い合わせ数や売り上げ
- ソーシャルブックマーク数
- ソーシャルメディアでの拡散数
しかし、これらの数値を見ても気付きを発見したり、改善に生かしたりすることは簡単ではありません。まず、コンテンツマーケティングの取り組みを評価するうえで大切なポイントを2つ理解しておく必要があります。
- 目標は常に見直して変えていく
- 成果までの「チェックポイント」を用意する
それぞれについて、詳しく解説していきましょう。
ポイント1: 目的や評価基準は見直して変えていく
1つ目は「目的や評価は変えていくことを前提とするべき」という事実です。オウンドメディアの立ち上げからの期間や会社の状況によって、定期的に目標を見直していきます。コンテンツが成果を生むまでには、以下の4つのプロセスを通ると考えられます。
「集客」「閲覧」「誘導」「成果」の4つは、一部の特殊なケースを除き基本的には順番に発生します。そのため、コンテンツマーケティングの取り組みを実施したばかりのときは、まずは「人を集めること」をゴールに設定しましょう。いくら良いページやコンテンツを作っても、見てもらえなければ意味がありませんし、最終的な成果につなげることはできません。
たとえば、リリースから最初の半年間は「集客」に比重を置いてコンテンツを作成し、ある程度人が集まるようになったら次に「閲覧」の比重を強める、というように、「目標を段階ごとに変えていく」という考え方が大切です。当面のゴールは「成果(売上)」ですが、商品やサービスによっては継続的な利用や購入など「ファン化」してもらうことが達成したいゴールになります。業種に合わせて、「成果(売上)」部分は複数のステップに分けると良いでしょう。
Googleアナリティクスで4つのプロセスを確認する
これらのデータをGoogleアナリティクスで取得しようとする場合は、以下のような方法でステップごとのデータを見ることになります。
ステップ | データの取得方法 |
---|---|
集客 | ページへの流入数や訪問回数をページごとに見る。「新規訪問」のセグメントを作成すると良い。 |
閲覧 | ページごとの平均滞在時間を見る。スクロール率の計測が行えるプラグインやヒートマップツールを利用しているなら、コンテンツを最後まで読んだ割合をページごとに確認するのも有効。 |
誘導 | サイトを離脱した割合、あるいは直帰した割合などを見る。そのページがランディングページとしての役割が大きい場合は直帰率を、サイト内の回遊でコンテンツを見ている場合は離脱率を重視するなどの使い分けを行う。 |
成果(売上) | 該当ページ経由のコンバージョン率あるいは後述する「チェックポイント」への到達率を見る。Googleアナリティクスでeコマース機能、またはコンバージョンの目標値を設定している場合は「ページの価値」を見てもよい。 |
ちなみに、弊社が提供しているサービスの「ミエルカ」では、複数の解析指標を組み合わせて、これら4つの要素を「集客力」「閲覧力」「誘導力」「成果力」と名付けて、偏差値化された指標で簡単に見ることができます。
ポイント2: 成果までの「チェックポイント」を用意する
まずは集客から初めて、順番に指標の見直しを図っていくと書きましたが、「集客はできているが売り上げなどの成果が出ていない」、あるいは「立ち上げたばかりなのに、すぐに成果を求められて困っている」というようなケースも多いのではないでしょうか?
その場合、大切なのは売り上げや受注などの最終的なゴールの手前に、いくつかの「チェックポイント」(通過点)を用意することです。たとえば、次のようなものです。
- 受注まではまだ至っていないが、問い合わせはしてくれた
- 問い合わせはまだしていないが、商品やサービスの説明ページは見てくれた
つまり、「最終的なゴールには到達していないが、閲覧者に対して何かしらの態度変容を起こすことができた」ものを、「チェックポイントの成果」として設定します。この通過点の成果は、「マイクロコンバージョン」とも呼ばれます。
たとえオウンドメディアの閲覧数が10万あっても、肝心の問い合わせはたった数件といったケースはよくあります。しかし、これはある意味で当たり前なのです。利用者がサイトに訪れたのは、問い合わせをするためではありません。そのコンテンツに興味・関心をもったからです。一足飛びに問い合わせを達成してもらおうということがそもそも非現実的なのです。
チェックポイントあるいは態度変容をゴールとすることには大きな利点があります。それは「改善や分析の行いやすさ」です。閲覧数10万に対して問い合わせが数件では、「どのようなコンテンツが問い合わせにつながりやすいのか」といった評価を行うことはできません。しかし、途中のチェックポイントであれば、それらを達成する人数は数人から数百人になるのではないでしょうか? 改善や分析という観点からも、ぜひ「チェックポイント」を目標に設定しましょう。
チェックポイントはGoogleアナリティクスの「シーケンス」機能で見る
Googleアナリティクスでは、目標に設定していないチェックポイントの成果を見るには「シーケンス」機能を利用します。シーケンス機能は、新規セグメントの作成画面で選択します。
たとえば、「記事を見たあとに商品の一覧ページを見た」というチェックポイントであれば、以下のように設定します。記事で新規獲得したユーザーだけを見たい場合は、ステップ1に「セッション数=1」という条件を追加するとよいでしょう。
- 「フィルタ」で「ユーザー」を選択
- ステップ1で記事ページのURLを条件に設定
- ステップ2で商品一覧(検索結果画面)を条件に設定
別の例も挙げましょう。「新規で記事を見たあとにサイトに再度訪れた」という再訪問をチェックポイントとして定義すると、「記事をきっかけにサイトのことを知った」ということも測定できます。その場合は、以下のようにシーケンスを設定します。
- ステップ1で記事ページのURLを条件に設定
- ステップ1の「AND」で「セッション数=1」を条件に設定
- ステップ2で「セッション数≧2」を条件に設定
Googleアナリティクスでは、記事1つごとにセグメントを作成しなければならず、手間と時間がかかります。ミエルカでは、「成果力(再訪)」という機能があり、記事ごとにこの再訪数を簡単に確認することができます。右から4列目の「成果力(再訪)」と右から3列目の「成果力(再訪率)」がこれに該当します。
ユーザーから見たときの視点を「+1」する
ここまで紹介してきた集客や売り上げなどの目標は、あくまでも企業視点のものです。しかし、忘れてはいけないのは、そのコンテンツがユーザー視点で見たときに目標を達成できているかどうかということです。ぜひ、この視点を「+1」してほしいと考えています。
皆さんはコンテンツを提供する側である一方で、同時にコンテンツを利用するユーザー側でもあるはずです。自分たちがかかわっているコンテンツをユーザーの視点で見た場合、どんなことを目的にサイトを訪れ、そしてコンテンツからどんなものを得るのでしょうか?
- 知識?
- 喜び?
- 疑問の解決?
その指標が何であるかは、もちろんコンテンツによって変わってきます。そのため答えがあるわけではありませんし、たとえ仮にその目標を決めても計測することは必ずしも容易ではありません。そもそも「喜び」はどう計測すれば良いのでしょうか?
この「ユーザー視点」の目標は、必ずしも数値を設定しなくても良いでしょう。数値化することは難しいかもしれません。しかし、大切なのはそれを「指標」ではなく「指針」として意識して、常に「ユーザー視点で目的を達成しているか」を問いかけながらコンテンツを用意していくという姿勢です。
ぜひ皆さんも、ここで紹介した方法でしっかり目標設定をしたうえで、そこにユーザー視点も+1しながらコンテンツマーケティングに取り組んでください。
ソーシャルもやってます!