分散メディア時代のアクセス解析は茨の道?
今日は、「分散メディア時代のアクセス解析」に関して。昨今、オウンドメディアだけでなく、さまざまなソーシャルメディアなどにコンテンツが分散配信される流れが強くなってきていますが、これのせいでアクセス解析が大変になっているのです。
「分散メディア」とは?
「分散メディア時代」が来ていると言われています。
これまでは、自社サイトにコンテンツを置き、各種ソーシャルメディアなどから自社のページへとユーザーを誘導していました。
「分散メディア」とは、それに対して、Google、Facebook、SmartNewsなど、さまざまなメディアにコンテンツそのものを配信します。各配信先メディアのユーザーが自社サイトに移動することなくコンテンツに触れてもらうというものですね。
それぞれ、次のような配信フォーマットや仕組みが用意されており、仕様に則ってコンテンツを配信すると、配信先にデータが保存され、自社サイトとは関係なく利用されます。
- Google ―― AMP
- Facebook ―― Instant Articles
- SmartNews ―― SmartFormat
こうした動きが強くなっている背景には、モバイルの大普及とプラットフォーム側のエクスペリエンスに対する考え方の進化があります。
企業やメディアのモバイル最適化が完ぺきではない状態では、たとえばグーグルで検索結果をクリックしたときや、Facebookでニュースフィードでシェアされたリンクをクリックしたときに、リンク先のサイトが遅ければ、ユーザーがイライラしてしまいます。
しかし、あらかじめリンク先のデータを各プラットフォーム側で保存しておけば、アクセス速度があまり速くないモバイルでもユーザーはストレスなくコンテンツに触れられます。
最初はメディアから始まったこの分散メディアの動きですが、昨今では企業のオウンドメディアにも関係してきています。
分散メディア時代のアクセス解析は何が難しいのか
さて、こうした「分散メディア」が進むと、なぜアクセス解析が難しくなるのでしょうか。
それは、各プラットフォームで配信されたコンテンツでは、ドメイン名がオウンドメディアと別であるため、同一のクッキーを利用できないからです。
たとえば、次のような場合を考えてみます。
- 自社サイトに月間100万ユニークブラウザーが訪問している
- GoogleにAMPで配信したコンテンツは40万ユニークブラウザーが閲覧した
この場合、自社のコンテンツに接触したユニークブラウザー数は100万+40万で140万になるかというと、そうとは限りません。AMPコンテンツに接触したユーザーは、自社サイトにも訪問している可能性があり、どの程度が重複しているかわからないからです。
そのため、現在は各プラットフォームで「配信するコンテンツのアクセス解析は、メインの解析データとは別に扱うように」と推奨されています。
単純なユニークブラウザー数だけでなく、「配信先メディアのコンテンツに触れた人が、その後、どういった行動をして自社サイトを訪問し、最終的にコンバージョンしたか」などのデータも、つなげて分析することはできません。
分散メディア時代の分析 ―― 解決策
この問題の解決策は、今のところ2種類考えられます。
- アンケートを併用し、推測する方法
- cookie syncやpiggy backを利用してクッキーをつなげる方法
「アンケートを併用し、推測する方法」は、シンプルです。デジタルでのトラッキングとは別途アンケートなどを利用して、接触メディアの重複率を推定し、アクセス解析データの計算時にその推定重複率をかけて利用するやり方ですね。
あまりコストはかかりませんし、既存のシステムと別のものは必要ありません。
ただし、ユーザー数が少ない場合には誤差が大きくなりますし、そもそもメディアをまたがるユーザー行動は確認できません。
「cookie syncやpiggy backを利用してクッキーをつなげる方法」は、この場合は、サードパーティクッキーを利用するサービスを使って、IDを統合していくやり方ですね。
たとえばGoogleのAMPならば、バックグラウンドでDoubleClickを使ってGoogleアナリティクスのクッキーをつなげるなどの仕組みを提供してくれれば、実現できるんじゃないかと。
「じゃないか」という中途半端な表現になっているのは、具体的にどのようなツールでどう実装すればうまくいくのか、私もイメージしきれていないからです。すいません。
また、速度の問題もあります。高速化を目的としているこれら分散メディアで、わざわざ複数のビーコンを動作させる手法を、プラットフォーム側が採用するかというと、なかなか厳しいものがあります。
答が出ていないトピックですいません。でも、今後「分散メディア」が進むにつれて、この問題がもっと表に出てくるのではないかと思われます。
アナリティクス業界のみなさん、いかがでしょうか。
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