統合価値マップとは? ユーザー層が持つ複数の「価値」を可視化する手法
統合価値マップとは? ユーザー層が持つ複数の「価値」を可視化する手法
統合価値マップとは、一言でいうと次のようなものです。
フォーカスすべきユーザー層がもつ「価値」について俯瞰的に可視化したもの
たった一人の人格像として可視化する手法である「ペルソナ」と近い発想ですね。
ペルソナは、自身にとってそうあってほしいと思う「期待価値」を持っています。これらの「期待価値」は上図のように複数存在していて、それらの「期待価値」はそれぞれ相関性を持っていたり、小さなレベルの価値群がグループを成して大きな価値のカタマリになっていたりします。
「統合価値マップ」とは、そういったさまざまな「価値」の相関関係や階層構造を整理し、構造化してアウトプットしたものを指します。
製品やサービス、Webサイト、事業全体のコンセプトで「どんな価値を提供するのか」を策定するときに活用できますので、以下の作成方法を参考に作成してみてください。
統合価値マップを作るポイント
統合価値マップを作るためには、まずインタビューや観察などの調査で得られたユーザーの生の声や行動、しぐさといった質的な一次データから、その背景にある文脈的な要素を解釈した後、純粋な「価値」として切り離し、抽出していく作業が必要です。
なぜそのようなステップが必要かというと、生活者の発言には、その発言を言わせる原因になっている「過去の出来事」やその発言によって起こってほしいと考えている「あるべき状態」などが潜んでいます。
たとえば、「ドキドキしました」という発言は、「恐怖」によって発せられたものなのか? それとも「スリルによって感じる楽しさ」からのものなのか? 記録された文字だけでは判断できないですよね。
ですから、その発言や行動の「真意」をあぶり出す作業を、現場で調査を担当したリサーチャーが行う必要があるのです。
その際に用いる価値抽出手法の1つとして、第3回の連載記事で紹介した「KA法」という手法を用いることをオススメします。
KA法によって抽出されたさまざまな価値は、親和分類法(KJ法のようなイメージで似たもの同士をグループ化していく)で分類していくといいでしょう。
- 価値をいくつかの階層にグループ化してラベル(共通見出し)をつける
- 価値グループごとの関係性をノード(グループ化同士をつなぐ線)で表現する
これらの作業を繰り返すことで、最終的に妥当性のある統合価値マップが完成します。
統合価値マップによって、
- ユーザーがどんなことに「価値」を感じるのか
- どんな「価値」の優先順位が高いのか
といった価値の骨格や優先順位が俯瞰的に可視化されて、アイデアの発想を助け、どのアイデアを採用するか、といったものを判断しやすくします。
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