カスタマージャーニーマップとは? 顧客が経験する一連の経験を旅の地図のように可視化する手法
カスタマージャーニーマップとは? 顧客が経験する一連の経験を旅の地図のように可視化する手法
前述のペルソナ同様、ここ数年で急速にビジネスの現場で知られるようになったものの1つが、「カスタマージャーニーマップ」です。
カスタマージャーニーマップといえば、この手法を提唱し広めたデザインファームであるAdaptive Path社が手がけた下図の欧州鉄道の顧客体験を描いた事例が有名です。目にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
上図のカスタマージャーニーマップを一言で表現すると、
ある製品やサービスにおいて顧客が経験する一連の経験を旅の地図のように可視化したもの
といえるでしょう。この事例で言えば、「北米にいる(見込み)顧客が欧州への旅のプランを立てて、旅行に行って帰ってくる」までの一連の行動のなかで、「ユーザーは何を体験するのか?」を明快に可視化し、「顧客体験を損なう原因となっている問題」や「顧客体験をよりよいものにするためにできること」などを顧客視点で一枚のマップに体系化しています。
- 北米にいる(見込み)顧客が欧州への旅のプランを立てて
↓ - 移動手段を調べ
↓ - 電車などのチケットを予約して
↓ - 現地に訪れたのち
↓ - 電車で移動し
↓ - 旅を終える(終えた後の体験も含め)
カスタマージャーニーマップは、想像や思い込みで作るのではなく、自社にとって重要なペルソナの視点で作られることが重要です。良質なペルソナの視点で作られたカスタマージャーニーマップは、理想的な顧客体験のなかで、
- 自社が行うべき施策
- 顧客に提供すべき経験や価値、その提供タイミング
- 排除すべき問題
- 将来的に考えられる顧客体験革新の可能性
などを、断片的な発想ではなく、一連の顧客経験に沿ってデザインされたプログラムとして発想・設計する助けとなってくれます。
だからこそ、繰り返すようですが、カスタマージャーニーマップのインプットとなる深いユーザー理解と、その凝縮であるペルソナのクオリティがますます重要になるわけです。
カスタマージャーニーマップを作る2つの軸
カスタマージャーニーマップにはいくつかのパターンがあり、「視座」と「作る目的」によって異なります。
こちらについては、サービスデザインなどを手がけるデザインカンパニーである株式会社コンセント代表の長谷川敦士さんのコラムでとても明快に整理されているように、2つの軸があるとされています。
1つ目の軸は、ジャーニーを描く2つの視点です。
- Inside-out(サービス視点:内から外へ)
- Outside-in(顧客視点:外から内へ)
2つ目の軸は、ジャーニーを描く2つの時間軸です。
- As-Is(現状の明確化)
- To-Be(未来のプラン)
「何のためにカスタマージャーニーを描くのか?」という目的と期待によって大きく4つの象限がうまれ「どの軸でジャーニーマップを作るべきか?」の観点で変わってきます。
「どの組み合わせを目的とするか?」を明確にし、その目的にふさわしいカスタマージャーニーマップを描かないといけません。
- 現在の自社にとっての事業の範囲内での顧客体験を描くのか?
- 現在の自社の事業以外の外部の接点も含めて広く顧客体験を描くのか?
- 現状をよりよく改善する目的で描くのか?
- 現状はさておき、未来にあるべき姿を理想像として描くのか?
前述で引用したコンセント社のコラムのなかで長谷川氏は、下記のようにまとめています。
カスタマージャーニーマップを作るときだけ目的を明確にするのではなく、カスタマージャーニーマップを作る事前準備の段階で、「どんな目的で作るのか?」をきちんと明確にしてから、取り組みましょう。
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