ペルソナ、カスタマージャーニーマップだけじゃない! ユーザーニーズを明らかにするデザインツール5選
デプスインタビューやユーザーテストなどで探索・発見したユーザーに対する、解決すべき問題やユーザーにとってのあるべき理想像や未来像などの質的なデータを、多くの関係者で理解・共有するためのデザインツールを5つ「ペルソナ」「統合価値マップ」「カスタマージャーニーマップ」「ムードボード」「ストーリーボード」紹介します。
記事の最後には、プロジェクトを成功に導くカギも紹介しています。
ペルソナとは? 製品・サービスにとって重要な特徴的なユーザー像を可視化する手法
ペルソナとは次のように定義しています。
企業が提供する製品・サービスにとって重要で特徴的な顧客モデルのこと
デザインツールとしてアウトプットすると、次のような一枚の人格像を表現したシートです。
日本国内でもこの10年で飛躍的にペルソナの考え方と重要性について知られるようになりました。
国内におけるペルソナ開発の黎明期から、その重要性についての啓蒙と普及に微力ながら携わってきた者の一人としては、以前に比べて格段に多くの企業がペルソナの価値を認め、理解してくださっている状況は嬉しい限りではあります。一方であまりに急速に浸透してしまったために、良質なペルソナを作るための重要な「視点」と「条件」が十分に理解されていないケースや誤解されているケースを散見します。
そこで、ここではペルソナを作るうえで重要な「視点」を2つ紹介します。
重要な視点①自社にとって重要なペルソナを1つに絞る
ペルソナは複数存在するので、自社にとって重要なペルソナを選択し、そのペルソナにフォーカスする必要がある
ペルソナ手法を体系化したと言われているアラン・クーパーは、「一般的な企業や製品であればペルソナは常に複数存在する。そのなかでもっとも重要な使用事例をもつペルソナを1つ定めるとよい」と提唱しています。
ペルソナは1つに絞ることがベストですが、絞りきれないこともあります。そんな場合は、最重要なペルソナを「プライマリ・ペルソナ」として設定し、今は重要度が最高ではないけれども今後より真剣に向き合う必要性が考えるペルソナを「セカンダリ・ペルソナ」として設定する、というように明確に優先順位をつけて複数のペルソナを設ける場合もあります。
余談ですが、テーマによっては、決して向き合ってはいけないユーザー層を「アンチ・ペルソナ」として設定することが有効であることもあります。ただ、欲張っていくつものペルソナにモテようと思い過ぎると、結果的に誰からも真剣に愛してもらえませんのでご注意を!
重要な視点②事実に基づいたペルソナを作る
ペルソナは適切な調査から得られた「事実」を元にして、それらのデータを誰もが理解し感情移入できる状態に「表現」したものでなくてはならない
なかなか調査に時間をかけられないからといって、自分たちの知っている範囲のユーザーニーズや想像で作るペルソナは「自分たちにとって都合のいい顧客像」になりがちです。
せっかくペルソナをつくったのに、そのペルソナが誰にとっても都合のいいように扱える顧客像であったら意味ないですよね?
質の良いペルソナは、調査から導かれた事実データの分析結果から、誰にでも直感的に理解できる人格像を表現した、まさに「サイエンス」と「アート」の結晶であるべきだといえます。
ペルソナをもとに発想するアイデアやユーザーシナリオに「思い込みのズレ」を起こさないためにも、ぜひしっかりと自分たちの都合のいいペルソナではなく、事実に基づいたペルソナを作る努力をしてください。
余談ですが、都合のいいペルソナのことをアラン・クーパーは「ゴムのユーザー」と呼んでいます(引っ張られるままに伸び縮みして形を変えてしまう、都合のよいユーザーの象徴)。
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