プロジェクトを成功に導くカギは、ユーザー像を「誰もが理解できるカタチ」にする
プロジェクトを成功に導くカギは、ユーザー像を「誰もが理解できるカタチ」にする
過去5回にわたって執筆してきた「プロ厳選!ユーザーを理解するための調査手法」シリーズも、今回で最終回です。
これまでの連載では、ユーザーに対する本質的な「理解」の材料をそろえていくためのさまざまなユーザーリサーチ方法を紹介してきました。
「何を知るか?」と「どう知るか?」によって調査手法は変わります。また、わたしたちマーケターが考えているほど都合よく「本当のニーズ」を語ってくれない生活者やユーザーからその「本心」を引き出すための方法、「知るべきレベル」についての考え方なども紹介しました。
実際にユーザーのお宅を訪問して行うデプスインタビュー調査で、理解したいテーマとユーザーが日々向き合っている現場で話を聞くこと、見ること、感じること、は調査後にまとめられたどんな立派なレポートよりも、「深いユーザー理解」と「気付き」を私たちにもたらしてくれます。
こういった調査の工程には、プロジェクトにかかわるすべての関係者が参加することが理想的ですが、なかなか現実的に厳しいでしょう。
ユーザーと向き合って「生の声」や「行動」に触れることができた人は、ユーザーをリアルに理解し、共感できますが、その場にいなかった関係者は、同じ温度感でユーザーを理解し、共感することが難しいでしょう。
このような関係者間の立場による温度差は、プロジェクトの円滑な進行とユーザー体験を中心にして、さまざまな発想を行っていく妨げとなります。
そこで温度差を埋めるために必要になってくるのが、重要なユーザー像、期待されている体験、重要な価値などの質的なデータを「誰もが理解できるカタチ」にすることです。
こうした可視化されたアウトプットは、さまざまな発想をデザインするツールなので、「デザインツール」と呼んでいます。
最終回の今回は、多くの関係者で共有し、使いこなせるようにするための5つのデザインツール化手法を紹介しました。
これまで紹介したさまざまなユーザー理解のための調査手法と組み合わせて活用いただくことで、みなさんのビジネスにおいて「本当にユーザーに愛され、役に立つ製品やサービス、Webサイトなどを作っていく助け」となりましたら、私にとってこのうえない喜びです。
結びとなりましたが、私の拙い連載にお付き合いいただいた読者の皆さんに改めて心から感謝申し上げます。またいつかお目にかかれる日まで、ごきげんよう。
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この記事の筆者
井登 友一(Yuichi Inobori)
株式会社インフォバーン 取締役 京都支社長
デザインコンサルティング会社にて、ユーザ中心発想によるマーケティングコミュニケーション領域のコンサルティング事業に従事し、数多くのペルソナ開発案件を担当。
その後、株式会社インフォバーンに入社し、現在は企業とユーザ双方にとって幸せを生む最良のコミュニケーションを、主にデジタル領域において設計・デザインする支援業務に注力中。2011年6月1日に新規開設された京都支社の責任者を務める。
日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)認定 プロジェクトマネジメントスペシャリスト(PMS)人間中心設計推進機構(HCD-Net)認定 人間中心設計スペシャリスト
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