アクセス解析で大きな問題点が見つからず、困っています
当クリニックの代表。
イケメンの研修医。
優しい天然ボケの研修医。
ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る)
今回のお悩み
アクセス解析で大きな問題点が見つからず、困っています
アクセス解析で問題点が見つからない
僕のお客さんは、最近うまくいっていてね。アクセス解析で問題点が見つからないんだ。
うまくいっているのはいいわね。
でも、問題点が見つからないので、アドバイスする側としては、これ以上何をしたらよいのかわからないんだよ。
それは……贅沢な悩みね(笑)。
問題点がないなんて、すばらしいじゃないか! 一番良い状態だよ。無理にアクセス解析する必要もないよ。
でも、アクセス解析のデータから問題点が見つからないので、サイトのどこを直したらよいのかわからないんです。
なるほど。では、問題なのは、「問題点が見つからないこと」じゃなくて、「改善案を思い付かないこと」なのだね。
「改善案」のためには知識と経験が必要
いつも言っているけど、「アクセス解析力」と「改善提案力」は、違う能力だよ。アクセス解析はあくまでも現状把握。改善提案は、その現状を知って何をするかという話だからね。
でも、僕たちはその2つを求められますよ。
それは、クライアントとの契約の問題とも言える。もともと2つの業務は違うと最初に伝えないとね。でも、確かに一般のお客さんは「改善提案がなければ意味がない!」と期待するよ。
どうすれば、改善提案力を身に付けられますか?
「改善提案力」とは、つまり手数を多く思いつき、そのなかから高確率で当たりそうなものを選ぶ力だとも言える。これはもう、知識を蓄え、経験を積むしかない。
そんな……。その知識が追いつかなくて困っています。それほど経験もないし。
マーケティング系の書籍には、ノウハウが詰まっているし、そういった成功事例を教えるセミナーもあるよ。それら学んだ施策を試してみよう。経験にもなる。あとは、うまく外部コンサルタントの人の知識と経験を頼る手もある。
ということは、私達は先生に具体的に相談すれば良かったということですね(笑)。
でも、アクセス解析にも可能性があると思うのです。なんとか利用してヒントを見つけられないでしょうか?
なるほど。では、アクセス解析を利用してヒントを得る基本を教えよう。
分解・比較・検証
特に問題がないサイトのアクセス解析をしても「特に問題がない」という結論が出るのは当たり前だよね。その場合、まずは「分解・比較・検証」の3つをおぼえよう。
「分解・比較・検証」ですか。
まずは「分解」。問題がないときは大局を見ても何も見えてこない。そこで、もう少しだけ細かく把握するんだ。特に、トラフィックソース(参照元)ごとに傾向を把握するのは基本であり、とても効果がある。
「ヤフーとグーグルそれぞれで成約率を把握する」などですね。
そう。この分解で大切なのは、あまり細かくしないこと。せいぜい、今知っている値を1階層から2階層ブレイクダウンする程度で十分だ。たとえば、こんな感じだ。
- サイト全体の訪問数を1階層ブレイクダウンすると参照元になる
- ページビューを分解すれば各ディレクトリごとのページビューになる
それ以上行うと時間がかかり過ぎるし、細かく知っても部分最適になる可能性があるからですね。
そのとおり。次に「比較」だ。これは、まず物理的に違うものをそれぞれ比較していくとよい。
- 去年と今年など日付による違い
- PCとスマホなどデバイスによる違い
- 新規とリピーターによる違い
- ディレクトリごとの違い
や、さっきも出たけど参照元の違いなどだね。これを分解した視点ごとに見ていく。
ヤフーとグーグルの成約率に差がありました。グーグルの方がアクセス数も多いですし、成約率が良いみたいです。
よい気づきだね。比較はアクセス解析の基本中の基本であり、各要素の「ギャップ」に気づくことがとても大切だ。たとえば、よくあるのが、「紹介経由やメルマガ経由の成約率が、検索経由の成約率を上回る」ということ。
その場合、紹介経由のアクセスを上げる方が、検索対策よりも重要ということになるわけですね。
そうなるね。ちなみに比較は、自分の想像との「ギャップ」を見てもよいよ。たとえば、売れると思った商品のページ滞在時間と、実際に売れている商品の滞在時間の比較だ。
このように各要素を数段回分解し、それらをいろいろ比較することで、自社サイトの強みや弱みが見えてくるんだよ。
最後の「検証」というのは何ですか?
“自分が行った施策を「検証」する”という意味だ。「比較」でギャップに気づいた後、施策を行うことになるよね。その際に、必ず「ビフォー・アフター」を検証しようということだね。
これは、意外とやっていないですね。作業日を忘れてしまったり、後から、データがとれていなくって愕然とすることがあります。
ある施策を行うときは、必ず「ビフォー・アフター」がわかるように、Googleアナリティクスのメモ機能を利用してメモを残したり、後追いできるように、メルマガのトラッキング設定などをしておくのがよいよ。
また、「現状のデザインや表現」と「こうすれば改善するだろうと思ったデザインや表現」どちらのパターンが実際に優れているかをテストしてみたいならば、Googleアナリティクスの「ウェブテスト」という機能を使えば、自動的にテストを行って、統計的な見地で最適解を残してくれるよ。
ビフォー・アフターを計測すれば、その施策が正しかったかがわかるわけですね。なんだ、いけそうな気がする!
まとめ
アクセス解析の役割は、あくまでも「問題検出」ではなく「現状把握」だということを忘れないでほしい。この誤解はなかなか解けないのだけどね。そのうえで、アクセス解析から気づきを得たいのであれば、「分解・比較・検証」を1つの目安にすると良いだろう。あまりデータを見るところがないと困っている人は、1段階か2段階のレベルで大雑把にデータを分解して、それら数値をいろいろ比較することにより、気づきを得られることが多い。
また改めてになるが、サイトがうまく行っていて、かつ、顧客フォローなど他にやることが多いならば、必ずしもアクセス解析を行わなくてもよいと思う。アクセス解析のメリットは「効果を検証できること」だ。効果検証するまでもなくうまくいっているならば、他の施策を優先した方がはるかに有意義かもしれない。なぜなら、サイトの裏方としていくらアクセス解析を行っていても、ユーザーにとってはまったく関係ないからだ。それよりは、一本のお礼メールのほうがお客さんも嬉しいだろうし、結局、そういう積み重ねが結果を生むからね。
今週は、セミナー「いまさら聞けないAnalytics & AdWordsセミナー」(5/24)のお知らせが記事の最後にあります。ぜひご覧ください。
お悩みアクセス解析で大きな問題点が見つからず、困っています。
アドバイス問題点がないならば、それはすばらしいことです。ぜひ自信をもって、そのままサイト修正を続けてください。もし不安になるようであれば、以下3ステップで、アクセス解析のデータを検証してみてください。
- 【1分】 分解する
今、把握しているのをもう1段階ブレークダウンした状態の数値を把握しましょう。
- 【2分】 比較する
1で分解した値同士を比較したり、日付、デバイスによる比較を行いましょう。その間にある数値のギャップに気づくことができれば、より大きな効果を目指せるかもしれません。
- 【2分】 検証する
自分でやってみた施策のビフォー/アフターを検証してみましょう。 ときには、よかれと思ってやってみたことが、まったく無意味(もしくは悪影響)だとわかることもあります。しかし、それはそれで事実ですので、受け入れて、別の対策を考えてみましょう。
いまさら「聞けないAnalytics & AdWordsセミナー」今週末(5/24)に開催
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いまさら聞けないAnalytics&AdWordsセミナー
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講師は、ウェブ担当者通信でSEM&Googleアナリティクス担当講師を務める寶洋平講師。ご存知かもしれませんが、寶講師はリスティング広告の著作があります。また、Googleアナリティクスと連携したAdwordsの使い方のプロ。また、寶講師の所属するアユダンテ株式会社は、日本初の米国Google公認のGoogleアナリティクス認定コンサルタントです。
■新版SEM:リスティング広告
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■「GAAC - Googleアナリティクス認定コンサルタント」を日本で初めて取得(アユダンテ株式会社)
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今回、あまり公ではセミナーをされることがない寶講師が、ウェブ担当者の方のために、ということで、特別に“運用ノウハウ”をお伝えしてくれます。ぜひGoogleアナリティクスとAdWordsを連携させた一歩上の広告手法を学んで、GoogleAdWordsの新機能「GAリマーケティング」「エンハンストキャンペーン」などの活用に役立ててください。
- 日時:2013年5月24日(金)19:00~21:00
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詳しくはこちらをご覧ください。
■いまさら聞けないAnalytics&AdWords「新しいエンハンストキャンペーンを使いこなす」5/24
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※キャラクターイラスト(来栖、綾瀬):「コミPo!」にて制作
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