ペンギン・アップデート後のアンカーテキストに関する実験: リンク13本でも中難易度KWで上位をとれた
キーワードに完全一致するアンカーリンクをほとんど使わなくても、関連するサイトの関連性の高いページからリンクを獲得すれば、検索で上位に表示される可能性がある。
相当難易度の高い検索キーフレーズにおいて新規ドメイン名が検索上位を獲得することは、現在でも可能である。
こんな結論を導き出した、ペンギン・アップデート後のリンク評価に関する実験の事例をお届けする。
グーグルのパンダ・アップデートとペンギン・アップデートが大パニックを引き起こしたことは周知のとおりだ。SEO業者やマーケターたちはひどく取り乱したものだが、正直言って僕はこの騒ぎに関する記事なんか読み飽きたし、きっとみんなもそう思っているはずだ。
2つのアップデートに関する情報に心底うんざりしている僕だが、ペンギン・アップデートを巡るアンカーテキストの問題だけは別で、これまで興味深く観察してきた。過剰に最適化したアンカーテキストを持つサイトがペンギン・アップデートに伴ってトラフィックを失うとしたら、キーワードをアンカーテキストとしたリンクを減らす(あるいはまったくなくす)という方向にサイトがシフトしていくのも理に適った動きだと思われる。僕はこのアイデアを検証しようと思い立ち、古くさいが優れた手法であるケーススタディを用いることに決めた。
ケーススタディの設計
カッコをつけて超プロっぽいケーススタディを設計したふりなどせずに、実際にどうやったのかをありのままに話そう。僕は、こんなことを知りたかっただけだ。
スパムの多い分野で、新しいドメイン名で過去にリンクを獲得していないサイトが、そこそこの競争率があるキーワードで検索上位を獲得するために、次の手法は有効か:
手法 関連性が高いサイトの、関連するページから、リンクを獲得する(その多くはキーワードに完全一致しないアンカーテキストを使用)。
狙うキーワードフレーズは難易度50のものに決定
僕はスパムの多い分野で目にする難易度が中程度のキーワードを使おうと思った。そうすれば、このケーススタディの結論が確実なものになると考えたからだ。
さまざまなキーワード候補を検討したが、その多くは金融業界絡みのもので、「クレジットカード」「ローン」「クレジット」をベースにした言葉だった。検討した結果、「クレジット」に関連したキーワードを探してみることにした。これなら、検索者が探し求めているローンやクレジットカードを提供できないのに「ローン」や「クレジットカード」に関連したキーワードで上位に表示されるハメになるのを避けられる。それに、「クレジット」関連のキーワードはもともと情報探索型の検索に使われるものだし、僕が作れそうなコンテンツ(確かに今のところお粗末なものだけれど)にふさわしい。
最終的に僕が選んだのは「650 credit score」(650 クレジットスコア)というフレーズだ。SEOmozのKeyword Difficulty Toolを使って調べたところ、このフレーズの難易度スコアは50だった。
ちょうど僕が狙っていた範囲に収まっている。テストにはちょうどいい難しさだが、結果を出せないほど難しくはない。
サイトではトピックに関する“それなり”の記事を6本公開
2012年8月14日、僕はまったく新しい「Doctor650.com」というドメイン名でサイトを開設した(注:このケーススタディを台無しにしないため、ここからリンクするのはやめておく)。
コンテンツ管理システム(CMS)としてWordPressを使い、クレジットスコアを650前後にまで引き上げる方法について6本の記事を書いた。ある程度は役に立つ内容だが、はっきり言って驚くほどのものではない。
僕は結構クレジットに詳しくて、自分のクレジットスコアを500未満から800以上にまで引き上げた経験がある。また、僕自身のクレジットスコアはここしばらくの間650近辺を維持していた。さらに、融資担当者と話をして650程度のクレジットスコアでローンを受けるための情報も聞き出した。それでも、1件の記事を書くのに10時間かからなかった。サイトのデザインは惨憺たるものだ(デザインは不得意なんだよ)。
僕のサイトがこのトピックに関する「究極のリソース」ではないことは十分にわかっていたので、「パンダ」問題がどこかの時点で発生したとしてもたぶん驚かないと思う。実際、このサイトの直帰率(バウンスレート)はとてつもなく高い。
ターゲットとしているキーワードは、トップページの見出しとコメント欄のラベルに1回ずつ、計2回使った。サイト内ではスパム的なリンク戦略は用いていない。記事はすべて、サイドバーからリンクされるようにしたが、意図的に、キーワードと完全に一致するアンカーテキストは使っていない。
リンク獲得は関連性のあるサイトを中心に13本獲得
リンク獲得に当たっては、クレジットやクレジットスコアを専門に扱うサイトか、これらのトピックに関する情報を満載したサイトから関連性のあるリンクを獲得したいと考えた。
そこで、PostRunner(僕が設立に関わったゲスト投稿のコミュニティ/ポータル)のFinance(金融)カテゴリにあったサイトのいくつかにゲスト投稿し、1つの例外を除いて、すべてのリンクをこれらのサイトから張った。その例外とは、僕がYouTubeに投稿した安っぽい(最高傑作とは絶対に言えない)動画から張ったリンクだ。もちろん、このリンクには、YouTubeからのすべてのリンク同様「nofollow」属性が付いている。僕がこのケーススタディで使ったアンカーテキストを、リンクを張った順に示すと次のとおりになる。
- here
- Doctor 650
- my site
- Dissecting The 650 Credit Score
- here
- Doctor650.com
- here
- http://www.doctor650.com/ (YouTubeからの「nofollow」リンク)
- resource on 650 credit scores
- Doctor650.com
- clicking here
- Doctor650.com
- 650 credit score
見てのとおり、「650 credit score」と完全に一致するアンカーテキストを使ったリンクは1つだけだが、そのバリエーションを使ったリンクは3つある。
実験の結果:少ないリンクでも、獲得するたびに順位上昇で2位に
サイトの「開設」から53日目の10月6日、このサイトは「650 credit score」というキーワードを使ったグーグル検索で第4位に表示された。また、関連性のある他のキーワードでも極めて高い順位を達成することができた。
最初のうち80位台だった順位は、急上昇することなくじわじわと上がっていき、一度に数位ずつアップするという場合がほとんどだった。おもしろいことに、新しいリンクを獲得するたびにサイトの順位は数位下がり、それから2~3日かけて再上昇してより高い順位に来るという傾向が見られた。
この記事を執筆している時点で、このサイトは第2位にランクされている(第2位と第4位の間を行ったり来たりしている)。SEOmozの Keyword Difficulty Toolを使ったランキング分析では、次のような結果になっている。
予想していたとおり、このドメイン名のオーソリティはトップ6位中一番低く、実を言うとトップ20位の中でも最低だった。このサイトは13件しかリンクを獲得していないが、これらはすべてとびきり強力というわけではないものの優良なサイトから得たものだ。
推測される結論
キーワードに完全一致するアンカーリンクをほとんど使わなくても、関連するサイトの関連性の高いページからリンクを獲得すれば、検索で上位に表示される可能性がある。
相当難易度の高い検索キーフレーズにおいて新規ドメイン名が検索上位を獲得することは、現在でも可能である。
ケーススタディの反省点
どのリンクにも狙っているキーワードを一切使わなければよかった
僕は今、キーワードに完全一致するアンカーリンクを使わずに同じようなケーススタディを設計したいと考えている。完全一致のアンカーリンクを使ったのは、このサイトには自力でリンクを獲得するために必要な手だてがないと考えたためだが、このようなアンカーリンクを使わなかったとすれば、順位はどうなっていただろうか。
YouTubeの動画は作らなければよかった
動画を作成した最大の動機は、動画そのものがどれくらいの順位になるかを調べることだった。動画からサイトにトラフィックを送れることを知っていたからだ。しかし、動画がケーススタディに影響を与えているのかどうかを計測することは不可能なため、動画はない方がよかったと思う。
削除してしまおうかとも考えたが、SEOmozの「TAGFEE」(透明、信頼、寛容、楽しさ、共感、非凡)の精神に則って残しておくことにした。せっかく作成したんだから公開したかったんだよね。
ケーススタディの今後
現在、このケーススタディは停滞している。
(僕が認識している限りでは)2012年9月中旬以来新しいリンクは獲得していないが、検索順位はまだ上がっている。1位になるかもしれないし、ならないかもしれない。
これからの1~2か月で順位が上がらなかったら、アンカーテキストにキーワードを含まないリンクをもう少し追加するつもりだ。また、このサイトをもっと大きくしてもう少し価値の高いリソースにし、これから先もずっと使えるようにすることも考えている。
正直な話、このキーワードで検索する人たちが一体何を探し求めているのかよくわからない。これも今後解明していきたいところだ。このサイトをさらに優れたリソースにしていくために何かいいアイデアがあったら、ぜひ聞かせてもらいたい。このサイトにテコ入れが必要なことは誰の目にも明らかだ。
ソーシャルもやってます!