初代編集長ブログ―安田英久

2008年EC市場BtoBは159兆円、BtoCは6.1兆円、EC化率は上昇傾向

平成20年1月から平成20年12月までの電子商取引市場を調査した調査結果をみてみよう。

安田英久(Web担 編集統括)

2009年10月20日 10:00

Web担のなかの人

経済産業省は、「平成20年度我が国のIT利活用に関する調査研究(電子商取引に関する市場調査)」を実施し、我が国の電子商取引市場の実態をとりまとめた。

平成20年1月から平成20年12月までの電子商取引市場を調査した調査結果をみてみよう。

企業間電子商取引

企業間電子商取引(BtoB EC)の市場規模は158兆8,600億円。前年比では1.7%減となっているが、すべての商取引におけるECの割合を示すEC化率では13.5%と、前年比0.2ポイント増となっている。

2006年 2007年 2008年(前年比)
市場規模 148兆円 162兆円 159兆円(▲1.7%)
EC化率 12.6% 13.3% 13.5%(+0.2ポイント)

ポイント EC市場の規模は縮退しているが、全取引におけるEC化率が増加しているということは、非EC取引の落ち込みと比べるとEC取引の落ち率は低いことを意味する。

BtoB EC市場を業種別にみてみると、対前年比で伸びている業種は次のとおり。

2008年市場規模(円) 対前年比 EC化率
食品 2兆7,170億 111.70% 5.9%
繊維・日用品・化学 18兆9,450億 104.30% 18.3%
運輸 4兆8,580億 103.60% 7.8%
建設・不動産 4兆0910億 102.80% 3.0%
小売 9,430億 101.30% -
鉄・非鉄金属 11兆3,820億 100.40% 16.7%
その他サービス 1,620億 100.20% -

前年比マイナスとなっている業種は次のとおり。

2008年市場規模(円) 対前年比 EC化率
金融 6兆9,570億 99.70% 10.9%
輸送用機械 26兆9,790億 97.50% 36.7%
卸売 45兆6,670億 96.60% 11.3%
情報通信 5兆3,190億 96.20% 8.9%
電気・情報関連機器 22兆9,830億 95.00% 27.8%
産業関連機器・精密機器 6兆9,250億 95.00% 14.1%
広告・物品賃貸 9,320億 89.10% 4.9%

ポイント 業種ごとのEC化率と伸びとに大きな相関関係はみられない。EC市場の対前年比の動きは、市場全体の動きの影響のほうが強いと思われる。

ここで示した数値はインターネットを利用した取引を示す狭義BtoB EC市場だが、それに加えて専用線やEDIなどのインターネット技術以外を利用した「広義BtoB EC市場規模」でみると、市場規模は249兆5,890億円(対前年比98.5%)、広義EC化率は21.2%(前年より0.4ポイント増加)となっている。

消費者向け電子商取引

消費者向け電子商取引(BtoC EC)の市場規模は、6兆890億円。こちらは前年比13.9%増で、EC化率も前年比0.27ポイント増の1.79%となっている。

2006年 2007年 2008年(前年比)
市場規模 4.4兆円 5.3兆円 6.1兆円(+13.9%)
EC化率 1.3% 1.5% 1.8%(+0.3ポイント)

BtoC ECの市場規模を業種ごとに見てみると、次のようになっている。

2008年市場規模(円) 対前年比 EC化率
総合小売業 1兆3,550億 111.2% 3.17%
衣料・アクセサリー小売業 730億 128.1% 0.58%
食料品小売業 2,930億 116.7% 0.48%
自動車・パーツ+
家具・家庭用品+
電気製品小売業
7,750億 116.5% 2.36%
医薬化粧品小売業 1,720億 122.0% 1.67%
スポーツ・本・音楽・玩具小売業 2,650億 119.4% 1.52%
宿泊・旅行業+飲食業 8,320億 127.8% 3.53%
娯楽業 1,020億 103.0% 0.66%
製造業 1,700億 112.6% -
情報通信業 1兆6,280億 109.4% -
運輸業 2,670億 112.7% -
金融業 870億 86.1% -
卸売業+その他 700億 112.9% -

ポイント

  • 事業者によると、1回あたりの購買単価は減少しているが、年間の購買回数(購買頻度)は増加傾向にあるという。つまり消費者は「より安く」との意識になっており、それに対応するために事業者はショッピングモールや価格比較サイトを利用するようになってきている。
  • PCとケータイの両方でECを行っている事業者によると、PCでのECは成長率が鈍化しているものの、ケータイでのECは高い成長率を維持しているという。
  • デジタルコンテンツ配信も好調で、音楽配信だけでなく映像配信や電子書籍の成長が好調とのこと。

・平成20年度電子商取引に関する市場調査 → http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.htm

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