2008年EC市場BtoBは159兆円、BtoCは6.1兆円、EC化率は上昇傾向
経済産業省は、「平成20年度我が国のIT利活用に関する調査研究(電子商取引に関する市場調査)」を実施し、我が国の電子商取引市場の実態をとりまとめた。
平成20年1月から平成20年12月までの電子商取引市場を調査した調査結果をみてみよう。
企業間電子商取引
企業間電子商取引(BtoB EC)の市場規模は158兆8,600億円。前年比では1.7%減となっているが、すべての商取引におけるECの割合を示すEC化率では13.5%と、前年比0.2ポイント増となっている。
2006年 | 2007年 | 2008年(前年比) | |
---|---|---|---|
市場規模 | 148兆円 | 162兆円 | 159兆円(▲1.7%) |
EC化率 | 12.6% | 13.3% | 13.5%(+0.2ポイント) |
ポイント EC市場の規模は縮退しているが、全取引におけるEC化率が増加しているということは、非EC取引の落ち込みと比べるとEC取引の落ち率は低いことを意味する。
BtoB EC市場を業種別にみてみると、対前年比で伸びている業種は次のとおり。
2008年市場規模(円) | 対前年比 | EC化率 | |
---|---|---|---|
食品 | 2兆7,170億 | 111.70% | 5.9% |
繊維・日用品・化学 | 18兆9,450億 | 104.30% | 18.3% |
運輸 | 4兆8,580億 | 103.60% | 7.8% |
建設・不動産 | 4兆0910億 | 102.80% | 3.0% |
小売 | 9,430億 | 101.30% | - |
鉄・非鉄金属 | 11兆3,820億 | 100.40% | 16.7% |
その他サービス | 1,620億 | 100.20% | - |
前年比マイナスとなっている業種は次のとおり。
2008年市場規模(円) | 対前年比 | EC化率 | |
---|---|---|---|
金融 | 6兆9,570億 | 99.70% | 10.9% |
輸送用機械 | 26兆9,790億 | 97.50% | 36.7% |
卸売 | 45兆6,670億 | 96.60% | 11.3% |
情報通信 | 5兆3,190億 | 96.20% | 8.9% |
電気・情報関連機器 | 22兆9,830億 | 95.00% | 27.8% |
産業関連機器・精密機器 | 6兆9,250億 | 95.00% | 14.1% |
広告・物品賃貸 | 9,320億 | 89.10% | 4.9% |
ポイント 業種ごとのEC化率と伸びとに大きな相関関係はみられない。EC市場の対前年比の動きは、市場全体の動きの影響のほうが強いと思われる。
ここで示した数値はインターネットを利用した取引を示す狭義BtoB EC市場だが、それに加えて専用線やEDIなどのインターネット技術以外を利用した「広義BtoB EC市場規模」でみると、市場規模は249兆5,890億円(対前年比98.5%)、広義EC化率は21.2%(前年より0.4ポイント増加)となっている。
消費者向け電子商取引
消費者向け電子商取引(BtoC EC)の市場規模は、6兆890億円。こちらは前年比13.9%増で、EC化率も前年比0.27ポイント増の1.79%となっている。
2006年 | 2007年 | 2008年(前年比) | |
---|---|---|---|
市場規模 | 4.4兆円 | 5.3兆円 | 6.1兆円(+13.9%) |
EC化率 | 1.3% | 1.5% | 1.8%(+0.3ポイント) |
BtoC ECの市場規模を業種ごとに見てみると、次のようになっている。
2008年市場規模(円) | 対前年比 | EC化率 | |
---|---|---|---|
総合小売業 | 1兆3,550億 | 111.2% | 3.17% |
衣料・アクセサリー小売業 | 730億 | 128.1% | 0.58% |
食料品小売業 | 2,930億 | 116.7% | 0.48% |
自動車・パーツ+ 家具・家庭用品+ 電気製品小売業 | 7,750億 | 116.5% | 2.36% |
医薬化粧品小売業 | 1,720億 | 122.0% | 1.67% |
スポーツ・本・音楽・玩具小売業 | 2,650億 | 119.4% | 1.52% |
宿泊・旅行業+飲食業 | 8,320億 | 127.8% | 3.53% |
娯楽業 | 1,020億 | 103.0% | 0.66% |
製造業 | 1,700億 | 112.6% | - |
情報通信業 | 1兆6,280億 | 109.4% | - |
運輸業 | 2,670億 | 112.7% | - |
金融業 | 870億 | 86.1% | - |
卸売業+その他 | 700億 | 112.9% | - |
ポイント
- 事業者によると、1回あたりの購買単価は減少しているが、年間の購買回数(購買頻度)は増加傾向にあるという。つまり消費者は「より安く」との意識になっており、それに対応するために事業者はショッピングモールや価格比較サイトを利用するようになってきている。
- PCとケータイの両方でECを行っている事業者によると、PCでのECは成長率が鈍化しているものの、ケータイでのECは高い成長率を維持しているという。
- デジタルコンテンツ配信も好調で、音楽配信だけでなく映像配信や電子書籍の成長が好調とのこと。
・平成20年度電子商取引に関する市場調査 → http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.htm
コメント
嬉しいやら悔しいやら
社内メルマガで各種統計を取り上げる事が多い私。
今度やろうと思っていたネタが出てきて嬉しいやら、(先を越されて)悔しいやら。
ともあれ社内メルマガ中では本記事へのリンクで済まそうと思います、はい。
Re: 嬉しいやら悔しいやら
安田です。
> ともあれ社内メルマガ中では本記事へのリンクで済まそうと思います、はい。
ありがとうございます。
ちなみに、こういった統計データは、記事にしないレベルでも私のTwitterのほうで随時紹介していたりしますので、そちらもご覧くださいませ。