マイクロソフトとヤフーの提携でSEOに起きる10の変化(前編)
2009年7月29日に、検索業界に大きな変化が起きた。ヤフーが検索分野でマイクロソフトと提携したことを発表したのだ。SEOに関わる人間なら誰だって、注目しないわけにはいかない。だから僕も精一杯の知恵を絞って、現時点でわかっていることに基づいてこの変化がもたらす影響をまとめ、SEO業界にどんな変化が生じようとしているか、クライアントや自社のためにわれわれが知っておくべきこと、やらねばならないことは何かについてまとめてみようと思う。
提携の背景
まず、この件の背景についてあちこちから情報を集めてみた。参考にしたのは、提携発表記者会見の様子をリアルタイムで伝えたSearch Engine Landのライブブログ、TechCrunch(日本語記事)、ReadWriteWeb、それにマイクロソフトとヤフーが合同で新しく立ち上げたChoice, Value, InnovationというWebサイトだ。
提携期間は10年。
マイクロソフトは、ヤフーが持つ検索のコア技術について、10年間の独占的ライセンス契約を取得し、現有する検索プラットフォームにYahoo! Search Technology(YST)を統合できる。
ヤフーは現在有する検索アフィリエイトのパートナーシップ組織の運営を継続する。
マイクロソフトのBingがヤフーのサイトで唯一のアルゴリズム検索および有料検索プラットフォームとなる。ヤフーは、強化中のディスプレイ広告技術など、検索以外の事業では同社の技術とデータを継続して使用する。
両社ともディスプレイ広告事業および営業活動は、このまま個別に継続する。
両社の有料検索広告主に対するリレーション営業はヤフーが世界的に独占担当する。セルフサービス型の検索広告は、両社ともにマイクロソフトのAdCenterプラットフォームを利用する。検索広告の価格はこれまで通りAdCenterの自動オークション機能で決まる。
もう少しわかりやすいようにざっくりと説明すると、Bingがヤフーの検索エンジンとなり、ヤフーがヤフーおよびBingの(非セルフサービス型の)有料検索広告主に対する営業を担当するということだ。Bingはヤフーのコア検索技術を利用でき、必要に応じて、より的確な検索結果を導き出すために活用することもできる。
- グーグルは有料検索市場の78%を握っている。
Search Engine Landに掲載されている、マイクロソフトの最高経営責任者(CEO)スティーブ・バルマー氏の発言
- ヤフーの検索部門の従業員で、マイクロソフトへの移籍を求められる人が多くいるでしょう。また、一部は、ディスプレイ広告部門に移ってもらいたいとも思っています。ただ残念ながら、退職をお願いしなければならない人も出るでしょう。
バーツ氏(キャロル・バーツ氏、ヤフーのCEO)の発言
(ちょっとお知らせ――ヤフーの検索部門で働いている人は、僕宛てにメールを。SEOmozのエンジニアリングチームは、人材を募集している!)
- 有料検索については、すでにPanamaがマイクロソフトの国際市場の大部分におけるプラットフォームになっています。
(バーツ氏の発言)
- ヤフーにおける検索に類似した他の事業はどうなるのか? Yahoo! Newsを動かしていたものは? Yahoo! Directoryは? Deliciousでの検索は? ヤフーの有料インデックス登録は?
ダニー・サリバン氏による質問項目
ヤフーのサイト内で何を行うかについては、すべて当社の裁量で進めていきます。有料登録については、これから決定します。バーツ氏の発言
Advertising Age(AdAge)が報じたComScoreのレポートによれば、ヤフーの検索と統合されることで、Bingの市場シェアは28%となる。
ReadWriteWebは、「検索サービス」としてヤフーがこれだけたくさん提供しているサービスの今後を心配している。ヤフーの広報はReadWriteWebへの電話で、
ニュース検索や地図検索などからわかるように、これは検索に関連したサービスを示す消費者向けのリストだが、その大部分は、もとから検索部門には属していなかったものか、現在は検索部門から外れているものだと語っている。だから、全部ではないかもしれないが、このまま継続される部分もあるだろう。
この記事は3回に分けてお届けする。今回に続いて、次回は検索市場のシェアについて説明する。→中編を読む
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