オフラインのプレゼンスをオンラインで活かそう
つい最近のことだけど、知名度の高いある地方新聞のソーシャルメディア戦略に関する仕事をしていたとき、ふと、オフラインとオンラインのプレゼンスを入念に考えてクロスオーバーさせることで企業が得られる利点について考えた。
そこからブログに書こうと思ったのは、小さな販売店から出版社、さらには種類を問わず何らかのオフライン広告や広報活動を行っているようなところまで、それなりのオフラインプレゼンスを持っているところなら、どんな規模の企業にも役立つことを狙いとする記事だ。
オフラインに資金を投じているのなら、その投資をオンラインにも活かす方法を考えてみるべきだと思う。
私が「オフラインのプレゼンスを最大限に活用せよ」と言う場合、それは
- トラフィックの増加
- リンクプロファイルの改善
- コンバージョン率の上昇
など、今後オンラインにおいて広い範囲で効果をあげていくことを意味する。このクロスオーバーを最適化できれば、「1+1が2よりも大きくなる」という昔ながらの教えが正しいことになる。
それじゃあまず、このクロスオーバーを最大限に活用するのが良いという理由を考えよう。
- あるブランドをオフラインで好む人は、オンラインでもそのブランドを気に入ってくれる可能性が高い。Webサイトのユーザー体験を心地よいものにして、顧客が友人たちに紹介できるような機会をたくさん用意しておくこと。
- すべての顧客が近所に住んでいるわけではないのだから、オフラインよりもオンラインで交流するほうがずっと簡単だ。それに、たいていの場合は、時間的な効率もずっと良い。
- オフラインの顧客よりもオンラインの顧客の方が、ブランドに関する価値あるフィードバックをくれる傾向がずっと強い。特に、フィードバックしやすい作りにしてある場合はなおさらだ。こういった交流のためには、記入フォームや、コメント欄、投票やリンクなど、どれをいくつ設けてもいい。
- 顧客をオフラインからオンラインへと移行させられれば、業種によって差はあっても、とにかく経費は大きく減少する。
- 偏った言い方だと思われるのを覚悟して言うなら、オンラインこそ重要なのだ。今の顧客はたいてい、代金を投じる相手には広範囲にわたるウェブプレゼンスを期待している。しくじらないようにしよう。
人々をサイトに誘導するには
昔、私の友人が初めて名刺にWebサイトのアドレスを載せたときのことは、今でも覚えている。かなりワクワクしたものだった。今では、自社のWebサイトアドレスを持っていないほうが、かえって注目されるかもしれない。何か、もっと魅力のある策を講じる必要がある。もっと……2.0を取り入れるべきだ。
そこで、見込み客でもそうでなくても、顧客をWebサイトに誘導するために、次に挙げるヒントを参考にしてほしい。
- 動機付けをする
オフラインの顧客がWebサイトを訪れたくなるような材料を提供する。「最も参考になったフィードバックのコンテスト」なんていうのもいいアイデアだ。あるいは、特定の日の特定の時間にだけおまけをつけるというのも、話題作りになる(ただし、素直に誘いに乗った訪問者が突然大量に押しかけてきても、期待を裏切ることのないようにサイトを準備しておくこと。さもないと、次からは乗ってくれなくなってしまうかもしれない)。
- 議論を巻き起こす
議論を戦わせる場があるなら、ユーザーからの答えが必要な質問をするといい。ただし、慎重に。感情的な議論の矢面に立ってはいけない。でも、討論する場を提供できれば、こんなに効果的なことはない。
- オンライン限定の特典を用意する
使い古された手だが、「1回限りの特別提供! ぜひ当社のWebサイトへ!」というやつ。これほど露骨にやる必要はないけれど、「Webサイトを訪問すれば何か良い条件やサービスが得られるかもしれない」という告知を広めるのは、移行を促進することになるだろう。
ただし、このやり方も少し注意が必要だ。以前からの顧客で、インターネットは好きじゃないとか使わないとかいう人を疎外しないように注意すること。
- コミュニティを形成する
車を買いたいと思っている人は、車の話をしたがることが多いはず。オンラインコミュニティを作るというのはまったく別の話になるけれど、本当に興味を持っている顧客をWebサイトに誘えるメリットは大きい。
オフライン広告
Googleの行動喚起広告
広告キャンペーンで、グーグルの行動喚起広告(Google call-to-actions)を利用した企業がいくつかある。
2006年にさかのぼる例ではあるけれど、成功例を1つあげておこう。ポール・ミード氏が述べているように、グーグルを使ったキャンペーンには
“思い出させる”という点でより優れており、現代のわれわれが広告にどう反応するかをうまく捉えている。
という特徴がある。もちろん気をつけなければいけないのは、キャンペーンがそっくりほかに横取りされてしまう危険性があること。
そう、Samsungが英国の日刊紙「Metro」に出した下の広告みたいに、まったくの失敗になってしまうこともある。検索でWebサイトを探し当ててほしいなら、せめて検索結果に顔を出していなくちゃね!。
ブランド名
新しく事業を始めるとか、今使っているブランド名を変更しようとか思っているのなら、「人々がグーグルでそのブランドを探すとしたらどういう言葉で検索するか」を考えることは、とても大切だ。
覚えやすくて独特のブランド名をつけるか、あるいはオンラインでの影響力をどの程度持っているかにもよるけれど、キーフレーズを入れた名称にするほうが、「次郎右衛門のウルトラ安売り店」なんて名前にするよりずっといい。こんな名前、誰が覚えてくれる?
オンラインでの取り組みをオフラインに活かす
ちょっとしたものでもリンクベイトを実施中だったり、サイトに新しい機能を追加したばかりだったりするならば、オフラインでこれを宣伝しても損はない。テレビやラジオ、印刷媒体が使えるなら、サイトに新しいトラフィックを一挙に呼び込める可能性もある。
ただ、たとえばBBC Radio 4が最近「バイラル・ビデオ」と称するものでやったように、ソーシャルメディアでドジを踏まないよう気をつけること。コンテンツはすばらしかったんだけど、番組の人気を高める一方で、この動画を「バイラル」だと言えるかどうかについて異論が出てきた。
貴重な来訪者たちを逃さない
来た人をWebサイトで確実に受け入れる態勢を整えておくことが鉄則だ。せっかくやってきたのに、水準以下のサイトを見せられたのでは、客はさっさとブランドを見限る。
この前トムが提案していたような独自のURL短縮機能を使ったことのある人なら、顧客の動きを追って、適切なページにきちんと誘導することもできるだろう。まだそこまではとてもというのなら、顧客がサイトを訪れたときに、ぴったりの最適なメッセージで迎えるにはどうしたらいいかを考えよう。
ヒントを1つ。オフラインで勧めていることとオンラインの内容とを必ず一致させること。同じ言葉や同じ画像を使うのもいい。とにかく、顧客が、来ようと思ったところにちゃんと来たと思えるようにしよう。そこに行動を促す大きな誘因が備えられていれば、もうこっちのもの。
来てほしいと思ったページに顧客がちゃんと来てくれれば、この大騒ぎも半分までは到達したように思える。できれば、この段階ですでに、活気のある書き込みややり取りがいくらかはなされているようにしたい。自分の名前がよく知られているなら、定期的にコメント欄に書き込みをしたらいい。オフラインとオンラインのイメージが重なるように、個人的な色合いを出すのもいいやり方になる。人々にわかりやすくてコンタクトをとりたくなるようなアバターを作ろう。
これ以外に、みんなはオフラインのプレゼンスをどんなふうに活用して、オンラインのプレゼンスに役立てているだろうか?
ソーシャルもやってます!