自然なリンクを獲得してリンクコンバージョン率(LCR)を向上させるポイント
「参照に値するコンテンツ」とは、SEOの世界でよく耳にする言い回しだ。この言葉の背後にある趣旨は単純で、ネットユーザーたちがウェブコンテンツを制作する際にリンクを張ってもらえるようなコンテンツを構築すべし、ということだ。
ただし、こうした参照を促す誘因を理解することは、決して単純明快ではない。
僕は今回、コンテンツを「参照に値する」ものにする特徴をリストアップし、自然なリンクを構築する心理的な触媒について知見を得るのに役立ててみようと考えた。
- 営利目的ではない
インターネットのリンケラティは、営利目的ではないコンテンツや、商用サイトから直接持ってきたものではない素材を好む。だからこそ、広告スポンサー付きブログはWikipediaよりもリンクされにくく、Eコマース/アフィリエイトサイトのブログはそれよりもさらにリンクされることが少ないというわけだ。
こうした傾向を理解しておけば、ドメイン名の選択や視覚的デザイン、広告の配置などさまざまな要素で策を講じ、自分のサイトは「営利目的ではない」という評価を高めるのに役立てられる。
- 「純粋な」意図による動機付け
「営利目的でないこと」と同じように、「意図」もまた、リンク構築という作業において重要性を増している。SEOに関する知識は増え続けており、それにつれて、あらゆる種類のマイクロサイト、リンクベイト、バイラルコンテンツに注がれる視線も厳しいものになりつつある。
FlickrやImgurにある画像についてTwitterに投稿するのなら、その意図は純粋でなくてはならない。自サイトのHTMLに埋め込んだ画像について言及すれば、リンクベイトだとしか見なされないかもしれない。だからこそ、僕らは顧客や同業者たちに、「自然に見えるように」とアドバイスする必要があるんだ。
これは5年前ならほとんど問題にならなかったことだけど、今から5年後にはさらに厳しくなっているだろう。
- 好感の持てるデザイン
サイトおよびコンテンツの視覚的デザインは、上記の第1と第2のポイントにおける重要な要素であると同時に、それ自体がリンクを張ってもらえるか見離されるかを決定づける要因になる。
モダンですっきりとして印象的なデザインは大いに有効だけど(英語の過去記事「デザインがリンクベイトにもなりうるんだ」を参照)、素人のデザインでもまあまあの品質ならそれなりに機能する。質の高いデザインが有効なのはプロらしさと信頼感があるためだが、素人のデザインには「純粋な意図」と「営利目的でないこと」を思わせる心理的効果があるんだ。
- 読みやすい
僕は最近、「SEO的コンテンツ最適化のためのベストプラクティス」という記事を書いたが、そこで示した原則がそのまま当てはまる。わかりやすくてサッと目を通せる形式にし、きれいな画像や説得力のある文章を使って読みやすい本文を書こう。その見返りはリンク人気の指標に現れるだろう。
- リンクを張ってくれそうな読者にターゲティングされている
過去記事「検索ランキングで上位に食い込む秘訣(ホントは秘訣でもなんでもないけどサ)」で書いたとおり、ウェブ上で自然なリンクを張ってくれる集団は、標準的なネットユーザー層とは大いに異なる。こうした集団にコンテンツでアピールすることが、そこからのリンクを獲得するためには重要だ。
こうした集団は、大規模化と多様化が進んでいるものの、その中核に到達する取り組みは今でも必要不可欠なんだ。
- 信用できる
資料やデータ、さらには個人的な意見であっても、入念な調査に基づいており、知名度が高くて信用できる確かな情報源から出たものなら、そうでないものよりリンクを張ってもらえる可能性がはるかに高いものだ。
だからこそ、正確さにおいては非の打ちどころがないという評判を確立してからに比べると、最初のうちは人から認めてもらうためにかなりの努力が必要になる。
- 感情に訴えるものがある
これについては、過去記事で詳しく説明している(「ブロガーが思わずリンクを張ってしまう10の心理状態」を参照)。簡単に言えば、何らかの感情的反応が引き金となって、ある種のコンテンツ、データ、意見などについて書きたい(そしてリンクしたい)という欲求が生まれるということだ。
この理屈の応用例としてとりわけ見事なのが、セス・ゴディン氏のブログだ。ゴディン氏のブログでは、幅広い話題について簡潔に述べることで感情的な反応を頻繁に引き出し、しかもコメントを書き込めない設定にしているから、自分の意見を表明したい人たちは否応なく、自分のサイトやページからゴディン氏のブログにリンクを張ることになる。
- 共有しやすい
そう、ネットユーザーは怠け者なんだ。コピペ用のHTML、短縮URL、ソーシャルメディア用の共有リンクなどを用意して、ユーザーが簡単にコンテンツを広められるようにしよう。そうすれば、コンテンツを広めてくれるユーザーの割合が高くなるだろう。
- 競争の少ない市場にアピールする
競争の少ない市場にアピールすることは、今回挙げた中ではたぶん最も知られていない秘訣だけど、かなり直感的でわかりやすい。
たとえば、君が不動産業界に関わっていて、地元の不動産市場に関するすばらしいコンテンツを作成するとしよう。あらゆるブローカーや代理店がきっと気に入って共有したがるくらいの傑作だ。でも、結果はどうなると思う? 彼らが共有してくれることはないんだ。向こうにとって君は競合相手なんだから、自分たちがターゲットにしているキーワードで君が上位にランキングされるのを助けるくらいなら、見て見ぬふりをするはずだ。
このことを肝に銘じて、君の作品にリンクを張ることに脅威を感じない市場に対象を絞ったコンテンツ作りを始めるといい。
コンテンツの「参照するのにふさわしい価値」を高められたら、その見返りは容易に推し量れる(正確に測定するのは困難だけど)。ウェブ上のあらゆるサイトに対して、以下のような等式が成り立つ。
1か月の自然なリンク獲得数 = 1か月の訪問者数 × リンクコンバージョン率
リンクコンバージョン率 = 1か月の自然なリンク獲得数 ÷ 1か月の訪問者数
LCR(リンクコンバージョン率)が向上すれば、それに比例して獲得リンク数も増加する。このことを理解し、それを活用する戦略を立てたWebサイトは、ウェブ上で勝ち組になるだろう。
リンクは単に検索順位の上位を獲得するための手段ではない。リンクとは、ブランドを構築し、直接的なトラフィックをもたらし、ソーシャルメディアでの共有を促すものだ。ライバルのLCRが君のサイトのLCRよりも高ければ、市場シェアで相手にリードを奪われるのは時間の問題だろう。
LCRを向上させる方法について、みんなの考えやアイデアを聞かせてもらえるのを楽しみにしているよ。
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