ccTLDと重複コンテンツの関係について、グーグルとヤフーから新情報
オーストラリアで開催されたイベントSMX Sydneyで、ヤフーの検索エンジニアであるプリヤンク・ガーグ氏とグーグルの検索エンジニアであるグレッグ・グロートハウス氏が、複数ドメイン名を対象にした重複コンテンツのフィルタリングについて、僕も他の講演者や聴衆の多くも今まで知らなかった情報を披露してくれた。
会場で出たのはこんな質問だった。
英語で書かれたコンテンツを複数のドメイン名にまたがって「ローカライズ」する場合のベストプラクティスは?
.jpや.ukなどの国別コードトップレベルドメイン名
ヤフーのガーグ氏は、異なるccTLD※上で重複コンテンツが検出された場合、ヤフーでは検索結果から排除したりしないと答えていた。
グーグルのグロートハウス氏も、スパムまたは不正操作に関わりがありそうなサイトを除いて、グーグルも同じように対処していることを認めた。
どういうことかというと、「example.com」「example.co.uk」「example.com.au」に同じコンテンツを掲載していても、まったく問題はなく、重複コンテンツとして削除対象にすべきではないということだ(これらのサイトがそれぞれの地域を適切にターゲットとしている場合の話だが)。
(一見したところ)この情報は、聴衆に驚きを持って受け止められたようだ。その中には、デビッド・テンプル氏(シンガポールにあるNeoOgilvyの検索マーケティング部門責任者)、シンディ・クラム氏(Rank Mobileの創立者)、ロブ・ケリー氏(Ayimaの検索部門責任者)といった専門家たちもいた。
ガーグ氏によれば、このベストプラクティスは以前にも推奨されたことがあるはずだから(つまり、みんながみんな初耳だというわけではないはず)、驚くには値しないという。グロートハウス氏は、これがグーグルからの「新たな」情報かどうかについてガーグ氏ほどはっきりと言わなかったが、このやり方で同じ言語を使用する複数のドメイン名にまたがって同一のコンテンツを使用することには賛同した。
少し混乱してきた人は、下の簡単なイラストを参考にしてもらいたい。
個人的な見方だけれど、地域に合わせてジオターゲティングすることがブランドや組織にとって重要な意味を持つ場合、今回得た情報から考えると、それぞれの国に対応したccTLDでドメイン名を取得してサイトを作る方が少し有利になる。ただ、中小企業相手の仕事で国別にターゲッティングしたドメイン名を手がけた個人的経験から言うと、常にそうなるというわけでもない。検索エンジンは、ドメイン名のオーソリティというものを非常に高く評価する。そして、海外で作成された数多くの小規模サイトがジオターゲティングしたドメイン名を使った場合、地域に関係のない「.com」や「.org」といったドメイン名を使った場合よりも低い検索順位しか得られない、というのがこれまでの経験だ。
SEOmozを例にして説明しよう。「SEOmoz.org」は米国外からも英語による検索で相当なトラフィックを獲得しているが、それには、僕らのドメイン名の信用、オーソリティ、歴史、リンクといった指標も貢献している。もし僕らが「seomoz.co.uk」と「seomoz.com.au」を開設し、今あるコンテンツを2つのドメイン名上にコピーしてから、(たとえばGoogleのWebmaster ToolsやIPに基づくリダイレクトを利用して)アクセスできる地域を制限したとしよう。その場合、.orgの米国版以外のサイトの検索順位がものすごく低かったとしても驚きはしないだろう(少なくとも英国とオーストラリアのドメイン名が米国版と同程度のリンク人気や重要性を獲得するまでは)。
しかし、ExpediaやAT&T、またはTescoみたいな、もっと大きなブランドの場合は、検索エンジンに組み込まれた(近隣地域が優先される)地域優先アルゴリズムの恩恵にあずかるために、ローカライズして国別のサイトを構築する方が、はるかに理にかなった行動だろう。
ところで、今回のパネリストは全員、言葉づかいを地域に合わせ、利用者ひとりひとりにカスタマイズされた体験を提供することが、ユーザビリティやコンバージョンの観点からは、やはりベストプラクティスになるだろうと指摘していた。これは、コンテンツが重複しているからという理由だけで、検索エンジンがこうしたページをインデックスから除外するようなことはないということだ。
いつものように、この問題についてみんなの意見を楽しみにしているよ。(それから、記事の中で何か間違いがあったらごめんなさい。実は、シドニーから13時間のフライトを終えてロサンゼルスに着いたばかりなんだ。そして馬鹿なことに、明朝発のシアトル行きの便を予約してしまったものだから、ホテルをすぐに探さなくちゃならなかったんだ。まったく!)
追伸:コメント欄で教えてくれた人がいたんだけど、バネッサ・フォックス氏が以前、この問題を詳細に論じていて、Bruce Clay Australiaのネーラブ・バット氏も、今回のセッションについてすばらしい記事を書いているとのことだ。それから、僕はカリーナ・ジョーダン氏が書いたSMX Sydneyに関する記事が気に入っている。今回取り上げた話題に触れてはいないけれどね。
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