Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報

アイデアの価値を判断するためのチェックシート――注目されるネット企業を作るためのフレームワーク#1

単なるアイデアをビジネスのタネに育てるためのチェックリストをお届けする。

この記事は、ブログシリーズ「注目されるインターネット企業を設立する方法」の記事だ。この間掲載した「ビジネスを立ち上げる際に必要なマーケプランを段階ごとにまとめてみた」の続編だ。このシリーズの狙いは、インターネット企業を設立して成功に導くためのフレームワーク構築に、オンラインマーケティングの考え方を応用することにある。

会社の設立はストリーキングによく似ている。アイデアを思いついて、実行を思い描きながら策をあれこれ考えるのは刺激的だけど、いざ実行するとなると難しく、うまくいくことなんてめったにない。

僕も、多くの人と一緒で、新しい事業のアイデアに心を奪われ、「次に大当たりするネタを思いついたぞ」と愚かにも考えてしまった経験がある。だが残念なことに、こういった計画の大半は完全な失敗に終わった。前に進み始めたと思う間もなく予期せぬ問題に突き当たり、お粗末なストリーキング計画みたいに、ばつの悪い思いをして息切れしてしまうのが常だった。

僕は自分の失敗を教訓にしつつ、比較的うまくいった事業とインターネット・マーケティングの経験を基に、次のようなチェックリストを作ってみた。願わくば、君がこのリストを使って、僕と同じ失敗を繰り返すのを避けられますように。幸運を祈る!

  • 思いついたアイデアは、市場性の高い問題を解決するか?

    僕が実践した(あるいは追い求めた)ウェブ事業のアイデアがあらかた失敗したのは、それから得られる恩恵に市場性がなかったからだ。このチェック項目を確認するために、僕なら次のような質問を自分自身に投げかける。

    このアイデアを、対象となりそうな人に、わかりやすい言葉で説明できるか?
    このソリューションは、それを試したことがない人にも納得してもらえるか?
    大した苦労もなしに無料で手に入れられるソリューションを人々に売りつけようとはしていないか?
  • そのサイトを訪問したいと思うのはどのような人たちなのか理解しているか?

    僕は、多くの開発者が問題の解決に際して、同じ罠に陥るのを見てきた。ユーザー全体にとって最適な方法ではなく、自分たちにとって最適な方法で解決してしまうという失敗だ。

    この過ちを避けるには、見込みユーザーを理解することが重要だ。とりあえず今のところは、潜在的ユーザーの人物像を簡単に思い描いておけばいいだろう。このブログシリーズでは次回、この問題に対する答えを深く掘り下げてみるつもりだ。

    うまくいった実例を見るなら、マックス・レブチン氏と同氏の設立した「Slide」がいいだろう。レブチン氏は、インターネット業界において最も数学的手法と技術的手法に注力するリーダーの1人だ。レブチン氏が現在経営している会社は、派手なスライドショーを作成できる若者向けの無料サービスを提供していて、これはほぼ唯一無二の存在だ。

  • ユーザーはその製品やサービスを通じて何ができるのかを見定め、繰り返し検討しているか?

    アイデアを実現させるためには、機能の拡張を急ぐのではなく、計画の拡大に伴なって徐々に新しい機能を追加していくことが不可欠と言ってもいい。したがって、機能拡張に逸る気持ちを抑え、中心目標に注力することがきわめて重要になってくる。

    僕が編み出した最良の方法は、広がってゆく自分のアイデアを全部ノートに書き留めはするが、中心目標が完了するまで行動に移さないというものだ。どうすればユーザーがこの製品やサービスを友人に勧めたいと思ってくれるか、繰り返し自問しよう。これは、バイラルマーケティングへの鍵になる。

  • 競合相手に対する「圧倒的な」優位性を手に入れているか?

    アイデア、それも次の大当たりにつながるアイデアを本当に思いついたなら、サルまねをする競合相手の大量発生に備えよう。自衛の準備として最良の方法は、圧倒的な優位性を持っておくことだ。

    そうした優位性は、より影響力の大きなユーザー基盤を見つけることによって得られる場合もあれば(例:Facebook)、未開拓の技術を活用することで得られる場合もある(例:YouTube)。しかし、いちばんよく使われる手段は、優秀なスタッフを雇用すること(例:グーグル、WufooTwitter37signalsなど)だ。

    覚えておくべきは、「一番乗り」という優位性は重要だが、一番乗りだけでは事業を運営していくのに不十分で、他社にはない特別な何かが必要だということだ。

  • 2段階の差異化を考えたか?

    何ら新しいものを提供しないクローンみたいな企業が、やたらと作られている。僕は自分のアイデアを検討する際、必ず2段階の差異化を考えるようにしている。たとえば、「キッチンマグネットのYouTube」を作るとしよう。その場合、キッチンマグネットというのが(YouTubeからの)第1段階の差異化と考えられる。これに第2段階の差異化を加えて、隔たりを広げるんだ。「フリーミアムモデルに基づくキッチンマグネットのYouTube」みたいにね。2段階の差異化を考えることで、より強力で市場性の高い製品やサービスの開発に役立つ差別化と革新が推進しやすくなる。

    ※Web担編注 フリーミアム(freemiumとは、基本サービスは無料で、高度なサービスは有料で提供するビジネスモデルのこと。
  • コンテンツによってリンクを獲得する方法を理解しているか?

    SEO担当者のほぼ共通した認識は、検索順位を左右する指標の70%がリンクに直接関係している、というものだ。これはつまり、事業のリンク価値を最適化することが極めて重要であるということだ。

    早い段階で、最初に注力すべきリンク価値の高いコンテンツのタイプを決めなければならない。君のコンテンツ/サービス/製品は、

    • 実用的
    • 興味深い
    • 楽しい
    • 新しいソース
    • 時間節約の手段

    のうち、どれに当てはまるだろう? それとも、これ以外のタイプかな?

    次に重要なのは、リンクを提供する能力のあるユーザーをターゲットにすることだ。リンクを作成してくれるユーザーのうち、最もターゲットにしやすいのはウェブマスターとブロガーだ。自分のコンテンツにマッチするなら、そういう人たちの関心を引きつけようとすること。

  • 独自のコンテンツを書いてくれる人は決まっているか?

    現実には、検索エンジンがうまくインデックス化できるコンテンツの種類は非常に限られている。テキストはインターネットにおける通貨だ。自分だけは例外になり得る、などと愚かな思い込みをしないように。

    誰にコンテンツを書いてもらう?
    その人には文章の才能があるか?
    書くことが大好きな人なのか?
    その相手と契約を交わせるか?
    失敗を避けるにはどうしたらいい?

    検索エンジンで上位にランクされたいなら、これらの質問すべてに答を用意すべきだ。

  • ユーザーが10/100/1000人しかいない場合、このWebサイトがどうなるかを自問したか?

    君のアイデアには、乗り越えなければならないハードルがいくつかある。そのときに備えて、僕が学んだのは、次のように自問することだ。

    自分のアイデアはネットワーク効果を利用しているか?
    もしそうなら、どうやってそれを克服するか?
    別のWebサイトからコミュニティを引っ張ってこられるか?
    どんな理由で、まったくの他人がこの新しいWebサイトで時間を過ごしてくれるのか?

    これらの質問に答えておけば、構想の全体図を描いて、ユーザーが何百万とある選択肢の中から君の新しいWebサイトを選ぶ理由を考えるのに役立つ。

  • 自分は例外的な存在だから成功するという考えを持っていないか?

    君が時代のビル・ゲイツ氏やスティーブ・ジョブズ氏、マーク・ザッカーバーグ氏、ピーター・シール氏だなんてことは、まずありそうにない。こうした成功者たちも、自分は例外的な存在だと考えて会社を作ったわけではない。彼らは、自分のアイデアを実証することに思考と労力のすべてを捧げたんだ。広く網を張り、柔軟な姿勢で、競合相手よりもハードに働くこと。これこそが、成功に至る真の道筋なんだ。

みんなの意見や専門知識をコメント欄で読むのを楽しみにしているよ。いつものように、僕の記事をより有用なものにする方法があれば、メールやプライベートメッセージを送ってほしい。メールやメッセージがいやなら、遠慮なくTwitter(DannyDover)やLinkedIn(Danny Dover)で連絡してほしい。どうもありがとう!

追伸:この記事にインスピレーションを与えてくれたジェイコブ・モリス氏に感謝!

用語集
Facebook / SEO / アイデア / インデックス / バイラル / リンク / 検索エンジン / 注目されるネット企業を作るためのフレームワーク / 訪問
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

ライブ配信サービス
動画配信サービスのひとつで、ライブ配信を行えるサービスをいう。配信する人をライバ ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]