上司を説得できる企画資料の作り方講座

インターネット広告予算をゲットできる企画書/上司を説得できる企画資料の作り方講座#3

今回は、ネット広告を実施する際、上司にどうやって説明して予算をゲットするかを考えてみよう。
上司を説得できる企画資料の作り方講座

上司を説得できる企画資料の作り方講座
新入社員が覚えておくと仕事がうまくいく“通る企画書”の作り方

インターネット広告の効果

今回は、インターネット広告を実施する際、上司にどうやってそれを説明して予算をゲットするかを考えてみる。ただし、リスティング広告やブランディング目的の広告企画は性質が若干異なるので、今回の解説では対象としない。あくまでも、販売促進に関する広告の企画書を取り上げる。

バナー広告、メールマガジン広告、RSS配信広告、動画広告など、インターネット広告の分野にはさまざまな種類のものがあり、また、日々新しい種類の広告や、新しい媒体などが現れている。そのため、どの広告を利用することが一番適切なのか判断しづらい状況にある。

一時「バナー広告やメルマガ広告の時代は終わった」などの記事も見かけたことがあるが、必ずしもそうだとは思わない。キャンペーン期間などに商品を意図的に露出できることは広告のメリットの1つでもあるし、出稿する媒体のユーザー層があなたの会社の商品にぴったりの場合もある。考え方として、効果があるものは何でも利用すべきなのだ。

ROIを思い出だそう

本コラムの第1回で、ROIに関して書いたことを憶えているだろうか。忘れた人や読んでいない人は「“通る企画書”作りの基本/上司を説得できる企画資料の作り方講座#1 - ROIを知る」をもう一度読んで欲しい。これは企画書の核となるところなので何度でも言う。

広告を出すということは、新たにいくらかの出費が伴うことであり、それに対して効果を得なければ意味がない。たとえば、広告で10万円を出費して、その広告経由の売上に対する粗利が10万円を超えなかった場合、結果的に広告をやったことで会社としてマイナスが生じたこととなり、その広告はやらなかった方がよかったということになる。もっと言えば、広告を出したことでマイナスになってしまったのである。

上司や会社の上層部の人たちは、当たり前だが売上と粗利にはとても敏感だ。売上や粗利の向上につながると思えないプロモーション企画を通すわけがないので、このことは忘れないでほしい。

逆を言えば、「ここに広告を出せば必ずROIを取れる」という保証があれば、あなたの上司はいくらでも予算を認めるだろう。なぜなら予算を出せば出すほど売上があがるのだから。

ダメな企画書例

では、まずはダメな企画書の例を見てもらおう。

画像:ダメな企画書の例
図1 ダメな企画書の例-なにが悪いのだろうか?

ダメな企画書というよりも、かなり要素と根拠が足りない企画書である。

この企画書では、まず目的が書かれていて、次に自社商品のターゲットユーザー、そして広告を出すための媒体情報とコストが紹介されている。

媒体プロフィールの詳細が記述されているが、それを見たところで私が上司だったら100万円のコストを承認するわけにはいかない。

この企画書から読み取れるのは、「自社商品のターゲットユーザー」と「広告媒体のユーザー属性」がある程度一致していることだけで、それ以外何もない。媒体の月間180万ページビューと40万ユニークユーザーがすごいのかどうかもわからない。要するに判断のしようがないのである。

広告を検討する際にやるべきこと

広告に関しては、メーカーが媒体に対して直接広告を出すのではなく、広告代理店を通して出稿する場合が多い。広告代理店は、たいてい数多くの広告の種類や広告媒体を扱っていて、その中で適切なものを提案してくれる。なので、広告代理を行っている会社に問い合わせて、媒体の提案をしてもらうといい。

ただ、広告代理を行っている会社はすべての広告媒体を掌握しているわけではないので、自社で強い媒体を勧める傾向がある。そのため、いくつかの広告代理を行っている会社に対してヒアリングして媒体を提案してもらう方がいいだろう。

各会社は、いくつかの媒体資料をあなたに提供してくるので、その媒体資料を見て自社の商品と合っているかどうかなどを検討できる。

ダメな企画書例で、媒体資料の詳細があったが、媒体資料自体を否定しているわけではない。自社のターゲットと媒体の持つユーザー属性がかけ離れていてはまったく意味がないので、広告を掲載する媒体のユーザー属性を把握しておくことも大切なことだ。

ダメな企画書で足りないもの

「ここに広告を出せば必ずROIを取れる(売上があがりコストが回収できる)」という保証があれば、誰でも予算は出すだろう。しかし、そんな保証が得られる広告は絶対に存在しない。であれば、ROIが取れそうなデータや実績を用意することで、その保証に近づけることが重要になるのだ。

前述したダメな企画書の唯一のポイントは、「自社ターゲット=選定媒体のユーザー属性」だけである。いくら自社のターゲット属性と媒体のユーザー属性が似ていても“効果がある”という保証にはならない。

では何が必要なのか。広告効果を保証するのは、ほかでもない「競合や類似他社の実績」となる。似たような商品を販売している会社がある広告に出稿して成果がでていれば、自社で広告を出稿しても同じような結果を得られる可能性が高いと考えられる。もし、あなたの会社が以前に同じ媒体に広告を出してROIが取れていれば、そのデータを企画書に含めるだけで企画書はほとんど完成だといっても過言ではない。

構成要素には、競合他社や類似商品を販売している実績を必ず調べて記載しよう。

企画書に必要な要素としては下記となる。

  • 課題や目標
  • 媒体案
  • 競合類似他社状況
  • 施策概要/目標数値/コスト
画像:良い企画書の構成要素
図2 良い企画書の構成要素

予算ゲットのための最重要ポイント

自社で広告を出稿した経験や実績がない場合、広告に関する企画で最も重要になるのは、競合他社や類似商品を販売している会社の実績を入手することだ。どの媒体にどれだけ費用をかけてどれくらいの売上があったかを知るのだ。

と、ここでは簡単に書いているが、この情報を入手するのは実際には並大抵のことではない。ほとんど不可能だといってもいい。ただ、逆に言えば、この情報を入手できれば、上司がこの企画を認める確率は格段にアップする、というか売上/粗利アップに貢献できる確率が相当高くなるということは忘れてはいけない。なので、どういった方法でもいいので、こうした情報は入手しておきたい。

こんなことを書いても「絶対無理だ」と批判されるのがオチなので、1つだけ方法を書いておく。競合他社に直接聞いても教えてくれるわけはない。であれば広告代理を行っている会社に聞くことだ。しかし、「○○社が広告を出していましたがその結果売上がどうなったか教えてください」などと聞いても守秘義務があるので絶対に教えてくれない。

たとえば、あなたの会社がコンシューマー向けの会計ソフトを販売している場合は、次のように聞いてみるといい。

会計や財務関係のソフトウェアを販売した会社が出稿した際の実績を教えてください。

また、あなたの会社が飲料関係の会社であれば、次のように効いてみるといいだろう。

社名は教えなくともいいので、飲料関係の会社が出稿した結果を教えてください。

このように、極力近い業種や規模のところの実績を教えてもらうことだ。もちろん会社名や商品名などは教えてもらわなくとも構わない。とにかく、自社に近いところでやったことのある事例をどんな形でも手にいれることだ。

もし、広告を出稿した後の売上までの情報を入手できなかった場合は、広告を行ってどれくらいのアクセスがあったかなどでも構わない。若干精度は落ちるが、そのアクセスをもとに売上や粗利を算出してもいい。

上司を説得させるための企画

ここまでで述べたような要素をしっかりと入れた、良い企画書の例を見てみよう。

画像:インターネット広告に関して上司を納得させられる良い企画書の
図3 インターネット広告の出稿に関して上司を納得させられる良い企画書の例

便宜的に1枚にまとめているが実際はこの要素を数ページにわたって記載してもいいだろう。

課題と目的を書き、今までの販売実績を記載して、媒体案を記述。そして一番大切なのは競合/類似他社の実績である。

媒体案の中から他社の実績を実際にヒアリングしてその実績を見て媒体を選定することが重要だ。その実績の中でROIの取れそうな媒体を選定後、広告の対象となる商品が毎年8月に販売される個数を算出(平均して71個)。競合他社商品が同様のプロモーションを行った結果は2週間で117個、1か月なら単純に2倍で234個となり、今回のプロモーションでは230個程度販売する目標を立てる。

毎年、今回のプロモーションを行わずに71個売れているので、目標数値から71個を引いて154個、これが今回のプロモーションによる効果だ。本広告によって154個×7,000円(粗利)=111万3,000円の粗利が確保でき、100万円の広告費を出費しても11万3,000円の儲けがでる。ここまで出せれば上司を納得させられる確率がかなり高まるだろう。

これはずっと以前に私が実際に上司に提案した企画内容であるが、このA商品と同様でしかも同じ価格帯の商品の情報を入手するために、私は広告出稿する担当者に対して5回以上は電話で話した記憶がある。「社名などを特定する情報は出さなくてもいいので実績を入手したい。難しければ価格帯は別にしてA商品に似ている形態の商品の実績を入手したい」と迫ったおかげで、この媒体への広告でROIが取れる精度の高い情報が入手できたわけだ。

企画を立案するということ、企画書を書くこと

前にも書いた記憶があるが、企画書はあくまでも、自分が立案したものを表現して、それを人に納得させ、実現させるためのツールである。

企画を立案することと、企画書を書くことは別モノだ。企画立案のためには、頭で考えるアイデア以外にも、裏づけされたデータをいかに収集するかが必要不可欠である。単に情報収集といっても、インターネットで検索すること以外にも、

  • 頭をひねってデータを分析すること
  • 実際に電話でさまざまなところにヒアリングすること
  • 単に質問しただけでは入手できない情報をあの手この手で聞き出す手法

なども必要となってくる。実際に足を運んで面会するほうが有意義な情報が入手できる場合も多々あるものだ。

実際に私が企画を立案する場合には、インターネットや書籍での調べ物だけでなく、セミナーへの参加や関係者へのヒアリング、場合によっては重要な情報を持っていそうな方々とお酒を飲みながら情報収集することも少なくない。

企画書は、そのように立案した内容をわかりやすく記述する手法であるので、立案段階のものがきちんとしていなければ、いくら良い企画書を書いても上司に響くことはない。

私がいつも言っている“根拠のあるデータ”は、頭をひねって時間をかけて考えたり、さまざまなところに取材したりして得ることができるものである。簡単ではないが、そうした“根拠のあるデータ”を入れ込んだ企画書が、上司を納得させられるものであることが多いということも忘れてはいけない。

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