13種類のブラウザ用人気ツールバー徹底検証――開発者/マーケターに便利かどうか【後半】
この記事では、前後半の2回にわたって、人気の高いツールバーを13種類挙げ、その機能を概説している。併せて、ごく一般的なユーザーとインターネット専門家の視点から見たプラグインの価値についても、僕なりの個人的な意見を添えている。
前半の記事では、合計13種類のうち7種のツールバーを紹介した。前回紹介したツールバーは次のとおりだ。
- Googleツールバー
- Yahoo!ツールバー
- MicrosoftのWindows Liveツールバー
- Ask.comツールバー
- AOLツールバー
- Alexaツールバー
- Compete.comのツールバー
今回は残り6種を紹介する。今回紹介するツールバーは次のとおりだ。
- Netcraftのツールバー
- StumbleUponのツールバー
- SearchStatusツールバー(Firefox用)
- Microsoftの開発者向けツールバー
- Firefox用ウェブ開発者向けツールバー
- Groowe検索ツールバー
Netcraftのツールバー
http://toolbar.netcraft.com
機能:
日本語版:なし
- フィッシングサイト報告の提出機能
- 信用度とリスクの評価
- ドメイン名と企業の調査情報リンク
- 競争関連データ(運営年数、ランク、サイト情報など)
- Netcraftの各種ページとサービスへの直接リンク
利用価値(一般ユーザー):低から中
たしかにNetcraftのツールバーは、消費者を保護するための情報をある程度提供してはいるが、フィッシングサイトの通知は金融関連サイトでしか出てこない。マルウェアやポップアンダー(広告コンテンツなどのブラウザウィンドウを背後に表示する手法)などが潜む悪質なドメインをいくつか訪問してみたが、いずれもNetcraftでは高い信用度評価を与えていた。
フィッシングサイト報告を提出できることは価値があるかもしれないが、常に脅威に晒されているのでない限り、Netcraftのツールバーはおそらくそんなに役に立たないだろうし、検索バーを搭載していないことが、その価値を大幅に減じている(もっとも、今はFirefoxもInternet Explorerも自前の検索バーを備えているので、この点はさほど重要ではない)。
利用価値(プロ):低から中
Netcraftの競争関連データはすばらしくはないが、まったく役に立たないというほどでもない。ランクや各種の数値よりも有用なのは、ホストデータとサイト情報の調査に利用できるリンクだ。
StumbleUponのツールバー
http://www.stumbleupon.com
機能:
日本語版:なし
- Stumbleボタンを押すと、他のユーザーが推奨するウェブページをランダムに表示する機能
- 推奨ページの分野を(画像やビデオや選択テーマに)絞る機能
- 「気に入った」か「気に入らない」のかを投票する機能。投票結果は他のユーザーと共有される
- 表示ページのタグ付け、レビュー作成、レビュー閲覧
- 推奨コンテンツを特定サイトに絞る機能(NPRやYouTubeのおもしろそうなコンテンツだけを見たい場合に使う)
利用価値(一般ユーザー):中から高
StumbleUponは今のところウェブ上で最もおもしろいサイトの1つだし、コンテンツに出会うプロセスや投票機能、そして驚くような目新しい何かが見つかる可能性には抵抗できない。それは単に、僕がとても好奇心旺盛なせいかと思っていたけど、これまでにStumbleUponを紹介した人はみんな気に入ったよ。
発想から実行まで、StumbleUponは最高のアプリケーションの1つだ。StumbleUponが400万人を超えるユーザーを獲得し、多くのソーシャルサイトやブログやニュースサイトにとって、最も多くのトラフィックをもたらすサイトの1つになったのも、うなずける話だよね。
利用価値(プロ):高
マーケティング担当者や開発者、あるいはウェブ・デザイナーであれば、StumbleUponを使って自分が思う最高のコンテンツを提示したり、同業者が作ったものを見てみるのはとても重要なことだ。StumbleUponがもたらしてくれるトラフィックは大きいうえに、とても目の肥えた、潜在的なターゲット層の人たちの眼前にこちらのコンテンツを晒してくれるのだから、StumbleUponは欠かすことのできない存在だ。
SearchStatusツールバー(Firefox用)
http://www.quirk.biz/searchstatus/
機能:
日本語版:なし
- GoogleのPageRankとAlexaのランキング情報をグラフ表示
- 新版ではCompeteのデータも表示
- nofollow属性リンクのハイライト表示
- 被リンク情報、archive.org内のアーカイブ、Whoisデータベースなど、検索関連調査データ(インデックス化状況とリンク関係)を表示する直接リンク
- メタタグ、robots.txt、キーワード密度、キーワードの出現頻度情報
- キーワードのハイライト表示機能
利用価値(一般ユーザー):低
このプラグインが持つツール群の使い方を知らなければ、これは事実上何の役にも立たない。ごく一般的なウェブサーファーが、SearchStatusのツールバーに出会う可能性はなさそうだし、使いたいとも思わないだろう。一言でいえば、何の価値もないのだから。
利用価値(プロ):高
SEOやウェブデザイン、ウェブ開発、ウェブサイト制作に携わっている者なら誰でも、このプラグインから大きな利益を得る可能性はある。AlexaとCompeteとPageRankのデータを手軽に見られる(必ずしも特に役立つというわけではないが)だけでなく、リンク状況をすばやく調べることができたり、nofollow属性付きのリンクをハイライト表示できるのは重要な点だ。このツールバーを使えば、ずい分と時間が節約できるだろう。ただし、これはGreaseMonkey拡張を使ったプラグインで、Firefoxでしか使えず、IE版がないので注意してほしい。
マイクロソフトの開発者向けツールバー
Internet Explorer Developer Toolbar
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?..
機能:
日本語版:なし
- ページを表示したままHTML要素を確認および修正できる機能
- 画像表示とJavaScript実行のオン/オフ切り替え
- CSSプロパティの調査
- コードやページの検証とキャッシュ管理
利用価値(一般ユーザー):低
ウェブサーファーの99%にとって、このツールバーは何の価値もない。ウェブページを設計、開発、テストしている人でない限り、このツールバーの有用性はゼロに等しい。
利用価値(プロ):低から高
マーケティング担当者の場合、このツールバーにはそれなりに有益な使い道がある。特にHTMLおよびCSSに精通していて、それらの使用法を調べたり比較したいと考えている人ならばなおさらだ。しかしマーケティング担当者の多くは、このツールバーの価値を十分に引き出せないだろう。
もちろん、ウェブ開発者(およびデザインとテストの担当者たち)にとって、その価値は特に高いものとなる。IEはCSSの互換性に絡んで少々困難な問題を引き起こすことが多いので、この種のツールバーをIEに組み込み、タグやプロパティを調べるのは大きな意味をもつ。
Firefox用ウェブ開発者向けツールバー
Web Developer Toolbar
http://chrispederick.com/work/web-developer/
機能:
日本語版:なしあり(半オフィシャル)
- ページを表示したままHTML要素を確認および修正できる機能
- 画像表示とJavaScript実行のオン/オフ切り替え
- CSSプロパティの調査と無効化と編集
- ウェブページ上にコメントや注釈を書き込める機能(再チェック用)
- DOMツリー構造の表示と編集機能
- コードやページの検証とキャッシュ管理
- ページ読み込み速度レポートの直接リンク
- クッキーやセッション情報の表示と消去
- その他多数の開発者向けに特化した機能
利用価値(一般ユーザー):低
マイクロソフトの開発者向けツールバー同様、ほとんど役に立たない。事実上、一般のユーザーはこのツールで何ができるのかさえわからないだろう。
利用価値(プロ):低から高
マーケティング担当者が使用する場合、このツールバーの価値は限定的だ(ただし、HTMLやCSSに精通しているなら、コードやページの構造を調べるというおもしろい使い方もできる)。
だが開発者にとっては、片時も手放せないツールの1つになる。あらゆる機能を備えるこのツールバーを使うことで、検査やコードチェックや開発視点の競争的情報収集を容易に行える非常に多様な機能を、プログラマやデザイナーは利用できる。このツールバーは、効率のいいページ構築と編集作業を考慮して設計され、それを実現している。
Groowe検索ツールバー
http://groowe.com/
機能:
- 垂直検索を含む複数の検索エンジンを用いた串刺し検索
- Google、Yahoo!、Windows Live、Askのツールバー機能を切り替えて利用できる機能
- 使用検索エンジンの優先順位設定とカスタムボタンや情報ソースの追加
利用価値(一般ユーザー):中から高
もし相当な検索好きか、あるいは単純にあまり場所をとらず複数のツールバーを利用したい場合、Grooweは賢明な選択肢だ。ここには、たくさんの魅力的な機能が詰まっているが、これが望ましいか否かは、これらの機能を実際に使う人間だったらの話で、普通のユーザーはまず使いそうにないものもある。だが、検索に主眼を置いたツールバーとしてみれば、Grooweはたしかに際立っている。
利用価値(プロ):低から高
使う人がマーケティング担当者なり開発者として、どのような作業に従事しているかにより、Grooweは非常に有益なツールにも、すでに用いている機能の単なる複製にもなり得る。Grooweのツールバーが備える機能は非常に多いが、繰り返すと、これが価値あるものになるかどうかは、個人の選択と普段の活動次第だ。
僕が使ってみた感じでは、マーケティング担当者(特に検索マーケティングに携わる人)の方が、開発者より利用価値が高いと感じると思う。開発者っていうのは通常、場合によって検索エンジンの数を増やしたりする機能なんて、たぶん必要としないからね。
やれやれ、これでおしまいだ。盛大なフィナーレも良いけど、みんながもっと見たがっているスクリーンショットをお見せしよう。
コメント
Web Developer Toolbar日本語版
バージョンが1.1.2のタイプなら日本語版もありますよね。
http://www.infoaxia.com/tools/webdeveloper/download.html
Re: Web Developer Toolbar日本語版
情報提供ありがとうございます。
インフォアクシアさんが作られていますが、もともとGNU GPLなのでどれが本物とか気にせずに日本語版としてご紹介できましたね。
とのことですので、期待しましょう。
リンク間違いを修正しました
編集部の安田です。
冒頭の「前半の記事」のリンクが間違っていたので修正いたしました。
正しい前半の記事のURLは次のとおりです。
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/02/19/2636
リンクをクリックして飛べなかった方、申し訳ありませんでした。