BOOK REVIEW Web担当者なら読んでおきたいこの1冊

『ウェブ時代をゆく――いかに働き、いかに学ぶか』

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BOOK REVIEW ウェブ担当者なら読んでおきたいこの1冊

『ウェブ時代をゆく――いかに働き、いかに学ぶか』

評者:森山 和道(サイエンスライター)

『ウェブ進化論』の著者が語る梅田流の仕事論・人生論
「自分がしたいこと」を徹底的に内省しそれをひとつひとつ実現する

  • 梅田 望夫 著
  • ISBN:978-4-480-06387-8
  • 定価:740円+税
  • 筑摩書房

著者の梅田望夫氏は、前著『ウェブ進化論』でGoogleに象徴される技術進化が新たな時代を開くと楽天的に唱えた。ベストセラーになった前作と2冊一組になるのが本書である。こちらではより直接的に、これからの時代の「生き方」「働き方」、そして「知的生活の送り方」を梅田流に説いている。

ネットを使えば、より速くさまざまな知識を得ることができるようになり、それほどのリスクもなく好きなことだけをして食っていくことも可能になった。もちろん努力は必要だし、ちょっとやそっとでへこたれない強さ、折れないしなやかさも必要だ。だが、これまでにはあり得ない生き方や働き方が可能になったのだ。

さて、そのような時代にどう生きていくか。それが問題である。著者は「自分がしたいこと」を徹底的に内省し、それをこなしながら生き抜いていくことを実現するために、ひとつひとつやるべきことをなしていったという。このあたりは特にフリーランサーならば誰しも共感できるだろうし、まだ実行していない人は一読すべきだ。ただし、本当に核心となる部分、ビジネス上のノウハウは開陳されていない。残念ながらそこは「オープンソース」とはいかなかったようだ。

大事なことは、夢想するのではなく実行していくことである。できないことであれば、できるレベルにまでブレイクダウンして行動に移していくことだ。想像しているだけでは大人とは言えない。そのためには何かを「やめること」が重要だと本書では説かれている。新年の抱負が実現できない理由は、「やめること」を決めずに「やること」ばかりを足していることにあるというのは至言である。

人間は、絶えず自己を拡大する欲求を持っている。ウェブに象徴される他者と相互に接続する技術も、究極的には自己を拡張していく技術の一種だと見なせるだろう。今後、いつまでウェブが残るかはわからないが、技術的ベクトルはだいたいそちらの方向だろう。

本書では、変化が進行し日本社会が大きく変わる時期は2015年から2020年と予想している。1975年生まれが40歳~45歳になるあたりだ。さて、その頃までに何がどう変わるだろうか。

個人的には、本書が提唱するような総表現社会が来るとは思えないし、むしろ本書が相手にしているところから、すり抜け、こぼれ落ちていく人達を何とかすることのほうが技術がやるべき仕事だろうと思う。確かにテクノロジーはさらに発展し、社会を変えていくだろう。だが、技術者は進歩だけ見ていればいいわけではない。昨今は世の中を変える技術ばかりが評価される傾向にあるが、世の中を維持するための技術もまた必要なのだ。

本書を通読すると、私は逆に、そちらの気持ちが強くなった。ということはあまり良い読者ではないのかもしれない。だが社会がよりよいものになっていくために自分に何ができるか、自分はこれからどう生きていくべきか――。そんなことを考えるきっかけになった。

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