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定期購入の通販・EC企業が取るべき特商法改正への対応方法【事例をもとに解説】 | 徹底追跡 消費者契約法・特定商取引法の見直し動向

7 years 6ヶ月 ago

今、多くの通販・EC会社が頭を悩ませているのが2017年12月1日に施行された特定商取引法(特商法)の改正に関する対応。定期商品のネット販売について、広告内に定期商品であることの明記、料金総額、定期購入の契約期間などに代表される取引内容の詳細を、消費者が迷ったりわかりにくかったりしないように表示することが義務付けられました。

通販・EC企業は、どのようにして消費者に定期商品の購入であることを説明すればいいのでしょうか。売れるネット広告社の北森香菜(コンサルティング部 コンサルタント)が、クライアントである通販・EC会社のランディングページでの対応例を紹介。通販・EC会社が取るべき対応方法を考えてみます。

消費者に勘違いさせない広告表現が必須~ランディングページの記載例~

特商法の改正に関する新たな通達とガイドライン(リンク入れる)によると、「商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件」を記載することが義務付けられています。ここで示された「その他の販売条件」とは、次のように説明されています。

<ガイドライン記載の「その他の販売条件」について>

例えば、「初回お試し価格」等と称して安価な価格で商品を販売する旨が表示されているが、当該価格で商品を購入するためには、その後通常価格で○回分の定期的な購入が条件とされている等、申込者が商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要がある場合の表示義務事項である。「その他の販売条件」には、それぞれの商品の引渡時期や代金の支払時期等が含まれる。期間の定めを設けていない定期購入契約(購入者から解約の申入れがない限り契約が継続されるもの)の場合は、表示事項のうち「金額」は、例えば、半年分や1年分八五など、まとまった単位での購入価格を目安として表示するなどして、当該契約に基づく商品の引渡しや代金の支払が1回限りではないことを消費者が容易に認識できるようにすることが望ましい。また、「契約期間」については、当該契約が消費者から解約通知がない限り契約が継続する無期限の契約である旨を示す必要がある。なお、1回の契約で複数回の商品の引渡しや代金の支払を約することとなる場合は、法第11条第1号から第3号までの規定により、買い手が支払うこととなる代金の総額等の条件を全て正確に記載しなければならない。

引用元:消費者庁発表ガイドライン第3節 通信販売/八三・八四頁

これが意味するのは、定期商品の購入に関しては継続回数に条件をつけて販売する際、「継続必須回数」「継続回数分の総額」「商品の引渡時期」「代金の支払時期」などを消費者に分かりやすく説明しなければならないということです。

たとえば、「継続必須回数」と「継続回数分の総額」についてランディングページ内で説明するケース。「定期コース月額3,980円、3回継続がお約束」という条件であれば、「定期コースは3回のお約束ですので、総額で11,940円となります」といった文言の記載を、売れるネット広告社では最低限、クライアントに推奨するようにしています。

また、“消費者が申し込みを確定する前”に総額を記載しておく必要がありますので、「お申込み内容確認」欄の下部に文言を記載することをオススメしています。

料金総額の表示例
料金総額の表示例

また、今回の特商法の改正を機に、ワンステップマーケティングによる定期コース販売を行っている通販・EC会社では、消費者に勘違いさせないクリエイティブのランディングページへの変更購入内容や条件をよりわかりやすく明記するといった対応をした会社も多いです。

たとえば、消費者に「都度購入」と勘違いされないように、申込フォーム上部に「定期購入」であることや「条件」を非常に分かりやすく明記した通販会社もあります

定期購入であることをわかりやすく表示したクライアントのクリエイティブ例 ※この画像はランディングページでの記載例を一部抜粋してご紹介したものとなります

このように、“消費者に勘違いさせないよう、購入内容や条件をよりわかりやすく明記する”ということが、今後は非常に重要になってきます

特商法が改正された背景、悪質な通販・EC会社の締め出しに効果あり?

そもそも、国はなぜこのような改正に踏み切らなければならなかったのでしょうか? なぜ特商法が改正され、通販・EC会社は厳しい状況におかれているのでしょうか。

その答えは簡単で、通販・EC会社と消費者の間で、定期商品の購入に関わるトラブルが多発しており、国としても消費者トラブルを防ぐための法規制に本格的にメスを入れ始めたからです(※詳細は消費者庁が発表したこちらのガイドラインもご確認ください)

通販会社にとって最も重要な指標であるLTV(顧客生涯価値)を最大化するためには、都度購入ではなく定期的に商品を購入してもらい、何度もリピート購入してもらう仕組みを作ることがとても重要です。そのため、多くの通販・EC会社は定期商品を購入してもらうための広告を打ち、消費者に定期商品をオススメする戦略を取っています。

このとき、消費者が納得して「定期購入したい」と思ってもらうことがとても重要で、定期購入であることを理解した上で購入してもらうようにしなければなりません。残念ながらそうではない場合も多々あり、トラブルが相次いでいました。いわゆる強制的に定期購入させるようなワンステップマーケティングの流行です。

強制定期とは、定期購入ということが消費者にとって分かりにくいセールスレター・広告となっていて、いつのまにか定期購入の契約になっているというものです。

「お試しで申し込んだのに実は定期購入だった」「いざ定期購入の解約をしようとすると違約金が発生する」「そもそも解約の方法がとても分かりにくくなっている」など、強制定期というワンステップマーケティングが多発していたことで、通販・EC会社と消費者間のトラブルは年々増加傾向にあったのです。

通信販売での健康食品等の「定期購入」に関する相談件数の推移
通信販売での健康食品等の「定期購入」に関する相談件数の推移(参照:国民生活センター発表データ

もちろん、ワンステップマーケティングのすべてが悪質な広告ではありません。ただし、現実として、定期商品の購入を巡るトラブルやクレームが多発。結果として、購入元の通販・EC会社ではなく、消費者庁をはじめとした行政に対して数多く問い合わせが発生するという状況になっていました。

定期商品の購入を騙すようにして促す強制定期というワンステップマーケティングは、通販・EC業界内では問題視されていました。しかし、強制定期を縛る大きな法規制はそれほどなかったのが実情。そんな中での今回の特商法の改正。このトラブル増加を受けて、国は本格的に法規制を始動、特商法の改正に至ったという背景があります。

この法改正により、悪質な通販・EC会社、つまり強制定期というワンステップマーケティングを展開する通販・EC会社は大きな打撃を受けることになるでしょう。

特商法改正は商品力に自信があり、消費者を大事にする通販会社にとってはチャンス

今回の特商法の改正は、通販・EC会社が厳しい状況に置かれると巷ではささやかれています。しかし、商品力があり、本物の価値を提供できる通販・EC会社、そして消費者との長い付き合い・関係性を大事にする通販・EC会社にとってはある意味大きなチャンスとなるはずです。

悪質な通販・EC会社が淘汰されると考えられるので、健全な市場発展の一助になるはずです。消費者との関係構築をしっかり行うフォロー施策、リピート購入によってLTVを最大化するための本質的な施策を怠らない通販・EC会社にとっては、より信頼を勝ち取る機会になるのではないでしょうか。

何度も触れることになりますが、安定的に売り上げを伸ばしていくには、同じ消費者に継続して購入してもらうことがとても重要です。私が所属する売れるネット広告社で推奨しているツーステップマーケティング(お試しで商品の良さを実感してもらい、定期商品の購入をオススメするビジネスモデル)は、消費者にとって今後ますます需要が高まるはずです。

消費者を保護する目的で改正された今回の特商法改正をどのように受け止め、どのように対応していくべきか、そして、消費者との長い関係性構築のために何をすべきか――事業者はこうしたこと真剣に考えなければなればならないフェーズに来ています。

悪質な通販・EC会社が淘汰され、健全な通販・EC市場が確立されることは、消費者から信頼され、市場がどんどん伸びていくことにつながります。ツーステップマーケティングの需要の増加、CRMも含めた消費者との良い関係性構築のための施策に取り組む健全な通販・EC会社が増えることを祈るとともに、売れるネット広告社も通販・EC事業者のサポートを通じて、健全な通販・EC市場の形成に携わっていきたいと考えています。

皆さん、今回の特商法改正を前向きに捉え、一緒に健全な通販・EC市場を形成していきましょう。

※この寄稿の内容は、2018年(平成30年)5月16日時点の情報に基づくものであり、今後法令等は改廃される可能性があります。このコラムの内容につき、筆者、売れるネット広告社、出版社は何ら保証するものではなく、このコラムのご利用に関しましては、ご利用になる読者のご判断に基づき各種法令にしたがってご利用いただくことになります。このコラムの利用によって生じたいかなる損害についても、筆者、売れるネット広告社、出版社は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。法律上、税務上または会計上の事項については、必ず弁護士、税理士、会計士等の専門家にご相談ください。

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北森香菜(きたもりかな)

売れるネット広告社

北森香菜(きたもりかな)
売れるネット広告社 コンサルティング部 係長 コンサルタント

福岡県北九州市出身。福岡大学商学部卒業。コンサルティング部コンサルタントとして活動。売れるネット広告社のプレミアムコンサルクライアントの約6割を担当しており、クライアントの売上拡大に努めている。通販エキスパート検定1級(通販マネジメント編)取得。

掲載記事:ECのミカタ「連載コラム」/Marketing Bank「知る・学ぶ」/にっぽんのマーケター「美人マーケター図鑑」

北森香菜(きたもりかな)

クライアントサイドでレンダリングしたrel=”canonical”をGoogleは完全無視

7 years 6ヶ月 ago

Google は生 の HTML に記述されている rel="canonical" だけを処理する。クライント側のレンダリングで生成された rel="canonical" は完全に無視される。

投稿 クライアントサイドでレンダリングしたrel=”canonical”をGoogleは完全無視海外SEO情報ブログ に最初に表示されました。

Kenichi Suzuki

丸井グループ、ECアプリ「BASE」の常設店舗を渋谷にオープン

7 years 6ヶ月 ago

丸井グループは6月15日、ショッピングアプリ「BASE」の出店者が利用できる常設店を渋谷マルイ1階にオープンする。出店者向けのレンタルスペースとして運営し、「BASE」で販売している商品を常設店でも販売する。 

丸井の実店舗における顧客接点や、売場運営のノウハウを活用し、「BASE」に出店しているネットショップの認知拡大や新規顧客獲得を後押しする。常設店の出店情報は「BASE」の公式SNSで随時発信する。

丸井が設けた常設店の名称は「SHIBUYA BASE」

常設店「SHIBUYA BASE」のイメージ

「BASE」を運営するBASEは2012年創業。無料のECサイト構築プラットフォーム「BASE」には現在約50万店舗が出店しており、ショッピングアプリの利用者数は約400万人という。

丸井グループとBASEは2017年10月に協業を開始した。新宿マルイ本館やマルイファミリー溝口、有楽町マルイ、博多マルイにおいてポップアップショップを開設。「BASE」の出店者に対して実店舗での販売を支援している。

2018年4月には丸井がBASEに出資を行い、グループ社員がBASEへ出向している。 

丸井グループは「マルイウェブチャネル」を運営。2018年3月期におけるEC取扱高は前期比約8%増の230億円だった。

取引先と在庫情報を共有し、丸井の自社倉庫にない商品の品ぞろえを拡充したことなどが増収の要因。KDDIグループが運営するECモール「Wowma!」と協業を開始するなど、外部企業との連携も強化している。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

2018/3広告業売上、全体では前年同月比1.6%減、マス4媒体は同3.5%減、ネット広告は同8.9%増

7 years 6ヶ月 ago
2018/5/21の経済産業省の特定サービス産業動態統計調査から。http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/result/result_1.html

全体では前年同月比で1.6%減テレビは2.2%減、新聞は7.3%減、雑誌は7.6%減。インターネット広告は8.9%増。

マス4媒体は12カ月連続マイナス、ラジオは13カ月連続マイナス、雑誌のマイナスは35カ月連続といった状況


noreply@blogger.com (hiromi ibukuro)

ECモールなどプラットフォーム向けの取引ルール作りを検討へ、消費者委員会

7 years 6ヶ月 ago

内閣府消費者員会は、ECモールやフリマアプリなどオンラインプラットフォームにおける取引のルール作りの検討を開始した。

プラットフォームを利用する消費者が「商品やサービスの提供」と「購入・利用」を安心して行えるよう、必要なルールや仕組みについて調査と検討を進めるとしてる。

5月15日に第1回専門調査会を開催。今後、事業者へのヒヤリングや消費者アンケートなどを実施した上で、2019年4月をめどに報告書をまとめる。

消費者委員会は調査会を立ち上げた理由について、ECモールやフリマアプリ、オークションサイト、マッチングサイトといったオンラインプラットフォームの利用が拡大する中、現時点では利用者保護のルールが必ずしも明確でないとしている。

「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会」がECモールなどの取引についてルール作りを検討

検討項目について(画像は編集部が公表資料をキャプチャ)

楽天、ヤフー、メルカリが委員として参加

調査会ではインターネット上のショッピングモール、シェアリングサービス、オークション、フリーマーケットを中心に議論する。

6月から7月にかけて関係者へのヒヤリングを実施。7月をめどに論点整理を行い、12月まで論点ごとの検討を進める。2019年3月をめどに取りまとめを行い、4月頃に報告書を作成する。

専門調査会の座長を務めるのは龍谷大学の田中邦博教授。委員は15人で、事業者側では楽天、ヤフー、メルカリが参加している。

調査会の正式名称は「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会」。

消費者委員会は2009年9月に発足した。独立した第三者機関として消費者問題の調査や審議を行い、関係省庁に対して消費者行政全般に関する意見表明を行っている。また、内閣総理大臣や各省大臣、消費者庁長官の諮問に応じて調査・審議を実施する。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

ZARAが始めたネット通販連動のショールーミングストアとは? | 通販新聞ダイジェスト

7 years 6ヶ月 ago

スペインのファッションブランド「ZARA(ザラ)」は5月9日から8月中旬まで、東京・六本木に専用アプリを介して試着予約やEC購入などができるポップアップストアを開設中だ。

六本木ヒルズ・ノースタワー1~2階に構えた期間限定店は、試着できたり、接客が受けられる実店舗の良さと、ECの利便性を融合した店舗として展開。新しい買い物体験を提供することでEC利用者の獲得にもつなげる狙いのほか、同店は既存の六本木ヒルズ店がリニューアルオープンするまでの店舗であることから、近隣顧客に対し継続的に商品を提案するという役割もあるようだ。

ポップアップストアの面積は800平方メートルで、ウィメンズとメンズ、キッズ・ベビーの商品を扱うが商品はすべてサンプル品で、そのまま持ち帰ることはできない。

同店はEC体験店舗としてQRコードなどを活用したシステムを搭載。来店客はZARAアプリをダウンロードして起動し、気になる商品のバーコードをスキャンしてカートに入れ(画像)、好みのサイズを選んで「試着室をリクエストする」ボタンを押すと試着予約できる。アプリには待ち時間が表示されるため、来店客は時間まで手ぶらで他の商品を見ることもできる。試着商品の準備が整うと利用者にはプッシュ通知が届く。

ZARAが始めたネット通販連動のショールーミングストアとは?

アプリのダウンロードに抵抗のある消費者は店頭スタッフが持ち歩くデバイスなどを利用して同様に試着予約できる。

試着して気に入ったら、アプリ内でEC購入するか、店頭のレジで支払うことになるが、商品は自宅配送か、他店を含む店舗受け取りかを選択できる。ポップアップ店での受け取りを選んだ場合、午後1時までの注文で当日午後6時以降に受け取り可能で、午後1時以降の注文分は翌日午後6時以降の受け取りとなる。

EC体験店舗はロンドン、ナポリに次ぐ3店目で、試着室を設けたのは日本が初めて。試着室は男性用6室、女性用10室の合計16室を設置。アプリで受けた試着希望商品を試着室に用意したり、試着後にはきれいにスチームをかけて管理することなどが必要なため、バックヤードには専用スタッフを配置し、事前にロールプレイングを実施して臨んでいるという。

同社では、EC体験店舗と知らずに来店する消費者も多いため、まずは入り口付近でポップアップ店の説明をし、フライヤーも配布して興味をもってもらうほか、レジでも支払いや受け取り方法について説明する。土地柄、外国人の来店も想定し、店頭には英語や中国語、スペイン語などの分かるスタッフもいる。

オープンから間もないが、大半の来店客がアプリを通じて試着の待ち時間が分かったり、商品を持ち帰らないで済むECの利便性を歓迎しており、とくに地方からの来店客や、赤ちゃんを連れた母親にとっては自宅配送を選択できることが好評のようだ。

同店の告知については、通販サイトでイメージ動画を配信したり、オンライン広告でも露出しているのに加え、六本木ヒルズ・メトロハットの大型屋外広告や地下鉄日比谷線12駅で広告を展開するほか、2階建てバスを使用したラッピングバスが都内を走る。

なお、ポップアップ店で商品を購入し、商品の受け取りも同店を選んだ顧客には1カ月間限定で、キャンペーンビジュアルを採用したオリジナル風呂敷で商品を包むサービスも行っており、風呂敷は毎週、柄を変えてそのままプレゼントする。

通販新聞

Google、求人検索を11か国に拡大。コンバージョン率4.5倍の転職サイトも

7 years 6ヶ月 ago

求人検索のための Job Posting をさらに多くの国で Google はサポートを始めた。また、求人検索による成功事例がデベロッパー向けサイトに公開されている。

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Kenichi Suzuki

アリババ創業者ジャック・マーがビジネスマンに贈る12のメッセージ

7 years 6ヶ月 ago

「人からの信頼はどうすれば得られますか?」「挫折してしまう起業家を勇気づけてください」「日本企業にとって、中国市場はまだチャンスがありますか?」──。4月25日、早稲田大学大隈講堂に集まった若者たちからの質問に、アリババグループの創業者で会長のジャック・マー氏が答えた。

「人を信頼したいならまず自分が信頼を得なければならない」「意見が合わなくてもチームに入れるべきは裏表のない人」。ジャージ姿でリラックスした様子のマー氏が、リーダーとしての心構えから、未来のITや教育、そして中国EC市場などについて語った。

左からジャック・マー氏、今林 広樹氏(早稲田大学大学院基幹理工学研究科博士課程、EAGLYS代表取締役)、葦苅 晟矢(あしかり・せいや) 氏(早稲田大学大学院先進理工学研究科博士課程、エコロギー創業者)、玉城 絵美 氏(早稲田大学 創造理工学研究科 総合機械工学専攻・准教授、H2L創業者)
左からジャック・マー氏、今林 広樹氏(早稲田大学大学院基幹理工学研究科博士課程、EAGLYS代表取締役)、葦苅 晟矢(あしかり・せいや) 氏(早稲田大学大学院先進理工学研究科博士課程、エコロギー創業者)、玉城 絵美 氏(早稲田大学 創造理工学研究科 総合機械工学専攻・准教授、H2L創業者)

ジャック・マー氏(以下、敬称略):私は小さい頃から日本のテレビを見ていましたから、早稲田大学を知っていました。今日参加してくれた3人のアイデアを聞いて感動しています。素晴らしいアイデアを持った人には課題がある。その課題は通常、成績が優秀な人から出るものです。

学問に邁進したい人は起業家にはならないでしょう。起業家になるのは学校の成績が悪い人です。成績が優秀なら大企業に勤めることはたやすいかもしれません。私を含めた成績の悪い人間は雇ってくれる企業がないから起業するしかなかったのです。

私が人々に必要だと思っているのはIQ(Intelligence Quotient/知能指数)とEQ(Emotional Quotient/心の知能指数)、そしてLQ(Love Quotient/愛の指数)です。愛も必要なんです。気持ちが大事。IQ、頭が抜群に良ければ成功は簡単かもしれません。EQ、苦難を乗り越えた上で人と上手く付き合うことができればチャンスも開けるし成功できます。でも、LQがなければどんなに成功しても尊敬されることはありません。愛すべき人になれません。愛される人にならなければなりません。成功にはこの3つのバランスを取ることが必要だと思います。

起業家には情熱とビジョンが必要です。ビジョンは人と違うものでなければなりません。99%の人と同じビジョンでは勝算はありません。違うからこそ勝てるのです。そして情熱が必要です。私はアリババを19年間経営してきました。この19年、毎年、毎月、いや毎日、他の人から「自分たちが正しいことをしているのか」「仕事と呼ぶのにふさわしいものだろうか」「本当にそんなことが実現できるんだろうか」と絶えず問われます。従って、起業家は自分がやることに信念を持っていなければなりません。

ベンチャーキャピタリストに信じてもらうためではなく、資金のためでもない。人が「良い」と言うことを信じてはだめです。自分が自分なりの方法でしかできないことがあると自信を持ってください。人と違うからこそ起業家なのです。自信があれば「自分を信じてくれ」という言葉の説得力も増します。最初から世界中の人々を説得しようと思っても無理です。最初は自分の周りのチームの人たちだけを引っ張っていければいいんです。自分のビジョンを信じて共有してくれる人をまずチームとして引っ張っていってください。

人と意見が合わなくても心配することはありません。時間と努力が証明してくれます。ビジョンそのものが証明してくれるのです。時間が味方してくれる。これがビジネスの成功に共通した鉄則です。明日、来年にすぐ結果が出るとは思わない方が良い。明日、勝てると思いますか? 世の中そんなに簡単ではありません。5年、10年先を見越して、心底自分がコミットできること。人に反対されようが嫌われようが、自分が「これだ」と思ったものがあるなら、それを良くしていくことにコミットすべきです。それは私の生き方そのものです。みなさんもそうしてください。

ジャック・マー氏

質問① どうしたらチームメンバーからの信頼を得られますか? また、責任を持って働いてもらうにはどうしたらいいですか? 
─今林氏からの質問

ジャック・マー人を信頼したいなら、まず自分が信頼を得なければなりません。自分を信じてもらうこと、それが一番大事なことです。その後で、自分が信頼できる人でチームを組みます。本当に裏表なく有言実行する。シンプルに、裏表のない人をチームに入れるべきです。意見が違っていても、そういう人をチームに入れるべきです。

信頼を得るためには悪い時も良いときも率直に話さなければなりません。隠し事はいけません。そして、みんなが落ち込んでいるときは良い話をする。みんなが浮かれているときは少し釘を刺すというようにします。

信頼関係とはすぐにできるものではありませんが、創業期にチームに加わった人なら、ゴール、ターゲット、ビジョンに信頼を寄せてくれれば容易に引っ張っていくことができます。自分自身への愛や忠誠心からでなくてもいいのです。

私はチームに「一緒に戦おうとしているもの、それを愛し、それに賭けてくれて、信じてくれ」と言いました。最初からは難しいことかもしれませんが、長いことやっているとその方がたやすいです。

ビジネスは楽しいです。人との付き合いそのものですから。成績が優秀な人はビジネスモデルやテクノロジー、製品について考えることにとらわれ過ぎていることが多いですが、これから創業する起業家なら、少なくとも持っている時間の30%は人に充てなければなりません 雇う人、一緒に仕事をする人の声によく耳を傾けてください コミュニケーションをしっかり取ってください。

ジャック・マー氏と今林氏

質問② アリババ創業当時のビデオを見ました。どうやってチームに「我々は正しい方向に向かっているんだ」と信じてもらったのですか? 
─今林氏からの質問

ジャック・マー私はラッキーでした。17名の創業メンバーは私の話を聞いてくれました。そして私ほどスマートでもなかった(笑)。外から引き合いもなかった。誰も我々がスマートだと思っていなかったからです。我々は行き場がなかった。だから結束したんです。

いま、みんながスマートな人を雇おうとしている。でもスマートな人を管理することは難しい。MBAを持っている全員がその会社のトップになることは難しい。みんなが戦略を議論したがる。でも、現場の仕事はなかなかしない。スマートでない人の方が管理しやすい。彼らは自由な発想を持っています。

自分たちの将来についてどうやって信じてもらうか? 毎週、毎日、毎時、毎分、彼らに語り続けるのです。そうやって彼らも私と同じ考えを持つようにする。アリババというのはそうやって成長したのです。みんな若く、問題は次々と起こりました。しかし、問題をオープンに語り合いました。それしか方法がなかったのです。そうして少しずつ、10年先、15年先のビジョンを持って、来月、来年のゴールも設定し実践することで、毎月、毎年、進歩することができると彼らに証明します

私は特に人をキープしようとはしません。でも、ミッションとビジョンは最初から共有します。共有できればみんなは会社にとどまる。残ってくれればもちろん良いんですが、辞める人もいても良いと思います。友だちとして、パートナーとして仕事をする限り、人としてお互い信頼感を持って接することができる。それがすべてなんじゃないですか?

質問③ 世界の食糧危機をどう考えますか? 昆虫をタンパク源とするという私の考えをどう思いますか?
─葦苅氏からの質問

ジャック・マーセッションに参加されている皆さんは世界が抱えている問題を解決しようと思っているんですね、会社を大きくしたいと思うならば、より大きな問題を解決すれば会社は大きくなります。でも大きな会社は責任も大きいのです。それはお金のことだけでなく責任そのものが大きい。

我々は長生きしたいと思っています。日本はとっくに長寿国家ですが、30年先にはデータとテクノロジーのおかげで120歳まで生きるかもしれないと言われています。想像してみてください。世界の人口は今70億人ですけど、それが150億人くらいになります。しかし、世界にそれだけの食料のリソースはない。水もない。環境も足りない。大きな問題です。日本はそれほど食料問題を抱えていないかもしれませんが、考えてください。世界には本当に食料の問題があるんです。次の10年、20年の間にはこれはもっと大きな問題になるでしょう。

昆虫を食べるという話は勇敢ですね。私はちょっと考えたこともありません。昆虫はどちらかというとペットとして一緒にいたいですね。食べ物としてはどうだろう。今日の話はとても興味深いのでリサーチしてみます。海老も昆虫として考えるならば、海老は受け入れられます(笑)。

質問④ あなたはいろいろな企業に投資をしていますが、大学の研究をビジネスにする時に大事なポイントはなんですか?
─葦苅氏からの質問

ジャック・マー需要がマーケットにあるかどうかということです。私はそれほど多くの研究者を知りませんが、論文を書くことに熱心な先生が多い。我々が主眼にしているのは「成果を出せるか」ということです。多くの企業が研究室の研究を支援する流れになっているが、なかなか上手くいっていないと思います。というのは、今まさに芽生えようとしている分野は研究室の中にあるかもしれませんが、大学の外にもどこにでも知識が偏在しています 大学だけに知識が集中する時代ではありません

むしろ、例えば研究者が我々のような企業をフォローする方がいい。我々はどこに投資をしたら良いのか、どこに需要があるのかわかっています。 どちらかというとビジネスが先行して、それを支援する研究を大学の研究室はするべきではないかと思います。これは私個人の考えで、こんなにたくさんの大学の先生の前で言うのは恐縮ですが、あえて率直なことを言うとそう思うのです。研究者の頭の中にあることをビジネスにするのは大変難しいことです。

質問⑤ あなたの話し方はとてもユニークですが、どうやってその話し方を身に付けたのですか?
─葦苅氏からの質問

ジャック・マー確かに「ジャックは話し方が上手だね」と人に言われます。でも私は考えるのが得意だと思います。人とは違う発想を持っているということです。つまり、言葉が上手いわけじゃない。中国語も上手くないし、英語も聞いておわかりのように「OK(まあまあ)」というか、通じるかもしれませんが先生から見ればどうでしょうか。

中国でも日本でも、多くの学生は読むことはできても話せない。どうしても臆してしまうんですね。恥ずかしがる必要はありません。人に自分をわかってもらうため、コミュニケーションのために臆せず話すべきです。少なくとも私の英語はドナルド・トランプの中国語より上手いでしょう。そうでしょ?

私の仕事は人を説得することですから、どういう言葉を使うかということよりも、自分がどういう考えを持っているか、それをしっかり伝えることの方が大事です。なので、私の話し方は美しくないと思います。ただ、違う着想点をみなさんに紹介したいです。私の会社のメンバーは「仕事」を担っていますが、私は「話すこと」を受け持っています。これは人の考えをシェアするための話をすることです。

話す上でまず大事なのは、裏表なく本当のことを言うこと。それして、自分の考えを伝えること。つまり、ジャック・マーが何を考えているのか?それを伝えることです。新聞に書いてあることを言うだけでは、他人の時間を無駄にするだけです。私の話を聞きに来ている人は、それだけ時間をかけてくれているわけですから、私だけのユニークな着眼点を話さなければなりません。話を長く引っ張る必要はありません。ポイントを絞って切り込む話し方が大事です。

ジャック・マー氏と葦苅氏

質問⑥ 視覚だけでなく音や体の動きなどをシェアするサービスに取り組んでいます。そういったサービスはアリババでは人気が出ると思いますか? また、あなたはどういった経験をシェアしたいですか?
─玉城氏からの質問

ジャック・マーとても面白いアイデアですね。考えたこともありませんでした。よく「ジャック、登山は好き?」と聞かれて「良いですね」と答えると、「じゃあヒマラヤに登りませんか?」と言われるので「それは遠慮します」と言っています。ただ、「山頂までのエレベーターができたらヒマラヤに行きますよ」と言っています。しかし、この視覚を共有するというのは面白いですね。ヒマラヤにエレベーターができるのを100年も待たずに、登山経験が共有できそうです。

私が怖いのはスピード。スカイダイビングのような急に落ちる感覚が怖いんです。ただ、怖いけど安全なら共有したいですね、経験として。それは着眼点として面白いと思います。私は筋トレが嫌いなんです。だから寝ている間に誰かがやってくれて、それが自分の筋トレになるとか、ボディーがいろいろ用意されていて、その日に好きなボディーを使う、そんな筋トレプログラムがあると良いですね。500年後には実現するかもしれません。

アリババがそういったシェアリングサービスをするとしたら、世界中の人に他国の文化、歴史、立ち振る舞い(行動)を経験してほしいと考えますね。今は必ずしも平和が保証された時代ではありません。他の国の人に対して、互いに尊敬し合うということが必ずしもないからです。他国の文化や場所を共有でき、「他の人はどう感じているのか?」ということをシェアできれば素晴らしいと思います。

共有できれば世界はもっと相互理解が深まると思います。相互理解が深まればもっと結束できると思います。そしてもっと平和になり、互いに支え合えるようになるでしょう。非常に良いアイデアだと思います。

質問⑦ 多くの起業家が早稲田大学から誕生しています。でもギブアップしてしまうこともあります。彼らを勇気づけるメッセージをお願いします。
─玉城氏からの質問

ジャック・マークリエイティブでしっかりとしたビジョンを持ち、自分が何を求めているのかはっきりとわかっていても、それでも簡単ではありません。誰もが起業家になれるわけではありません。アイデアがあるからといってすぐに起業家になれると思ってはだめです。

でも、チームに参加してアイデアを持っている人と一緒になり、そこで経験を得るということはできます。ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグのように学校を辞めるという考えは持たないでください。退学して成功する人は少ないんです。100人の起業家のうち、95人はあなたが知らない間に失敗するんです。残りの5人のうち4人が死んでいくのをあなたは目撃します。本当に成功者として残るのは1人です。それも運が必要です。チームが優れているから生き残る1人になれるのです。

起業家ならば責任をしっかり取らなければならない。参加してくれるチームのメンバーに対して責任を取らなければならない。もしあなたがチームに参加するなら、お金のために戦うことではなく、人々の生活をより良くし、変えていくという経験を得られます。

起業家としての経験は素晴らしいものがあるけれど、決して簡単なことではありません。厳しいことが多いです。ですから、学生に言うのは「試すことにコストはかからないでも。ギブアップしてはいけない。始めたのならやり続けてほしい」ということです。

ジャック・マー氏と玉城氏

質問⑧ 「アリヘルス」のビジネスは何をゴールにしているのですか?
─来場者からの質問(大学院で生物学を学ぶ男子学生)

アリヘルス(阿里健康)のスクリーンショット
アリババグループのヘルステック部門「アリヘルス(阿里健康)」
http://www.alihealth.cn/

ジャック・マー人類には2つの目的があると思います。幸福(Happiness)と健康(Health)です。何をするにしてもそうです。この世界に生まれたのは勉強するため、仕事をするためだけではない。幸せに健康に生きるために生まれたのだと思います。それを私たちは「2-H戦略」と呼んでいます。「アリヘルス」はデータテクノロジーやAIを使い、みんなが幸せで健康に生きることを目的としたサービスです。

次の30年、人類は大きな変化を経験するでしょう。ガンや難病も問題にならなくなるかもしれない。寿命も長くなるでしょう。それはデータのおかけだと確信しています

AIやマシンラーニング、ロボティクスの話をします。マシンは人間よりスマートになる。でも人間の方が知性を持つでしょう。マシンはマシンができることを改良していくでしょう。でも人は人しかできないことを磨いていくでしょう。人間はこれまでの200年、世界中で何が起こっているかを把握したがったが、次の100年ではデータの発達により、人々は自分たちのことを把握することになります。 データを使った健康産業では、人間が内なる自分自身を知ることになると思います。

従って、質問者が専攻している生物学の役割は大きいと思います。人類を助けているのです。人間の幸せと健康をサポートすることは我々の喜びです。「アリヘルス」はデータを使って人というものを理解し、健康を高めることに焦点を当てています。

質問⑨ ITはどのように教育を変えると思いますか? そしてその中でアリババはどのような取り組みを行いますか?
─来場者からの質問(女子学生)

ジャック・マー私が思うに、ITは教育を変えると思います。あるいは、教育を変えるためにITを使う、その両方ができると思います。今後30年、データ技術によって世界は大きく変わります。多くの仕事はなくなるでしょう。ただ、多くの新しい仕事が出てくるでしょう。そうした新しい職業の雇用に人が対応できないかもしれない。そのために教育を変えなければならない

世界中のほとんどの大学は大きな課題に突き当たるでしょう。教育制度は変える必要があると考えるのはそのためです。例えば、機械学習の方がより早く計算できるし、落ち込むこともないし、いつもハッピーでいつも賢く、疲れることもない。とても子どもは追い付かないでしょう。従って、いかに機械と違うことを学校で学び、将来の仕事に就くための技能を付けるかということが大事です。私もそれを心配しています。

いま私は中国で中等、高等教育をそれぞれ独自に立ち上げています。生徒にはもっとクリエイティブで革新的で建設的になるよう、教える試みをしています。ダンスやスポーツをしながらクリエイティブである人を生み出したいと思っているのです。

生徒にもっとクリエイティブで革新的な人、建設的な人となるよう教えるには、ハートが大事だと考えています。賢明な知恵というのはハートからです。知識は頭かもしれません。機械にはチップはあるけどハートはありません。

人間ができることはいくらでもありますので心配はありません。ただ、教育は抜本的に見直す必要があるでしょう。ITがあろうとなかろうと、いずれにせよ将来を考えるべきです。特に教育改革に注力すべきです。教育改革に早く取り組んだ国が来たる未来に追いつけるでしょう。遅れればトラブルになるでしょう。

ジャック・マー氏

質問⑩ 日本のメーカーにとって中国市場は可能性があるのでしょうか? 「Taobao」に出店した方が良いですか? それとも独自でやるべきでしょうか? 
─来場者からの質問(化粧品メーカー勤務の女性)

ジャック・マー宣伝をする機会を与えてくれてありがとうございます(笑)。21世紀は女性がますます重要になって、男性よりも自己主張が強くなっていますが、それは良いことです。アリババの秘密の1つは、社員の47%が女性だということです。どの国でもどの会社でも、優れた組織にしたいなら、もっと女性を雇用するべきです。女性はユーザーフレンドリーです。21世紀では女性がますます重要になってきます。

ご質問に答えると、大きなチャンスがあります。日本の製品が中国にどんどん進出しています。中国には3億人の中所得者がいます。次の10年、15年で5億人が中所得者になります。優れた商品を待っています。日本には優れた商品やサービスがたくさんあるので、中国に行って市場を開いてください。TmallやTaobao、Alibabaを使わなくても、行ってできることをとにかくやってください。そして商品を改良してください

もちろん日本は課題を抱えていると思います。日本の何百万という中小企業がそういった課題に直面します。日本の銀行に勤めている人から聞きました。高齢化が進んでいる。そして、子どもたちは親の仕事を継がない。それは日本にとって、また人類にとって大きな損失だと思います。 技術や知識はしっかり共有するべきです。中国に限らずアフリカでも東南アジアでもどこでもそうだと思います。ですからグローバルにオープンマインドでどんどん進出してください。これがすべてだと思います。

ジャック・マー氏

質問⑪ 中国人留学生が就活でとても苦労しています。 
─来場者からの質問(男子学生)

ジャック・マーどの国でもどの大学でも、学生にとって仕事を探すことは難しいことですよ。誰も容易に仕事には就けません。世界はこんなに広いのですから、日本だけで仕事を探さないことです。世界中どこにでも仕事はあります。自分が心地良いと思っているテリトリーから離れて仕事を探すべきです。男性だろうが女性だろうが、持っているビジョンを共有し、一緒に戦ってくれる同士を探しましょう。志を同じくする人、つまり自分にコミットできるか、そこに自己犠牲を伴って完遂できるか、それが重要なことだと思います。

早稲田に留学しているのですから、素晴らしい日本の企業はいくらでもあります。そういうところも就職先として考えたらどうですか? 日本と中国の橋渡しは重要ですから、日中関係の友好関係をさらに強められる人を大学から雇うことは、アリババとしても大歓迎です。

ジャック・マー氏

質問⑫ 日本の企業で不祥事が問題になっています。信用を失ったとき、それをどう再構築すればいいのでしょうか。 
─来場者からの質問(男性)

ジャック・マー信頼というのは短期間では得られません。信頼をなくしてはまた回復する。信頼はずっと保証されるものではないのです。私も父から長年信頼されませんでした(笑)。 信頼を得てもまた失う。でも決してあきらめないことが大事です。人からの信頼を得られるようにあきらめないということです。ビジネスでお客さまからの信頼を失ったときも、友人や同僚やパートナーから信頼を失ったときも、決してあきらめてはいけません。

誰もが過ちを犯します。私もそうでした。この19年間、いろんな問題がありました。他の人から「ジャック、アリババはすごく大きくなったね」と言われますか、あまりにも多くの過ちがありました、自信を失うこともありました。

取引先からの信頼を失うこともあります。例えば模造品がサイトにたくさん掲載されている場合どうしますか? 泣き寝入りですか? クレームを入れるだけですか? いや、ここでは信頼を取り戻すために是正措置を取らなければならない。1年だけでなく、これから100年以上ビジネスをやっていくためには、信頼を回復しなければなりません

信頼を回復してはまた信頼を失うということの繰り返しです。従って、起業家としてはいろんな種類の異なるお客さまから、いつでも信頼と尊敬を得られるように努めなければいけません。創業者、株主、お客さま、従業員、パートナー、そしてメディアといったお客様からいかに信頼を得るか。それが企業の仕事です。

幸か不幸か互いに信頼しない世の中になってきています。だから通商摩擦も起きています。現代にはあまりにも多くの問題が山積みとなっていますが、決してあきらめてはいけません。信頼は得るだけではなく積み上げて作っていくものなのです。

内山美枝子

内山 美枝子

ネットショップ担当者フォーラム編集部
内山 美枝子

EC売上150億円めざす青山商事が進める3つのデジタル施策

7 years 6ヶ月 ago

紳士服販売チェーン「洋服の青山」を展開する青山商事は今期(2019年3月期)、EC売上高の拡大とデジタル戦略の推進を目的とし、「販促のデジタル化」「ECと店舗の連携強化(デジラボ店舗推進)」「接客のデジタル化(接客支援端末開発)」に取り組む。

青山商事のEC売上高は2018年2月期時点で約22億円とみられる。デジタル戦略を強化することで、EC売上高を2020年までに67億円、長期的には150億円に引き上げる。

青山商事の売上拡大計画

売上拡大計画(画像は中期経営計画から編集部がキャプチャ)

AI活用を視野に入れたMA化を推進

今期は「AI(人工知能)活用を視野に入れたマーケティング・オートメーション化」に取り組む。

顧客の属性情報やECサイト上の行動情報、購買データ、商品情報などをデータベース化し、人工知能を活用して分析。顧客ごとのニーズや購入タイミングを予測した上で、メルマガやダイレクトメール(DM)などのセグメント配信を行う。メルマガやDMの配信は自動化する。

ECサイトではニーズに合った商品を表示するほか、Web接客機能を活用して店舗への誘導も図る。

デジタル化を進める青山商事

販促のデジタル化を推進する(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

ICTを活用して新しいショッピングの形を提案する次世代型店舗「デジタル・ラボ」も推進する。

「デジタル・ラボ」では、来店客は商品を試着した後、店内に設置された大型デジタルサイネージやタブレット端末を使いオンラインショップで購入できる。現在、都内で3店舗を展開している。

この他、デジタル技術を活用して接客を強化するため、富士通グループと共同で、来店客の視線をセンサーで検知し、視線の動きから人工知能が顧客の興味・関心を推定して商品提案や接客に生かす取り組みなどを進めている。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

グーグル公式SEO情報リソース9種まとめ【海外&国内SEO情報ウォッチ】

7 years 6ヶ月 ago

信頼できる SEO の情報はどこにある? その答の1つが、グーグルの公式情報だ。そうした SEO に役立つ情報を調べたり質問したりできるSEO関連の Google 公式情報、9種類をまとめて紹介する。

投稿 グーグル公式SEO情報リソース9種まとめ【海外&国内SEO情報ウォッチ】海外SEO情報ブログ に最初に表示されました。

Kenichi Suzuki

メニコン子会社の会員専用サイトでカード情報3412件が流出の可能性

7 years 6ヶ月 ago

コンタクトレンズの製造・販売を手がけるメニコンは5月17日、子会社が運営する会員専用サイト「A-Web(エース ウェブ)倶楽部」が外部から不正アクセスを受け、商品購入した会員のクレジットカード情報が流出したと発表した。

漏えいした可能性があるのは最大3412件。不正利用による被害も出ており、27人分で約668万円にのぼるという。

対象は、メニコン子会社のダブリュ・アイ・システムが運営する「A-Web(エース ウェブ)倶楽部」の「宅配サービス」で、2017年12月17日~2018年3月27日の期間中にカード決済した顧客。会員名、番号、有効期限が外部に流出した可能性があるという。

「A-Web(エース ウェブ)倶楽部」は、「エースコンタクト」の来店客を対象とした会員向けサービス。「宅配サービス」「来店予約」などを提供している。不正アクセスの対象は「宅配サービス」のみとしている。

情報漏えいの可能性について

また、メニコングループの他のサイトは独立している為、不正アクセスの対象となってはいないとした。

決済代行会社から3月27日、「A-Web倶楽部」内の「宅配サービス」で情報流出の懸念があるとの連絡があり、「A-Web倶楽部」サイトの利用を停止。対策本部を立ち上げ、3月27日に第三者機関へ調査を依頼いた。

なお、クレジットカード会社への不正利用の防止モニタリングの実施を依頼、関係各所への報告は済ませている。

「A-Web倶楽部」は必要な対応を講じ、システムの安全性確認ができ次第、再開することを想定している。

「A-Web(エース ウェブ)倶楽部」が不正アクセスを受け、カード情報が漏えい

「A-Web倶楽部」は現在メンテナンス中となっている(画像は編集部がキャプチャ)

EC業界におけるセキュリティ対策について

経済産業省主導の「クレジット取引セキュリティ対策協議会」(事務局は日本クレジット協会)は、2017年3月8日に公表した「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画-2017-」において、EC事業者に対して2018年3月までにカード情報の非保持化、もしくは「PCI DSS準拠」を求めていく方針を掲げた。

カード情報の漏えいの頻度が高い非対面(EC)加盟店については原則として非保持化(保持する場合はPCI DSS準拠)を推進。EC加盟店におけるカード情報の非保持化を推進するため、PCI DSS準拠済みのPSP(決済代行会社)が提供するカード情報の非通過型(「リダイレクト(リンク)型」または「JavaScriptを使用した非通過型」)の決済システムの導入を促進するとしている。

2018年6月1日に施行される「割賦販売法の一部を改正する法律(改正割賦販売法)」では、クレジットカードを取り扱うEC事業者などに対して、「クレジットカード情報の適切な管理」と「不正使用防止対策の実施」が義務付けられた。

また、独立行政法人情報処理推進機構では不正アクセス対策についての資料をまとめており、「安全なウェブサイトの作り方」などを閲覧することができる。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

「TSUTAYA」のCCC、完全子会社めざすキタムラの4つの再建施策

7 years 6ヶ月 ago

「TSUTAYA」などを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は5月15日、カメラ販売店「カメラのキタムラ」を運営するキタムラを完全子会社すると発表した。5月16日から6月26日まで株式公開買い付け(TOB)を実施し、キタムラの全株式の取得をめざす。

CCCはキタムラ株の29.71%を所有する筆頭株主。完全子会社化することで経営の自由度を高め、減収が続くキタムラの経営再建を急ぐ。また、2社の経営資源を活用してオムニチャネル化を加速する。

キタムラの宅配と店頭受け取りの売上高を合計した「EC関与売上」は、2017年3月期時点で405億円だった。連結売上高に占める比率は約29%。2018年3月期における連結売上高は、前期比10.2%減の1268億5000万円。

キタムラはCCCグループの完全子会社になった後、オムニチャネル化の加速や顧客基盤の相互活用などに取り組むとしている。

キタムラが取り組む4つの施策

オムニチャネル化を加速

CCCグループの顧客基盤やデータベースを活用し、キタムラのオムニチャネル化を加速させる。ハード部門の販売では 「TSUTAYA オンラインショッピング」などと連携。

イメージング部門におけるプリント販売では、インターネットを通じた写真プリントサービス事業を行っている、しまうまプリントシステム、インターネット写真サービス事業を手がけるフォトクリエイトなどと連携する。

CCCの顧客にクロスセル

「TSUTAYA」「蔦屋書店」「T-SITE」などCCCグループの顧客基盤にアプローチできるようになり、顧客層拡大やクロスセルの実施などが可能になるとしている。

人材やデータを活用

CCCグループで写真事業を手がける「CCCフォトライフラボ」「フォトクリエイ ト」「しまうまプリントシステム」「コトコト」などが持つ写真サービスや商品開発などのノウハウを活用し、キタムラの写真事業の収益性向上や、新規事業開発などに取り組む。

ツタヤの店舗運営ノウハウを注入

「蔦屋書店」などの店舗開発で培ってきた、店舗運営やサービスに関する企画力といった経営ノウハウを利用し、キタムラの店舗において従来の販売モデルにとらわれないビジネスモデルの確立をめざす。

CCCは、こうした新たな取り組みには多額の投資が発生することが予想され、短期的には既存株主の利益を損なうことも想定されることから、TOBを通じて非上場化することが必要だとしている。

完全子会社化で連携深化

CCCとキタムラは2013年に資本業務提携を締結し、写真市場におけるシェア拡大や、ポイント事業での連携などを進めてきた。現在、CCCグループからキタムラに役員3人を派遣している。

ただ、キタムラはCCCグループの100%子会社ではないため、顧客データベースの完全な融合や、オムニチャネル戦略を加速させるための人材やデータベースの相互活用を十分に実施することができていなかった。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

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