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Web Packagingを有効にしたAMP検索のテストをGoogleが開始、キャッシュではなくオリジンURLでAMPページを表示

7 years 7ヶ月 ago

Web Packaging を有効にした AMP 検索の試験を Google は開始した。AMP キャッシュのページにアクセスしても、キャッシュではなくオリジンの URL でコンテンツが提供される。

投稿 Web Packagingを有効にしたAMP検索のテストをGoogleが開始、キャッシュではなくオリジンURLでAMPページを表示海外SEO情報ブログ に最初に表示されました。

Kenichi Suzuki

丸井グループのEC取扱高は約8%増の230億円(18年3月期)

7 years 7ヶ月 ago

「マルイウェブチャネル」を運営する丸井グループの2018年3月期におけるEC取扱高は、前期比約8%増の230億円だった。取引先と在庫情報を共有し、丸井の自社倉庫にない商品の品ぞろえを拡充。自社倉庫外の取扱商品数と取扱高が約1.5倍に増えた。

KDDIグループが運営するECモール「Wowma!」と協業を開始したことも取扱高を押し上げた。ファッションを扱う「Wowma! Brand Square」を2017年2月に開設。2018年3月期の取扱高は11億円だった。

「マルイウェブチャネル」を運営する丸井グループのEC取扱高推移

丸井グループのEC取扱高推移(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

EC事業を成長させる上での課題として、「物流・通販システム」「スマホUI」の2点を上げた。

取扱高の増加に伴い、物流センターのスペースや人員が逼迫していることから、センターの増床やロボット化で効率化を進める。

スマホの利用者が増える中、スマホサイトのユーザーインターフェースが最適化されておらず、コンバージョン率に課題があるという。

専門部署を2017年10月に設立し、外部の専門家とも連携しながらユーザーインターフェースやユーザーエクスペリエンスの改善に取り組んでいる。

丸井が「マルイウェブチャネル」を開設したのは2006年。店頭とECの在庫連携や、ECの店頭受取サービスなどオムニチャネルを進めている。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

楽天のフリマアプリ「ラクマ」、販売手数料を3.5%に改定

7 years 7ヶ月 ago

フリマアプリ「ラクマ」を運営する楽天子会社のFablicは6月4日の10時から、無料で展開していた販売手数料を改定し、商品価格の3.5%を手数料として徴収する。5月15日に「ラクマお知らせブログ」で公表した。

6月4日10時まで出品された商品を購入する場合、購入者側の支払い完了日が6月11日の10時までなら手数料は無料。10時以降に支払いが完了した場合は手数料3.5%を徴収する。

6月4日10時以降の出品商品の購入については、支払期間問わずに販売手数料3.5%を徴収する。

フリマアプリ「ラクマ」が販売手数料を3.5に改定

販売手数料の改定について(画像は編集部がブログからキャプチャ)

「ラクマ」では、利用者を増やし流通規模の拡大を優先するため、取引成立時に出品者から徴収する販売手数料を無料で展開してきた。一方、フリマアプリで先行する「メルカリ」は売買成立時に10%の手数料を徴収している。

親会社である楽天の2018年1~3月期連結業績(第1四半期)では、国内ECの営業利益のマイナス要因(前年同期比8.3%減)として、楽天ダイレクトなどの直販事業、CtoC事業の「ラクマ」で実施している手数料無料施策といった戦略投資をあげていた。

楽天は2016年にFablicを買収。楽天の旧「ラクマ」と、Fablicの「フリル」を2月26日に統合し、新サービス「ラクマ」としてフリマアプリの運営を一本化した。

楽天によると、CtoC事業の年間流通総額の規模は1400億円(2017年12月度の流通総額から参照)。今後もCtoC事業への戦略投資を続けていく。

なお、楽天は2018年7月1日付でFablicを吸収合併すると発表している。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

WPPマーティン・ソレルCEOの辞任 コングロマリット経営の成り立ちとこれから<後編>

7 years 7ヶ月 ago

■WPPやOmnicomの誕生と日本市場との意外な関係

 WPPやOmnicomは誕生当初に、日本の89年バブル景気が大きく寄与している背景がある。彼らの現在を支えているのは、実は日本の資産だったかもしれない。ソレル氏の辞任は、現在の景気の波を考えるための大きなキッカケを示唆している。

「広告会社のコングロマリット」が誕生は、WPP(1985年)とOmnicom(1986年)が登場したことが起点と考えられている。ソレル氏はWPPを1985年に買収し、「地味な」Below-the-lineの小ぶりの会社を2年間に英国で15社、北米で3社を買収した小さなスタートをしている。

 これに対してOmnicomはその翌年86年に巨大合併によって強烈な垂直立ち上がりを見せている。当時の「BBDO」、「DDB」、「Needham Harper」の巨大3社を合併させて登場したのだ。86年当時はWPPの知名度はまだ低く、コングロマリットの発端はOmnicomだったとする定義もある。

 Omnicomが巨大広告会社3社合併で誕生した86年のさらに翌年87年に、WPPがOmnicomと競うように「J. Walter Thompson(JWT)(JWT傘下の巨大PR会社の「Hill & Knowlton」等を含む)」を約680億円(5.66億ドル:87年レート120円換算)で買収している。事実上、世界中で今後起こることになる広告コングロマリット同士の競争は、ここから始まった。

 WPPのJWT買収の「資金繰り」は株式交換が半分と、残り半分の約300億円強は銀行からの借入金負債を導入した。WPP自体の当時の企業価値が約300億円(2.5億ドル)であったので、自分より大きい企業を買収したことで、WPPは自分の体と同じサイズの借入金負債を抱えた。こうした経緯で「WPP最初の負債過多の危機」が訪れる

■日本のバブルが救ったWPPやOmnicomのコングロマリット経営
 
ところがWPPはこの借金をなんなく返済して危機を脱出している。実はWPPが買収したJWTは1956年に日本進出をしていたのだが、JWTジャパンは、東京の国道1号線沿いの魚籃坂(ぎょらんざか)交差点付近に「自社ビル」を所有していた。WPPはJWT買収後このビルを、土地神話バブルの真っ只中において売却させたのである。およそ160億円(1億ドル:88年レート160円)で売却し、借り入れの半分を一気に返済した。
参考:Harvard Business Review,「WPP’s CEO on Turning a Portfolio of Companies Into a Growth Machine」



 これと同様に前出Omnicomの経営も日本のバブル期に縁がある。実はホールディングのOmnicomが生まれる前の84年に、当時の日本の旭通信社(現ADK)は広告会社単体のBBDOと「資本の持ち合い」提携を結んでいる。その後の86年にBBDO、DDB、Needhamの3社が結成してOmnicomを発生させたことにより、旭通信社は自動的に巨大広告会社コングロマリットのOmnicom社の株式を持つことになる。同様にこの年に旭通信社と株式を持ち合ったOmnicom側も、87年に「上場する前」の旭通信社の株式を獲得したこととなり、旭通信社の上場を経て持ち株の価値が大きく(数倍に)増えた後に、さらに89年バブルに向かう日本の旭通信社の株式を保持したということになる。参考までに電通の上場は87年の旭通信社(BBDO)上場から、さらに14年後の2001年だ。

 Omnicomは元々BBDOが保有していた旭通信社(現ADK)の未上場時代の株式を、旭通信社が上場後にバブルの真っ只中にサッサと売却を行って利益確定したのだ。金額に関するレファレンスは無いが、筆者の記憶では当時で数百億円単位の株式売却益になっているはずだ。

 旭通信社としては「株式持ち合いの資本提携」としてBBDOと約束したつもりが、ホールディングスのOmnicomに変身してからは、当時の約束よりもホールディングス会社の利益が優先されて持ち合いのはずの株を売られてしまった。当時の旭通信社の経営陣はこのOmnicomの「裏切り株売却」がきっかけとなり、次なるWPP側への「嫁入り準備」が進んだ。

参考:旭通信社創業者の故・稲垣氏への英字紙のインタビュー
https://www.campaignlive.co.uk/article/japans-advertising-giants-masao-inagaki/36591

 とはいえ旭通信社(ADK)側もその後、保有しているOmnicom株が上昇し続け、自社の経営難の度に少しずつ売却し、最終利益の黒字化の調整を図っていたのでお互い様な面がある。実はこの「株式貯金(OmnicomとWPPの株)」こそが、現在のADKが第三位のエージェンシーとしていまだ存続できている原資だった感がある。(上場廃止前のADKのバランスシートには、引き続きOmnicom株の売り残りが存在した)

■今後の広告・マーケティング企業によるコングロマリットのあり方
 上記の経緯紹介は極端な例ではない。これまでのコングロマリットがホールディング企業として成長をしたきっかけが、実は含み資産である「不動産」「株式」「景気」などを礎としてジャンプした経緯がある。

 実はこのような土台の軌跡はOgilvyにもY&RにもR/GAにもエージェンシーに共通した戦略として存在する。「右肩上がりのハード資産を担保として、ソフト部分を成長させる」手法である。紙芝居として魅惑する「夢やロマン」のソフトを、後ろで駄菓子や飴を売って儲ける「ハードが利益担保する」構造だ。

 今改めて考えてみれば、これらの経緯を経た「WPP」、「Omnicom」、「IPG」、「Publicis」、「電通Aegis」等の広告コングロマリットがホールディングス企業として、広告主企業(クライアント)に良きサービスの付加価値を提供しているコト(サービス)は何だろうか。この問いはグローバルホールディングスの領域に留まらない。日本ローカルで芽生えるマーケティング企業もホールディングス化させているし、ビデオ・コンテンツを作るプロダクション・ハウスに至るまでコングロ化させようとする企業体に、「コングロマリットで良いのか、その価値は」と、現在のWPPの行方とソレル氏の辞任を機に考えてみたい。

 このコングロマリットのモデルは広告・マーケティング業界だけに留まらない。元々はジャック・ウエルチ氏が率いたGeneral Electronic(GE)が、買収で成長を作り上げたモデルだ。そのGEがこの1年で株価は半減し、イメルトCEOが昨年末で辞任していることや、GEの解体が進み始めているのも報道の通りだ。(図3,4)










■コングロマリットとして所有よりもオーケストレーションのユニット

 ソレル氏の辞任によって、「エージェンシーを買収して束ねる」というホールディングスの価値に大きな疑問が「言いやすくなった」。体内に蓄えた「サイロ(各エージェンシー)」を横串にして機能させるというソレル氏の「ホリゾンタリティー」は美しいスローガンのようで、実は機能しないのではないか、という仮説だ。薄々疑問視していたこのスローガンに対し、「王様は裸だ」と言いやすくなったのだ。

 ネットを中心とした世界は状況を一気に反転させるため、自社所有よりも変化に対応できる「オーケストレーション」の繋がりと技法が向くと言われる。WPPにとっては所有してしまった「トラディショナル・エージェンシー」が実は大きな負債になっているのではないか、という見方が生まれて来た。現在のWPPは「ソレル・プレミアム」を手放したのではなく、実は「ソレル負債」を償却できたと言え、これを堂々と「王様は裸だった」と言えるリーダーがWPPに登場するかどうかに懸かっている。

■トラディショナル・エージェンシーが負債に、そしてGDPRも実は大きな影響が
 ソレル氏が辞任した1週間後に「トラディショナル・エージェンシー」のJWT(やOgilvy)が75年間守ってきたアカウントである自動車の「Ford」が、WPPに対してグローバル・クリエイティブのレビュー(再入札)を行うと発表した。グローバルで約4,400億円(40億ドル)、40カ国に及ぶ巨大であり、長い付き合いの「鉄板」クライアントだ。WPPはホリゾンタリティーを実証するチームをJWT、Ogilvy、Y&Rらの「トラディショナル」の精鋭を集め「Global Team Blue(GTB)」を編成し、Fordクライアントのオフィスはデトロイトだが、このユニットのオフィスは「目の前」に構えていた程である。ところが、ソレル氏辞任と同時に「待ってました」とばかりのレビューである。そして、今新たな報道が入って来た。昨年WPPにメディア・アカウントを集約したばかりのRevlonも、これを見直すという。

 さらに欧州が今月より発動させるGDPRの動向もコングロマリット経営には、大きな影響を及ぼす。GDPRの詳細はここでは割愛するが、個人IDを蓄積したマーケティングを「データ管理者」としてコングロマリットがクライアントのアカウント担当としてサービス提供する場合、例えばWPPの傘下のグループMが管理する「[m]ID(エム・ID)」を別会社のJWTがFORDのために活用する、という技は管理規約上、非常に難しい。

 サイロの寄せ集めの「ホリゾンタリティー」では個人IDに集積される「データ管理者」としては不十分で、「厳格なる管理者1社」の存在が必要になってくる。売却カンパニーの筆頭候補としてデータを扱うKantarがその標的になっているのは、偶然ではない。Kantarの抱えるデータは、コングロマリットの傘下に存在するより、独立サービスとして成長できる可能性が高いからだ。さらにWPPの暫定CO-COOとして傘下の「CRM企業(個人IDを扱う)のWunderman」のCEOであるMark Read氏が任命されたのも偶然ではない。個人データをどの会社に集約させるか(責任を持たせるか)は、コングロマリット経営の中で新たに発生する矛盾課題(横と連動するシナジーを産みにくい)が徐々に健在化してくる。

 このFordやRevlonのレビュー結果やこの傾向は、おそらく将棋倒しで発生する事項であり、コングロマリットの行き先を占うことになるので要観察としておこう。さらに配慮しておきたいのは、広告やマーケティングは「トレンド」に左右される事だ。一番大きな「トレンド」と言えば「景気」であり、このコラムで今後の経済的な動向がマーケティング業界に及ぼす影響は大きい背景にも気づいてもらえただろう。興味深い時代の区切りが到来した。




ベム

WPPマーティン・ソレルCEOの辞任 コングロマリット経営の成り立ちとこれから<後編>

7 years 7ヶ月 ago

■WPPやOmnicomの誕生と日本市場との意外な関係

 WPPやOmnicomは誕生当初に、日本の89年バブル景気が大きく寄与している背景がある。彼らの現在を支えているのは、実は日本の資産だったかもしれない。ソレル氏の辞任は、現在の景気の波を考えるための大きなキッカケを示唆している。

「広告会社のコングロマリット」が誕生は、WPP(1985年)とOmnicom(1986年)が登場したことが起点と考えられている。ソレル氏はWPPを1985年に買収し、「地味な」Below-the-lineの小ぶりの会社を2年間に英国で15社、北米で3社を買収した小さなスタートをしている。

 これに対してOmnicomはその翌年86年に巨大合併によって強烈な垂直立ち上がりを見せている。当時の「BBDO」、「DDB」、「Needham Harper」の巨大3社を合併させて登場したのだ。86年当時はWPPの知名度はまだ低く、コングロマリットの発端はOmnicomだったとする定義もある。

 Omnicomが巨大広告会社3社合併で誕生した86年のさらに翌年87年に、WPPがOmnicomと競うように「J. Walter Thompson(JWT)(JWT傘下の巨大PR会社の「Hill & Knowlton」等を含む)」を約680億円(5.66億ドル:87年レート120円換算)で買収している。事実上、世界中で今後起こることになる広告コングロマリット同士の競争は、ここから始まった。

 WPPのJWT買収の「資金繰り」は株式交換が半分と、残り半分の約300億円強は銀行からの借入金負債を導入した。WPP自体の当時の企業価値が約300億円(2.5億ドル)であったので、自分より大きい企業を買収したことで、WPPは自分の体と同じサイズの借入金負債を抱えた。こうした経緯で「WPP最初の負債過多の危機」が訪れる

■日本のバブルが救ったWPPやOmnicomのコングロマリット経営
 
ところがWPPはこの借金をなんなく返済して危機を脱出している。実はWPPが買収したJWTは1956年に日本進出をしていたのだが、JWTジャパンは、東京の国道1号線沿いの魚籃坂(ぎょらんざか)交差点付近に「自社ビル」を所有していた。WPPはJWT買収後このビルを、土地神話バブルの真っ只中において売却させたのである。およそ160億円(1億ドル:88年レート160円)で売却し、借り入れの半分を一気に返済した。
参考:Harvard Business Review,「WPP’s CEO on Turning a Portfolio of Companies Into a Growth Machine」

 これと同様に前出Omnicomの経営も日本のバブル期に縁がある。実はホールディングのOmnicomが生まれる前の84年に、当時の日本の旭通信社(現ADK)は広告会社単体のBBDOと「資本の持ち合い」提携を結んでいる。その後の86年にBBDO、DDB、Needhamの3社が結成してOmnicomを発生させたことにより、旭通信社は自動的に巨大広告会社コングロマリットのOmnicom社の株式を持つことになる。同様にこの年に旭通信社と株式を持ち合ったOmnicom側も、87年に「上場する前」の旭通信社の株式を獲得したこととなり、旭通信社の上場を経て持ち株の価値が大きく(数倍に)増えた後に、さらに89年バブルに向かう日本の旭通信社の株式を保持したということになる。参考までに電通の上場は87年の旭通信社(BBDO)上場から、さらに14年後の2001年だ。

 Omnicomは元々BBDOが保有していた旭通信社(現ADK)の未上場時代の株式を、旭通信社が上場後にバブルの真っ只中にサッサと売却を行って利益確定したのだ。金額に関するレファレンスは無いが、筆者の記憶では当時で数百億円単位の株式売却益になっているはずだ。

 旭通信社としては「株式持ち合いの資本提携」としてBBDOと約束したつもりが、ホールディングスのOmnicomに変身してからは、当時の約束よりもホールディングス会社の利益が優先されて持ち合いのはずの株を売られてしまった。当時の旭通信社の経営陣はこのOmnicomの「裏切り株売却」がきっかけとなり、次なるWPP側への「嫁入り準備」が進んだ。

参考:旭通信社創業者の故・稲垣氏への英字紙のインタビュー
https://www.campaignlive.co.uk/article/japans-advertising-giants-masao-inagaki/36591

 とはいえ旭通信社(ADK)側もその後、保有しているOmnicom株が上昇し続け、自社の経営難の度に少しずつ売却し、最終利益の黒字化の調整を図っていたのでお互い様な面がある。実はこの「株式貯金(OmnicomとWPPの株)」こそが、現在のADKが第三位のエージェンシーとしていまだ存続できている原資だった感がある。(上場廃止前のADKのバランスシートには、引き続きOmnicom株の売り残りが存在した)

■今後の広告・マーケティング企業によるコングロマリットのあり方
 上記の経緯紹介は極端な例ではない。これまでのコングロマリットがホールディング企業として成長をしたきっかけが、実は含み資産である「不動産」「株式」「景気」などを礎としてジャンプした経緯がある。

 実はこのような土台の軌跡はOgilvyにもY&RにもR/GAにもエージェンシーに共通した戦略として存在する。「右肩上がりのハード資産を担保として、ソフト部分を成長させる」手法である。紙芝居として魅惑する「夢やロマン」のソフトを、後ろで駄菓子や飴を売って儲ける「ハードが利益担保する」構造だ。

 今改めて考えてみれば、これらの経緯を経た「WPP」、「Omnicom」、「IPG」、「Publicis」、「電通Aegis」等の広告コングロマリットがホールディングス企業として、広告主企業(クライアント)に良きサービスの付加価値を提供しているコト(サービス)は何だろうか。この問いはグローバルホールディングスの領域に留まらない。日本ローカルで芽生えるマーケティング企業もホールディングス化させているし、ビデオ・コンテンツを作るプロダクション・ハウスに至るまでコングロ化させようとする企業体に、「コングロマリットで良いのか、その価値は」と、現在のWPPの行方とソレル氏の辞任を機に考えてみたい。

 このコングロマリットのモデルは広告・マーケティング業界だけに留まらない。元々はジャック・ウエルチ氏が率いたGeneral Electronic(GE)が、買収で成長を作り上げたモデルだ。そのGEがこの1年で株価は半減し、イメルトCEOが昨年末で辞任していることや、GEの解体が進み始めているのも報道の通りだ。(図3,4)

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■コングロマリットとして所有よりもオーケストレーションのユニット

 ソレル氏の辞任によって、「エージェンシーを買収して束ねる」というホールディングスの価値に大きな疑問が「言いやすくなった」。体内に蓄えた「サイロ(各エージェンシー)」を横串にして機能させるというソレル氏の「ホリゾンタリティー」は美しいスローガンのようで、実は機能しないのではないか、という仮説だ。薄々疑問視していたこのスローガンに対し、「王様は裸だ」と言いやすくなったのだ。

 ネットを中心とした世界は状況を一気に反転させるため、自社所有よりも変化に対応できる「オーケストレーション」の繋がりと技法が向くと言われる。WPPにとっては所有してしまった「トラディショナル・エージェンシー」が実は大きな負債になっているのではないか、という見方が生まれて来た。現在のWPPは「ソレル・プレミアム」を手放したのではなく、実は「ソレル負債」を償却できたと言え、これを堂々と「王様は裸だった」と言えるリーダーがWPPに登場するかどうかに懸かっている。

■トラディショナル・エージェンシーが負債に、そしてGDPRも実は大きな影響が
 ソレル氏が辞任した1週間後に「トラディショナル・エージェンシー」のJWT(やOgilvy)が75年間守ってきたアカウントである自動車の「Ford」が、WPPに対してグローバル・クリエイティブのレビュー(再入札)を行うと発表した。グローバルで約4,400億円(40億ドル)、40カ国に及ぶ巨大であり、長い付き合いの「鉄板」クライアントだ。WPPはホリゾンタリティーを実証するチームをJWT、Ogilvy、Y&Rらの「トラディショナル」の精鋭を集め「Global Team Blue(GTB)」を編成し、Fordクライアントのオフィスはデトロイトだが、このユニットのオフィスは「目の前」に構えていた程である。ところが、ソレル氏辞任と同時に「待ってました」とばかりのレビューである。そして、今新たな報道が入って来た。昨年WPPにメディア・アカウントを集約したばかりのRevlonも、これを見直すという。

 さらに欧州が今月より発動させるGDPRの動向もコングロマリット経営には、大きな影響を及ぼす。GDPRの詳細はここでは割愛するが、個人IDを蓄積したマーケティングを「データ管理者」としてコングロマリットがクライアントのアカウント担当としてサービス提供する場合、例えばWPPの傘下のグループMが管理する「[m]ID(エム・ID)」を別会社のJWTがFORDのために活用する、という技は管理規約上、非常に難しい。

 サイロの寄せ集めの「ホリゾンタリティー」では個人IDに集積される「データ管理者」としては不十分で、「厳格なる管理者1社」の存在が必要になってくる。売却カンパニーの筆頭候補としてデータを扱うKantarがその標的になっているのは、偶然ではない。Kantarの抱えるデータは、コングロマリットの傘下に存在するより、独立サービスとして成長できる可能性が高いからだ。さらにWPPの暫定CO-COOとして傘下の「CRM企業(個人IDを扱う)のWunderman」のCEOであるMark Read氏が任命されたのも偶然ではない。個人データをどの会社に集約させるか(責任を持たせるか)は、コングロマリット経営の中で新たに発生する矛盾課題(横と連動するシナジーを産みにくい)が徐々に健在化してくる。

 このFordやRevlonのレビュー結果やこの傾向は、おそらく将棋倒しで発生する事項であり、コングロマリットの行き先を占うことになるので要観察としておこう。さらに配慮しておきたいのは、広告やマーケティングは「トレンド」に左右される事だ。一番大きな「トレンド」と言えば「景気」であり、このコラムで今後の経済的な動向がマーケティング業界に及ぼす影響は大きい背景にも気づいてもらえただろう。興味深い時代の区切りが到来した。


セブン&アイが全国展開を決めたコンビニ商品のECサービス「ネットコンビニ」とは

7 years 7ヶ月 ago

セブン-イレブン・ジャパンは、コンビニで扱う商品をネット上で販売するECサービス「ネットコンビニ」を全国に拡大する。

現在、北海道内の25店舗で展開しているが、2019年8月までに道内約1000店舗に拡大。2019年9月以降、全国約2万店舗で順次サービスを開始する。

セブン-イレブン・ジャパンが手がける、コンビニで扱う商品をネット上で販売するECサービス「ネットコンビニ」

「ネットコンビニ」の仕組み(画像は編集部がIR資料からキャプチャ)

「ネットコンビニ」は2017年10月に北海道札幌市内などの15店舗でスタートした。タバコやホットスナック(揚げ物惣菜など)を除き、セブンイレブンの商品約2800品目を宅配している。

顧客はスマホで注文すると、最短2時間で商品が届く。受付時間は午前7時から午後5時。注文最低金額は1000円で送料は216円。購入金額3000円以上で送料無料(セブン-イレブン・ジャパンが送料を負担)になる。

配送を担っているのは、セイノーホールディングスの100%子会社「ジーニー」。受注情報をもとに店舗で商品をピックアップし、顧客に届ける。

ジーニーはセブン&アイ専用の配送会社で、配送スタッフはセブンイレブンの制服を着用している。

「ネットコンビニ」の当初のターゲット層は、冬場に積雪で外出しにくい高齢者など、いわゆる買い物難民を想定していた。実証実験の結果、全国でニーズが見込めることから対象店舗の拡大を決めた。

「ネットコンビニ」は対象エリア外からのアクセスが多かったという(画像は編集部がIR資料からキャプチャ)

「ネットコンビニ」は、セブン&アイグループが手がけているネットスーパー事業や食品宅配「セブンミール」とは別事業として展開する。

セブン&アイはデジタル戦略を強化

セブン&アイ・ホールディングスはデジタル戦略を強化している。2018年3月1日付で、オムニチャネル管理部の名称を「デジタル戦略部」に変更。デジタル戦略部などを統括するデジタル推進本部を新たに設置し、本部長に後藤克弘副社長が就任した。

組織変更の目的としてデジタル戦略推進体制の強化をあげた。ITを活用して顧客1人ひとりの情報を生かし、よりニーズに合致した商品開発やCRM戦略を推進するとしている。

セブン&アイは2016年10月、それまでのオムニチャネル戦略の見直しを行った。「顧客ごとにグループ各社の利用状況をつなげ、全チャネルを通じてサービスの質を追求すること」を目標に掲げ、グループの顧客戦略をオムニチャネル戦略として再定義した。

国内のグループ店舗に来店する1日あたり2200万人(当時)に上る顧客のCRMを生かした販促、きめ細やかなパーソナル販売を強化するとしている。

セブン&アイホールディングスがめざすCRMの形

セブン&アイがめざすオムニチャネル(画像は編集部がIR資料からキャプチャ)

2017年には、CRM機能やマーケティングオートメーション機能などを備えたクラウド型ビジネスアプリケーション「Salesforce Service Cloud」を採用。グループ全体で顧客情報を一元管理し、リアル店舗とECの垣根を超えて顧客1人ひとりに最適化したサービスの提供をめざしている。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

ZOZOスーツだけじゃない! ZOZOTOWNが起こす3つの革命と3つの試みとは?【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

7 years 7ヶ月 ago

ZOZOスーツが話題になっているZOZOTOWNですが、売上も順調に伸びていて、3年後には商品取扱高7000億円が目標だそうです。3つの革命のうち「服の作り方革命」は今までになかったものだけに、今後の動きに注目です。

ZOZOTOWNが止まらない。3年後の目標は商品取扱高7000億円

「ZOZOTOWN」での広告事業スタートなど、スタートトゥデイの中期経営計画まとめ | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5390

スタートトゥデイの中期経営計画 3つの革命と、3つの試み
スタートトゥデイが掲げる「3つの革命と、3つの試み」(画像は中期経営計画の発表資料から編集部がキャプチャ)

服の選び方革命

試着や服選びを行わなくても、自分に合った服を買えるようにする。具体的な施策として、人力のコーディネートと人工知能を組み合わせて服を提案する定期販売サービス「おまかせ定期便」を2018年2月に開始。また、ZOZOSUITで計測したサイズデータを活用し、体のサイズで商品を検索する「自分サイズ検索」を強化していく。

3つの革命は「服の買い方革命」「服の選び方革命」「服の作り方革命」となっています。買い方と選び方は今までもアパレル業界では工夫されていた分ですが、作り方はあまりなかったですよね。これが浸透してくると他のアパレル業界にとっては脅威でしかないです。

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    https://netshop.impress.co.jp/node/5400

本業を活かすために、ずらした部分でもマネタイズ

『えんとつ町のプペル』はなぜ売れたのか? キングコング西野亮廣が語る“お金”と“広告” | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5381

まとめると、

  • 作品の評価は高いのに10万部に届かなかったことから、「モノを作って売る」ことをデザインしようと2つのことを考えた
  • 1つ目は絵本の原画を無料で貸し出し、全国で原画展を開いてもらい、会場の出口で絵本を売ること
  • 2つ目はクラウドファンディングで作り手を増やし、その人たちが「自分が作った(支援した)作品だ」と宣伝してくれるようにしたこと

仕事は“差”によって生まれる。差を作るには圧倒的な天才になればいいが、他人と同じ環境にいては、天才にはなりにくい。たとえば、ケーキを売って、その売り上げで翌日の商品を作り、利益で新作を出すことはみんながやっている。多少の差はあっても、本業でマネタイズしている限り、極端にとがることはできない。

─キングコング 西野亮廣氏

記事中では「本業からマネタイズの軸をずらすことが、結果として本業をより鋭くさせる」とも書かれています。自分が得意な分野で個性を出すという方法が一般的ですが、本業と近そうなところでも稼いでいけると、相乗効果で全体的に収益が上がるということですね。

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喜んでくれる人のために頑張るのもあり

事業継承、スーパーからの撤退、三代目が直営店舗とネットショップに振り切った理由とは?|大分県で糖質制限用食肉のネットショップを営む山崎昌彦さん | marketeer
https://marketeer.jp/yamazaki/

まとめると、

  • 楽天出店時は売上はあったが利益がなかった。自社サイトを開店したが、楽天のお客さんは付いて来てくれなかった
  • ある日、検索語句に「糖質制限食」という言葉が増えだして、肉が売れていくようになった
  • 妥協しないといけない部分が出てくるので、店舗数や規模を拡大は目指さず、糖質制限者向けの商品を開発していく

商材が生モノなので大変ですけど、自分がやりたいと思ったことやっていきたい。売上をあげるにはいくらでも方法があるけど、今の選択肢の中ではそれって楽しくないなあと。牧草牛でマーケット支配できるだなんて思ってない。でも一部の糖質制限している人が喜んでくれるなら、それで今は良いです。

─九州肉屋.jp 山崎昌彦氏

規模を拡大していくと、妥協しないといけない部分が出てくるというのは納得です。ZOZOTOWNのように、拡大が目的なら妥協するんでしょうが、そこじゃない部分に興味があるのであれば、自分の道を進むということですね。自社が目指すのはどこなのか?は見失わないようにしたいです。

EC全般

売上20倍を実現したメルマガ事例!? 「セグメント」と「A/Bテスト」がCVアップに欠かせない理由 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5340

A/Bテストだけでなく、常に改善し続けることで売上になるということです。

「EC・通販事業はリピートビジネスである」 収益構造を理解するための3つの効率とは? | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/5645

リピートしない通販はつらすぎるので上の記事と合わせてお読みください。

Original Stitch、全身写真を撮るだけの高精度身体採寸アプリ「Bodygram」を発表 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/5670

ZOZOスーツの独壇場かと思いきや、こういったサービスも出てきて便利な世の中になりそうです。

セブン、「ネットコンビニ」拡大に向けた難題 | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/220299

コンビニまで遠い場合や天気が悪いときには使ってみたくなりそうですが、果たしてうまくいくのでしょうか。

Google I/O 2018基調講演まとめ AIのある快適な暮らし | ITmedia
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1805/09/news053.html

楽天市場が「Googleアシスタント」に対応、音声で商品検索も | 通販通信
https://www.tsuhannews.jp/51687

こちらは2つあわせて。指名で買うものは自動的に音声だけで簡単に買えるようになりそうですね。

URLから決済できるペイパルの新サービス「PayPal.me」、中小企業などに向け提供 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5391

「初期費用・月額手数料・新規登録は無料」。ちょっとしたキャンペーンなどに向いているかも。

今週の名言

ユニークなことをするには、つまり成功を重ねないといけない。

第3部「大事なのは継続するコミュニケーション」 ダイキン工業 広告宣伝グループ長 片山義丈氏 | BACKYARD
https://backyard.imjp.co.jp/articles/imjlip_03

斬新なアイデアもそれまでの積み重ねがあるから、会社に認めてもらえる。小さなことからコツコツと。

森野 誠之

運営堂

運営堂代表。Web制作の営業など数社を経て2006年に独立後、名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。現在はGoogleアナリティクスなどのアクセス解析を活用したサイト・広告改善支援を中心にWeb制作会社と提携し、分析から制作まで一貫してのサービスも開始。豊富な社会・業務経験と、独立系コンサルタントのポジションを活かしてWeb制作や広告にこだわらず、柔軟で客観的な改善提案を行っている。理系思考&辛口の姿勢とは裏腹に皿洗いを趣味にする二児のパパ。

森野 誠之

Google、長くしたスニペットを再び短く。meta descriptionタグは設定すべきか?

7 years 7ヶ月 ago

検索結果に表示されるスニペットの文字数を Google は昨年12月に倍の長さに拡張した。ところが、以前とほぼ変わらない長さに戻した。スニペットに使われることがある meta description タグは設定すべきなのだろうか?

投稿 Google、長くしたスニペットを再び短く。meta descriptionタグは設定すべきか?海外SEO情報ブログ に最初に表示されました。

Kenichi Suzuki

ARで化粧品の使用イメージを購入前に確認! 化粧品ECの課題を解決する「AR Styling Station」とは | 中国ECのテクノロジー・ウォッチ from JD.com(京東商城)

7 years 7ヶ月 ago

中国EC大手のJD.comは、消費者がネットで化粧品を購入するときに、AR(拡張現実)を使って商品をユーザー自身の顔で試すことができるメイクアップ機能の提供を開始しました。消費者は、マットタイプやパールタイプなど仕上がりの異なる口紅を自分の顔で試すなどして、商品の使用イメージを購入前に確認することができます。

JDは従来のARメイクアップ・プラットフォームをリニューアルし、「AR Styling Station(ARスタイリング・ステーション)」として新機能を追加し、JDが毎年北京で開催している「バタフライ・フェスティバル」で発表しました。

「バタフライ・フェスティバル」は大手化粧品ブランドやファッションブランドが最新商品やトレンドを紹介する場。式典にはロレアルやSK-II(エスケーツー)、メイベリン、Olay(オレイ)といった海外ブランド、国内のセレブリティらが集まることでも注目を集めています。

ARスタイリング・ステーションのデモ動画。スマホを通じて商品の試用イメージを確認できる。

「スタイリング・ステーション」は、中国で2億6,600万人が使うJDのスマホアプリから利用できます。消費者は、口紅やチーク、カラーコンタクト、アイブロウペンシルなどの商品をバーチャルに試すことが可能です。

メイクアップ製品のネットショッピングは、商品の写真だけで購入を決めなければならず、実際に試して自分に似合うかどうか確認できないことが課題となっていました。

JDのARサービスはこうした悩みを解消するだけでなく、商品を試した顔写真をSNS上で友だちとシェアできる機能があります。この機能を活用することで、化粧品ブランドは自社ECサイトへの流入を促し、コンバージョン率をアップできるメリットがあるのです。

JDは、デジタル時代の消費者に向けて新しくパーソナライズされたショッピング機能の開発を進めており、ARを活用した「スタイリング・ステーション」もその1つ。メイクアップ業界の専門家の協力のもと開発したこの機能は、ネットショッピングの利便性と、化粧品のお試しという実体験を同時に叶えることができるのです。

JDで日用消費財部門の代表を務めるCarol Fung氏は次のように説明しています。

消費者は、AR・VR(バーチャルリアリティー)技術によって、クリックひとつで気に入った商品が玄関先に届く便利さと、実店舗でしか得られないインタラクティブな体験とを両方手にすることができます。私たちは化粧品購入者の増加とともに、パートナーブランドと協力して、最新の技術で消費者のショッピング体験をさらにインタラクティブかつパーソナライズされたものへと進化させていきます。

中国の化粧品市場は、数年前に日本を抜き、今では米国に次いで世界2位です。米シンクタンクのL2によれば、2020年までに中国市場は世界1位になると見られており、生活レベルの向上とともに、中高級化粧品への人気は高まっています。

中国では過去2年で海外ブランド化粧品の購入者が増えており、特に若い世代が高級品を求める傾向にあります。2017年の高級化粧品の新規購入者数の平均は、1年前と比較して10倍以上に伸びています。

JDは急成長する海外高級化粧品のネット通販市場を獲得するため、2017年にSK-II、ロレアル、クラランス、Aveeno(アビーノ)、Avene(アベンヌ)、Marionnaud(マリオノー)、The History of Whoo(ドフー)など海外有名ブランドのネット販売を開始しました。スキンケアブランドで最も人気なのがロレアルなどフランスブランドで、SK-IIといった日本ブランドの売り上げも大きな伸びを見せています。

JDは2018年、中国消費者向けに200以上の高級化粧品ブランドの取り扱いを始める予定で、ビオテルム、ヘレナ・ルビンスタイン、Philosophy(フィロソフィー)、ジュリークなどのブランドはすでに販売を開始しています。

JD.com(京東商城)

JD.com(京東商城)

JD.com(京東商城)は、中国EC市場の直販ビジネスでは1位、流通額で2位。ECをスタートしたのは2004年で、わずか12年で年間流通額は15兆円以上、過去12年間の平均成長率は152%という驚異のスピードで成長している。

JD.com(京東商城)

メルカリの流通総額は2480億円(17/6)、今期は「ZOZO」超え3000億円突破の見込み

7 years 7ヶ月 ago

メルカリが公開した有価証券報告書によると、フリマアプリ「メルカリ」を中心とした2017年6月期の流通総額は前期比74.6%増の2480億円だった。

流通総額は取引高の合計で、「メルカリ」「メルカリ カウル」「メルカリ メゾンズ」などを経由した取引高。米国の取扱高も含んでいる。

メルカリの流通総額の推移

流通総額の推移(単位は十億円、画像は編集部が有価証券報告書からキャプチャ)

「メルカリ」は2013年にサービスをスタート。

  • 2015年6月期 → 630億
  • 2016年6月期 → 1420億円
  • 2017年6月期 → 2480億円

と、すさまじい勢いで流通総額を拡大。今期の流通総額は2017年7月~2018年3月期(第3四半期累計)で2660億円と、2017年6月期の実績を突破。3000億円超えは確実と見られる。

なお、「ZOZOTOWN」などのスタートトゥデイの2018年3月期流通総額(商品取扱高)は、前期比27.6%増の2705億4300万円。BtoC、CtoCの違いはあるものの、「メルカリ」はアパレルを中心としたプラットフォームとして、「ZOZO」の流通総額を超える見通し。

「メルカリ」の2018年3月末時点における累計ダウンロード数は、日本が7100万ダウンロード、米国が3700万ダウンロード。

MAU(月間マンスリーアクティブユーザー)は2018年3月末時点で1030万人ユーザー。

2018年1月~2018年3月期(第3四半期)のメルカリ日本事業で、ジャンル別の流通総額の割合は1位がレディースで26.2%。2位がエンタメで18.0%。メンズが16.9%。家電・スマホ・カメラは7.8%、コスメ・美容が7.1%と続く。

「メルカリ」の取扱ジャンル別の流通総額の割合

取扱ジャンル別の流通総額の割合(画像は編集部が有価証券報告書からキャプチャ)

2017年6月期の売上高は220億7100万円(前期比80.1%増)、営業損失は27億7500万円(前期は4200万円の営業損失)、経常損失は27億7900万円(同9700万円の経常損失)、純損失が42億700万円(同3億4800万円の純損失)。

3月末時点の同社の従業員数は652人で、平均年齢は30.3歳。平均勤続年数は1.3年で、平均年間給与は501万円(基準外賃金含む)。

メルカリは5月14日、東京証券取引所から上場承認を受けたと発表。6月19日に東証マザーズに株式を上場する。

2017年のフリマアプリ市場は4835億円

経済産業省が2018年4月にまとめた「電子商取引に関する市場調査」によると、フリマアプリの2017年における推定市場規模は前年比58.4%増の4835億円。CtoCアプリが本格的に利用され始めた2012年から5年で、市場規模は5000億円近くまで拡大した。

経済産業省が2018年4月にまとめた「電子商取引に関する市場調査」のフリマアプリの2017年における推定市場規模

フリマアプリの推定市場規模(単位:億円)

楽天が2017年12月期決算で公表した実績値では、CtoC事業の年間流通総額の規模は約1400億円(2017年12月度の流通総額から参照)という。

GMOペパボが運営するハンドメードマーケットアプリ「minne」の2017年の年間流通額は約102億だった。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

ロックオンが「Amazon Payプラグイン」の配信を「EC-CUBEオーナーズストア」で開始

7 years 7ヶ月 ago

ロックオンは5月10日、EC-CUBE公式の追加機能配信サイト「EC-CUBEオーナーズストア」で、「Amazon Payプラグイン」の配信を始めた。

「Amazon Pay」は、Amazon以外のECサイトで、「Amazon.co.jp」のアカウントでログインし、支払いができるオンライン決済サービス。

プラグインの特徴は、EC-CUBEの管理画面上で「Amazon Pay」の決済金額の修正やキャンセルが行える点という。これまでの運用業務を変更せずに、導入できるとしている。

「Amazon Payプラグイン」は、Amazon Payグローバルパートナープログラムの「プレミアパートナー」であるアイピーロジックが制作・運営をサポートしている。そのため、利用には別途契約が必要となる。

「EC-CUBEオーナーズストア」での配信画面(画像は編集部がキャプチャ)

「Amazon Pay」は2015年のサービス開始から約3年で、利用ECサイト数は数千社に達したという。ASPカート「侍カート」(開発・提供はFID)が「Amazon Pay」を標準実装するなど、「Amazon Pay」の導入拡大に向けて新たな動きが始まっている。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

「SHOPLIST」は規模拡大を優先――「売上最大化に投資し利益は出しません」と宣言

7 years 7ヶ月 ago

ファッション通販サイト「SHOPLIST」を運営するクルーズは、ECやオンライントラベルなどクループの流通額が1000億円を超えるまで、単年度の利益の全額を投資に回す計画を発表した。

事業規模を拡大することが長期的な利益の最大化につながると判断。短期的な利益の確保よりも市場シェア拡大を優先する。現在の売上高が約210億円の「SHOPLIST」は、年率30%以上の成長をめざす。

クルーズは、ECやオンライントラベルなどクループの流通額が1000億円を超えるまで、単年度の利益の全額を投資に回す計画を発表

クルーズは規模拡大を優先する(画像はIR資料を編集部がキャプチャ)

米Amazonが短期的な利益確保よりも成長への投資を優先していることを引き合いに出し、「SHOPLIST」の市場シェア拡大を優先することがクルーズの最終的な利益率向上につながると指摘。利益の全額を投資する理由について、IR資料で次のように説明している。

10億を1年で使っても2億ずつ5年かけて使っても使う金額は同じです。同じ金額を投資するなら我々はスピードを優先し、今後は全ての利益を売上拡大に投資します。

ゲーム事業売却で2018年3月期は減収減益

クルーズの2018年3月期における連結売上高は、前期比10.6%減の254億8600万円だった。営業利益は同65.5%減の7億2500万円、経常利益は同66.9%減の7億200万円、当期純利益は同96.7%減の1億500万円。

ゲーム事業の大半を売却したことなどが影響し、売上高と利益が減少した。2019年3月期からEC事業の強化と、ECに次ぐ第二・第三の柱の創出に取り組んでいる。

「SHOPLIST事業」の2018年3月期における売上高は、前期比12.6%増の214億5500万円だった。

「SHOPLIST」の売上推移

「SHOPLIST」の売上推移(画像はIR資料を編集部がキャプチャ)

中期事業方針として、「SHOPLIST」の年間ユニーク購入者数500万人、1人あたりの年間購入金額2万円をめざす。

年間ユニーク購入者数は2018年3月期の第4四半期時点で約160万人。計画を500万人に設定した根拠として、日本国内の16~45歳の総人口約4600万人のうち、11%にあたる500万人は達成可能と判断したと説明している。

「SHOPLIST」のクルーズが掲げる年間ユニーク購入者数の推移と今後の計画

「SHOPLIST」の年間ユニーク購入者数(画像はIR資料を編集部がキャプチャ)

年間購入金額の計画は、「SHOPLIST」における1回あたりの平均購入金額が約5000円であることから、顧客が春夏秋冬の季節ごとに年4回買い物することで達成できるとしている。

年間ユニーク購入者数と年間購入単価を目標に設定した理由として、リピート率を先に改善することで新規ユーザーの定着率が上がり、効率的に売り上げを伸ばせることをあげている。

「SHOPLIST」のクルーズが掲げる年間ユニーク購入購入金額の推移と今後の計画

「SHOPLIST」の年間購入金額(画像はIR資料を編集部がキャプチャ)

中期事業方針を達成するため、2019年3月期は配送日数の短縮や、キャンセル・返品に関する問い合わせ件数の削減に取り組む。

「SHOPLIST事業」の売上高は4年で2倍以上に拡大した。四半期ごとの売上高は約40億~62億円で推移しており、2018年3月期はすべての四半期で前年同期を上回った。

通期のプロモーション費用の売上対比は16.1%。第4四半期にプロモーション費用が増えた影響で、理想値(設定時点での理想の値)を2.6ポイント上回った。リピート率改善の兆しが見えたことから、プロモーション費用の増額に踏み切ったとしている。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

[CtoC-EC市場2017まとめ]フリマアプリは4835億円、オークション全体は1.1兆円

7 years 7ヶ月 ago

個人間のEC(CtoC-EC)市場が拡大している。

経済産業省が2018年4月にまとめた「電子商取引に関する市場調査」によると、フリマアプリの2017年における推定市場規模は前年比58.4%増の4835億円。CtoCアプリが本格的に利用され始めた2012年から5年で、市場規模は5000億円近くまで拡大した。

経済産業省が2018年4月にまとめた「電子商取引に関する市場調査」のフリマアプリの2017年における推定市場規模

フリマアプリの推定市場規模(単位:億円) 

ネットオークションのBtoC-ECの市場規模は同3.2%増の3569億円。事業者による販売(BtoB)も含めたネットオークション市場全体は、同3.2%増の1兆1200億円となっている。

事業者による販売(BtoB)も含めたネットオークション市場全体は、前年比3.2%増の1兆1200億円

ネットオークションの推定市場規模(単位:億円)

経産省はネットショップ(BtoC-EC)によるリユース品販売額を約2600億円と推計。店舗にけるリユース品の販売額は約1兆円、自動車・バイク・原付バイクのリユース市場は約2兆円と試算した。

過去1年間で不要となった製品の推定価値は、自動車・バイク・原付バイクを除いて推定7兆6254億円に達していることから、モノの有効活用の意識が一層高まればリユース市場も拡大すると予想している。

リユース市場の全体像

リユース市場の全体像

各社のCtoCアプリの市場規模は?

CtoCアプリ大手の流通額は拡大を続けている。楽天が2017年12月期決算で公表した実績値では、CtoC事業の年間流通総額の規模は約1400億円(2017年12月度の流通総額から参照)という。

メルカリはCtoCアプリ「メルカリ」の月間流通額を100億円以上としている。

GMOペパボが運営するハンドメードマーケットアプリ「minne」の2017年の年間流通額は約102億だった。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

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