タグ管理の伝道師が語る「コンバージョン数を減らさずに獲得効率を上げる“トータルCPA”」のバランス
単に安いだけのユーザーを集めるよりも、
高くても質の良いユーザーを集めるほうが、
ビジネスゴールに近づくこともある。リターゲティングでセグメント化し過ぎると、
CPAは1/100に改善しても、
コンバージョン数が1/10に減ってしまうこともある。重要なのは“トータルCPA”の視点から
コストとコンバージョンのバランスを見極めること。
こう語るのは、タグ管理ツールを活用したマーケティング施策をGMO NIKKO株式会社で担当する小林圭介氏だ。
ページ内での行動によってユーザーをセグメント化し、リターゲティングにつなげる。定石ともいえるこの施策にYahoo!タグマネージャーを使っているのだが、そこにはある悩みがある。
効率化を求め過ぎるとコンバージョン数が減るということだ。
その解決方法としてGMO NIKKOが提案するのが「トータルCPAの視点から施策全体のコストと成果を考える」ということ。GMO NIKKOによる広告最適化の取り組みと、Yahoo!タグマネージャーの活用方法について小林氏に伺った。
タグ管理のメリットとYahoo!タグマネージャーの活用を啓蒙
インフラからメディア、EC、金融まで、インターネットビジネスに幅広く取り組むGMOグループ。その一員であるGMO NIKKOは、リスティング広告やアドネットワークなどの運用型広告を中心に広告代理業務を展開している。
親会社にあたるGMOアドパートナーズ株式会社が、メディアレップとして他の代理店を支援する立場であるのに対し、GMO NIKKOは広告主と直接かかわりながら、運用代行やマーケティングコンサルティングを行っている。
そんな同社が、この1年で積極的に取り組んできたのが、タグ管理によるメリットの訴求とYahoo!タグマネージャーの活用促進だ。その中心的存在が小林氏で、Yahoo!タグマネージャーの販売に貢献した代理店担当者としてYahoo! JAPANのMVP賞を受賞するなど、タグ管理の伝道師といえる実績を持つ。
「弊社の得意とする分野は、リスティング広告、アドネットワーク、DSP(デマンドサイドプラットフォーム)などの運用型広告ですが、最近はランディングページ制作やマネタイズなどの案件も増えています。社内にクリエイティブ部門があるので、そういった案件もカバーできるところが強みです。
タグ管理には以前から注目しており、1年ほど前に社内でタグマネジメントプロジェクトという組織を設けて、各ツールの調査や施策での活用について研究しています。
メンバーは、Yahoo!タグマネージャー認定試験の合格者で構成されており、まずは社内でノウハウを共有し、それをお客様への提案につなげることがミッションです
」(小林氏)
同社ではさまざまなタグ管理ツールを評価しているが、特にYahoo!タグマネージャーには、次のような多くのアドバンテージがあるという。
- 「サーバーダイレクト方式」という最先端のしくみを採用
- 管理画面がわかりやすく、どのタグが何と結び付いているか一目瞭然
- 対応しているDSPやアドネットワークが豊富
- Webページ内でのユーザー行動に基づいた細かいセグメント化が可能
- 無償で提供されている
「弊社では、DSPをトレーディングデスク型で運用していますが、Yahoo!タグマネージャーならそれにもしっかりと対応できます
」(小林氏)
ツールを「導入しただけ」で終わらせないために実践と実績作りが必要
Yahoo!タグマネージャーを導入し、タグ管理を活用した施策に取り組む広告主は、着実に増えている。ただし、中には「ただ導入しただけ」というケースも少なくないという。その有用性を理解してもらうために、さらにYahoo!タグマネージャーの活用コンサルティングや実績作りをしていく必要があると小林氏はいう。
「タグ管理には、さまざまなメリットがあります。
機能面でいえば、一度タグを設置してしまえば、そのあとは管理が楽になるということ。タグの修正や追加をWeb制作担当に依頼したら、1週間かかることもあります。それが、Web担当者側ですばやくできるようになるので、新たな施策への瞬発力で差が出ます。
また、どこの何のタグが埋め込まれているかを簡単に把握できるので、お客様自身でも混乱なく管理できるようになります。
施策面では、たとえばWebページを一番下までスクロールしたユーザーだけをセグメント化するといったことが簡単にできます。きちんと広告や商品説明を理解してくれたとユーザーに対して、リターゲティング広告を配信できるわけです。
さらに、最後まで読んでくれたユーザーに対しては、“最後の一押し”となる専用バナー広告を表示するなど、クリエイティブ最適化の施策も可能です。
お客様によって、タグ管理の取り組みレベルはさまざまです。まずはタグ管理のメリットを理解し、導入していただく。そして、実際に成果を上げていくことが重要だと考えています。セグメント化して入札額を分けただけでROAS※が200%改善したお客様もいます
」(小林氏)
オーディエンストレンドによって効率化だけでなく集客面もカバー
集客したユーザーをセグメント化することで、配信対象の絞り込みや訴求内容の最適化を行う。これは、Yahoo!タグマネージャーを活用したマーケティング施策としては王道だ。
しかし、これを突き進めると、高まる効率に反比例する形でコンバージョンの絶対数は減る。小林氏は「このバランスをどう見極めるかが今後の課題
」としたうえで、GMO NIKKOが実践する「オーディエンストレンド」というアプローチについて説明する。
「セグメント化ができるとなると、どうしてもより細かくしたくなりがちです。しかし、リターゲティングの施策でセグメント化するということは、『一度Webサイトを訪問したユーザー』が対象ですから、どうしても絶対は限られます。そのため、やり過ぎると『CPAは1/100になったけど、コンバージョン数が1/10になってしまった』ということもあり得ます。
効率だけを求めるあまり獲得数が減ってしまっては、お客様のビジネスとして成功とはいえません。このバランスを取るためには、いかにして質の良いリターゲティング対象ユーザーを集めるかが鍵になります。そこで弊社では、『オーディエンストレンド』という施策を提案することで、この課題に取り組んでいます
」
オーディエンストレンドとは、次の2種類の施策を組み合わせたものだという。
- 獲得効率を高めるための施策
- 質の良いユーザーを増やすための施策
「獲得効率を高めるというのは、セグメント化とリターゲティングによる入札額やクリエイティブの最適化のことで、これまでお話してきたことの延長です。
質の良いユーザーを増やす施策は、来訪ユーザーを集客手段(広告媒体)ごとに分けてリスト化し、そのリターゲティングとコンバージョンまでを含めた全体で集客手段を評価するというものです。つまり、トータルCPAで考えるわけです。
これまでは、なるべく単価の低いユーザーを集めてくることが善しとされてきました。しかし、たとえばDSPでは、入札額が高ければ質の良い枠に掲載され、結果として質の良いユーザーを集めることができます。
逆にいえば、いくら安いCPC(クリック単価)で集客できたとしても、コンバージョンまで含めたトータルCPAが高くては、安物買いの銭失いになってしまいます。これをきちんと可視化しようというのが、オーディエンストレンドの根底にある考え方です
」(小林氏)
純広告、リスティング広告、アドネットワーク、DSPなど、さまざまな広告媒体があるが、オーディエンストレンドの考え方で進めることで、その中から「本当に効率の良い媒体」を見極められるようになるのだという。
「CPCが安いノンターゲティングの広告より、CPCが高いYahoo!プライムディスプレイで集客するほうが、トータルで効率が良かった」という例はよくあるが、そうしたことが可視化されるからだ。
オーディエンストレンドは、広告集客、Webサイト(ランディングページ)、リターゲティング、コンバージョンの流れを全体でとらえて最適化する施策ともいえるが、それを可能にしているのがYahoo!タグマネージャーの存在だ。これまで個別の最適化に取り組んでいた施策を、Yahoo!タグマネージャがつなげたというわけだ。
「効率化を進めながら集客面もカバーすることで、コンバージョン数も維持できる。これが実現されることで、Yahoo!タグマネージャーの活用はさらに広がり、成果にもつながるはずです
」(小林氏)
効率化と十分なコンバージョン数の両立が次の課題
広告主企業がより高度なマーケティング施策を実現できるように、Yahoo!タグマネージャーの導入と活用を支援する小林氏。今後も「トータルCPA」の視点から、顧客企業のビジネス最大化を目指して取り組んでいくつもりだ。
「運用型広告のお手伝をする立場としては、お客様の効率を高めるのは重要です。しかし、お客様のビジネスゴールは、効率化だけでなく十分なコンバージョン数も確保することです。
この両者は、これまでは両立しがたいものと捉えられていました。効率を求めれば数は減り、数を求めれば効率は悪くなると。このシーソーのような関係にある両者を、Yahoo!タグマネージャーを使ってバランスを取り、最適化、最大化できるポイントを見極めること。これこそ、今後われわれが取り組むべき課題です。
弊社では、オーディエンストレンドでも実践しているような、『広告貢献度可視化』という考えに基づいて広告の最適化に取り組んでいます。それを可能にする手段がYahoo!タグマネージャーをはじめとする広告テクノロジーで、海外のDSPやツールなども積極的に取り入れて、お客様に提供できるように取り組んでいます
」(小林氏)
- 本社所在地 ● 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-16-3
- 事業内容 ● インターネット広告(PC・モバイル)、SEMコンサルティング、Webサイトプロデュース、クロスメディア・プランニング、コミュニケーションプランニング、クリエイティブなど、インタラクティブマーケティングを中心とするインターネット広告事業。
- URL ● http://www.koukoku.jp/
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