実例:運用次第で効果は出せる! ――YDNサーチターゲティング活用のコツ
2013年1月の登場以来、さまざまな機能追加が行われてきたYahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)。今回は、その中から比較的新しい広告掲載方式の「サーチターゲティング」に焦点を当て、実際の運用データを例に次の2つの活用ノウハウを解説します。
活用事例が少ないからどうやって使えばいいかわからない……。
情報が少ないから配信の精度や費用対効果が合うかどうか判断できない……。
今の広告運用だけで手いっぱいで、新しいことを試す余裕がない……。
これは、サーチターゲティングを使っていない広告主の方からしばしばお聞きする言葉です。
サーチターゲティングが発表されたとき、「なんて革新的な広告だ!」と多くの広告主が注目し、業界も少しざわついたほどでした。ところが、実際に使っているという方は、私の周囲を見るとそれほど多くありません。
前述のように、新しいために活用ノウハウの情報が少ないことや、従来の広告掲載方式とやり方に違いがあることで、敬遠されているのではないかと考えています。
サーチターゲティングは、簡単に説明すると次のように表現できます。
「過去に○○というキーワードで検索したことがある人」に広告を配信する仕組み。
Yahoo! JAPANの検索機能でユーザーが検索した過去のキーワードをもとに、広告主がターゲティング用のキーワードリストを作り、そのリストに対して広告を配信する
サーチターゲティングのしくみや詳細については、以下の記事も参考にしてください。
サーチターゲティングは、他の広告掲載方式と比較して圧倒的な数のコンバージョンを得られるわけではありませんが、その代わりにしっかりと運用することで費用対効果の高いコンバージョンを獲得できます。
ここでは、サーチターゲティングを活用して成果を出すための「設定」と「考え方」の2つの視点から解説します。
面倒でもやると成果が一目瞭然――「1リスト1キーワード」で細分化
サーチターゲティングを利用するには、広告管理ツールの「広告管理:YDN」タブから「ツール」>「サーチキーワードリスト管理」ページへ移動し、使用できるキーワード候補を「サーチキーワードリスト」として作成します。
ここでは「美容液」というキーワードをリスト化する場合を考えます。似ているサーチキーワードは1つのリストにまとめて入れたくなりますが、あえて「1リスト1キーワード」で細分化することをお勧めします。
このやり方では、キーワードが10個ある場合はリストも10個、キーワードが50個ならリストも50個作成することになります。執筆時点(2014年3月)では、「CSVファイルから一括インポート」といった機能がないため、1つ1つ手作業で追加します。
「それは面倒だ。まとめて1リストに10キーワードを入れたほうが楽なのに!」という不満もわかります。しかし、このリスト作成でひと手間かけて面倒な作業をがんばっておくことで、後々の運用管理が非常に楽になります。
なぜなら、「美容液」という広告グループで1リストに10キーワードあると、管理画面で「どのサーチキーワードの成果が良くて、どのキーワードが悪いのか」が見えない=効果測定の判断ができないからです。
1つのリストにまとめてしまうと、個々のサーチキーワードの成果を見るためには「広告管理:YDN」タブの「レポート」>「パフォーマンスレポート」>「サーチキーワード」を選択してレポートをダウンロードするという操作を毎回行うことになります。
リスティング広告運用の日々のチューニングでは、できるだけ簡素化して時間短縮を図らなければ作業効率が下がってしまいます。少々面倒であっても、初期構築の際に細分化しておくことで、グループ名とリスト名が一致し、広告グループ名だけで各サーチキーワードの成果をすばやく簡単に把握できるようになります。
日々の運用を効率化するために初期構築で時間をかけることは、非常に大切なポイントです。みんなが「面倒」に感じているということは、しっかりとできている広告主が少ないということです。
細分化して成果チェックの手間を怠らなければ、費用対効果の高い運用ができる可能性が高まるというわけです。やや根性論のようになってしまいますが、後々の成果を出すために、最初にがんばりましょう。
そのうち、リスト作成のインポート一括登録機能が実装されるかもしれません。
キーワードを連想して広げて低単価で未訪問ユーザーにリーチ!
たとえば、化粧品の美白クリームなら、次のようなサーチキーワードを思いついたまますべて設定するでしょう。
- 自社ブランド名
- 自社商品名
- 美白
- 美白クリーム
そのあとに成果を出すには、「どんなキーワードを連想して広げるか?」ということが重要になります。
先に挙げた例の「美白クリーム」のコンバージョンを獲得したい場合は、次のようなユーザーをターゲットと仮定します。
- 20代後半~40代の女性
- 美白や美容に関心がある
このようなユーザーがどのような語句を検索しそうかを、広く考えてみます(そのキーワードが「使える」か「使えない」かは、ここではいったん忘れてください)。
- 化粧水
- 美容液
- 洗顔フォーム
- ローション
- パック
- ファンデーション
- アンチエイジング
- しみ
- しわ
- ほうれい線
- 女性ホルモン剤
- アットコスメ
- 美的
- ホットペッパービューティー
- 日焼け止め
- 日傘
- UVカット
- UVカットサンバイザー
- ドモホルンリンクル
- ライフフォース
- SK2
- 女子力アップ
- 美魔女
- モテる女
- 結婚できない女
- 美白になる方法
- 肌を白くする方法
- 肌を綺麗にする方法
さらに、
- 「モデル事務所」
(モデル事務所を探しているということは容姿を気にする職に就いている人では?) - 「入園式」
(子供がいる若いママさんが検索するかも?) - 「ゴルフウェア レディース」「テニスウェア レディース」
(スポーツする女性が検索するキーワードということは日焼けに気を使うかも?) - 「2次会 ドレス」
(結婚式の2次会のドレスを悩んでいる女性は容姿を気にするのでは?) - 「同窓会 服装」
(同窓会で旧友に会うので外見に気合を入れたいのでは?)
などなど、キーワードを挙げていくと尽きることがありません(ここで挙げたキーワードは、すべて実際にキーワードリストで表示回数があって使用できるものです)。
これらの薄いキーワードに対して、入札単価10円などで広く浅く広げて「どこが取れるかのデータ収集を目的に見る」というのも1つの攻め方です。
事実、私は「自己啓発関連のメルマガ購読読者」を集客するために、「人生成り上がりたい層」に向けて、世間で「成功者」の代表として支持されている有名人の名前をキーワードにしたところ、コンバージョン数こそ少ないものの、安価なCPAで成果を出せました。
このように、核となるキーワードから少し思考をずらすことで、今までリーチできていなかった未訪問ユーザーに安く広くリーチすることも、サーチターゲティングの使い方の1つです。
今回紹介したサーチターゲティングの使い方は、あくまでも1つの例でしかありません。まだ発展途上であり、さまざまな使い方が考えられます。
2013年8月にYDNの広告掲載方式として登場したサーチターゲティングは、2月と3月にも機能改善があり、検索時に表示されるサーチキーワード候補のバリエーションが大幅に拡充され、サーチキーワードリスト提案機能(おすすめサーチキーワードリスト)が正式版になりました。
- 【YDN】サーチターゲティングの機能改善(Yahoo! JAPAN)
- 【YDN】サーチターゲティング サーチキーワードリスト提案機能正式提供(Yahoo! JAPAN)
さらに4月には、URLを指定して配信できる待望の「プレイスメントターゲティング」が機能追加される予定です。
- 【YDN】広告掲載方式の再編とプレイスメントターゲティング機能追加に関するお知らせ(Yahoo! JAPAN)
このように着々と強化される様子からは、「YDNをよりすぐれた広告サービスにしていく」というYahoo! JAPANの姿勢が伝わってきます。さまざまな広告掲載方式や機能をどう組み合わせるか、自社の広告戦略でどう位置づけるかなど、YDN活用の可能性は広がります。
自分の商材の核となるキーワードは、誰でも簡単に思いつくことができます。となれば、ライバルとの差を付けるポイントは「核となるキーワード以外の部分をどう攻めていくか」です。
今回紹介したサーチターゲティングの運用事例を参考に、自分なりの使い方を試してみてください。
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