
大手小売業のECサイトがいかにSEOやユーザビリティで失敗しているかの具体例(前編)

僕が最近e-consultancyで読んだ2つの記事は、英国の大手小売ブランドの状況と、これらの企業がどのようにオンライン活動しているかに関するものだった。
「オンライン活動を改善するためにAsdaができる10のポイント [1]」という記事で、楽しんで読んだものの、この企業が犯しているSEO面の失敗についてはまったく触れていなかった。また、ケビン・ギボンズ氏の「主要キーワードに関してSEOを無視しているスーパーマーケット [2]」という記事は、SEOについてより多く言及している点は良かったけど、個人的にはもう少し中身のある事柄に踏み込んでほしかった。
そんなわけで今回は、英国の主要大手小売業者を巡るSEOの状況について、僕なりにレビューしてみよう。
今回の記事の目的は一般的な誤りを明らかにすることであって、個々のブランドを名指しで非難することじゃない。やむを得ず特定の企業名を具体例として挙げている部分もあるけど、その企業を侮辱するつもりなんかじゃないんだ。レガシーシステムを使いながらでは、たとえ正しい解決策を知っていても導入が難しい場合があるということを、僕は認識している。
キーフレーズ・ターゲティング
キーフレーズが重要だと言ったのは誰? 自分の意見が絶対的に正しいって思ってる人がたまにいるよね。こうした連中がキーフレーズの重要さを主張していても、聞いちゃいけない。キーフレーズがそれほど重要にはなり得ないのは確かだ。そうだよね?
この化粧品ページ [3]を見てみよう。タイトルタグは以下のようになっている。

うん、ここでいくつかの改善点を提案できそうだな……。これに関して最も愉快(またはひどく憂鬱)なのは、これらのブランドの多くがPPC(キーワード広告)キャンペーンに大金を投じているくせに、オーガニック検索によるトラフィックを無視しているという点。たとえば、この記事を書いている現時点で、Waterstonesは「cookery books [4]」(料理本)というキーワードに入札している。

そして、Waterstonesはこのキーワード広告経由のビジターに対し、申し分のないランディングページ [5]を用意している。唯一の問題は、そのページ(実際は同サイトのすべてのページ)のタイトルタグが、次のようになっていることなんだ。

ああ、なるほど。オーガニック検索のトラフィックには興味がないってことなんだね。オーガニック検索でやって来る厄介で迷惑な連中はいつでも、解析を台無しにしたり、物を買ったり、買わなかったり。そんな面倒な訪問者の相手なんかしてられないってわけだ。
トップページのリダイレクト
この問題は、信じれらないほど大量に起きている。まず、以下に挙げた長ったらしいURLを見て。
http://www.halfords.com/webapp/wcs/stores/servlet/TopCategoriesDisplay?langId=-1&storeId=10001&catalogId=10151
http://www.missselfridge.com/webapp/wcs/stores/servlet/TopCategoriesDisplay?storeId=12554&catalogId=20555
http://www.topshop.com/webapp/wcs/stores/servlet/TopCategoriesDisplay?storeId=12556&catalogId=19551
これらのURLに手早く簡単にアクセスしたい? じゃあ、下のリンクをクリックしてみてよ。
その通り。後から挙げたドメイン名を訪れると、最初の不快なほど長いURLにリダイレクトされるんだ。つまり、この長ったらしいURLがデフォルトのURLってことだ。
こういうときに301リダイレクト(恒久的なリダイレクト)を使っている場合もあるけど、302リダイレクト [9](一時的なリダイレクト)を使っているところもあるし、meta要素refresh [10]やJavaScript [11]によるリダイレクトもよく見かける。
留意してほしいのは、すっきりシンプルでユーザーフレンドリーなトップページURLは、ユーザーと検索エンジンの双方にとって役に立つってこと。ここに挙げたようなサイトにとって、長いURLへのリダイレクトがインデックス化の問題を少なからず招いていることは、まず間違いないね。
とにかく長いURL
前項で挙げた例と同じように、以下のウェブサイトでも不快なほど長いURLがあふれている。これらの非セマンティックで、キーフレーズに乏しく、使い勝手の悪いURLをいくつか見てみよう。
http://www.homebase.co.uk/webapp/wcs/stores/servlet/ProductDisplay?langId=-1&storeId=20001&partNumber=1601776&c_2=2|cat_10307968|Bath+suites|10481051&c_1=1|category_root|Bathroom|10307968 [12]
(Homebaseの浴室製品ページ)http://online.vodafone.co.uk/dispatch/Portal/appmanager/vodafone/wrp?_nfpb=true&_pageLabel=templateBlank&pageID=VIRTUAL_HOME [13]
(Vodafoneのホームページ)http://www.burton.co.uk/webapp/wcs/stores/servlet/ProductDisplay?beginIndex=0&viewAllFlag=&catalogId=20553&storeId=12551&categoryId=113901&parent_category_rn=&productId=720470&langId=-1 [14]
(Burtonのカーディガンのページ)http://www.argos.co.uk/static/Product/partNumber/4061423/c_1/1|category_root|Kitchen+and+laundry|10198386/c_2/2|cat_10198386|Vacuum+cleaners|10198408.htm [15]
(Argosの掃除機のページ)
そして僕のお気に入りは、Currysの「washing machines」(洗濯機)のページだ。
このページを、Cometの洗濯機のページと比較してみよう。
さあここで、どちらのページがGoogleで「washing machines [18]」を検索した結果の上位10位にランク入りしているか予想してみよう。ヒント:Currysじゃない(ただし、Currysはwashing machinesというキーワードでPPC広告を購入していて、スポンサーリンクの枠には表示されるけど)。
重複コンテンツ
重複コンテンツの問題は、パラメータの異なるURLが同じページを表示するとか、複数のドメイン名が同じコンテンツにつながるとか、さまざまな形で現われる。
たいていは重複コンテンツで大きなダメージを受けることはないものの、もちろんそれは、両方のURLにサイト内でリンクジュースを渡していなかった場合の話。もし渡しているのであれば、厄介なことになる。たとえば、以下の2つの製品ページを見てみよう。両方ともサイト内リンクが張られている。これらは(ほぼ)同じページで、この製品が複数のカテゴリに含まれているため、カテゴリ分類の記述がほんの少し異なるだけだ。
http://www.debenhams.com/webapp/wcs/stores/servlet/product_10001_10001_64439_428661_-1 [19]
http://www.debenhams.com/webapp/wcs/stores/servlet/product_10001_10001_63165_428661_-1 [20]
情報アーキテクチャ
もしサイト上で情報アーキテクチャを誤って構築すると、往々にしてユーザビリティに悪影響が出るが、単にSEOにとどまらない根深い問題を抱えることが多い。次のような状況を考えてみよう。
Nextのトップページ [21]のメニューから、男性用のTシャツを選ぶと、こんなURLに飛ばされる。
どういうわけかメインのサイト(www.next.co.uk)から離れてサブドメイン名(search.next.co.uk)にたどりついてしまったという事実は、ここでは無視しよう。男性用Tシャツを探してサイトを詳細に調べることはこれ以上できなくなっている。Tシャツを見てみたくても、価格で並び変えることしかできない。「デザイナー」で並べ替えたり「ポロシャツ」などで分類するオプションが用意されていないんだ。これらのサブ・サブ・カテゴリのページがメインのサイトから分かれているせいで、Tシャツを探すのが難しくなっているし、「ポロシャツ」をランク表示できるページもない(もちろん、サイトの他の部分は最適化されていると仮定する)。
この記事は2回に分けてお送りする。次回も、英国の小売業者がSEOに関してどのようなミスを犯しているのかご紹介する。→後半を読む [23]
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