Web担 オススメの課題図書

データ分析初心者から中級者まで必読! データ活用の専門家が勧める10冊で悩みを解消

オススメの課題図書。これまでのデータ分析・活用関連の記事のなかから、お悩み別に10冊をピックアップして紹介する。

業界のエキスパートにインタビューし、基本的な考え方・知識・スキルが身に付く本(課題図書)を紹介してきた連載「Web担 オススメの課題図書」。12月を目前にした今回は、これまでのデータ分析・活用関連の記事のなかから、お悩み別に10冊をピックアップして紹介する。あなたの疑問や課題に応える本があるかも。ぜひ、チェックしてみて。

Googleアナリティクス4(GA4)を使いこなすために、機能を一通り理解したい

『できる逆引き Googleアナリティクス4 成果を生み出す分析・改善ワザ 192 できる逆引きシリーズ』(木田和廣:著 インプレス:刊)

この本は、GA4の細かな機能と設定方法を学べる1冊で、月曜日のトラ 西正広さんがオススメしてくださった。

西さん

本書は、具体性や情報の網羅性が抜群に高いです。章によっては難しい部分もありますから、初心者の方は無理して全部を読もうとする必要はないと思います。全部目を通すという読み方だけでなく、デスク横において気になるところを目次から探して調べるという、まさに逆引きとして使えます。たとえば、この数値は何なのかと思ったら調べてみる、こういう設定をしたいと思ったら調べてみる、という使い方です。

GA4を使いこなしたい。KPI設計などアクセス解析全般の取り組み方を知りたい

『現場のプロがやさしく書いたWebサイトの分析・改善の教科書【改訂3版 GA4対応】』(小川卓:著 マイナビ出版:刊)

本書も西さんのオススメ書籍で、GA4の機能だけでなく、KPI設計などアクセス解析全般の取り組み方にフォーカスした1冊だ。西さんは、『できる逆引き Googleアナリティクス4 成果を生み出す分析・改善ワザ 192 できる逆引きシリーズ』と合わせて、両方を読むのがオススメだという。

西さん

実のところ、このタイプの書籍は少なくて、貴重な書籍の1つだなと感じました。収集したアクセスデータの読み方についても解説しているので、アクセス解析を始める方は参考になると思います。データの向き合い方、分析の仕方が身につく本です。

まずは、デジタルマーケティングの仕組みをざっくり理解しておきたい

『集中演習 デジタルマーケターのためのテクノロジー入門 できるDigital Camp』(山田良太:著 インプレス:刊)

本書は、アクセス解析に取り組もうという初心者が知っておくべき、JavaScriptやタグ、リダイレクトなど、デジタル用語やテクノロジーの仕組みなどを紹介・解説している。HAPPY ANALYTICSの小川卓さんがオススメしてくださった1冊だ。

小川さん

テクノロジーというと、「わからない」「難しい」と、始めから壁をつくる人も多いのですが、そうなる前にテクノロジーを学んでおくことがアレルギーの解消にもつながると思います。「だいたいどういう感じか」がわかれば、調べることができるので、その手がかりを頭のなかにつくっておくための1冊、いざというときに調べるための1冊だと思ってください。

データ活用が苦手で、数字の使い方がわからない。改善効果を実感したい

『孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術』(三木雄信:著 PHP研究所:刊)

本書は、改善効果を実感できる「プロセス分析」が学べる本で、メルカリの諏訪ひと美さんが紹介してくださった書籍だ。新卒で入社した当時はデータ活用に関する知識がなく苦労したという諏訪さんが、本書を読み、数字を使って業務を改善する成功体験が得られ、データ分析にのめり込むようになっていったという。

諏訪さん

プロセス分析とは、たとえば営業であれば、受注というゴールまでのプロセスを、テレアポ→商談→提案→受注と分けて、それぞれの歩留まり率を計測していく手法です。プロセス分析はシンプルな手法でわかりやすく、しかも効果が抜群です。

売上を上げるために、どの指標を見るべきかを知りたい

『デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法』(西井敏恭:著 翔泳社:刊)

収集したデータをどう見て、どう活用すれば、意味のある分析結果が得られるのかわからないという方に読んでほしいのが本書だ。先ほどの本同様、諏訪さんが紹介してくださった。

とりわけ第2章の「売上を新規と継続に分解する」を読むと、ECやデジタルマーケティングで使う指標の構造がわかるようになるという。

諏訪さん

第2章では、新規顧客と継続顧客に分けて売上を分析する手法が具体例をまじえて解説され、継続顧客を増やすことの重要性が語られています。なかには、新規、継続ごとに、ユーザー数、購入単価、購入回数など観るべき指標が比較できる表が示されているので、まずは同じように自社データを整理してみるといいと思います。

ほんとうに施策で得られた効果なのかを知りたい

『「原因と結果」の経済学―データから真実を見抜く思考法』(中室牧子、津川友介:著 ダイヤモンド社:刊)

施策を行い、期待通りの数値が得られたとしても、「この施策によって得られた効果だと、手放しに喜んでいいのか疑わしい」と思った経験はないだろうか? そこで知っておくべきは、因果関係と相関関係だ。

本書は、相関関係と因果関係の違いがわかるようになる書籍で、紹介してくださった諏訪さんは、「データ分析を依頼するマーケターの人も、間違った方向性で依頼しないためにも読んでおいた方がよい」と話されていた。

ビジネスにおけるデータ活用の全体像をつかみ、なぜデータが必要なのかを理解したい

『いちばんやさしいDXの教本 人気講師が教えるビジネスを変革する攻めのIT戦略』(亀田重幸、進藤圭:著 インプレス:刊)

本書は、ビジネスにおけるデータ活用の全体像をつかんで、データ分析の役割を把握するための1冊で、メンバーズデータアドベンチャーカンパニーの白井恵里さんが紹介してくださった。

書名に「DX」とあるが、業務がデジタル化されるとデータが蓄積され、そのデータを分析に活用できるようになる。こうしたDXとデータ活用への理解を深めるのに最適な書籍だという。

白井さんも過去にWeb広告の運用をしていたとき、データ活用ができていないことに課題を感じていたそうだ。

白井さん

データ活用の全体像をつかんでおくことで、たとえばWeb広告配信結果の要因分析の際にデータの取得・分析・活用方法といった基本がわかるようになります。だからこそ思い切ってメンバーズデータアドベンチャーカンパニーを立ち上げたのですが、そこで相談に乗っていただいたのが著者の亀田さんでした。

ビジネス力のうえに、さらにデータ分析を新しい力にしたい

『データ分析人材になる。目指すは「ビジネストランスレーター」』(木田浩理、伊藤豪、高階勇人、山田紘史:著 日経BP:刊)

続いて白井さんが紹介してくださった本書は、データ分析をビジネス上の価値にしていくための1冊だ。すでにビジネス力をつけている人が「データ分析という新しい力」を得るためにも読んでほしいという。

データはあるだけでは売上にはならない。データを収集し、加工して初めてお金に変えることができる。そのために、副題にある「ビジネストランスレーター」が必要になる。

白井さん

全員がデータ・サイエンティストを目指す必要はありません。さまざまな定義はあるにせよ、データ・サイエンティストはデータ分析の専門家です。たとえばビジネス全体をレストランにみたてると、ビジネストランスレーターは、お客さまが食べたいものを察知して、それをメニューにしていく役割です。

つまり、ビジネストランスレーターはビジネスとデータの間をつなぐ人です。高度な分析をしても、需要がなければお金には変えられませんから、ビジネストランスレーターは重要です。

ビジネスにつながる「技術」の基本を理解したい

『図解即戦力 ビッグデータ分析のシステムと開発がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(渡部徹太郎:著 技術評論社:刊)

本書は、副題に「ビッグデータ分析」や「開発」という言葉があるので、自分には関係ないと思われる方もいるかもしれない。しかし、本書を読んでおけば、技術者と議論をするための基礎知識が得られる。こちらも白井さんが紹介してくれた本だ。

白井さん

たとえば、技術者でなくても、「システム上でデータがどう流れて、どうアウトプットされるのか」がわかる内容になっています。データが生成され、収集・蓄積されて、活用されるまでが明快な図で示されているので、理解の助けになると思います。

データアナリストとして、データ分析に向き合う姿勢を知りたい

『解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法』(馬田 隆明:著 英治出版:刊)

電通の田中悠祐さんに紹介していただいた本だ。田中さんの仕事は、クライアントのマーケティング課題の解決のため、データを使った定量的な分析を通して、仮説を立て、施策の着眼点を見つけていくこと。そうした実務を行うなかで、データ分析に向き合ううえでの姿勢として、参考になるのがこの本だという。

本書では、深さ・広さ・構造・時間の4つの視点から物事の解像度を上げていく思考方法が紹介されている。

田中さん

解像度を上げるために、データ分析の場合はまずは深く掘り下げて分析していきます。データは数値でしかないので、浅い集計だと物事の表層しかわかりません。そこからさらに、二重、三重のクロス集計をする、別の分析手法を試す、セグメンテーションを変えるなどして、深掘りをしていきます。

さらに広げて分析するときには、これは広さなのか、構造なのか、時間なのかを意識することが重要です。なお、構造とはデータの構造を指しています。たとえば客単価のデータ構造を紐解いていくと、全体のターゲットに対しての認知度、男女比率、年代、興味・関心などによって、つながりが変わってきます。

企画や打ち合わせなどの場面でも「解像度が低い」「解像度を上げていこう」という言葉が使われるのを聞いたことがある人も多いと思う。田中さんは、その際には、深さ・広さ・構造・時間のいずれの解像度を上げるべきなのか、どういう手法で上げていくかを明確にするようにしているという。

◇◇◇

ここで取り上げた10冊は、次の記事からセレクトしたものだ。ぜひ、元の記事も読んでみてほしい。

用語集
DX / EC / Googleアナリティクス / JavaScript / KPI / PHP / アクセス解析 / タグ / ビッグデータ
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